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第55話 式の前日~世界中の孤児の運命を変える闇の女王の提案~
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久々の更新です。
「あんな小さい子供達が剣を振ってスライムと戦っているぞ!?」
「スライムの方は子供達に攻撃しようとせず、避けているだけだ。何故攻撃しない!?」
各国の代表者達はウィルによってダンジョン内に連れてこられた後、ダンジョンで遊びながら運営費やその日食べる食料等を手に入れている孤児達の姿に絶句した。
「おいウィル殿、このダンジョンは一体どんな仕組みになっているのだ?そしてこの孤児達は一体!?」
「それは私の口から説明するべきだろう」
そう言いながら、闇の女王が代表者達の前に歩み出た。
「私の名は闇の女王。元魔族で今はダンジョンボスとしてこのダンジョンを管理している。このダンジョンは中で沸かせるモンスターはスライムだけにして、HP1で相手の先制攻撃を必ず受けるルールとなっている。3歳児でも簡単に倒せる様にな」
「・・・・・」
「スライムにはパンやスープ、ケーキにビスケット等もランダムでドロップする様に細工しておき子供達の遊びがてら食事やオヤツだけで無く孤児院の運営費も手に入れられる寸法だ」
「素晴らしい!このダンジョンが在れば孤児達は自らの力で生活をしていく事が出来るではないか!?」
代表者たちは感嘆の声を挙げる、だが1番大事な問題を見ていなかった。
「こうして見て頂いた理由は、代表者の皆さんに母国の孤児院の現状を思い返して欲しかったからなんです。こんなダンジョンは世界中でここにしか存在しません。ではあなた方の母国の孤児院はどうやって運営費を稼いでいますか?子供達に希望溢れる未来を見せてあげられていますか?俺達はこの結婚式を終えた後で別の世界に行く事になるから、せめて世界中の孤児達の運命を変えてから旅立とうと思っている」
代表者たちは自国の現状を思い返しながらも援助出来ない旨を告げる。
「我々は確かに自国内の孤児院に対して十分な援助を行っていない、それは孤児を優遇すると親が育児放棄をして子を捨てる可能性も考えられるからだ。・・・・・そんな建前を言って実際はそこまでの予算を組むだけの国力が無いだけなんだがな」
自虐的に回答する代表者を責める者は居ない、誰もが国民を大切にしたい気持ちは一緒だ。だがそれをする為に必要なお金を用意出来ない以上、弱い者から切り捨てていくしかないのだ。
「そこで私から1つ提案をしたい」
闇の女王が重い空気になり始めたダンジョン内で凛とした声を発する。
「各国の代表者達には済まないと思うが、私が各国の孤児院に到着するまでの間だけで良い。十分な食事と教育を与えてやってもらえないだろうか?」
「各国の孤児院に到着するまでの間?」
ウィルは予定に無かった闇の女王の提案に耳を傾けた。
「私はこれより各国の孤児院に向けてダンジョンを伸ばしていこうと思う、そして到着次第その入り口をここまで転移させる装置にするつもりだ」
「もしかして・・・世界中の孤児をここへ集めるのですかお母様!?」
リスティーが驚いた顔で闇の女王を問い質す、それが実現するのであれば世界中の孤児が抱える食料などの問題が一気に解決する。
「孤児を集めた後は各国から優秀な教師を1人ずつ派遣して欲しい、無論教師への報酬は子供達がこのダンジョンの中で稼ぐ。世界中の孤児が集まるのだ、リスティーお前もこれまで以上に忙しくなるが良いか?」
「はい、大丈夫です。ですが、それではお母様はずっとこのダンジョンを維持し続けるおつもりなのですか?」
「世界中の孤児が集まり続けるのであれば、お前たち姉妹が寿命でこの世から居なくなっても死ぬ暇を子供達は与えてくれないだろう。これからはこの場所から巣立っていく子供達の姿を見るのを生きがいにしていくよ」
ウィルも気付かない間に闇の女王もまた自らの死を望む運命を変えていた、それは世界中の孤児達の運命を明るく変える物だ。各国の代表者達も闇の女王の提案に協力する事を約束した、一時的に負担は増えるかもしれないが入り口が届けば後の負担は教師を派遣する際だけとなる。
「ウィル、お前に頼み事が1つ有る。世界中の孤児を集めるとこの孤児院の建物では少々というよりもかなり狭くなる。だから新しい孤児院を建てる場所をシェルナーグの近くの森を切り拓いて作ってもらえないか?」
「俺1人にさせるのか、それ!?」
「お前は分身を呼び出せるだろ?それに森を開拓させれば良い話だ、分身達を戦う道具としてでなく新たな道を切り拓く助けにも役立てるべきではないか?」
「娘の婚約者を働かそうとするんだから、強い姑だよまったく」
「非常識な婿殿に非常識な願い位多少言ってもバチは当たらぬよ、それともお前の運命を変える力はその程度の物か?」
そこまで言われるとやるしかない、この非常識なスキルは多くの人の運命を変える力を持つのだから・・・。
「森を切り拓くだけじゃなく切った木を新しい孤児院の材料に利用しよう。ただ建てる方は苦手だからジェイク、大工の手配は任せるよ」
「何でここで俺に飛び火するんだ!?」
驚くジェイクの耳元でそっと耳打ちする。
「そう言うなって、建物の建築状況の報告などでリスティーに会う立派な口実が作れるだろ?上手くいくと良いな」
言葉を失うジェイクを残してウィルはダンジョンの外に出てシェルナーグ郊外の森を目指す、思い立ったが吉日やるなら早い方が良い。結婚式の最中に孤児院の子供達を喜ばせる材料が1つ増える事を期待して、分身達に森の開拓を命じるのだった・・・。
「あんな小さい子供達が剣を振ってスライムと戦っているぞ!?」
「スライムの方は子供達に攻撃しようとせず、避けているだけだ。何故攻撃しない!?」
各国の代表者達はウィルによってダンジョン内に連れてこられた後、ダンジョンで遊びながら運営費やその日食べる食料等を手に入れている孤児達の姿に絶句した。
「おいウィル殿、このダンジョンは一体どんな仕組みになっているのだ?そしてこの孤児達は一体!?」
「それは私の口から説明するべきだろう」
そう言いながら、闇の女王が代表者達の前に歩み出た。
「私の名は闇の女王。元魔族で今はダンジョンボスとしてこのダンジョンを管理している。このダンジョンは中で沸かせるモンスターはスライムだけにして、HP1で相手の先制攻撃を必ず受けるルールとなっている。3歳児でも簡単に倒せる様にな」
「・・・・・」
「スライムにはパンやスープ、ケーキにビスケット等もランダムでドロップする様に細工しておき子供達の遊びがてら食事やオヤツだけで無く孤児院の運営費も手に入れられる寸法だ」
「素晴らしい!このダンジョンが在れば孤児達は自らの力で生活をしていく事が出来るではないか!?」
代表者たちは感嘆の声を挙げる、だが1番大事な問題を見ていなかった。
「こうして見て頂いた理由は、代表者の皆さんに母国の孤児院の現状を思い返して欲しかったからなんです。こんなダンジョンは世界中でここにしか存在しません。ではあなた方の母国の孤児院はどうやって運営費を稼いでいますか?子供達に希望溢れる未来を見せてあげられていますか?俺達はこの結婚式を終えた後で別の世界に行く事になるから、せめて世界中の孤児達の運命を変えてから旅立とうと思っている」
代表者たちは自国の現状を思い返しながらも援助出来ない旨を告げる。
「我々は確かに自国内の孤児院に対して十分な援助を行っていない、それは孤児を優遇すると親が育児放棄をして子を捨てる可能性も考えられるからだ。・・・・・そんな建前を言って実際はそこまでの予算を組むだけの国力が無いだけなんだがな」
自虐的に回答する代表者を責める者は居ない、誰もが国民を大切にしたい気持ちは一緒だ。だがそれをする為に必要なお金を用意出来ない以上、弱い者から切り捨てていくしかないのだ。
「そこで私から1つ提案をしたい」
闇の女王が重い空気になり始めたダンジョン内で凛とした声を発する。
「各国の代表者達には済まないと思うが、私が各国の孤児院に到着するまでの間だけで良い。十分な食事と教育を与えてやってもらえないだろうか?」
「各国の孤児院に到着するまでの間?」
ウィルは予定に無かった闇の女王の提案に耳を傾けた。
「私はこれより各国の孤児院に向けてダンジョンを伸ばしていこうと思う、そして到着次第その入り口をここまで転移させる装置にするつもりだ」
「もしかして・・・世界中の孤児をここへ集めるのですかお母様!?」
リスティーが驚いた顔で闇の女王を問い質す、それが実現するのであれば世界中の孤児が抱える食料などの問題が一気に解決する。
「孤児を集めた後は各国から優秀な教師を1人ずつ派遣して欲しい、無論教師への報酬は子供達がこのダンジョンの中で稼ぐ。世界中の孤児が集まるのだ、リスティーお前もこれまで以上に忙しくなるが良いか?」
「はい、大丈夫です。ですが、それではお母様はずっとこのダンジョンを維持し続けるおつもりなのですか?」
「世界中の孤児が集まり続けるのであれば、お前たち姉妹が寿命でこの世から居なくなっても死ぬ暇を子供達は与えてくれないだろう。これからはこの場所から巣立っていく子供達の姿を見るのを生きがいにしていくよ」
ウィルも気付かない間に闇の女王もまた自らの死を望む運命を変えていた、それは世界中の孤児達の運命を明るく変える物だ。各国の代表者達も闇の女王の提案に協力する事を約束した、一時的に負担は増えるかもしれないが入り口が届けば後の負担は教師を派遣する際だけとなる。
「ウィル、お前に頼み事が1つ有る。世界中の孤児を集めるとこの孤児院の建物では少々というよりもかなり狭くなる。だから新しい孤児院を建てる場所をシェルナーグの近くの森を切り拓いて作ってもらえないか?」
「俺1人にさせるのか、それ!?」
「お前は分身を呼び出せるだろ?それに森を開拓させれば良い話だ、分身達を戦う道具としてでなく新たな道を切り拓く助けにも役立てるべきではないか?」
「娘の婚約者を働かそうとするんだから、強い姑だよまったく」
「非常識な婿殿に非常識な願い位多少言ってもバチは当たらぬよ、それともお前の運命を変える力はその程度の物か?」
そこまで言われるとやるしかない、この非常識なスキルは多くの人の運命を変える力を持つのだから・・・。
「森を切り拓くだけじゃなく切った木を新しい孤児院の材料に利用しよう。ただ建てる方は苦手だからジェイク、大工の手配は任せるよ」
「何でここで俺に飛び火するんだ!?」
驚くジェイクの耳元でそっと耳打ちする。
「そう言うなって、建物の建築状況の報告などでリスティーに会う立派な口実が作れるだろ?上手くいくと良いな」
言葉を失うジェイクを残してウィルはダンジョンの外に出てシェルナーグ郊外の森を目指す、思い立ったが吉日やるなら早い方が良い。結婚式の最中に孤児院の子供達を喜ばせる材料が1つ増える事を期待して、分身達に森の開拓を命じるのだった・・・。
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