46 / 58
46.スライム水槽の設置と浄化能力
しおりを挟む
日向ぼっこさせた翌日、スライムを飼育させている甕の蓋を取ると、昨日と違ってスライムは大人しく水中に沈んている。
やっぱり、逃げ出そうとしたのは日向ぼっこさせていなかったかららしい。
「マルカ、実験をするからスープの残りを持ってきて。」
昼食で出てきたなんだかよくわからない肉の味スープの残りを持ってきてもらうと、スライムの飼育甕に中身を空ける。
スープ皿1杯のスープによって甕の中の水は濁ってしまい、スライムの姿は見えなくなった。
「これで、しばらく様子を見よう。明日までにはスープの具材も沈んでスライムが見えるようになるだろう。」
スライムは放置して日課の屋敷内探検に出かけようかと思ったら、マルカがメリアに手紙を持ってきた。
手紙が来るところなんて初めて見た。
この世界でも手紙はあるんだね。
などと思ったら、
「ご主人様。トマスからご依頼の品が出来上がったので、面会したいともうしれがございました。トマスになにか作らせていたのですか?」
と、メリアが不思議そうな顔をして聞いてきた。
「え?何のこと?」
はて?トマスとは先日のトイレ設置をお願いした時以来会っていないけど、何のことだろう?
ボクが首を傾げると、すかさずマルカが、
「ご主人様。例のガラスで作らせたスライムの飼育器のことではございませんか?」
と、教えてくれた。
というか『作らせた』?
「え?無いって言ってたんじゃないの?
え?新しく作ったの?」
たしか聞いたときに無いって言って、それから……。
あれ?どうしたんだっけ?
「ご主人様、申し訳ございません。ご主人様が残念そうになさっておられたので、私がトマスに作れないかと頼んでおきました。勝手なことをいたしまして申し訳ございません。」
そう言ってマルカが頭を下げる。
その言葉にメリアがスイっと目を細める。
ヤバイ、このままじゃマルカが勝手に発注したことになっちゃう。
「ああ、思い出したよ。そういえば『何とかならないか?』って頼んだんだった。」
ボクが大げさに手を打って同意する。
ちょっとワザとらしかったかもしれないけど、メリアは軽い溜息をつき、
「それでは、どういたしますか?手紙には設置のため、面会させていただきたいとも書かれておりますよ?」
「わざわざ手紙なんて書かなくても持ってきてくれれば良いのに。」
ボクがそう言ったら、メリアが、
「ご主人様、トマスは許可無く入れないのです。今回はマルカが取り次ぎましたが、通常なら手紙も届きません。」
と、教えてくれた。
わざわざ『マルカが』と強調したのは、まだマルカが勝手にトマスに依頼したことが気に入らないのかな?
「でも、トマスは水槽を作ってくれたんでしょ?ボク、早く持ってきてほしいな。お願い、メリア。」
メリアに駆け寄ってメリアのスカートの裾を掴んで小首を傾げ、可愛らしく見えるように上目遣いに頼んでみる。
メリアはボクの顔を見て、
「!?、ま、まあ良いでしょう。トマスに持ってこさせましょう。」
と言って目を逸らした。
顔を逸らしてはいるが、耳まで真っ赤である。
おや?ゴマカシと面白半分であざとらしい演技をしてみたが、この『ぶりっ子』作戦は結構効果があるのかもしれないぞ?
やったね!と、マルカを見ると口元を手で隠し、同じく真っ赤になった顔でプルプルしている。
なんだ?マルカ、お前にも効いたのか?
「すぐに持ってきてくれるの?」
「いえ、手紙で来た依頼は1日以上空けて返すのが作法です。トマスが来るのは早くても3日後ですね。」
「えー、もっと早くなんないのー。」
ボクがブーブーと頬を膨らませて抗議したが、
「作法です。」
と、さすがに折れてはくれなかった。
何度か『ぶりっ子』作戦を実行してみたが、途中からメリアとマルカの二人が喜んでいる感じがあったので、逆効果だったかもしれない。
『ぶりっ子』作戦は使い時が難しいかもしれないなぁ。
ちなみに、スライムの甕に入れたスープは翌日にはキレイさっぱり消えており、底にも沈殿物さえ無かった。
スライムの見た目は全く変わっていなかったが、何故だろう?心なしか満足げな様に見える。
日向ぼっこさせてもらえる上、エサが毎日投入される飼育甕。
自由とか退屈とか意識しなければ居心地良い場所ななかもしれない。
だけど、捕まえてから甕の中を掃除したことは無いのに、甕の中にはゴミとか全く無い。
コイツ、ウンチとかしないのだろうか?
つくづく変な生き物だなぁ。
やっぱり、逃げ出そうとしたのは日向ぼっこさせていなかったかららしい。
「マルカ、実験をするからスープの残りを持ってきて。」
昼食で出てきたなんだかよくわからない肉の味スープの残りを持ってきてもらうと、スライムの飼育甕に中身を空ける。
スープ皿1杯のスープによって甕の中の水は濁ってしまい、スライムの姿は見えなくなった。
「これで、しばらく様子を見よう。明日までにはスープの具材も沈んでスライムが見えるようになるだろう。」
スライムは放置して日課の屋敷内探検に出かけようかと思ったら、マルカがメリアに手紙を持ってきた。
手紙が来るところなんて初めて見た。
この世界でも手紙はあるんだね。
などと思ったら、
「ご主人様。トマスからご依頼の品が出来上がったので、面会したいともうしれがございました。トマスになにか作らせていたのですか?」
と、メリアが不思議そうな顔をして聞いてきた。
「え?何のこと?」
はて?トマスとは先日のトイレ設置をお願いした時以来会っていないけど、何のことだろう?
ボクが首を傾げると、すかさずマルカが、
「ご主人様。例のガラスで作らせたスライムの飼育器のことではございませんか?」
と、教えてくれた。
というか『作らせた』?
「え?無いって言ってたんじゃないの?
え?新しく作ったの?」
たしか聞いたときに無いって言って、それから……。
あれ?どうしたんだっけ?
「ご主人様、申し訳ございません。ご主人様が残念そうになさっておられたので、私がトマスに作れないかと頼んでおきました。勝手なことをいたしまして申し訳ございません。」
そう言ってマルカが頭を下げる。
その言葉にメリアがスイっと目を細める。
ヤバイ、このままじゃマルカが勝手に発注したことになっちゃう。
「ああ、思い出したよ。そういえば『何とかならないか?』って頼んだんだった。」
ボクが大げさに手を打って同意する。
ちょっとワザとらしかったかもしれないけど、メリアは軽い溜息をつき、
「それでは、どういたしますか?手紙には設置のため、面会させていただきたいとも書かれておりますよ?」
「わざわざ手紙なんて書かなくても持ってきてくれれば良いのに。」
ボクがそう言ったら、メリアが、
「ご主人様、トマスは許可無く入れないのです。今回はマルカが取り次ぎましたが、通常なら手紙も届きません。」
と、教えてくれた。
わざわざ『マルカが』と強調したのは、まだマルカが勝手にトマスに依頼したことが気に入らないのかな?
「でも、トマスは水槽を作ってくれたんでしょ?ボク、早く持ってきてほしいな。お願い、メリア。」
メリアに駆け寄ってメリアのスカートの裾を掴んで小首を傾げ、可愛らしく見えるように上目遣いに頼んでみる。
メリアはボクの顔を見て、
「!?、ま、まあ良いでしょう。トマスに持ってこさせましょう。」
と言って目を逸らした。
顔を逸らしてはいるが、耳まで真っ赤である。
おや?ゴマカシと面白半分であざとらしい演技をしてみたが、この『ぶりっ子』作戦は結構効果があるのかもしれないぞ?
やったね!と、マルカを見ると口元を手で隠し、同じく真っ赤になった顔でプルプルしている。
なんだ?マルカ、お前にも効いたのか?
「すぐに持ってきてくれるの?」
「いえ、手紙で来た依頼は1日以上空けて返すのが作法です。トマスが来るのは早くても3日後ですね。」
「えー、もっと早くなんないのー。」
ボクがブーブーと頬を膨らませて抗議したが、
「作法です。」
と、さすがに折れてはくれなかった。
何度か『ぶりっ子』作戦を実行してみたが、途中からメリアとマルカの二人が喜んでいる感じがあったので、逆効果だったかもしれない。
『ぶりっ子』作戦は使い時が難しいかもしれないなぁ。
ちなみに、スライムの甕に入れたスープは翌日にはキレイさっぱり消えており、底にも沈殿物さえ無かった。
スライムの見た目は全く変わっていなかったが、何故だろう?心なしか満足げな様に見える。
日向ぼっこさせてもらえる上、エサが毎日投入される飼育甕。
自由とか退屈とか意識しなければ居心地良い場所ななかもしれない。
だけど、捕まえてから甕の中を掃除したことは無いのに、甕の中にはゴミとか全く無い。
コイツ、ウンチとかしないのだろうか?
つくづく変な生き物だなぁ。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
女神様の使い、5歳からやってます
めのめむし
ファンタジー
小桜美羽は5歳の幼女。辛い境遇の中でも、最愛の母親と妹と共に明るく生きていたが、ある日母を事故で失い、父親に放置されてしまう。絶望の淵で餓死寸前だった美羽は、異世界の女神レスフィーナに救われる。
「あなたには私の世界で生きる力を身につけやすくするから、それを使って楽しく生きなさい。それで……私のお友達になってちょうだい」
女神から神気の力を授かった美羽は、女神と同じ色の桜色の髪と瞳を手に入れ、魔法生物のきんちゃんと共に新たな世界での冒険に旅立つ。しかし、転移先で男性が襲われているのを目の当たりにし、街がゴブリンの集団に襲われていることに気づく。「大人の男……怖い」と呟きながらも、ゴブリンと戦うか、逃げるか——。いきなり厳しい世界に送られた美羽の運命はいかに?
優しさと試練が待ち受ける、幼い少女の異世界ファンタジー、開幕!
基本、ほのぼの系ですので進行は遅いですが、着実に進んでいきます。
戦闘描写ばかり望む方はご注意ください。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

元チート大賢者の転生幼女物語
こずえ
ファンタジー
(※不定期更新なので、毎回忘れた頃に更新すると思います。)
とある孤児院で私は暮らしていた。
ある日、いつものように孤児院の畑に水を撒き、孤児院の中で掃除をしていた。
そして、そんないつも通りの日々を過ごすはずだった私は目が覚めると前世の記憶を思い出していた。
「あれ?私って…」
そんな前世で最強だった小さな少女の気ままな冒険のお話である。

闇属性転移者の冒険録
三日月新
ファンタジー
異世界に召喚された影山武(タケル)は、素敵な冒険が始まる予感がしていた。ところが、闇属性だからと草原へ強制転移されてしまう。
頼れる者がいない異世界で、タケルは元冒険者に助けられる。生き方と戦い方を教わると、ついに彼の冒険がスタートした。
強力な魔物や敵国と死闘を繰り広げながら、タケルはSランク冒険者を目指していく。
※週に三話ほど投稿していきます。
(再確認や編集作業で一旦投稿を中断することもあります)
※一話3,000字〜4,000字となっています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる