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第二十四話 騎士としての幸せ
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コールハース侯爵邸にやって来て三日。最初はあり得ないほど緊張していたけれど、広くて豪華な部屋にも、本物のお姫さまであるマリエッテ様との会食もそれなりに慣れてしまった。
『ロンバウトの想い人』という団長の嘘は否定しないでおいた。
マリエッテ様はロンバウトの心をひどく傷つけたと思う。どんな理由があるにしても、婚約者から恐れられたりしたら、誰だって辛いはずだから。
でも、彼女はそのことを十分自覚している。そして、ロンバウトが幸せになることを心から願っているように感じた。
だから、彼がどれだけ高潔で、強くて、格好良く、しかも可愛いか、目いっぱい語ってみた。だって、全部本当のことで嘘ではないもの。
マリエッテ様は私の話を微笑みながら聞いてくれている。でも、ロンバウトと婚約解消したことを惜しいとは思っていないようなので、少しがっかりした。それほど素敵な人を逃したと悔しい思いをさせてみたかったから。それなのに、ちょっと安心している自分に驚いている。
マリエッテ様はこの国の未来を語っていたけれど、やっぱり王太子殿下を慕っているのだろうと、恋愛経験のない私でさえ察するくらいにわかりやすい。そうでなければ、自分でない女性を選んだ男性の手を、今更取らないような気がする。
これから辛いこともいっぱいあるだろうけれど、彼女には幸せになってほしいと願うくらいにはほだされていた。
でも、王太子殿下に対してはもやもやする気持ちが晴れない。殿下や国のためにずっと努力してきたマリエッテ様ではなく、王太子妃としての資質がないような女性を選んだ。それなのに、都合が悪くなったらとその女性をあっさりと捨て去り、しれっとマリエッテ様と結婚するって、ちょっとひどいと思う。
それに、獣化してまで殿下の身を護ったロンバウトが平民に落とされて、更に王都を追われる羽目になったのに黙認していたし。それを決めたのが殿下ではないにしても、ロンバウトの身分を守る権力があるのに止めなかった。
いくら私が怒っていても、直接文句なんて言えるはずもなく、心の奥に仕舞っておくしかできないけれど。王宮の方角に向かって『ちょっとは反省しろ!』と思うくらいは許してほしい。
そうこうしているうちに、団長がコールハース侯爵と一緒に帰ってくる。そして、最後の晩餐が始まった。
こんな贅沢な食事にも少しは慣れたと思ったのに、やっぱり緊張する。今までで一番豪華な料理が並べられているのに、楽しむ余裕なんてこれっぽっちもない。
一見無骨に見える団長も、やっぱり貴族だからか、洗練された動作で優雅に食事をとっている。もちろん、コールハース侯爵やマリエッタ様も慣れた手つきで多数のカトラリーを扱っていた。
どう考えても、庶民の私に貴族の作法など無理な話だ。そう開き直って豪華な食事を味わうことにした。だって、美味しく食べなかったら作ってくれた人に失礼だもの。
そんな言い訳をしながら、柔らかい肉を口に入れた。それはとても美味しいけれど、やっぱりお父さんの肉料理が懐かしい。
早くボンネフェルトへ帰りたいとため息をついてしまう。
「非公式だが、王太子殿下から謝罪があった。アニカが魔女に攫われたのは、あの女を甘やかし、わがままな振る舞いを咎めなかったご自身のせいだと」
ようやく食事が終わった頃、団長がそんなことを口にした。その言葉に何も返せない。確かにその通りだと思うけれど、それを正直に言っていいかわからない。下手をすれば不敬罪に問われてしまいそう。だからといって、違うとも言いたくない。
でも、王太子殿下が謝ったことには純粋に驚いてしまう。
「ロンバウトのことも守ることができなかったと、殿下は強く後悔されているようだった」
無言の私のことを気にする様子も見せず、団長は言葉を続けた。
「ロンバウトさんのことを本気で守ろうと思ったのなら、王太子殿下ならどうにでもできたのではないですか!」
団長には小さい頃から可愛がってもらっていたので、つい気安く本音を口にしてしまっていた。
恐る恐る宰相でもあるコールハース侯爵の顔を窺うと、別に怒っている様子はない。マリエッテ様は微笑みながら小さく頷いていた。
団長だけは少し困った顔をしていた。
「申し訳ない。ロンバウト君を近衛から外すよう陛下に進言したのは私だ。魔女が襲撃してきた時、王太子を護ることを放棄して真っ先に逃げ出した近衛騎士が何人かいたのが、彼らは全員高位貴族の子弟だった。その親たちが魔女を返り討ちにしたロンバウト君を責めたのだ。魔女に傷を負わせて、報復されたらどうするのか。あの女を魔女に渡して早々に帰ってもらうべきだったとな。まるで手を出さなかった近衛騎士たちが正解だというように。もちろん、ロンバウト君の行いは正しく、責められるべきは逃げ出した近衛騎士の方だ。ただ、本当に魔女が報復に来た場合、ロンバウト君への非難は避けられない。それに王家にも傷がつくと考えた」
静かな声で、まるで懺悔するように話し出したのはコールハース侯爵だった。
息子可愛さに職務を全うしたロンバウトを責めるなんて、なんてひどい人たちだと怒ろうとしたら、すごい音が隣から聞こえてきた。何事かと横を向いてみると、団長が眉間に深い皺を寄せながら豪華なテーブルを拳で叩いていた。
厚い板を使ったテーブルだったので壊れていなくてほっとする。晩餐も終わり食器も片付けられていて本当に良かった。どれも絶対に高価なはずだから。
「護衛対象を見捨てた騎士など、身分など関係なしに牢へぶち込めばいいのだ! そんな奴らは騎士ではない。私なら絶対にロンバウトを辞めさしたりしない!」
団長の声だけで豪華なシャンデリアに立てられた蝋燭の炎が揺れたのか、団長の大きな影がちらついている。
「わたくしが悪かったのです! わたくしが考えもなしにロンバウトさんとの婚約を望んだから、彼は近衛騎士たちから妬まれていました。近衛騎士の殆どは継ぐ爵位を持たない嫡男以外の方ですので、私と結婚すれば父の後見を得られ、爵位を賜ることができるのではないかと考えていたようです。それなのに、あのような姿になったロンバウトさんを支えることもせず、わたくしは婚約を解消してしまいました。そのせいで彼は皆に侮られることになってしまったのです」
凛と背筋を伸ばして座っていたマリエッテ様が肩を落としている。
団長はか弱き女性を責めることができなかったのか、テーブルの上に置いていた拳を静かに膝の上へと移した。
「ロンバウトさんは今幸せだと思うのです。だって、ロンバウトさんはとても強くて優しくて、町の人たちにとても頼りにされて愛されているんです。彼はボンネフェルトの町が好きだって言ってくれたのですよ。そんなロンバウトさんが不幸だと感じているはずありません」
ロンバウトを傷つけた人たちは許せない。だけど、彼が王都を追い出されて不幸になったみたいな告白も納得がいかない。だって、彼はいつも笑顔だったから。
「護る場所があり、護るべき人々がいて、護る力を持っている。確かに、それは騎士にとって最上の幸せに違いない。おまけに想う女がいるのならば、完璧だな」
機嫌を直した団長が、大きな手で私の背中を軽く叩いた。
「想い人というのは、ちょっと」
それは誤解だと伝えなければと思ったのに、
「ラウレンス殿からアニカのことを聞いたらしく、ミュルデルス卿も喜んでいたぞ。すべてを諦めきっていたようなロンバウトに想う人ができたってな。領地に引きこもっていた夫人もようやく気力を取り戻しつつあるようだ」
団長は私の言うことなど聞きもしないで言葉を重ねてきた。でも、ロンバウトの家族も喜んでいるのなら、迂闊に否定もできない。
笑顔の団長に、曖昧な笑顔を返すしかなかった。
『ロンバウトの想い人』という団長の嘘は否定しないでおいた。
マリエッテ様はロンバウトの心をひどく傷つけたと思う。どんな理由があるにしても、婚約者から恐れられたりしたら、誰だって辛いはずだから。
でも、彼女はそのことを十分自覚している。そして、ロンバウトが幸せになることを心から願っているように感じた。
だから、彼がどれだけ高潔で、強くて、格好良く、しかも可愛いか、目いっぱい語ってみた。だって、全部本当のことで嘘ではないもの。
マリエッテ様は私の話を微笑みながら聞いてくれている。でも、ロンバウトと婚約解消したことを惜しいとは思っていないようなので、少しがっかりした。それほど素敵な人を逃したと悔しい思いをさせてみたかったから。それなのに、ちょっと安心している自分に驚いている。
マリエッテ様はこの国の未来を語っていたけれど、やっぱり王太子殿下を慕っているのだろうと、恋愛経験のない私でさえ察するくらいにわかりやすい。そうでなければ、自分でない女性を選んだ男性の手を、今更取らないような気がする。
これから辛いこともいっぱいあるだろうけれど、彼女には幸せになってほしいと願うくらいにはほだされていた。
でも、王太子殿下に対してはもやもやする気持ちが晴れない。殿下や国のためにずっと努力してきたマリエッテ様ではなく、王太子妃としての資質がないような女性を選んだ。それなのに、都合が悪くなったらとその女性をあっさりと捨て去り、しれっとマリエッテ様と結婚するって、ちょっとひどいと思う。
それに、獣化してまで殿下の身を護ったロンバウトが平民に落とされて、更に王都を追われる羽目になったのに黙認していたし。それを決めたのが殿下ではないにしても、ロンバウトの身分を守る権力があるのに止めなかった。
いくら私が怒っていても、直接文句なんて言えるはずもなく、心の奥に仕舞っておくしかできないけれど。王宮の方角に向かって『ちょっとは反省しろ!』と思うくらいは許してほしい。
そうこうしているうちに、団長がコールハース侯爵と一緒に帰ってくる。そして、最後の晩餐が始まった。
こんな贅沢な食事にも少しは慣れたと思ったのに、やっぱり緊張する。今までで一番豪華な料理が並べられているのに、楽しむ余裕なんてこれっぽっちもない。
一見無骨に見える団長も、やっぱり貴族だからか、洗練された動作で優雅に食事をとっている。もちろん、コールハース侯爵やマリエッタ様も慣れた手つきで多数のカトラリーを扱っていた。
どう考えても、庶民の私に貴族の作法など無理な話だ。そう開き直って豪華な食事を味わうことにした。だって、美味しく食べなかったら作ってくれた人に失礼だもの。
そんな言い訳をしながら、柔らかい肉を口に入れた。それはとても美味しいけれど、やっぱりお父さんの肉料理が懐かしい。
早くボンネフェルトへ帰りたいとため息をついてしまう。
「非公式だが、王太子殿下から謝罪があった。アニカが魔女に攫われたのは、あの女を甘やかし、わがままな振る舞いを咎めなかったご自身のせいだと」
ようやく食事が終わった頃、団長がそんなことを口にした。その言葉に何も返せない。確かにその通りだと思うけれど、それを正直に言っていいかわからない。下手をすれば不敬罪に問われてしまいそう。だからといって、違うとも言いたくない。
でも、王太子殿下が謝ったことには純粋に驚いてしまう。
「ロンバウトのことも守ることができなかったと、殿下は強く後悔されているようだった」
無言の私のことを気にする様子も見せず、団長は言葉を続けた。
「ロンバウトさんのことを本気で守ろうと思ったのなら、王太子殿下ならどうにでもできたのではないですか!」
団長には小さい頃から可愛がってもらっていたので、つい気安く本音を口にしてしまっていた。
恐る恐る宰相でもあるコールハース侯爵の顔を窺うと、別に怒っている様子はない。マリエッテ様は微笑みながら小さく頷いていた。
団長だけは少し困った顔をしていた。
「申し訳ない。ロンバウト君を近衛から外すよう陛下に進言したのは私だ。魔女が襲撃してきた時、王太子を護ることを放棄して真っ先に逃げ出した近衛騎士が何人かいたのが、彼らは全員高位貴族の子弟だった。その親たちが魔女を返り討ちにしたロンバウト君を責めたのだ。魔女に傷を負わせて、報復されたらどうするのか。あの女を魔女に渡して早々に帰ってもらうべきだったとな。まるで手を出さなかった近衛騎士たちが正解だというように。もちろん、ロンバウト君の行いは正しく、責められるべきは逃げ出した近衛騎士の方だ。ただ、本当に魔女が報復に来た場合、ロンバウト君への非難は避けられない。それに王家にも傷がつくと考えた」
静かな声で、まるで懺悔するように話し出したのはコールハース侯爵だった。
息子可愛さに職務を全うしたロンバウトを責めるなんて、なんてひどい人たちだと怒ろうとしたら、すごい音が隣から聞こえてきた。何事かと横を向いてみると、団長が眉間に深い皺を寄せながら豪華なテーブルを拳で叩いていた。
厚い板を使ったテーブルだったので壊れていなくてほっとする。晩餐も終わり食器も片付けられていて本当に良かった。どれも絶対に高価なはずだから。
「護衛対象を見捨てた騎士など、身分など関係なしに牢へぶち込めばいいのだ! そんな奴らは騎士ではない。私なら絶対にロンバウトを辞めさしたりしない!」
団長の声だけで豪華なシャンデリアに立てられた蝋燭の炎が揺れたのか、団長の大きな影がちらついている。
「わたくしが悪かったのです! わたくしが考えもなしにロンバウトさんとの婚約を望んだから、彼は近衛騎士たちから妬まれていました。近衛騎士の殆どは継ぐ爵位を持たない嫡男以外の方ですので、私と結婚すれば父の後見を得られ、爵位を賜ることができるのではないかと考えていたようです。それなのに、あのような姿になったロンバウトさんを支えることもせず、わたくしは婚約を解消してしまいました。そのせいで彼は皆に侮られることになってしまったのです」
凛と背筋を伸ばして座っていたマリエッテ様が肩を落としている。
団長はか弱き女性を責めることができなかったのか、テーブルの上に置いていた拳を静かに膝の上へと移した。
「ロンバウトさんは今幸せだと思うのです。だって、ロンバウトさんはとても強くて優しくて、町の人たちにとても頼りにされて愛されているんです。彼はボンネフェルトの町が好きだって言ってくれたのですよ。そんなロンバウトさんが不幸だと感じているはずありません」
ロンバウトを傷つけた人たちは許せない。だけど、彼が王都を追い出されて不幸になったみたいな告白も納得がいかない。だって、彼はいつも笑顔だったから。
「護る場所があり、護るべき人々がいて、護る力を持っている。確かに、それは騎士にとって最上の幸せに違いない。おまけに想う女がいるのならば、完璧だな」
機嫌を直した団長が、大きな手で私の背中を軽く叩いた。
「想い人というのは、ちょっと」
それは誤解だと伝えなければと思ったのに、
「ラウレンス殿からアニカのことを聞いたらしく、ミュルデルス卿も喜んでいたぞ。すべてを諦めきっていたようなロンバウトに想う人ができたってな。領地に引きこもっていた夫人もようやく気力を取り戻しつつあるようだ」
団長は私の言うことなど聞きもしないで言葉を重ねてきた。でも、ロンバウトの家族も喜んでいるのなら、迂闊に否定もできない。
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