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真珠
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「ティサは年末年始も営業するんですね」
「そうだ。年の瀬だろうと、よほどの理由がない限りウチは客を受け入れる」
茉美はハッとした顔で、真也に年末年始の休暇をちらつかせた。
「アタシは気が利かなかったねぇ。真也は用事があるんじゃないのか? アタシ1人で店を開いてもいいんだぞ?」
真也はキョトンとしてから、笑顔になった。
「いえ! 僕は年末年始も休みませんよ! 茉美さんは命の恩人ですから!!」
祓いを受け救われた人々を送り出すのが楽しい今日この頃。
人々が慌ただしく行き交うこんな時にも、客は訪れる。
「小川珠理です。これを見てください」
小川珠理は高級ブランドバッグから、たくさんの真珠をテーブルに散乱させた。
その豪華さに驚く真也に対し、茉美の表情は変わらない。
予想外の反応に小川珠理は、茉美の顔色を伺いながら話し始めた。
「これは私の口から出たものです。
1ヶ月前、私は口から真珠を吐き出しま――」
そこで小川珠理の口からポロっと一粒の真珠が落ちた。
「あっ、こんな風にです。
大小さまざま、色は全部白です。
喉を通った感覚がないので、口の中で作られていると思います。
私は病気を疑って検査を受けました。
結果はどこも異常なし。
最初は今ほど頻繁に起こらなかったので、お医者さんに実演して見せることができませんでした。
ネットで調べても、こんな症状を抱える人はいません。
きっと病気ではないんです。
私はこの通り元気ですし。
原因を突き止められないまま、あることに気付きました。
それは出てくるタイミングです。
ピノキオは嘘を吐くと鼻が伸びますよね?
そんな感じで、私にもきっかけがあるんです。
それは甘い物を口にすることです。
必ずではありませんが、高確率で5分以内に真珠を出すことができます。
さっきはタルトを食べたでしょう?
とても甘くて美味しかったので、実際に真珠が出るところをお見せすることができたんです。
訳も分からず出てくる真珠……。
売ることも捨てることもはばかられました。
こちらに持ってきたのは、ほんの一部なんです。
毎日真珠とにらめっこするだけだったある日、道端でおじさんに声をかけられました」
「そうだ。年の瀬だろうと、よほどの理由がない限りウチは客を受け入れる」
茉美はハッとした顔で、真也に年末年始の休暇をちらつかせた。
「アタシは気が利かなかったねぇ。真也は用事があるんじゃないのか? アタシ1人で店を開いてもいいんだぞ?」
真也はキョトンとしてから、笑顔になった。
「いえ! 僕は年末年始も休みませんよ! 茉美さんは命の恩人ですから!!」
祓いを受け救われた人々を送り出すのが楽しい今日この頃。
人々が慌ただしく行き交うこんな時にも、客は訪れる。
「小川珠理です。これを見てください」
小川珠理は高級ブランドバッグから、たくさんの真珠をテーブルに散乱させた。
その豪華さに驚く真也に対し、茉美の表情は変わらない。
予想外の反応に小川珠理は、茉美の顔色を伺いながら話し始めた。
「これは私の口から出たものです。
1ヶ月前、私は口から真珠を吐き出しま――」
そこで小川珠理の口からポロっと一粒の真珠が落ちた。
「あっ、こんな風にです。
大小さまざま、色は全部白です。
喉を通った感覚がないので、口の中で作られていると思います。
私は病気を疑って検査を受けました。
結果はどこも異常なし。
最初は今ほど頻繁に起こらなかったので、お医者さんに実演して見せることができませんでした。
ネットで調べても、こんな症状を抱える人はいません。
きっと病気ではないんです。
私はこの通り元気ですし。
原因を突き止められないまま、あることに気付きました。
それは出てくるタイミングです。
ピノキオは嘘を吐くと鼻が伸びますよね?
そんな感じで、私にもきっかけがあるんです。
それは甘い物を口にすることです。
必ずではありませんが、高確率で5分以内に真珠を出すことができます。
さっきはタルトを食べたでしょう?
とても甘くて美味しかったので、実際に真珠が出るところをお見せすることができたんです。
訳も分からず出てくる真珠……。
売ることも捨てることもはばかられました。
こちらに持ってきたのは、ほんの一部なんです。
毎日真珠とにらめっこするだけだったある日、道端でおじさんに声をかけられました」
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