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謁見の間②

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 王宮会議は初めて王宮に入った時、玉座があったあの場所で行われるようだ。

 正式には「謁見の間」というらしい。


「これはこれは、宰相。そちらはマヤ様でございますね」

 モノクルを付けたインテリ風爺さんが会釈した。

「マヤは上玉なんだよ。このままではワシの精を全部吸い取られてしまう!!」


 オーケルマンは権力に反比例するように品性がない。

 いきなりぶっこまれた下ネタにモノクル爺さんは困って、愛想笑いしかできないでいる。


「マヤ、こちらは内務大臣のノシュテットだ」

 俺も会釈を返した。

 
 この数日、オーケルマンは俺を至る場所に連れ回して、様々な重臣に会わせた。

 それは新しい妾を見せつけるためだ。

 どうやらこの世界では、俺のような平凡な顔がとても美形に見えているらしい。

 男色家に限らず、男たちは俺の美しさに魅了される。

 ……自分で分析するのは、恥ずかしいこと極まりないが。


 最初は俺も緊張して、元気良く愛想良く挨拶をした。

 しかしオーケルマンは激怒した。

「他の男に色目を使いおって」

 というのが理由。


 お仕置きという名のSMプレイで事なきを得たが、許されなければ俺はお払い箱になっていただろう。

 だから俺はオーケルマンの前で他の人間とは極力口を聞かないことにしている。




「宰相、ビジ公国との貿易の件はご存知でしたかな……」

 ノシュテットはオーケルマンを俺と遠ざけて、内密に話をした。


 俺が盗み聞きでもするっていうのか?

 ただの妾を警戒するってことは、過去にそういう事件があったのか?

 フフフ……、オーケルマン!

 次に仕掛けるのはこの俺だ!

 度肝抜かれて死んでも良いように、精々今を楽しめ、色ボケ野郎!!


 俺はタフだけじゃない。

 狡猾さだって備えてるんでね!!



 王宮会議は国に関わる重要人物たちが勢揃いだ。

 俺はオーケルマンの斜め後ろに座らされた。

 それにしても玉座が近い。


 オーケルマンは王様の右腕ってところか。

 赤い絨毯を挟んで向かい側には、ノシュテットが座っている。

 内務大臣ってのもなかなかの権力者なんだな。


 大方席が用意されているのが重臣で、玉座から離れるにつれて地位は低くなっているのだろう。

 奥の方で立っているのは、下級文官や近衛兵か。


「王様のおな~り~」

 王様専属の侍従の声で、皆が一斉に立ち上がった。

 王座に向かう王様を凝視した。


 なんとまぁヨボヨボのお爺ちゃんだこと。

 立派な衣服に着られている感満載で、足取りもたどたどしい。

 王冠はちゃんと固定しているのか?

 あんなブカブカじゃあ、よろめいただけで落ちるだろ。


 視線をキョロキョロ動かして気付いた。

 大臣たちは目を伏せて、王様をガン見しているのは俺だけだ。


 ヤバイ!

 不敬罪で死刑か!?

 斬り捨て御免なのぉ!?
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