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アツモリ、地上の女神に出会う
第43話 一つだけお聞きしてもよろしいでしょうか?
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セレナ王女はニコニコ顔のまま敦盛を見て話してるけど、敦盛も女神様のようなセレナ王女から褒められて「嬉しくない」と言ったら嘘になるから、内心はウハウハなのだが、そんな表情を見せたら逆に失礼かと思って、背筋をピン!と伸ばしてキリッ!とした表情でセレナ王女の方を向いた。
「王女殿下から直接お褒めのお言葉を頂き、俺は感動しています」
「アツモリ様、肩の力を抜いて下さい。これは私的な朝食会なのですから自宅にいる時のようにリラックスして頂いて構いませんよ」
「そ、そうなんですか?」
「遠慮しないで下さい。わたくしの方が逆に困惑しております」
セレナ王女はあくまで自然体で敦盛に話してるから、敦盛も肩の力を抜いて、出来るだけ自然体で話そうと決めた。
「・・・あのシエナ様に試合で勝ったという話が王宮に届いた時、最初はわたくしも『何かの間違いでは?』と本気で思ってましたけど、ギルドのレクサス支部長と直接お話をする機会があったので、支部長から『本当です』と聞かされた時には、柄にもなく『嘘でしょー!』とか言ってしまって、レクサス支部長から笑われましたよ」
「あらまあ」
「しかも、シエナ様自慢の魔剣を真っ二つにしたとお聞きしました。永久不滅とまで言われる魂で作られた魔剣を真っ二つにするなど、そんな事が出来たのは神々の騒乱の時代にいたという伝説の英雄ローレルだけです。アツモリ様は伝説の英雄ローレルの再来ですね」
「俺は普通の人間ですよ。伝説の英雄と同じにされると、逆に困っちゃいます」
「マイヤーの街やそれ以外の事でもアツモリ様の活躍ぶりは、わたくしの耳にも届いております。そのようなお方が我が国にいるという事は、大変心強く思っております」
「ありがとうございます」
「今日はその活躍に対し、我が王家を代表して感謝の意を込めて朝食に御招待いたしました。遠慮しないで食べて下さい」
「そうさせてもらいます」
セレナ王女は最後までニコニコ顔だったから、敦盛も完全に肩の力を抜いている。女神様が自分の隣にいて一緒に朝食を食べてるのに、ご飯が食べたいとか味噌汁が欲しいなどと言ってたら、本物の神様が怒ると思って朝食を楽しもうと決めた。さすがにガツガツと食べるのは失礼だと思って、出来うる限り上品に食べたつもりだったけど、本当に上品に食べていたかどうかまでは分からない。
「・・・そういえば、アクシオ伯爵がアツモリ様を褒めておりましたよ」
「伯爵がですか?」
「そうです。先日、アクシオ伯爵がわたくしを訪ねてきたので、お茶を飲みながらではありますが世間話を幾つかしてくれました。アクシオ伯爵の剣の腕は王国騎士団の隊長クラスに匹敵するという評判ですが、そのアクシオ伯爵と試合をして勝っただけでなく、即興で『至高の構え』の第2段を使われてぐうの音も出なかったと」
「あれはホントに偶然ですよ。我が阿佐家に伝わる剣術に似たような技があったから、それを応用しただけです」
「ですが、それを咄嗟に使えるというのは凄い事だと思いますよ。アクシオ伯爵も、シエナ様に勝ったというのは伊達ではないと褒めちぎってましたからね」
「そう言われると本心から嬉しく思います」
和やかな雰囲気のまま朝食も終わり、今はテーブルの上の朝食も片付けられて、代わりにクッキーが並べられている。相変わらずではあるが侍女たちは世話役に徹しているし、セレナ王女も優雅に紅茶を飲みながら、完全に寛いでいる。
だが、そのセレナ王女からニコニコ顔が消えた!
敦盛もそれに気付いたから『ここからが本当に話したい事だ!」とピンと来た。だが、出来るだけ表情に出す事はせず、あくまでノンビリとクッキーを摘まんでいた。
そのセレナ王女は手に持っていたティーカップをテーブルに置くと、真っ直ぐに敦盛を見た。
「・・・アツモリ様、この国を見てどう思われますか?」
「・・・この国の何についてでしょうか?」
「どんな事でも構いません。民の事、王室の事、それに・・・わたくしについての事でも構いません。お話を咎める気は一切ございませんのでお聞かせください」
敦盛は『エミーナが言いたかった事はこれだったのか』と思い出してエミーナの方をチラッと見たけど、そのエミーナは手に持っていたティーカップをテーブルに戻すと『コクリ』と頷いた。
「・・・セレナ様、一つだけお聞きしてもよろしいでしょうか?」
エミーナが重々しく口を開いたから、セレナ王女はニコッとして敦盛からエミーナに視線を移したが、そのエミーナはニコリともしない。
「・・・構いません、わたくしに聞きたい事があると仰るのなら、国家機密に相当する事でなければお答えします」
「ではセレナ様、単刀直入にお伺いいたしますが、アツモリを朝食に招待した本当の理由は、ご自身が大陸東方でどのように言われているのかをアツモリから聞き出したかったからではないでしょうか?」
「 !!!!! 」
「王女殿下から直接お褒めのお言葉を頂き、俺は感動しています」
「アツモリ様、肩の力を抜いて下さい。これは私的な朝食会なのですから自宅にいる時のようにリラックスして頂いて構いませんよ」
「そ、そうなんですか?」
「遠慮しないで下さい。わたくしの方が逆に困惑しております」
セレナ王女はあくまで自然体で敦盛に話してるから、敦盛も肩の力を抜いて、出来るだけ自然体で話そうと決めた。
「・・・あのシエナ様に試合で勝ったという話が王宮に届いた時、最初はわたくしも『何かの間違いでは?』と本気で思ってましたけど、ギルドのレクサス支部長と直接お話をする機会があったので、支部長から『本当です』と聞かされた時には、柄にもなく『嘘でしょー!』とか言ってしまって、レクサス支部長から笑われましたよ」
「あらまあ」
「しかも、シエナ様自慢の魔剣を真っ二つにしたとお聞きしました。永久不滅とまで言われる魂で作られた魔剣を真っ二つにするなど、そんな事が出来たのは神々の騒乱の時代にいたという伝説の英雄ローレルだけです。アツモリ様は伝説の英雄ローレルの再来ですね」
「俺は普通の人間ですよ。伝説の英雄と同じにされると、逆に困っちゃいます」
「マイヤーの街やそれ以外の事でもアツモリ様の活躍ぶりは、わたくしの耳にも届いております。そのようなお方が我が国にいるという事は、大変心強く思っております」
「ありがとうございます」
「今日はその活躍に対し、我が王家を代表して感謝の意を込めて朝食に御招待いたしました。遠慮しないで食べて下さい」
「そうさせてもらいます」
セレナ王女は最後までニコニコ顔だったから、敦盛も完全に肩の力を抜いている。女神様が自分の隣にいて一緒に朝食を食べてるのに、ご飯が食べたいとか味噌汁が欲しいなどと言ってたら、本物の神様が怒ると思って朝食を楽しもうと決めた。さすがにガツガツと食べるのは失礼だと思って、出来うる限り上品に食べたつもりだったけど、本当に上品に食べていたかどうかまでは分からない。
「・・・そういえば、アクシオ伯爵がアツモリ様を褒めておりましたよ」
「伯爵がですか?」
「そうです。先日、アクシオ伯爵がわたくしを訪ねてきたので、お茶を飲みながらではありますが世間話を幾つかしてくれました。アクシオ伯爵の剣の腕は王国騎士団の隊長クラスに匹敵するという評判ですが、そのアクシオ伯爵と試合をして勝っただけでなく、即興で『至高の構え』の第2段を使われてぐうの音も出なかったと」
「あれはホントに偶然ですよ。我が阿佐家に伝わる剣術に似たような技があったから、それを応用しただけです」
「ですが、それを咄嗟に使えるというのは凄い事だと思いますよ。アクシオ伯爵も、シエナ様に勝ったというのは伊達ではないと褒めちぎってましたからね」
「そう言われると本心から嬉しく思います」
和やかな雰囲気のまま朝食も終わり、今はテーブルの上の朝食も片付けられて、代わりにクッキーが並べられている。相変わらずではあるが侍女たちは世話役に徹しているし、セレナ王女も優雅に紅茶を飲みながら、完全に寛いでいる。
だが、そのセレナ王女からニコニコ顔が消えた!
敦盛もそれに気付いたから『ここからが本当に話したい事だ!」とピンと来た。だが、出来るだけ表情に出す事はせず、あくまでノンビリとクッキーを摘まんでいた。
そのセレナ王女は手に持っていたティーカップをテーブルに置くと、真っ直ぐに敦盛を見た。
「・・・アツモリ様、この国を見てどう思われますか?」
「・・・この国の何についてでしょうか?」
「どんな事でも構いません。民の事、王室の事、それに・・・わたくしについての事でも構いません。お話を咎める気は一切ございませんのでお聞かせください」
敦盛は『エミーナが言いたかった事はこれだったのか』と思い出してエミーナの方をチラッと見たけど、そのエミーナは手に持っていたティーカップをテーブルに戻すと『コクリ』と頷いた。
「・・・セレナ様、一つだけお聞きしてもよろしいでしょうか?」
エミーナが重々しく口を開いたから、セレナ王女はニコッとして敦盛からエミーナに視線を移したが、そのエミーナはニコリともしない。
「・・・構いません、わたくしに聞きたい事があると仰るのなら、国家機密に相当する事でなければお答えします」
「ではセレナ様、単刀直入にお伺いいたしますが、アツモリを朝食に招待した本当の理由は、ご自身が大陸東方でどのように言われているのかをアツモリから聞き出したかったからではないでしょうか?」
「 !!!!! 」
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