17 / 77
ラムハリ王国
しおりを挟む
ようやくたどり着いたラムハリ王国は、砂漠が大部分を占める国だった。
昨晩はラムハリ王国の領土内で寝泊りしていたわけだ。
都はもっと大きなオアシスを中心に形成されている。
ロマーリア王国より気温が高く、人々もエネルギッシュだ。
王宮内は壁や床が水晶で作られている。
「お待ちしておりました、オーケルマン殿」
出迎えたのは、オーケルマンに似た小太りのオッサン。
「久しぶりですなあ、ロレンソ公爵。何でも新王は御年71歳だとか。いやはや、いつまでも現役でいたいものですなあ」
オーケルマンとロレンソは知り合いのようだ。
ロレンソは俺とハンスには全く興味を示さない。
召使いだと思ってるのか?
「ワシは今からラムハリ王に拝謁してくる。お前たちは……」
「私どもが用意したお部屋がございます」
「ああ、いつも寛大なご配慮、頭が下がります」
2人は楽しそうにつまらない会話をしている。
これも外交には必要なことなんだ。
俺たちは使用人に連れられて、それぞれ別の部屋に通された。
俺の部屋はロマーリア王国に引けを取らない豪華さだ。
これほどの水晶をどこで集めたんだろう。
蒸し暑さを忘れさせてくれる涼やかな内装だ。
「失礼します。衣装をお持ちしました」
使用人から嬉しいサプライズ!
俺の荷物にも衣装は入っていたけれど、正直、この国では暑くてかなわない。
それにロマーリア王国の男性の正装は、格式張っていて息苦しいこともある。
まあ、街中をネグリジェで歩くよりはマシなんだけど。
旅先くらいは、開放的な服装をしたいものだね!
だが、俺は思わず使用人に確かめてしまった。
「本当に、これを着るんですか?」
戸惑った顔の使用人。
「は、はい……。ロレンソ公爵から指示された通りでございます……。お好きな物をお選びください」
使用人が持ってきたのは、赤やピンク、紫など色鮮やかなヒラヒラした布。
しかもよく見ると、ブラジャーみたいな胸当てがある。
これって女物じゃないか!!
俺は街で見た、メンズ白ゆるコーデがしたかったんだ!!
ヘソを出してる場合じゃない。
開放的っていうのは、そういうことじゃないんだよぉ。
好きな物を選べと言われても、本当に俺に与えられた選択肢はこれなのか……?
でも彼女に文句を言っても、困らせるだけだ。
使用人が客人を怒らせたと、問題になるかもしれない。
俺は仕方なく水色を選び、着てみた。
これならちょっとはボーイッシュに。
ってこんなセクシーな格好じゃ女性にしか見えない!!
しばらく悶々とする俺のところに、また使用人が訪れた。
食事のサービス付きだったようだ。
衣装にはガッカリしたが、食べ物はアタリだ!
豚の丸焼きやハーブで香り付けした鳥の手羽焼き、よく分からない野菜をカリカリに焼いたもの――。
ラムハリ王国の料理はなかなかにワイルドだ!
10人分くらいある料理に、俺は舌鼓を打った。
食べ切れない量でもてなすのは、ラムハリ王国流のマナーなのか?
着替えていなかったら、すぐにお腹が苦しくなっていたところだ。
お腹が丸出しの衣装だったのは、不幸中の幸いだな!
俺は食べてすぐに寝たら牛になるという教えに逆らい、ベッドに大の字になった。
旅の疲れが癒される~。
ハンスは今、何やってるんだろ。
俺みたいに満腹になって、腹をぽっこりさせてんのかな。
想像しただけで笑える。
最初はすげぇかっこいいと思って、でもちょっと怖い嫌なヤツで、だけど本当は……。
満たされた俺は、いつの間にか眠ってしまった。
昨晩はラムハリ王国の領土内で寝泊りしていたわけだ。
都はもっと大きなオアシスを中心に形成されている。
ロマーリア王国より気温が高く、人々もエネルギッシュだ。
王宮内は壁や床が水晶で作られている。
「お待ちしておりました、オーケルマン殿」
出迎えたのは、オーケルマンに似た小太りのオッサン。
「久しぶりですなあ、ロレンソ公爵。何でも新王は御年71歳だとか。いやはや、いつまでも現役でいたいものですなあ」
オーケルマンとロレンソは知り合いのようだ。
ロレンソは俺とハンスには全く興味を示さない。
召使いだと思ってるのか?
「ワシは今からラムハリ王に拝謁してくる。お前たちは……」
「私どもが用意したお部屋がございます」
「ああ、いつも寛大なご配慮、頭が下がります」
2人は楽しそうにつまらない会話をしている。
これも外交には必要なことなんだ。
俺たちは使用人に連れられて、それぞれ別の部屋に通された。
俺の部屋はロマーリア王国に引けを取らない豪華さだ。
これほどの水晶をどこで集めたんだろう。
蒸し暑さを忘れさせてくれる涼やかな内装だ。
「失礼します。衣装をお持ちしました」
使用人から嬉しいサプライズ!
俺の荷物にも衣装は入っていたけれど、正直、この国では暑くてかなわない。
それにロマーリア王国の男性の正装は、格式張っていて息苦しいこともある。
まあ、街中をネグリジェで歩くよりはマシなんだけど。
旅先くらいは、開放的な服装をしたいものだね!
だが、俺は思わず使用人に確かめてしまった。
「本当に、これを着るんですか?」
戸惑った顔の使用人。
「は、はい……。ロレンソ公爵から指示された通りでございます……。お好きな物をお選びください」
使用人が持ってきたのは、赤やピンク、紫など色鮮やかなヒラヒラした布。
しかもよく見ると、ブラジャーみたいな胸当てがある。
これって女物じゃないか!!
俺は街で見た、メンズ白ゆるコーデがしたかったんだ!!
ヘソを出してる場合じゃない。
開放的っていうのは、そういうことじゃないんだよぉ。
好きな物を選べと言われても、本当に俺に与えられた選択肢はこれなのか……?
でも彼女に文句を言っても、困らせるだけだ。
使用人が客人を怒らせたと、問題になるかもしれない。
俺は仕方なく水色を選び、着てみた。
これならちょっとはボーイッシュに。
ってこんなセクシーな格好じゃ女性にしか見えない!!
しばらく悶々とする俺のところに、また使用人が訪れた。
食事のサービス付きだったようだ。
衣装にはガッカリしたが、食べ物はアタリだ!
豚の丸焼きやハーブで香り付けした鳥の手羽焼き、よく分からない野菜をカリカリに焼いたもの――。
ラムハリ王国の料理はなかなかにワイルドだ!
10人分くらいある料理に、俺は舌鼓を打った。
食べ切れない量でもてなすのは、ラムハリ王国流のマナーなのか?
着替えていなかったら、すぐにお腹が苦しくなっていたところだ。
お腹が丸出しの衣装だったのは、不幸中の幸いだな!
俺は食べてすぐに寝たら牛になるという教えに逆らい、ベッドに大の字になった。
旅の疲れが癒される~。
ハンスは今、何やってるんだろ。
俺みたいに満腹になって、腹をぽっこりさせてんのかな。
想像しただけで笑える。
最初はすげぇかっこいいと思って、でもちょっと怖い嫌なヤツで、だけど本当は……。
満たされた俺は、いつの間にか眠ってしまった。
1
お気に入りに追加
81
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
俺は勇者のお友だち
むぎごはん
BL
俺は王都の隅にある宿屋でバイトをして暮らしている。たまに訪ねてきてくれる騎士のイゼルさんに会えることが、唯一の心の支えとなっている。
2年前、突然この世界に転移してきてしまった主人公が、頑張って生きていくお話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
令息だった男娼は、かつての使用人にその身を買われる
すいかちゃん
BL
裕福な家庭で育った近衛育也は、父親が失踪した為に男娼として働く事になる。人形のように男に抱かれる日々を送る育也。そんな時、かつて使用人だった二階堂秋臣が現れ、破格の金額で育也を買うと言いだす。
かつての使用人であり、初恋の人でもあった秋臣を拒絶する育也。立場を利用して、その身体を好きにする秋臣。
2人はすれ違った心のまま、ただ身体を重ねる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
美しき父親の誘惑に、今宵も息子は抗えない
すいかちゃん
BL
大学生の数馬には、人には言えない秘密があった。それは、実の父親から身体の関係を強いられている事だ。次第に心まで父親に取り込まれそうになった数馬は、彼女を作り父親との関係にピリオドを打とうとする。だが、父の誘惑は止まる事はなかった。
実の親子による禁断の関係です。
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
幸せの温度
本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。
まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。
俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。
陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。
俺にあんまり触らないで。
俺の気持ちに気付かないで。
……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。
俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。
家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。
そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる