スキルメーカー ~運命を変えた非常識なスキル~

いけお

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第36話 闇の女王とは何者か?

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「なあレーメル、知っている限りで構わない。闇の女王についての情報を教えて貰う事は出来ないか?」

タツトの作り上げたダンジョンの中で食事しながら、ウィルはレーメルに尋ねてみた。

「これからどこで君と同じ様に操られている者と出くわすか分からない以上、少しでも知っておきたいんだ」

「お母様についての情報ね・・・」

レーメルは闇の女王の事をいまだにお母様と呼んでいる、命を奪われそうになっても姉妹を拾い育ててくれた事に関してだけは感謝の気持ちが有るようだ。実はレーメルに聞く前にタツトにも同じ質問をしていた、彼女の心情を考えるとすぐに全てを話してくれるのは難しいだろうと思ったからなのだがタツトからの答えは明快で分かり易いものだった。

「神から許された情報は、『普通の方法では直接会う事も倒す事も不可能だろう』との事だ。あと『レーメルに直接聞く事で闇の女王と直接会い倒す為のキッカケを得られるだろう』のもオマケで与えてくれたぞ」

そんな訳でレーメルに直接聞いているのだが、タツトに質問してから実際にレーメルに聞くまで数日が経っていた。普段は物怖じせずにずかずか踏み込んでいくのに何故か今回は中々聞けずにいた。

「闇の女王にはどうやれば会えるのかな?」

「こちらから会おうとしても絶対に無理よ、あちらが許可を出さない限り会う事は出来ない」

「闇の女王とは一体何者なんだい?」

「お母様は・・・そうね、ダンジョンそのものね」

「ダンジョンそのもの?」

レーメルは大きく息を吐くと、静かに語り始める。

「ねえウィル、私がアルストリアで使ったスキル覚えてる?」

「ああ、確か【モンスターポップパニック】だったっけ?」

「そう、それと以前ウィルがタツトから聞いたっていうダンジョンの種類の話で何か気付く事は無い?」

「レーメルが使っていたスキルは魔脈の暴走を使って1体のモンスターの数を大増殖させる奴だったよね?」

「その通りよ」

そこでタツトが驚きのあまり立ち上がった。

「魔脈の暴走だって!?」

「どうしたタツト?」

「おいウィル、俺が前に言った話をよく思い出せ。イスタブのダンジョンはどんな経緯で誕生した?」

「え~っと高位の魔族がサイクロプスをダンジョンボスに設定して作り出したもの・・・ってまさか!?」

ウィルとタツト、それと今まで黙って聞いていたリーンもレーメルの方を向いた。

「そうよ、闇の女王の正体はイスタブのダンジョンを作り出した高位魔族。ただし、彼女の狂気はイスタブだけでは収まらなかった」

「さっきレーメルが言っていたダンジョンそのものってもしかして」

「ご推察の通りよ、あれからお母様は自分自身をダンジョンボスに設定して自らを不死の存在にしてしまった。更にダンジョンを出した状態で他のダンジョンに挑み、そこのモンスターを倒す事で経験値を稼ぐという邪道を使って己を際限無く強化させている。【モンスターポップパニック】は意図的に暴走させて大増殖させたモンスターを倒し経験値とする為の手段の1つでも有ったの」

「そんな事をして、死んだりしないのか!?」

「当然何度か死んだみたいだけど、ダンジョンを出しておく事で時間を置けば復活するわ。そして再度挑戦する、死ぬまでに得た経験値はそのままなのだから挑む度に強くなるなんて反則よね」

それを聞いたウィルは恐怖を感じた、アルストリアでレーメルの前に現れた時に仮に斬れていたとしても無意味だったのだ。直接ダンジョンに入り、その中で倒し尚且つダンジョンを完全に破壊しないとならない。

「でも、お母様は自分の他は入れないルールのダンジョンにしている。だから誰もお母様を倒す事は出来ない、そしてその間にもお母様は貪欲に経験値を稼ぎ強くなっていく」

「でも強くなるといっても、LVには上限が有る筈だろ?実際はそこまで強くないのでは」

「お母様は自分のダンジョン内の特殊ルールでLV99に達するとLV1に戻るルールを組み込んでいるの。だから無制限にLVとステータスが上がり続けていく」

(そんな相手と戦って勝てる見込みなど有る訳が無い!余程非常識なスキルを持つ者が現れない限り、倒す事は不可能だ)

そこまで考えてウィルは1つの結論に達した。

「・・・・・だから神様はこんな非常識なスキルをくれたのか」

「どうかしたの、ウィル?」

リーンが何かに気付いたらしいウィルに問いかける。

「今までに何度もスキルメーカーって非常識なスキルを何故神様が与えてくれたのだろうか?っと考えた事が有ったんだけど、ようやく理由が分かった気がする。神様はきっとこのスキルを使って闇の女王を倒して欲しいんだよ、そして俺達が今よりももっと強くなれる方法も見つかる筈だ」

「普通だと諦めるか絶望する所なのかもしれないのに、逆に倒すとか強くなれると考える事が出来るだけでも十分非常識な存在だと思えるわよウィル」

「スキルメーカーを与えられるまで、スライム1匹倒せなかったからね。それでも必ず倒せると信じて挑んできた、だからきっと闇の女王だって倒す方法が有る筈だ。それをこの俺のスキルで作り出してみせる」

リーンとレーメル、そしてタツトは半ば呆れながらも残り半分はそれが現実になるだろうと確信していた。何故なら3人は既にウィルによってこれまで歩んできた運命を変えられているからだ。

「まあ、いずれにせよ今日明日で闇の女王に挑む真似は流石の主もしないだろう。少しずつ我々のやり方で闇の女王を上回る力を手に入れれば良いのだ」

「そのつもりだよ、タツト。今はリーンと共に周辺の国を回り見聞を広める。そして一時帰国してサチと合流したら本格的に全員の戦力アップを図って闇の女王を探し出して倒そう」

ウィル達は闇の女王を倒すという大きな目標を立てながら、まずリーンの外遊を成功させる為に次の目的地へ向かった。次の目的地はディスタンの更に隣の大国シャイカ。有数の軍事力を誇るこの国はアルストとディスタンに住む勇者と騎士の合計に更に倍する数を保有している。その強大な戦力は人々にとある噂まで流させていた。

『シャイカには勇者や騎士さえも上回る力を持つ者が居る』と・・・。

「今度のシャイカではスムーズに親書を渡せるといいな」

「あそこは強い者を揃えるのに熱心らしいから、主も勧誘されない様に気を付けた方がいい」

「あら、その心配は必要無いわタツト。何故ならウィルは私の傍で仕え守ってくれると言っているのですからね」

「ウィルは私達姉妹の運命を変えると言っているのよ、そんな簡単に私を見捨てる事はしないわよ」

リーンとレーメルはウィルが近くに居るのは当たり前と考える様になっていた、それがサチが加わるまでの仮初めの幸福に過ぎない現実を認めたくない気持ちの現われかもしれない。

また同じ頃、アルストの首都アルストリアのスラムの一角で1人の娘の姿が見られる様になった。ボロボロになった紫色のドレスを着てわずかな金と引き換えに己の身体を売る娘は自らをリスティーと名乗っていた。そして客の1人から皇太女の護衛騎士となって外遊している姉の話を聞いた彼女は徐々にレーメルに対するどす黒い逆恨みの感情と殺意を抱く様になっていった。
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