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第15話 広がる魔族の支配、変わりつつある世界

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ミオンを牝豚として迎え入れてから半年が経とうとしている。

魔王の居城内の苗床の人数も徐々に増えてきた。奴隷屋の主が送ってきた、王族や貴族共だ。彼らは己の不幸と怨嗟の声を上げながら牡と牝それぞれのオークに犯されている。

現在、人間の国から苗床として送られる女の数は減りつつある。人間の種を残さないといけないのが理由の1つだが、あともう1つこれまで余っていた牝のゴブリン・コボルト・オークの相手として人間の男も使う様になったからだ。

罪人を運ばせて交配させている、罪の重くない者はゴブリンかコボルト。・・・そして死罪を受けている者はオークを相手にする事になる。牝のオークには首飾りなどは吊るしていない、人間の男の精を受けた牝のオークはほぼ確実に受精する。そして仔を産む為に栄養が必要になる、これまで相手をしていた男はそのままオークのエサとして生きたまま喰われるのだ。

奴隷屋の主にも、もう1つ新たな仕事が与えられた。これまで性奴隷の中でも最低ランクの扱いされている女達から順に希望者を募りゴブリンとコボルトの仔を身篭ってもらっている。5人仔を産めば契約終了で奴隷の身分からの即時解放と謝礼も渡している。10年は楽に暮らせる金額とこれまでに占領してきた国の中で暮らしていく為の仕事先、あとは家も1軒付けている。報酬を出しすぎていると言われかねないが、今後完全に世界を魔王が支配する時に争いの元になる事柄は減らしておきたかった。主は占領された各地の奴隷屋を回り歩き、多くの女達が自ら志願しゴブリンやコボルトの仔を産む為に魔族領へやってくる事となる。

そして、占領した各国では魔王の側近達を派遣して少しずつ魔王の支配下での統治が進み始めている。圧政と弾圧を予想していた人達は思いもしなかった魔族の統治ぶりを目にする事になる、まずは税率が軽減された。多くの国の税は王族や貴族の浪費する分を補う為に上乗せされており、それを無くした事で毎日の生活に苦しんでいた者達の暮らしぶりが上向く事になる。

そして、一部の魔族が共存を始める様になった。人型で言葉も話せる魔族が政務の一端を任される様になると人間達と同じ住宅地に家を建て生活を送り始める。更に俺としても嬉しい誤算だったのが、その魔族と交際を始めて結ばれた男女が各地で現れた事だ。

最初の侵略の地として、多くの女を攫い苗床に使ってしまった国へは魔王自らが出向き多くの人の前で跪き謝罪した。そして死んでしまった女達への慰霊碑を建てたり残された家族へは詫びとして今後50年の生活の補償等で返していく事になる。この世界に飛ばされたばかりの頃の俺だったら、間違い無く全ての富を自分に集めていただろう。だがサーラ達を性奴隷として購入して、そして国境を破った頃から考え方や行動にも変化が起きたと今では思っている。

だが、今までと全く変わらない物も有る。それは俺に対して敵対した者への罰だ、統治が行き届き始めた頃に幾つかの地で挙兵して国を奪い返そうとする者が現れたが軒並み鎮圧されて参加した者は男女問わず即座に首飾りを付けない苗床に送られて全員喰われて死んでいる。

あと最近、俺の周りで変わった事といえば俺が魔王の名前を呼ぶ様になった事とその魔王のお腹が膨らみ始めてきた事だ。魔王はいつの間にか牝豚ではなく俺の愛妾になっていた。

「それではミツクニ様、政務が有るのでこれで失礼します」

「ターニャ、魔王の仕事も大事だがお腹の子も労われよ」

「ふふふ、私を無理やり犯してた頃が懐かしい事」

「ターニャさんの次は私達の誰がミツクニ様の子を身篭るのか勝負ですわよ、マリア・美沙」

「もちろんわたしに決まっておりますわ、サーラさん」

「1番若くて元気の良い卵を出せるわたくしですよ、サーラさん、マリアさん」

「ミツクニ様、近い内に3人が一緒にあなたの子を宿すかもしれませんわね」

「それもいいかもな、だがその前に済ませなくちゃならん事が残っている」

「はい」

「ターニャ、勇者共は今頃どの辺りに潜んでいると思われる?」

「ミオンの話だと、国境を越え一旦撤退して新しい仲間達や物資の補給を行い再度魔王領に来ると言っておりましたが、先に国境を封鎖して退路を絶ったのでおそらくは連絡の途絶えた斥候達を襲い水と食料を奪って飢えを凌いでいるのかもしれません」

「ターニャ、そのまま周辺の探索を続けてくれ。斥候を倒した事で多少はLVアップをしている筈だ。あとフローディアが影で何かしらの支援をしている可能性も有るから迂闊に近寄らせない様に徹底させろ」

「分かりました」

「あともう1つ頼んでおいた事は、その後どうなっている?」

「サーラさんを手篭めにしようとしていたっていうあの兄皇子の事ですか?」

「ああ」

「その事なんですが・・・」

「どうした?何か有ったのか!?」

「実は、どうやらその兄皇子ですが勇者のパーティーで残っている騎士の様なんです」

「なんだって!?」

サーラは表立って口にはしないが、兄皇子を心の底から憎んでいる。生まれ故郷ではサーラは汚名を着せられた挙句に処刑された扱いになっている為だ。

「兄皇子についての情報が更に詳しく入ったら俺に教えてくれ。それと、また日を改めてになるがお前に渡したい物がある。サーラ達3人からの頼みでも有る品だ」

「? 分かりました、その時を期待しております」

ターニャに口付けして分かれるとサーラに声を掛けた。

「サーラ、お前だけに話がある」

「どうなさいました? ミツクニ様」

「ターニャからの情報だ、勇者パーティーで残っている騎士なんだが・・・お前の兄皇子の様だ」

「え!?」

「いずれ再会する時が来るだろう、苗床に送るなり処刑するなりお前に任せる。俺と出会って本当に幸せになったかどうか言えないが、出会うまでのお前の日々の幸せを間違い無く奪った相手だ。俺にとっても許す事の出来ない奴だから情けを掛ける必要は無いからお前なりの復讐の方法を考えておくといい」

「・・・・・わかりました」

おそらく兄皇子は苗床に行く事無く死ぬだろう、サーラからこれまで1度も見る事の無かった強烈な殺意が湧き上がる様子を見てしまったからだ。

俺と長谷川・・・サーラと兄皇子、2組のそれぞれの復讐の時が徐々に近づくのを感じずにはいられなかった。
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