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33.干し草?

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さて、長居するとサムとターナーさんが寛げないしそろそろ帰るかな。

「さあ、帰ろうか。」

そう思ってメリア達のいる小屋の方へ歩きだすと、どこからともなく少し甘いような匂いがした。
なんだろう?果物かな?

「コレ、なんのにおい?」

ボクがスンスンとにおいを嗅ぐと、マルカ、テレサ、サム、ターナーの四人がそれぞれスンスンと匂いを嗅ぎ出した。
大の大人四人がそれぞれ別々の方向に向かって鼻を鳴らす様子はちょっと滑稽で思わず吹き出してしまったが、四人は大真面目だ。

「たしかに、変わった匂いがしますね。」

「何かにおいやすか?」

「なにか果実のようなにおい?」

ああ、そうか。
時々デザートに出てくるメロンみたいな果物に似た匂いなんだ。
でも、こっちの方がちょっとスーッとした爽やかさがあるな。

「ほら、ちょっとスースーしたような匂いがしてるよ?」

ボクの言葉に思い当たることがあったのか、
「ああ、もしかして。」
と言って、ターナーが庭先に干してあった葉っぱを持ってきた。

「これじゃあ、無いですか?」

「頂戴いたします。」
自然な感じに葉っぱをボクに渡そうと差し出してくれたが、いつの間に回り込んだのか、ボクより先にテレサがサッと受け取った。

ビックリした!
相変わらずテレサはいつの間に移動しているのか、すぐ横にいるな。

テレサは見た目、手触り、匂い、ちょっと舐めて味を確かめると、それをボクに差し出した。

「どうぞ。」

「うん。」
それは見た目は普通の雑草、だけど、においは甘い匂いにスーッとした匂いが合わさったような香りがする。

「あむ。」
端っこをかじってみる。

「んな!?ご主人様?!」

マルカが慌てているけど、テレサは平然としている。
サムは固まっていただけだけど、一番驚いていたのターナーで、スゴいビックリした顔をしていた。

先にテレサが確認してあるし、大丈夫でしょ。
かじった葉っぱはスーッとした香りと甘い匂いがするだけで、味はほとんどしない。

「それはヨシュと言って、薬になる草でさあ。生のままでも良いんですが、乾燥させたものをお湯で戻して塗れば手荒れなんかに良く効くんでさ。」
固まっているターナーの横でサムが解説してくれる。

「あんまりおいしくないね。」

おいしくないと言うか、微かな甘味だけでほぼ味がない。
食べ物というより香草って感じかな。
でも、お茶に入れれば良い香りになるかも。

「お茶に入れるから、少しちょうだい。」

ボクの言葉を聞いてサムがマルカを見る。
ボクが言ってるんだから怒られたりしないよ?

「リーベは後程。受け取りに来なさい。」

うん?リーベってなんだろう?
なんか前世でも聞いたことがあるな。
確か水平リーベボクの船だったかな?
船ということは、海とか水に関することか?

「リーベってナニ?」
ボクの言葉にマルカの動きが止まる。

「え?ええっとですね。リーベというのはですね。なんといえばよろしいでしょうか……。テレサならばなんと説明いたしますか?」
説明しづらいモノなのかな?

「私なら……、ご褒美でしょうか?いただければうれしくなります。」

ご褒美?お菓子とか頭を撫でてくれたりとか?

「交換に渡す良いモノってことで良いんじゃねえですかい?あっしらもそれで食べ物と交換できやすし。」
テレサのよくわからない説明を見かねたのか、横からサムが助け舟を出してくれた。

食べ物と交換ってことは、もしかしてお金のような対価ということかな?

「葉っぱとリーベを交換するの?」

「へい、まあ言ってみればそういうこってす。」

代償、対価、どうやらお金のことらしい。
当然といえば当然ながら、この世界にもお金はあるらしい。

「ボク持ってないよ?大丈夫?足りる?」

おそらく財産はたくさんあるんだろうけど、お金はどのくらいあるんだろう?

「ご心配なく、全く問題ございません。お心安らかにお過ごし下さい。」

「じゃあ、よろしくお願いするね。」

ムゥ、どのくらいお金があるのかは教えてくれないか。
まあ、家臣って言ってもメイド4人とローラントさんだけっぽいし、大したことないのかな?
そんな事を考えながら、馬車へと向かうのだった。
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