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5.ボクという存在
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ボクがボクという自覚を覚えてから三日が経った。
今のボクの状況はいったいどういう状況なんだろう?
ここでのボクの生活は、朝食を食べて夕方までメリアに甘えたりかまってもらったりしてダラダラと過ごして、夜寝て、翌朝起きて朝食を食べてメリアに甘えてというニートもビックリのダメ人間生活である。
とりあえず、なにか調べようとか学ぼうとかしようにも、先ず言葉が通じない。
身振り手振りを駆使すればなんとなくメリアには伝わっているようだが、メリアの言っていることはさっぱりわからない。
前世の異世界モノだったら言葉なんて簡単に通じてたのに……。
いや、正確には、言っていることの意味はなんとなくわかる。
だけど、言葉はさっぱりわからない。
未だにメリアのしゃべっている言葉のどれが名詞なのか動詞なのかすらわからない。
同音異句とか有るのか、違う単語なのに同じ意味の様に感じる単語が複数種類あったりする。
子供なんだからもっとやさしく言葉を教えてよとか思ったりするが、メリアたちはボクに言葉を教えようとして話しているわけではない。
そもそも5歳くらいになっても母国語の聞き取りさえできていない自分の能力の方が問題なんだろう。
それに、これまで3日間過ごしているがボクはまだ自分の親らしき大人に出会っていない。
記憶を辿ってみても、親と接した記憶をほぼ見つけることができなかった。
母親に関しては、良く見えなかったけれど心地よい感じの良い匂いがするきれいな女性がおっぱいをくれていたような記憶が朧気ながらある。
だが、父親、お父さんに関しては全く分からない。
男の人の顔を何人か覚えているのでそのうちの誰かだろうか?
おそらく部屋の様子やボクの今の生活から考えても裕福な親であることは間違いないだろう。
思い出せる記憶のほとんどには別の女性が居て、その後からはずっとメリアがいて、メリアは頭を撫でてくれたり膝の上で寝かしつけてくれたり、ボクを甘やかしてくれていた。
そりゃあ、これだけ甘やかしてくれれば大好きにもなるってもんだね。
でも、覚醒したボクとしてはメリアに甘やかされて『おバカ』になるつもりはない。
前世のことは全然思い出せないけど、なんとなく『ひとかどの人物にならなければいけない』という気がする。
少なくとも、これまでみたいにボクがボクとして自覚が無かったときはともかく、今のボクのように自覚が芽生えた後では、単純に甘やかされているばかりではいられない。
十代前半くらいの少女に、
「よくできました。」
と、褒められて嬉しくてハシャぐ様な状況は、ボクのプライドが許さない。
などと、今日一日お漏らしをしなかったことを褒められ、褒められている嬉しさにハシャぎたくて仕方がなくなっている自分と戦いながら考えてみる。
身体は子供でも頭脳は大人なんだから落ち着こうと努力をしてはいるのだ。
だが、ダメだ、褒められて嬉しくてメリアに抱き着きたくなってしまう。
この三日間で分かったのは、ボクはボクという意識が目覚めるまでの間赤ん坊のような状態だったらしい。
立ち上がって歩くようになっても、言葉がしゃべれず話ができない。
放っておかれても気にせず一人でボーっとしている。
そして、オシッコなどを自分でできない。
そういう状況だったみたいだ。
みたいだというか、記憶にもある。
認めたくないだけだ。
この三日間はちゃんとオシッコする前に言えるようになったし、オネショもしていない。
それだけでもメリアやメイドたちには嬉しいことらしく。
言葉はわからないけどみんなスゴイスゴイと褒めてくれている、……多分。
そんなに褒められることなんだろうか?
ボクぐらいの年ならできていてもおかしくないんじゃなかろうか?
でも、そもそもボクは今何歳なんだろう?
自分の手を眺めてみるが、そもそも手の大きさで年齢が分かるはずもない。
メリアと比べて……とか思ったが、前世の記憶基準で見てメリアの年齢は10代前半くらいだと思うのだが、そんなメリアの身体がとても大きく見える。
いや、メリアが巨大な訳じゃないだろうからボクの身体が小さいのだろう。
つまり十代前半の女子であるメリアよりもずっと身体が小さくて、言葉が話せなくてもオネショしててもおかしくない年齢。
2~3歳くらい?
いやいや、足腰しっかり立ってられるし、さすがに2~3歳って事は無いだろう。
だから4~5歳くらいだろうか?
大した差じゃないかな?
いや、子供の1~2歳って大きいのかな?
よくわからないな。
前世の転生者たちはどうだったんだっけ?
……ダメだ。
前世の記憶を検索してみたけどみんな『あれから〇〇年』とかって一気に時間が過ぎちゃってる。
これじゃあ、ヒントにならない。
……あれ?もしかして今のボクの状況って……『あれから〇〇年』の『〇〇年』って期間なんじゃないのか?
語られていなかったけど、言語インストールされなかった転生者の人達ってこういう状況を乗り越えて大成していったのでは?
だとするとボクも言葉が分からないこの状況を自力で乗り越えていかないといけない。
これは俄然やる気が出てきたぞ。
ようし、明日から言語習得に向けて頑張っていくぞ!
と、メイドが持ってきてくれたオマル椅子に座りながら心に誓うのだった。
今のボクの状況はいったいどういう状況なんだろう?
ここでのボクの生活は、朝食を食べて夕方までメリアに甘えたりかまってもらったりしてダラダラと過ごして、夜寝て、翌朝起きて朝食を食べてメリアに甘えてというニートもビックリのダメ人間生活である。
とりあえず、なにか調べようとか学ぼうとかしようにも、先ず言葉が通じない。
身振り手振りを駆使すればなんとなくメリアには伝わっているようだが、メリアの言っていることはさっぱりわからない。
前世の異世界モノだったら言葉なんて簡単に通じてたのに……。
いや、正確には、言っていることの意味はなんとなくわかる。
だけど、言葉はさっぱりわからない。
未だにメリアのしゃべっている言葉のどれが名詞なのか動詞なのかすらわからない。
同音異句とか有るのか、違う単語なのに同じ意味の様に感じる単語が複数種類あったりする。
子供なんだからもっとやさしく言葉を教えてよとか思ったりするが、メリアたちはボクに言葉を教えようとして話しているわけではない。
そもそも5歳くらいになっても母国語の聞き取りさえできていない自分の能力の方が問題なんだろう。
それに、これまで3日間過ごしているがボクはまだ自分の親らしき大人に出会っていない。
記憶を辿ってみても、親と接した記憶をほぼ見つけることができなかった。
母親に関しては、良く見えなかったけれど心地よい感じの良い匂いがするきれいな女性がおっぱいをくれていたような記憶が朧気ながらある。
だが、父親、お父さんに関しては全く分からない。
男の人の顔を何人か覚えているのでそのうちの誰かだろうか?
おそらく部屋の様子やボクの今の生活から考えても裕福な親であることは間違いないだろう。
思い出せる記憶のほとんどには別の女性が居て、その後からはずっとメリアがいて、メリアは頭を撫でてくれたり膝の上で寝かしつけてくれたり、ボクを甘やかしてくれていた。
そりゃあ、これだけ甘やかしてくれれば大好きにもなるってもんだね。
でも、覚醒したボクとしてはメリアに甘やかされて『おバカ』になるつもりはない。
前世のことは全然思い出せないけど、なんとなく『ひとかどの人物にならなければいけない』という気がする。
少なくとも、これまでみたいにボクがボクとして自覚が無かったときはともかく、今のボクのように自覚が芽生えた後では、単純に甘やかされているばかりではいられない。
十代前半くらいの少女に、
「よくできました。」
と、褒められて嬉しくてハシャぐ様な状況は、ボクのプライドが許さない。
などと、今日一日お漏らしをしなかったことを褒められ、褒められている嬉しさにハシャぎたくて仕方がなくなっている自分と戦いながら考えてみる。
身体は子供でも頭脳は大人なんだから落ち着こうと努力をしてはいるのだ。
だが、ダメだ、褒められて嬉しくてメリアに抱き着きたくなってしまう。
この三日間で分かったのは、ボクはボクという意識が目覚めるまでの間赤ん坊のような状態だったらしい。
立ち上がって歩くようになっても、言葉がしゃべれず話ができない。
放っておかれても気にせず一人でボーっとしている。
そして、オシッコなどを自分でできない。
そういう状況だったみたいだ。
みたいだというか、記憶にもある。
認めたくないだけだ。
この三日間はちゃんとオシッコする前に言えるようになったし、オネショもしていない。
それだけでもメリアやメイドたちには嬉しいことらしく。
言葉はわからないけどみんなスゴイスゴイと褒めてくれている、……多分。
そんなに褒められることなんだろうか?
ボクぐらいの年ならできていてもおかしくないんじゃなかろうか?
でも、そもそもボクは今何歳なんだろう?
自分の手を眺めてみるが、そもそも手の大きさで年齢が分かるはずもない。
メリアと比べて……とか思ったが、前世の記憶基準で見てメリアの年齢は10代前半くらいだと思うのだが、そんなメリアの身体がとても大きく見える。
いや、メリアが巨大な訳じゃないだろうからボクの身体が小さいのだろう。
つまり十代前半の女子であるメリアよりもずっと身体が小さくて、言葉が話せなくてもオネショしててもおかしくない年齢。
2~3歳くらい?
いやいや、足腰しっかり立ってられるし、さすがに2~3歳って事は無いだろう。
だから4~5歳くらいだろうか?
大した差じゃないかな?
いや、子供の1~2歳って大きいのかな?
よくわからないな。
前世の転生者たちはどうだったんだっけ?
……ダメだ。
前世の記憶を検索してみたけどみんな『あれから〇〇年』とかって一気に時間が過ぎちゃってる。
これじゃあ、ヒントにならない。
……あれ?もしかして今のボクの状況って……『あれから〇〇年』の『〇〇年』って期間なんじゃないのか?
語られていなかったけど、言語インストールされなかった転生者の人達ってこういう状況を乗り越えて大成していったのでは?
だとするとボクも言葉が分からないこの状況を自力で乗り越えていかないといけない。
これは俄然やる気が出てきたぞ。
ようし、明日から言語習得に向けて頑張っていくぞ!
と、メイドが持ってきてくれたオマル椅子に座りながら心に誓うのだった。
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