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13.格子模様と黒塗りのマル
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羽根ペンの使い心地を考えながら線を書いていると、紙の上には縦線と横線が何本も書かれておりそれが交差して格子模様になっていた。
「む?これは……それならこういうのを書いて切り取れば。あっ、折れた。」
描かれた格子模様を見て良いことを思いついて、格子模様になっている部分の外に丸を書こうとしたのだが、羽根ペンというのは横線が書き難いだけではなく、丸はもっと書きにくかった。
「どうぞ。」
「うん?」
ボクが折れた羽根ペンを見つめてムウと唸ると、マルカが新しい羽根ペンを横から差し出してくる。
ホントにどこから出してくるんだろう?
マルカの服装は地味めのドレスで上半身には隠せそうな場所は無さそうだし、スカートにポケットとか付いているのだろうか?
とても謎だけど、結構どうでも良いことのような気もする。
「ペンはもういいや。それよりも『ハサミ』……切るものは有る?」
「なにをなさいますか?」
「紙を丸い円形に切って……。」
って『マル』って今世語ではなんて言うんだっけ?
「こういう形に切るんだ。そして片方だけインクを塗るんだ。」
「『カァタホーダァケインクウォヌゥンダ』とはなんでしょうか?」
マルカが真面目な顔で聞いてくる。
うあ、言い方、言葉がわからなくて前世語が混じっちゃってる。
自分でもどこからどこまで混じっちゃったのかわからない。
「コレ、切るの。」
ボクは慌てて紙の端っこの方に2センチくらいの大きさの丸い円の形、マルを描いてその円の内側をインクで黒く塗りつぶす。
そして同じようなマルを連続で描いていく。
羽根ペンは非常に描き難い上、インクもドバドバと着けているので次のマルを描くまでにインクが乾かずボクの手も汚れたが、そんなのはお構いなしである。
「あああ、お手が汚れます。」
メリアがハンカチのような布で拭いてくようとするが、ボクはそれを手で制してマルをたくさん描いていく。
「コレ、切るの。」
ボクが黒く塗りつぶしたマルを指差して言うと、
「コレを……ですか?切ってどうするのですか?」
とメリアに聞かれたが、う~ん、どの様に説明したものか?
今のボクの語彙力では説明が難しい。
「遊ぶ。だから、コレ、切って?」
ボクがもう一度そう言うと、
「コレを切り取ればよろしいですか?」
とテレサが糸切りバサミのようなU字型の鋏を手に茶色い厚紙に描かれたマルを指差す。
「うん、コレ、このマルのところを切って欲しいんだ。」
「ムァル?ああ、この黒いところですね?どれを切りますか?」
うん?どれって、全部なんだけどな。
いや、なんならもっといっぱい必要なんだけど。
「コレとコレとコレとコレと……。」
「そ、そんなにたくさんですか?」
「もっと。」
「え?もっと?……もっとって、どのくらいですか?」
う~ん、数の数え方がわからないな。
とりあえず、ボクはさっき書いた格子模様のマスになっている部分のマスの数を数える。
線は5本ずつ書いてあってマスの数は縦横4個ずつ有ったが、もう少しマスの数が欲しいので線をもう2本線を追加して格子のマスが6掛ける6、合計36マスになるように整える。
これで必要な丸の数は36個。
黒く塗ったマルの数を数え、36個に足りない分の丸をせっせと描いていく。
線を引いて格子模様になった紙の端っこにマルを描いていたのだが、途中でマルを書く場所がなくなってしまった。
マルカに頼んで別の紙を持って来てもらい、追加でマルを描いて黒く塗っていく。
横目でチラッとテレサを見ると、テレサは無表情ながらも面倒くさそうな様子でボクが書いた黒塗りのマル印をハサミで切り出していた。
テレサはあまり細かい作業は得意じゃないみたいだ。
ごめんね。面倒なことを頼んで。
しばらくみんな黙って作業を進めていき、やっとのことで全てのマルを切り出したのだった。
「む?これは……それならこういうのを書いて切り取れば。あっ、折れた。」
描かれた格子模様を見て良いことを思いついて、格子模様になっている部分の外に丸を書こうとしたのだが、羽根ペンというのは横線が書き難いだけではなく、丸はもっと書きにくかった。
「どうぞ。」
「うん?」
ボクが折れた羽根ペンを見つめてムウと唸ると、マルカが新しい羽根ペンを横から差し出してくる。
ホントにどこから出してくるんだろう?
マルカの服装は地味めのドレスで上半身には隠せそうな場所は無さそうだし、スカートにポケットとか付いているのだろうか?
とても謎だけど、結構どうでも良いことのような気もする。
「ペンはもういいや。それよりも『ハサミ』……切るものは有る?」
「なにをなさいますか?」
「紙を丸い円形に切って……。」
って『マル』って今世語ではなんて言うんだっけ?
「こういう形に切るんだ。そして片方だけインクを塗るんだ。」
「『カァタホーダァケインクウォヌゥンダ』とはなんでしょうか?」
マルカが真面目な顔で聞いてくる。
うあ、言い方、言葉がわからなくて前世語が混じっちゃってる。
自分でもどこからどこまで混じっちゃったのかわからない。
「コレ、切るの。」
ボクは慌てて紙の端っこの方に2センチくらいの大きさの丸い円の形、マルを描いてその円の内側をインクで黒く塗りつぶす。
そして同じようなマルを連続で描いていく。
羽根ペンは非常に描き難い上、インクもドバドバと着けているので次のマルを描くまでにインクが乾かずボクの手も汚れたが、そんなのはお構いなしである。
「あああ、お手が汚れます。」
メリアがハンカチのような布で拭いてくようとするが、ボクはそれを手で制してマルをたくさん描いていく。
「コレ、切るの。」
ボクが黒く塗りつぶしたマルを指差して言うと、
「コレを……ですか?切ってどうするのですか?」
とメリアに聞かれたが、う~ん、どの様に説明したものか?
今のボクの語彙力では説明が難しい。
「遊ぶ。だから、コレ、切って?」
ボクがもう一度そう言うと、
「コレを切り取ればよろしいですか?」
とテレサが糸切りバサミのようなU字型の鋏を手に茶色い厚紙に描かれたマルを指差す。
「うん、コレ、このマルのところを切って欲しいんだ。」
「ムァル?ああ、この黒いところですね?どれを切りますか?」
うん?どれって、全部なんだけどな。
いや、なんならもっといっぱい必要なんだけど。
「コレとコレとコレとコレと……。」
「そ、そんなにたくさんですか?」
「もっと。」
「え?もっと?……もっとって、どのくらいですか?」
う~ん、数の数え方がわからないな。
とりあえず、ボクはさっき書いた格子模様のマスになっている部分のマスの数を数える。
線は5本ずつ書いてあってマスの数は縦横4個ずつ有ったが、もう少しマスの数が欲しいので線をもう2本線を追加して格子のマスが6掛ける6、合計36マスになるように整える。
これで必要な丸の数は36個。
黒く塗ったマルの数を数え、36個に足りない分の丸をせっせと描いていく。
線を引いて格子模様になった紙の端っこにマルを描いていたのだが、途中でマルを書く場所がなくなってしまった。
マルカに頼んで別の紙を持って来てもらい、追加でマルを描いて黒く塗っていく。
横目でチラッとテレサを見ると、テレサは無表情ながらも面倒くさそうな様子でボクが書いた黒塗りのマル印をハサミで切り出していた。
テレサはあまり細かい作業は得意じゃないみたいだ。
ごめんね。面倒なことを頼んで。
しばらくみんな黙って作業を進めていき、やっとのことで全てのマルを切り出したのだった。
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