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第41話 神様の本来の目的
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ウィルは仕方なく【今すぐ会いたい】を消した、神様と闇の女王は安堵の表情を浮かべた。しかし、次の瞬間ウィルは2人の安堵を絶望に叩き落す。
スキル名 【すぐに会いたい】
スキルLV 1(MAX)
効果 他者からすぐにでも会いたい人の住んでいる所と名前を聞き出すか、自分自身で呼びたい人を思い描けばドラムロールと共に目の前に現れるカーテンの向こう側に居てくれる。
備考 相手の許可を得ずに強制的に呼び出すので、後でフォローが必要
「スキル名だけ変えて中身は一緒です!人の話ちゃんと聞いてた、ねえ!?」
神様のこめかみに青筋が見える、ちょっと怒らせすぎたかもしれない。ウィルは【すぐに会いたい】を消して別のスキルを作る・・・。
スキル名 【今すぐ来いよ】
スキルLV 1(MAX)
効果 他者から今すぐ呼び付けたい人の住んでいる所と名前を聞き出すか、自分自身で呼び付けたい人を思い描けばドラムロールと共に目の前に現れるカーテンの向こう側に居てくれる。
備考 相手の許可を得ずに強制的に呼び出すので、後でフォローが必要
スパーン!! 今度はリーンに頭をハリセンで叩かれた。
「ウィル、同じ手を3回すると流石の私もいい加減怒るわよ?」
「もう嫌!!」
突然、闇の女王が叫んだ。
「こんな非常識な奴にわざわざ倒される為にあと1年近く待つなんて酷過ぎるわ!神様、こいつに今すぐ私にトドメを刺す様に言って下さい」
なんだなんだ、神様と闇の女王って繋がっていたのか?
「待ってくれ、それでは約束が違う。君の願いを叶えてあげるのだから、他の人の願いを叶えるのに協力する手筈だったじゃないか!?」
「神様、俺達全員に分かり易く説明して貰えないか?」
神様と闇の女王はウィル達に囲まれて、狼狽している。神様は諦めてまず闇の女王の願いから説明してくれた。
「事の発端はもう大分昔の事だ、この世界に突如人工的なダンジョンが1つ作られた。これまで神が試練の場として用意した物では無くこちらの世界の住人が己の手で初めて作り上げた物だったから私は他の神と話し合い壊さずにそのまま残す事にした、それがイスタブのダンジョンで作り上げた魔族が管理を放棄したので仕方なくダンジョンボスのサイクロプスを我々の作り上げたダンジョンボス達とリンクさせ自我の崩壊とダンジョンの暴走を防いだ」
その魔族が闇の女王だと言うのは、先日レーメルから聞いている。
「その後、今度はその魔族は己をダンジョンボスにしてダンジョンを作り不死の身体になると闇の女王と名乗り始める」
それが願いとどう関係するんだ?
「それから何年過ぎてからだろうか・・・この闇の女王は神に願う様になった。『死にたい』と」
「なら、神様がダンジョンを完全に破壊すればその願いはすぐに叶えられたのでは?」
「そう簡単に事は進まないんだ」
神様は話を続ける。
「神が作り上げたダンジョンであったのならば、君の言う通り完全に破壊する事は可能だ。しかし、人の作り上げた物を破壊する事は神の力でも無理なんだ。同じ人の手で破壊するしか無い」
「・・・」
「そこで私は闇の女王の前に姿を現して、1つの約束をした。『君の願いを叶えてくれる存在を見つけ出そう、だから君にもその存在の願いを叶える為に協力して欲しい』と」
それが俺とどう関係するのだろうか?
「約束をしてから更に何十年か過ぎた。その間に闇の女王はあっさり倒されない様ステータスを上げる為に、他のダンジョンに修行に出かけ私は彼女の願いを叶えてくれる人材を他者の願いを叶えながら探した。そしてようやく見つけ出したのがウィル、君だったんだ」
「でも、神様は母ちゃんの願いを聞き入れたって言ってなかったっけ?」
「お前の願いが思ったよりも弱すぎたんだ、死んだ父親の様な冒険者程度になりたいという願いの為だけにスキルメーカーを与える事は到底出来ない」
「それで母ちゃんの願いも聞き入れたって訳か?」
「正しくは2人で1人分の願いだな、名の有る冒険者になりたい夢と死に急ぐ事の無い力を与えてやって欲しい願い。2人の夢と願いを現実にさせる方法としてスキルメーカーを与えた」
神様の言いたい事は何となく分かった、だがサチは何故闇の女王を先に倒すと立場が無くなってしまうんだ?
「スキルメーカーが与えられた理由に付いては何となく分かった、けどサチは今回の件と関わり合いが有るのか?」
「それが有るんだよ、私にも予想外の展開だったのだがサチは本来苗床として生涯を終えサチの家族も全員死ぬ筈だった」
「何だって!?」
「だが、何故か君はサチを偶然助けてしまいその結果家族も救われた。それだけじゃない、1人を助けた結果更に多くの者の運命を君は変えてしまった」
神様はまずリーンの顔を見ながら重大な事実を話し出す。
「リーン、君も本来であれば競売で売れ残りその後王の密偵の手によって命を落としていた。そして母親も王に捕まり同じ日に処刑され死ぬ筈だったんだ」
「!?」
「だが、君はサチと偶然再会したウィルがシェルナーグで余計な時間を潰したお陰で奇跡的に競売の最中にウィルが中を覗き見初められた。更に母親もサチがシェルナーグに来た際にニナ主教の目に留まりアルストリアに向かった事で命を救われる」
「待ってくれ!ならば、俺は本来どんな道を歩む筈だったんだ?」
「まずルトの村に着いた君は村の中の1件の家が囲まれ焼かれているのを目撃する、そして焼け跡から焼死体を見つけ事件の概要を聞き出すと祈祷師の悪事を暴き村人からの信用を得ていた」
この時点でサチも含め4人の命が失われていたのか・・・。
「シェルナーグでの出来事は時期などにずれは有ったが、サチとの再会以外は予定通りに進んでいた。レーメルとの出会いも最初は想定の範囲内だった」
「もしかして、レーメルの姉妹は拾われたのでは無く攫ったのか!?」
「2人は元々赤子の内に捨てられ赤ん坊のまま死んでいる筈だったんだが、闇の女王に育てさせ願いを叶える者を見つけた時に役立つ様に駒とさせた」
ウィルは徐々に神に殺意を覚え始めていた、人の生死を軽く語り自分の思い通りに行かなかった事が正しくなかったと判断しているからだ。
「サチと再会しなければ、君は早々にアーレッツに向かい馬車を購入して出発していた。その結果、リーンは命を奪われ母親も死ぬ。君はアルストリアでリーンの母親が処刑された事を知ると娘だけでも助けようとアーレッツに急ぎ引き返すが時既に遅くリーンは殺されており逆上した君がアルストリアを攻め王と王の密偵達共々レーメルとリスティーも殺し国民から愚王を倒した英雄と呼ばれる様になる」
神と闇の女王の所為で何人の命が弄ばれているんだ?もう、いい加減話すのは止めてくれ!
「英雄となった君はレーメルとリスティーを裏で操っていた闇の女王を探し出して倒し、世界を救った者として後世にまでウィルの名が残る事となる。そして闇の女王も願いが叶い死ぬ事が出来たってのが本来歩むべき道だった」
「ふざけるな!」
ウィルは神様を怒鳴りつけていた。
「お前らの勝手な願いの為にどれだけ多くの人が死ぬと思っているんだ。それが多少変わったからって闇の女王、お前を俺が殺せばそれで済んだのだろうが!?」
「確かにそうなんだけどね、君が助けたサチも君同様に非常識な存在だったんだよ」
「サチも俺と同じで非常識だって!?」
「うん、君が偶然サチを助けた事によって我々も予定していた道の通りに進まなくなり修正しなくてはならなくなった。その時丁度サチが君に惹かれて後に続こうとしたから、【未来を掴み取る意思】という願いを叶える為の力と力を得る機会を与え続けるスキルを与えてみたらその後が酷かった」
先程までの神様への殺意は消え、何故かサチの非常識さが自分とどれだけ近いのか知りたくなってきた。
「まずは君がステータスを上げるとそれと連動する様に彼女のステータスも跳ね上がる、その結果シェルナーグでニナの目に留まりアルストリアに到着直前で君がイスタブのダンジョンでLV上げした結果更にサチのステータスも上がり総大主教の後継者になる筈だったニナを上回ってしまう。そして、ここからが1番の問題だ。彼女は君と結ばれ添い遂げる為に教会の古い慣習を破棄させ自由に恋愛や婚姻を結べる様にしたいと願った結果、スキルは総大主教を味方に引き入れ慣習を破棄させる際に出る反対意見を封じる為の口実として闇の女王の命を求めてしまったのだ」
ちょっと頭の中を整理してみよう・・・。
「ええと、つまりサチは俺と一緒に歩く為の力を望んだら俺と結婚する事が出来ない地位まで力を付けてしまった。そして何が何でも結婚したいと願ったら、今度はその為の口実として闇の女王の命が必要になっていると?」
「平たく言うとそんな感じだ」
「だとすると、かなりマズくない?俺、リーンやレーメルと何度も抱き合っているんだよ?」
「サチは既に総大主教の口から3人の乱行の件を聞かされている、その為2人を追い出す意思も固め始めているからスキルが皇太女の地位剥奪という形でリーンをまず退場させてレーメルも何らかの形で消える事になるやもしれぬ」
「いやいや、それは駄目だって!リーンもレーメルも大切な仲間だしこれからも一緒に過ごす家族みたいな存在だ、サチの願いの為に2人を諦める事は出来ない」
「「ウィル・・・」」
リーンとレーメルはウィルの顔を直視出来なかった、今彼と目が合ったら喜びのあまり気を失っているかもしれない。
「そうすると・・・あと1年の間、闇の女王を見逃しつつサチに2人が居なくなって欲しいと思わせない様にしながらサチが加入した後も2人を守る方法を考えておく必要が有るのか」
「今、闇の女王を倒してしまうとサチのスキルが暴走して何が起きるか想像も出来ない。サチと総大主教が自由恋愛と婚姻可の新しい宗派を立ち上げ教会と全面戦争を起こす可能性も有る」
(俺とサチの所為で色んな所に影響が出ていたみたいだ。だけど、これって俺とサチのどちらがより非常識かで今後の未来も変わるって事なのか?)
「なあ、神様。サチのスキルの力を上回るには俺が更に上の非常識な事をしないといけないのか?」
「そうかもしれん」
「そっか・・・なあ、闇の女王。こんな俺達の為に今でも死にたいと思える?」
闇の女王は露骨に嫌そうな顔をした、まあそうなるわな。
「正直、お前らの為に死にとうない。確かに死にたいと願ってはいたが、お前らみたいな非常識人に殺されるのだけは勘弁願いたい」
「それなら、今度は神様ではなく俺と約束してくれ。もし死にたくなったとしても俺とサチが死んでから考えると」
「お前らが死んでから考えろだと?ならばお前らが生きている間、私に何をしていろと言うのだ?」
「俺の妻になれ」
「「「はあっ!?」」」
これには闇の女王だけではなくリーンとレーメルまで反応してしまった。
「ちょ、ちょっとウィル!どういうつもりなの一体!?」
「そうですよ、何で急にお母様と結婚すると言い出すのですか!?」
「闇の女王だけじゃないよ、2人も俺の妻になってくれないか?俺がサチよりも非常識な存在となる為に」
急に3人の女性にプロポーズを始めるウィル、神様は勿論だがジャムド達や簀巻きのエガリア帝王も完全に蚊帳の外に置かれようとしていた。
スキル名 【すぐに会いたい】
スキルLV 1(MAX)
効果 他者からすぐにでも会いたい人の住んでいる所と名前を聞き出すか、自分自身で呼びたい人を思い描けばドラムロールと共に目の前に現れるカーテンの向こう側に居てくれる。
備考 相手の許可を得ずに強制的に呼び出すので、後でフォローが必要
「スキル名だけ変えて中身は一緒です!人の話ちゃんと聞いてた、ねえ!?」
神様のこめかみに青筋が見える、ちょっと怒らせすぎたかもしれない。ウィルは【すぐに会いたい】を消して別のスキルを作る・・・。
スキル名 【今すぐ来いよ】
スキルLV 1(MAX)
効果 他者から今すぐ呼び付けたい人の住んでいる所と名前を聞き出すか、自分自身で呼び付けたい人を思い描けばドラムロールと共に目の前に現れるカーテンの向こう側に居てくれる。
備考 相手の許可を得ずに強制的に呼び出すので、後でフォローが必要
スパーン!! 今度はリーンに頭をハリセンで叩かれた。
「ウィル、同じ手を3回すると流石の私もいい加減怒るわよ?」
「もう嫌!!」
突然、闇の女王が叫んだ。
「こんな非常識な奴にわざわざ倒される為にあと1年近く待つなんて酷過ぎるわ!神様、こいつに今すぐ私にトドメを刺す様に言って下さい」
なんだなんだ、神様と闇の女王って繋がっていたのか?
「待ってくれ、それでは約束が違う。君の願いを叶えてあげるのだから、他の人の願いを叶えるのに協力する手筈だったじゃないか!?」
「神様、俺達全員に分かり易く説明して貰えないか?」
神様と闇の女王はウィル達に囲まれて、狼狽している。神様は諦めてまず闇の女王の願いから説明してくれた。
「事の発端はもう大分昔の事だ、この世界に突如人工的なダンジョンが1つ作られた。これまで神が試練の場として用意した物では無くこちらの世界の住人が己の手で初めて作り上げた物だったから私は他の神と話し合い壊さずにそのまま残す事にした、それがイスタブのダンジョンで作り上げた魔族が管理を放棄したので仕方なくダンジョンボスのサイクロプスを我々の作り上げたダンジョンボス達とリンクさせ自我の崩壊とダンジョンの暴走を防いだ」
その魔族が闇の女王だと言うのは、先日レーメルから聞いている。
「その後、今度はその魔族は己をダンジョンボスにしてダンジョンを作り不死の身体になると闇の女王と名乗り始める」
それが願いとどう関係するんだ?
「それから何年過ぎてからだろうか・・・この闇の女王は神に願う様になった。『死にたい』と」
「なら、神様がダンジョンを完全に破壊すればその願いはすぐに叶えられたのでは?」
「そう簡単に事は進まないんだ」
神様は話を続ける。
「神が作り上げたダンジョンであったのならば、君の言う通り完全に破壊する事は可能だ。しかし、人の作り上げた物を破壊する事は神の力でも無理なんだ。同じ人の手で破壊するしか無い」
「・・・」
「そこで私は闇の女王の前に姿を現して、1つの約束をした。『君の願いを叶えてくれる存在を見つけ出そう、だから君にもその存在の願いを叶える為に協力して欲しい』と」
それが俺とどう関係するのだろうか?
「約束をしてから更に何十年か過ぎた。その間に闇の女王はあっさり倒されない様ステータスを上げる為に、他のダンジョンに修行に出かけ私は彼女の願いを叶えてくれる人材を他者の願いを叶えながら探した。そしてようやく見つけ出したのがウィル、君だったんだ」
「でも、神様は母ちゃんの願いを聞き入れたって言ってなかったっけ?」
「お前の願いが思ったよりも弱すぎたんだ、死んだ父親の様な冒険者程度になりたいという願いの為だけにスキルメーカーを与える事は到底出来ない」
「それで母ちゃんの願いも聞き入れたって訳か?」
「正しくは2人で1人分の願いだな、名の有る冒険者になりたい夢と死に急ぐ事の無い力を与えてやって欲しい願い。2人の夢と願いを現実にさせる方法としてスキルメーカーを与えた」
神様の言いたい事は何となく分かった、だがサチは何故闇の女王を先に倒すと立場が無くなってしまうんだ?
「スキルメーカーが与えられた理由に付いては何となく分かった、けどサチは今回の件と関わり合いが有るのか?」
「それが有るんだよ、私にも予想外の展開だったのだがサチは本来苗床として生涯を終えサチの家族も全員死ぬ筈だった」
「何だって!?」
「だが、何故か君はサチを偶然助けてしまいその結果家族も救われた。それだけじゃない、1人を助けた結果更に多くの者の運命を君は変えてしまった」
神様はまずリーンの顔を見ながら重大な事実を話し出す。
「リーン、君も本来であれば競売で売れ残りその後王の密偵の手によって命を落としていた。そして母親も王に捕まり同じ日に処刑され死ぬ筈だったんだ」
「!?」
「だが、君はサチと偶然再会したウィルがシェルナーグで余計な時間を潰したお陰で奇跡的に競売の最中にウィルが中を覗き見初められた。更に母親もサチがシェルナーグに来た際にニナ主教の目に留まりアルストリアに向かった事で命を救われる」
「待ってくれ!ならば、俺は本来どんな道を歩む筈だったんだ?」
「まずルトの村に着いた君は村の中の1件の家が囲まれ焼かれているのを目撃する、そして焼け跡から焼死体を見つけ事件の概要を聞き出すと祈祷師の悪事を暴き村人からの信用を得ていた」
この時点でサチも含め4人の命が失われていたのか・・・。
「シェルナーグでの出来事は時期などにずれは有ったが、サチとの再会以外は予定通りに進んでいた。レーメルとの出会いも最初は想定の範囲内だった」
「もしかして、レーメルの姉妹は拾われたのでは無く攫ったのか!?」
「2人は元々赤子の内に捨てられ赤ん坊のまま死んでいる筈だったんだが、闇の女王に育てさせ願いを叶える者を見つけた時に役立つ様に駒とさせた」
ウィルは徐々に神に殺意を覚え始めていた、人の生死を軽く語り自分の思い通りに行かなかった事が正しくなかったと判断しているからだ。
「サチと再会しなければ、君は早々にアーレッツに向かい馬車を購入して出発していた。その結果、リーンは命を奪われ母親も死ぬ。君はアルストリアでリーンの母親が処刑された事を知ると娘だけでも助けようとアーレッツに急ぎ引き返すが時既に遅くリーンは殺されており逆上した君がアルストリアを攻め王と王の密偵達共々レーメルとリスティーも殺し国民から愚王を倒した英雄と呼ばれる様になる」
神と闇の女王の所為で何人の命が弄ばれているんだ?もう、いい加減話すのは止めてくれ!
「英雄となった君はレーメルとリスティーを裏で操っていた闇の女王を探し出して倒し、世界を救った者として後世にまでウィルの名が残る事となる。そして闇の女王も願いが叶い死ぬ事が出来たってのが本来歩むべき道だった」
「ふざけるな!」
ウィルは神様を怒鳴りつけていた。
「お前らの勝手な願いの為にどれだけ多くの人が死ぬと思っているんだ。それが多少変わったからって闇の女王、お前を俺が殺せばそれで済んだのだろうが!?」
「確かにそうなんだけどね、君が助けたサチも君同様に非常識な存在だったんだよ」
「サチも俺と同じで非常識だって!?」
「うん、君が偶然サチを助けた事によって我々も予定していた道の通りに進まなくなり修正しなくてはならなくなった。その時丁度サチが君に惹かれて後に続こうとしたから、【未来を掴み取る意思】という願いを叶える為の力と力を得る機会を与え続けるスキルを与えてみたらその後が酷かった」
先程までの神様への殺意は消え、何故かサチの非常識さが自分とどれだけ近いのか知りたくなってきた。
「まずは君がステータスを上げるとそれと連動する様に彼女のステータスも跳ね上がる、その結果シェルナーグでニナの目に留まりアルストリアに到着直前で君がイスタブのダンジョンでLV上げした結果更にサチのステータスも上がり総大主教の後継者になる筈だったニナを上回ってしまう。そして、ここからが1番の問題だ。彼女は君と結ばれ添い遂げる為に教会の古い慣習を破棄させ自由に恋愛や婚姻を結べる様にしたいと願った結果、スキルは総大主教を味方に引き入れ慣習を破棄させる際に出る反対意見を封じる為の口実として闇の女王の命を求めてしまったのだ」
ちょっと頭の中を整理してみよう・・・。
「ええと、つまりサチは俺と一緒に歩く為の力を望んだら俺と結婚する事が出来ない地位まで力を付けてしまった。そして何が何でも結婚したいと願ったら、今度はその為の口実として闇の女王の命が必要になっていると?」
「平たく言うとそんな感じだ」
「だとすると、かなりマズくない?俺、リーンやレーメルと何度も抱き合っているんだよ?」
「サチは既に総大主教の口から3人の乱行の件を聞かされている、その為2人を追い出す意思も固め始めているからスキルが皇太女の地位剥奪という形でリーンをまず退場させてレーメルも何らかの形で消える事になるやもしれぬ」
「いやいや、それは駄目だって!リーンもレーメルも大切な仲間だしこれからも一緒に過ごす家族みたいな存在だ、サチの願いの為に2人を諦める事は出来ない」
「「ウィル・・・」」
リーンとレーメルはウィルの顔を直視出来なかった、今彼と目が合ったら喜びのあまり気を失っているかもしれない。
「そうすると・・・あと1年の間、闇の女王を見逃しつつサチに2人が居なくなって欲しいと思わせない様にしながらサチが加入した後も2人を守る方法を考えておく必要が有るのか」
「今、闇の女王を倒してしまうとサチのスキルが暴走して何が起きるか想像も出来ない。サチと総大主教が自由恋愛と婚姻可の新しい宗派を立ち上げ教会と全面戦争を起こす可能性も有る」
(俺とサチの所為で色んな所に影響が出ていたみたいだ。だけど、これって俺とサチのどちらがより非常識かで今後の未来も変わるって事なのか?)
「なあ、神様。サチのスキルの力を上回るには俺が更に上の非常識な事をしないといけないのか?」
「そうかもしれん」
「そっか・・・なあ、闇の女王。こんな俺達の為に今でも死にたいと思える?」
闇の女王は露骨に嫌そうな顔をした、まあそうなるわな。
「正直、お前らの為に死にとうない。確かに死にたいと願ってはいたが、お前らみたいな非常識人に殺されるのだけは勘弁願いたい」
「それなら、今度は神様ではなく俺と約束してくれ。もし死にたくなったとしても俺とサチが死んでから考えると」
「お前らが死んでから考えろだと?ならばお前らが生きている間、私に何をしていろと言うのだ?」
「俺の妻になれ」
「「「はあっ!?」」」
これには闇の女王だけではなくリーンとレーメルまで反応してしまった。
「ちょ、ちょっとウィル!どういうつもりなの一体!?」
「そうですよ、何で急にお母様と結婚すると言い出すのですか!?」
「闇の女王だけじゃないよ、2人も俺の妻になってくれないか?俺がサチよりも非常識な存在となる為に」
急に3人の女性にプロポーズを始めるウィル、神様は勿論だがジャムド達や簀巻きのエガリア帝王も完全に蚊帳の外に置かれようとしていた。
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