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雨が降っている②
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雨はますます激しくなり、雷まで鳴り始めた。
「死んでしまえば自傷行為する必要なんてありませんから。
僕は言ったんです。
『僕が殺してあげるよ』
って。
最初は呆気に取られた顔の彼女も
『そーゆープレイならいいよ』
って言ったものですから、僕はそれを無視して計画を実行したんですよ。
まずガムテープで彼女の口を塞ぎ、手錠で手足の自由を奪いました。
ジタバタともがく彼女を置いて、ホームセンターで角材を購入しまして。
角材を何に使うかと言ったら、そりゃあ彼女を磔にするためです。
戦国時代なんかでは普通だったらしいじゃないですか。
彼女の部屋は高さが不十分だったんで、寝かせるしかなかったのですがね。
そこから1日放置しました。
あぁ心配しないでください。
糞尿が飛び散るのは良くありませんから、ちゃんと僕がオムツを処理しましたよ。
僕は綺麗好きなのでね。
彼女はうーうーと唸る元気がなくなったので、次のステップに移りました。
ナイフで後頭部を剥がしましたら、背骨に沿って肛門まで真っ直ぐです。
人間皮1枚で繋がっているのは本当だったんですよ。
でも僕は素人なもんで、上手くやろうとしても所々肉が削げてしまう。
その時は一段と彼女の筋肉が緊張するんですよ。
このままでは最後のステップに行くまでに、彼女が死んでしまうのではないかと不安になりました。
口のガムテープを取ってやると、彼女は大声で泣き叫びました。
『死にたくない!! 助けて!!』
僕は笑いを堪えるのが必死で、すぐに新しいガムテープを口に貼り付けました。
だっておかしいですよね?
自分で手首を切るのと、僕に皮を剥がれるの、どう違うんですか?
最後のステップに移ろうと隣の部屋に行って帰ってきたら、彼女は死んでいました。
舌を噛み切ったんですよ。
ガムテープから血が溢れていました。
貼りが甘かったんでしょうねぇ。
僕は昔からおっちょこちょいですから。
先ほど申し上げたように、僕は綺麗好きなので、いくら他人の部屋だからとはいえ、死体を放置するのは気が引けるわけです。
鉄臭さが充満しては、近所迷惑になりますしね。
フフッ。
今、彼女の体は、彼女が好きだった海と一緒になっていますよ。
何でこんな雨の日に思い出すかって?
時期は梅雨でしてね、ずうっと雨が降ってたんです。
彼女の唸る声も泣き叫ぶ声も海に投げた音も、全部雨がザーザーとかき消してくれたんですよ。
ここでお祓いしてくれると聞いたもんですから、今こうやって話したわけです。
ねぇ止めてくれますよね、雨」
壺は善人も悪人も等しく救うことを証明した。
さっきまでの土砂降りが嘘のように、小降りになりやがて止んだ。
店の扉のわずかな隙間から、太陽の光が差し込む。
高田をニタリと笑って、立ち上がった。
「ありがとうございます。フフフ、安心してくださいよ。今の話は全部作り話ですからね」
そう言い残して店を出たが、それを信じる者はいない。
壺からはいつものように
「ゴチソウサマ、ゴチソウサマ」
と聞こえる。
真也は苦々しい顔で
「このコップは処分しますね」
と言ったが、
「やめろ。物に罪はない」
と茉美に咎められた。
そして茉美は重苦しい雰囲気の中でボソリと言った。
「嫌な縁を結んでしまったな……」
「死んでしまえば自傷行為する必要なんてありませんから。
僕は言ったんです。
『僕が殺してあげるよ』
って。
最初は呆気に取られた顔の彼女も
『そーゆープレイならいいよ』
って言ったものですから、僕はそれを無視して計画を実行したんですよ。
まずガムテープで彼女の口を塞ぎ、手錠で手足の自由を奪いました。
ジタバタともがく彼女を置いて、ホームセンターで角材を購入しまして。
角材を何に使うかと言ったら、そりゃあ彼女を磔にするためです。
戦国時代なんかでは普通だったらしいじゃないですか。
彼女の部屋は高さが不十分だったんで、寝かせるしかなかったのですがね。
そこから1日放置しました。
あぁ心配しないでください。
糞尿が飛び散るのは良くありませんから、ちゃんと僕がオムツを処理しましたよ。
僕は綺麗好きなのでね。
彼女はうーうーと唸る元気がなくなったので、次のステップに移りました。
ナイフで後頭部を剥がしましたら、背骨に沿って肛門まで真っ直ぐです。
人間皮1枚で繋がっているのは本当だったんですよ。
でも僕は素人なもんで、上手くやろうとしても所々肉が削げてしまう。
その時は一段と彼女の筋肉が緊張するんですよ。
このままでは最後のステップに行くまでに、彼女が死んでしまうのではないかと不安になりました。
口のガムテープを取ってやると、彼女は大声で泣き叫びました。
『死にたくない!! 助けて!!』
僕は笑いを堪えるのが必死で、すぐに新しいガムテープを口に貼り付けました。
だっておかしいですよね?
自分で手首を切るのと、僕に皮を剥がれるの、どう違うんですか?
最後のステップに移ろうと隣の部屋に行って帰ってきたら、彼女は死んでいました。
舌を噛み切ったんですよ。
ガムテープから血が溢れていました。
貼りが甘かったんでしょうねぇ。
僕は昔からおっちょこちょいですから。
先ほど申し上げたように、僕は綺麗好きなので、いくら他人の部屋だからとはいえ、死体を放置するのは気が引けるわけです。
鉄臭さが充満しては、近所迷惑になりますしね。
フフッ。
今、彼女の体は、彼女が好きだった海と一緒になっていますよ。
何でこんな雨の日に思い出すかって?
時期は梅雨でしてね、ずうっと雨が降ってたんです。
彼女の唸る声も泣き叫ぶ声も海に投げた音も、全部雨がザーザーとかき消してくれたんですよ。
ここでお祓いしてくれると聞いたもんですから、今こうやって話したわけです。
ねぇ止めてくれますよね、雨」
壺は善人も悪人も等しく救うことを証明した。
さっきまでの土砂降りが嘘のように、小降りになりやがて止んだ。
店の扉のわずかな隙間から、太陽の光が差し込む。
高田をニタリと笑って、立ち上がった。
「ありがとうございます。フフフ、安心してくださいよ。今の話は全部作り話ですからね」
そう言い残して店を出たが、それを信じる者はいない。
壺からはいつものように
「ゴチソウサマ、ゴチソウサマ」
と聞こえる。
真也は苦々しい顔で
「このコップは処分しますね」
と言ったが、
「やめろ。物に罪はない」
と茉美に咎められた。
そして茉美は重苦しい雰囲気の中でボソリと言った。
「嫌な縁を結んでしまったな……」
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