上 下
26 / 34

26.バズり。HOLLYWOOD STAR IN KOENJI

しおりを挟む
26.

数日後。
「アレクさん、無理矢理歌わせたのは謝るから~、機嫌なおして」
アレクの顔にイチゴを持っていき機嫌を取ろうとするリエ。
「いやだっ」
居酒屋で倒れてから拗ねてるアレク。
 リエとアレクが部屋でイチャイチャしているとドアのチャイムが連打される。 
「僕が行きます。沖田か?」
 アレクがドアを開けると
「あっ」
若山と健吉が慌て部屋になだれ込んできた。
「リエちゃ~ん」
リビングに小走りする若山。
「アレク君どうも!歌子さんについて来てって言われてね」
「ハハッ」

「突然慌ててどうしたんですか?」
若山がリビングにいるリエにiPADを見せる。
「リエちゃんリエちゃん、とにかくこれ見て」
 リエが見てみると、画面には数日前のリエのライブとリエとアレクの「Tonight」が映っている。
誰かが無許可でSNSにアップしたモノだ。ライブがネットにアップされるのは嬉しい事だが、改めて自分で自分のライブを見るのは恥ずかしいと感じたリエだった。
「誰かがライブをアップしてくれたんですね」
「そう、それはいいけど再生回数見てみなさいよ。両方とも1000万回越え再生よ!」
「えっ」
 若山の言う通り、画面の下側には1017万回再生と表示している。
 そしてコメント欄には
「素晴らしい歌でした。プロになってからの姿をドームで聴きたいです」「聞き入って泣いてしまいました」「まだ見ぬ強豪が登場かっ!」と多数書き込まれ、
果ては英語圏等からも「OMG!OMG!U GREAT SINGER!」と書かれていた。
 アレクも画面を見て「リエさん、凄いことになってますね」
「ええ、ライブだけでなく色んな人が聞いてくれて私嬉しいです」
 リエのライブ映像で盛り上がってるところ、リエの携帯に着信がある。
H@RUKAからのビデオ通話だ、リエはスピーカーモードにする。
「あっ、H@RUKA先生。私のライブ動画がヒット1000万回再生してるって話してたんですよ。今、私の家に健吉さんと若山さんが来てるんですよ」
「アレクもいまーす」
自分で名前を言うアレク。
「みんな揃ってるわね、ドーモー。SNSで盛り上がってる頃だと思ってたわ。ところでリエさん、あなたのステージをプロデュースした縁から私のところに連絡があって、複数のレコード会社からあなたと契約したいって打診が来てるの」
「ウワッ」
リエの部屋の一同が同時に驚く。
「キャー、レコード会社の契約ですか?」
「そうよ、SOMY、ザイベックス、EMJ、ワグナー、TOYSCOMPANYとメジャーどころや少数精鋭どころから来てるわ」
「どうしよ、どうしよ」
焦るリエ。
「リエちゃん、落ち着こ。お茶飲んで」
リエにお茶を飲ませる若山。
「慌てるなって言っても無理ね。後日、打診してくれてるところと面接して考えてみて」
「はい」
「H@RUKA、ボクモデンワ二デマス」
H@RUKAのビデオ通話画面に、カタコト日本語で裸のレオナルド・クルーズが入ってきた。リトル・レオナルドが一瞬画面を横切る。
「あっ」
驚く健吉とアレク
「レオッ、だめ!じゃあ切るね」
ビデオ通話が切れる。
「健吉さん、ハリウッドスターをよく高円寺で見かけるってそういう事だったんですね」
「スーパースターが仕事以外で異国に長期間住むって恋愛絡みでしょう」
苦笑するアレクと健吉。
 リエと若山はハリウッド俳優とH@RUKAの恋愛なんかどうでもよく、放心している。
リエの肩に手を添えるアレク
「リエさん、おめでとう。レコード会社の段階まで行きましたね」
「ありがとうございます。全てアレクさんのおかげです」
「いーえー、僕はお膳立てしただけで、リエさんが努力して素晴らしい歌を歌ったからお客さんに響いたんですよ」
「はい」
「僕の方も落ち着いたので、これで安心して国へ帰れます。お母さんの件は弁護士と菱菱商事に任せてるので、リエさんも安心して下さい」
「リエちゃん、アレクくんとこれから離ればなれになるけど大丈夫なの?」
「いいえ、ワタシもアレクさんも互いにヤル事が沢山あって忙しいので、一つも寂しくありません」
「そうなのよかったわね、リエちゃん。う~」
泣き出す若山にハンカチを渡す健吉。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

コンプレックス

悠生ゆう
恋愛
創作百合。 新入社員・野崎満月23歳の指導担当となった先輩は、無口で不愛想な矢沢陽20歳だった。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。 だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。 車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。 あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。

【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました

藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。 次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。

処理中です...