57 / 58
第57話 初めての異界と異母妹との出会い
しおりを挟む
渦から出たウィル一行は、まずは周囲を見渡す。鬱蒼と茂る森の中へどうやら出てしまった様だ。
「ここが異世界か・・・タツト、魔脈とかは感じとれるかな?」
「生憎と魔脈は感じ取れないが、魔力その物がこの世界を満たしている。ダンジョンも元の世界と同様に自由に出せそうだ」
「それを聞いて安心した、ところで母ちゃん気分とかは大丈夫?母ちゃんはごく普通の人間だから無理をさせていないか心配なんだ」
「大丈夫だよ、この程度で音を上げているようじゃ父ちゃんの首根っこを掴んで連れ帰れないからね!5日しかこの世界に滞在出来ないのだからウィル急いで父ちゃんを見つけるんだよ!!」
怒涛の勢いでウィルを急かすミラ、ウィルの非常識な行動を止めるにはこれ位強引にやらないのいけないのだろうか?サチやリーン達はミラの一挙手一投足を注視して学習する。
ピー、ピー、ピー! 久しぶりに【地域安全安心MAP】のアラート音が鳴り響いた。見ると、20騎ほどの集団がこちらに向かってきていた。
「正体不明の集団が20騎ほど、こちらに真っ直ぐ向かってきている。母ちゃんとフクを抱いているサチを真ん中にして皆でいつでも迎撃出来る様にしよう」
「分かったわ」
「うむ。任せておけ」
「敵のお手並み拝見ですね、タツト背中は任せましたよ」
タツトと龍神のタツミは互いに背中を合わせて前後の敵に備える、ウィル達の見ていない所で2人は武芸の練習を重ねていたようだ。
騎馬の集団はウィル達の目の前まで来ると一斉に止まった、先頭で集団を率いていたのは色白な金髪ショートの美少女だった。ウィルは何故かその少女を吸い寄せられる様に見つめてしまう。
ギューッ!! それを見たサチ達新妻衆は全員でやきもちを焼いてウィルの頬をつねった。
「イタタタタッ!ごめん、見惚れてしまった俺が悪かったです。許してください!」
「まったく、結婚式を挙げた直後にもう他の女に目が行くなんてあんまりですわ」
「でも、何故か分からないけど他人の様に思えないんだよな」
目の前で複数の女性から怒られる男の姿を見て、唖然とする騎馬の少女達であったが気を取り直してウィル達を問い質し始めた。
「先程、この付近で異常な魔力の膨張と空間の歪みが観測されました。あなた達はこの近くで何が起きたのか目撃されていますか?知っているのでしたら正直に答えなさい、嘘を言うと痛い目を見ますよ」
少女が右手を挙げると、後ろで控えていた兵士らしき者達が鞘から剣を抜いて構える。答え次第では1戦交えるつもりみたいだ。
「出来れば戦いたくないから、剣を収めてくれないかな?」
「あら、もう命乞いかしら?」
少女は勝ち誇った顔でウィルを見下した、ウィルはそれに怒る事も無く
「ところで君は他の人のステータスを見る事は出来るの?」
「それ位出来るけど、それがどうかしたのかしら?」
「それじゃあさ、俺達のステータスを1度確認してから俺がさっき言った言葉を思い出してみて」
少女は訝しげな表情でウィル達のステータスを確認してすぐに顔が青ざめる。背後の者達もステータスの確認が出来る様で見た人間からすぐに下馬して平伏していた。
「相手を過小評価すると、いずれ痛い目を見るから言動には気をつけた方が良いよ。分かった?」
「はい・・・分かりました」
少女が心から反省している様なので、ウィルは許す事にした。そしてこの世界に召喚された勇者、つまり自分の父親が今どこに居るのか聞く事にする。
「ところで今この世界に勇者が召喚されている筈なんだけど、俺達はその勇者を追いかけてこの世界まで来てしまったんだ。勇者と魔王って今どこに住んでいるか分かるかな?」
ウィルの言葉を聞いた少女達は一斉に驚いた顔を浮かべた、次いで少女から出た言葉で今度はウィル達が驚かされる。
「それでは・・・皆様はアークブランドから転移して来られたのですか!?では、勇者様・・・いえお父様と面識が有るのですか?」
(えっ!?お父様だって?)
ウィルが一瞬、思考が停止している間にミラが少女に近寄って話しかけた。
「ちょっと待っておくれ!それじゃあ、お前さんは父ちゃん・・・・いや、ホープの娘だと言うのかい!?」
「どうして、お父様の名前をご存知なのですか!?」
「私の名はミラ、ホープの故郷アークブランドで一緒に住んでいた家内だよ。それから、そこで呆然としているのはウィルと言って私とホープの間で生まれた1人息子だ」
「では・・・その方は私にとって」
「ああ、異母兄になるね。それにしても・・・あの男は私達をほったらかしにしておいて異世界で魔王と子供を作っているなんて良いご身分じゃないか!?」
ミラの全身から殺気が漲る、しかしこの殺気の量は尋常では無い。常人の出す物を遥かに逸脱していた、そこでウィルがミラのステータスを確認すると信じられない数値が転がっていた。
「母ちゃん、何でステータスがフクと全く同じなんだよ!?」
「渦に入る前に神様にちょっとお願いしてね、5日間の期間限定で孫のフクと同じステータスにしてもらったのさ。これでようやく可愛い孫を抱けるってもんだね」
フクの顔を頬ずりし始めるミラ。
(この親にしてこの子有りだ)
ミラもやはり非常識な人間なのだと評価を改めさせられたサチ達であった。
「ここが異世界か・・・タツト、魔脈とかは感じとれるかな?」
「生憎と魔脈は感じ取れないが、魔力その物がこの世界を満たしている。ダンジョンも元の世界と同様に自由に出せそうだ」
「それを聞いて安心した、ところで母ちゃん気分とかは大丈夫?母ちゃんはごく普通の人間だから無理をさせていないか心配なんだ」
「大丈夫だよ、この程度で音を上げているようじゃ父ちゃんの首根っこを掴んで連れ帰れないからね!5日しかこの世界に滞在出来ないのだからウィル急いで父ちゃんを見つけるんだよ!!」
怒涛の勢いでウィルを急かすミラ、ウィルの非常識な行動を止めるにはこれ位強引にやらないのいけないのだろうか?サチやリーン達はミラの一挙手一投足を注視して学習する。
ピー、ピー、ピー! 久しぶりに【地域安全安心MAP】のアラート音が鳴り響いた。見ると、20騎ほどの集団がこちらに向かってきていた。
「正体不明の集団が20騎ほど、こちらに真っ直ぐ向かってきている。母ちゃんとフクを抱いているサチを真ん中にして皆でいつでも迎撃出来る様にしよう」
「分かったわ」
「うむ。任せておけ」
「敵のお手並み拝見ですね、タツト背中は任せましたよ」
タツトと龍神のタツミは互いに背中を合わせて前後の敵に備える、ウィル達の見ていない所で2人は武芸の練習を重ねていたようだ。
騎馬の集団はウィル達の目の前まで来ると一斉に止まった、先頭で集団を率いていたのは色白な金髪ショートの美少女だった。ウィルは何故かその少女を吸い寄せられる様に見つめてしまう。
ギューッ!! それを見たサチ達新妻衆は全員でやきもちを焼いてウィルの頬をつねった。
「イタタタタッ!ごめん、見惚れてしまった俺が悪かったです。許してください!」
「まったく、結婚式を挙げた直後にもう他の女に目が行くなんてあんまりですわ」
「でも、何故か分からないけど他人の様に思えないんだよな」
目の前で複数の女性から怒られる男の姿を見て、唖然とする騎馬の少女達であったが気を取り直してウィル達を問い質し始めた。
「先程、この付近で異常な魔力の膨張と空間の歪みが観測されました。あなた達はこの近くで何が起きたのか目撃されていますか?知っているのでしたら正直に答えなさい、嘘を言うと痛い目を見ますよ」
少女が右手を挙げると、後ろで控えていた兵士らしき者達が鞘から剣を抜いて構える。答え次第では1戦交えるつもりみたいだ。
「出来れば戦いたくないから、剣を収めてくれないかな?」
「あら、もう命乞いかしら?」
少女は勝ち誇った顔でウィルを見下した、ウィルはそれに怒る事も無く
「ところで君は他の人のステータスを見る事は出来るの?」
「それ位出来るけど、それがどうかしたのかしら?」
「それじゃあさ、俺達のステータスを1度確認してから俺がさっき言った言葉を思い出してみて」
少女は訝しげな表情でウィル達のステータスを確認してすぐに顔が青ざめる。背後の者達もステータスの確認が出来る様で見た人間からすぐに下馬して平伏していた。
「相手を過小評価すると、いずれ痛い目を見るから言動には気をつけた方が良いよ。分かった?」
「はい・・・分かりました」
少女が心から反省している様なので、ウィルは許す事にした。そしてこの世界に召喚された勇者、つまり自分の父親が今どこに居るのか聞く事にする。
「ところで今この世界に勇者が召喚されている筈なんだけど、俺達はその勇者を追いかけてこの世界まで来てしまったんだ。勇者と魔王って今どこに住んでいるか分かるかな?」
ウィルの言葉を聞いた少女達は一斉に驚いた顔を浮かべた、次いで少女から出た言葉で今度はウィル達が驚かされる。
「それでは・・・皆様はアークブランドから転移して来られたのですか!?では、勇者様・・・いえお父様と面識が有るのですか?」
(えっ!?お父様だって?)
ウィルが一瞬、思考が停止している間にミラが少女に近寄って話しかけた。
「ちょっと待っておくれ!それじゃあ、お前さんは父ちゃん・・・・いや、ホープの娘だと言うのかい!?」
「どうして、お父様の名前をご存知なのですか!?」
「私の名はミラ、ホープの故郷アークブランドで一緒に住んでいた家内だよ。それから、そこで呆然としているのはウィルと言って私とホープの間で生まれた1人息子だ」
「では・・・その方は私にとって」
「ああ、異母兄になるね。それにしても・・・あの男は私達をほったらかしにしておいて異世界で魔王と子供を作っているなんて良いご身分じゃないか!?」
ミラの全身から殺気が漲る、しかしこの殺気の量は尋常では無い。常人の出す物を遥かに逸脱していた、そこでウィルがミラのステータスを確認すると信じられない数値が転がっていた。
「母ちゃん、何でステータスがフクと全く同じなんだよ!?」
「渦に入る前に神様にちょっとお願いしてね、5日間の期間限定で孫のフクと同じステータスにしてもらったのさ。これでようやく可愛い孫を抱けるってもんだね」
フクの顔を頬ずりし始めるミラ。
(この親にしてこの子有りだ)
ミラもやはり非常識な人間なのだと評価を改めさせられたサチ達であった。
0
お気に入りに追加
1,540
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる