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第3話 王道に与えられた3つのスキル【鑑定・分解・変換】
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『これから皆さんには仲良く一緒に生活しながら邪族を追い払って頂かねばなりません。そこで王道さんと軽く自己紹介してみるのは如何でしょうか?』
先程までのやり取りをまるで無かったかの様に話を変えるライアに一抹の不安を覚えた、大事な事を説明しないでこの世界に放り出されかねないからだ。だが今の所、名前が分かっているのはみどり先生と華憐だけなのでこの提案を有難く思える部分も有った。
「それじゃあ最初に俺の方から自己紹介させてくれ、俺の名前は天符玲 王道。正社員とは名ばかりの半非正規雇用の会社員だ、今日10年ぶりに秋葉原に来たらこんな事に巻き込まれてしまったがこんな場所で死ぬつもりは無いから出来る限り協力させて貰うのでよろしくな。後、呼び方だが本当は(きみみち)なんだが言い易い方で(おうどう)でも構わない。仲間内からテンプレ・王道なんて呼ばれ方をされているので慣れている」
「そういえば、あなたの年齢をまだ聞いてなかったけど一体幾つなのかしら?」
華憐が興味が有るみたいで聞いてきた。
「まあ隠す必要も無いから言うが36歳だ、こんなおっさんだが倍近く生きてるからその分だけ人生経験豊富だぞ」
「36歳か、私の倍だけどこの位ならまだ許容範囲ね」
何かウンウン頷きながら華憐はメモを取り出して書き留め始めた、俺の歳はそれ程重要だとは思えないがまあいいか。それと今の会話から察するに華憐は18歳みたいだな。
「私は先生達が起きるまでの間に自己紹介は済ませてあるから、残りの奈央達で自己紹介して頂戴ね」
華憐が促すと空に白い穴が現れた時に声を掛けていた、黒縁眼鏡のポニーテールの娘が俺の前に出てきた。
「初めまして、私は華憐さんと同じクラスの水木 奈央と言います。華憐さんと同じ剣道部に所属しています」
水木 奈央さんか、華憐と同じ剣道部って事は2人は良いライバル同士なのかもしれないな。そんな事を考えていると次にベリーショートの元気そうな娘が歩み出た。
「初めましておじさん、私の名前は黄田 美雷!華憐と同じクラスだけど部活は陸上部で短距離が得意だよ。これから色々とお願いするからヨロシクね」
手を振りながら元の場所に戻っていく、黄田 美雷さんか。明るくて元気な娘だ、俺も高校の時に運動部にでも居ればこんな娘と仲良くなれたりしたのかな?そして次は清楚という言葉が最も相応しく思える物静かな娘がゆっくりと前に出てきた。
「私、光井 薫と申します。家が代々日舞の家元をしている関係で本日も夕刻までに御稽古に戻らないといけませんのにどうしたら良いものでしょうか?」
「それならライア達の願いを叶えた後に、今度は自分達を爆発直後の時間に無傷で返して貰うのはどうだろうか?検査などで稽古には遅刻しちゃうかもしれないけど、今日中には帰宅出来るだろうから。爆発直後にまた元の世界に戻して貰う事だって出来るかなライア?」
『その程度でしたらお安い御用です』
「あら、そうですか。でしたら私の方は何の問題も御座いませんわ。良い解決法を見つけて下さって本当に有難う御座いました」
丁寧に頭を下げながら、またゆっくりと戻っていく薫。少しだけ感覚がずれているみたいだけど、気になる程では無いな。・・・・元の世界に帰れるかどうかよりも日舞の稽古の方に間に合うかどうかを気にしているのは確かにずれている。
「こうして再び会えるなんて、やはり2人は結ばれる運命だったんだね。きみ兄ちゃん」
いつの間にか俺の前に来ていたショートのおかっぱ頭の娘が急におかしな事を言い始めた、俺に華聖女学院に通える様な知り合いの娘は居ない筈なんだが・・・。
(あれ、きみ兄ちゃん?)
何だか大分昔に、誰かからそんな呼ばれ方をしていた気がした。誰だったかな?
「もしかして、昔どこかで会った事有る?俺達」
「はい♪」
顔を赤くしながら頷く娘、それを聞いていた華憐が思わず前に出てきた。
「ちょっと門音!王道と知り合いって本当なの!?」
その言葉に反応したのか、急に門音と呼ばれた娘の目に殺気が宿ると華憐を見下す様にしながら答えを返した。
「ファーストキスを捧げた位でもう押し掛け女房気取り?私だってきみ兄ちゃんとは何度もキスだってしているし、お嫁さんにして貰うって約束もしたよ」
「はあっ!?ちょっと王道!どういう事か説明しなさいよ」
「俺にも何が何だか・・・何時どこでそんな約束をしたのか教えてくれないか?」
俺の問いに少しだけ暗い表情に変わった門音だったが、すぐに気を取り直したのか白状してくれた。
「確かに15年近く前の話だから覚えていないのも無理無いかもしれない、でも私は1度も忘れた事は無かったよ。きみ兄ちゃんのお嫁さんになる為にたくさんお料理の勉強とかしてきたよ」
15年前?あの頃はまだ親父達も元気でよく休日になると近所の将棋仲間が小さな女の子を連れてきて親父と1日中縁側で指している間、俺に相手をさせていたっけ。かあ坊、かあ坊って呼ばれていたから俺もそう呼んで名前は特に聞かなかったな。・・・って、門音はもしかしてあの時のかあ坊か!?
「もしかして、かあ坊。かあ坊か!?」
「ああ、やっと思い出してくれた。あれからすぐに両親が離婚して私は母さんに連れられて母さんの実家に行き、その後母さんがパート先で知り合った人と再婚して今の黒川の性になったの」
昔の頃を思い出していると門音が口を開いた。
「改めまして、私の名前は黒川 門音。私の願いは昔からずっときみ兄ちゃんのお嫁さんになる事です。どこかのぽっと出の好きにはさせませんから、これからもよろしくねお兄ちゃん♪」
そう言いながら門音は俺の頬に軽くキスしながら元の場所に戻っていった、目の前では華憐が歯をギリギリしながら俺を睨んでいる。お嬢様らしくないから止めなさい。
(しかし、小さい頃から俺のお嫁さんになるのを夢見てきた女の子との再会だなんてコレもテンプレ・王道の代名詞じゃないか!?俺、これから一体どうなるんだ?)
こっちに来てから次々と起こるお約束な展開に戸惑っていると、最後にみどり先生が俺の前に来て頬を赤らめてモジモジしながら自己紹介を始めた。
「最後に私の自己紹介をさせて頂きますね、私の名前は風間 みどり。華聖女学院の教員を務めている彼氏無しの独身で24歳です。この華聖女学院を幼少部から過ごしてきたので男性とお付き合いした経験が有りません、年齢的にも私が1番近いので小便臭いガキ共・・・いえ、純粋無垢な雛鳥達よりも話がしやすいと思います。なので気軽に相談してきて下さい。私の方も色々と相談や悩みを聞いて頂こうと思っておりますから」
何だかかなり必死な重いアピールをされてしまった気がする、途中で物凄く口が悪くなったがそこは大人の余裕でスルーしよう。華憐・門音・みどり先生の間で火花が散り、それを見た奈央がオドオドしながら薫に助力を願い更にその隣では美雷がイケイケ!と煽っている。こんな状態で皆で仲良くやっていく自信無いぞ俺。
一通りの自己紹介を終えると、ライア達がそれぞれの器に適した者の前に立った。それを少し離れた場所から見ている俺はやはり部外者なのだと痛感させられた。
『私、光の神 ライアの力を収める器はあなたです光井 薫さん。あなたには私から光のチャクラムを与えましょう。それと光の浄化魔法も授けますので呪われた者や不死の化け物とされてしまった者を救ってあげてください』
『闇の神 ダータの器に最も相応しいのは黒川 門音、あなたです。私からは闇の大鎌を与えます、また影の刃の呪術も授けるのでその暗黒の力で敵を討ち滅ぼすのです』
『焔 華憐、あなたは炎の神 フレイの器の適正を持っています。そこで私からあなたに炎の大剣を与えます、また炎系の魔法も使える様にしますので全ての邪族を焼き払うのです』
『水の神 アクアの力を引き出せるのはあなたしか居ません、水木 奈央。私の持つこの水の双剣を与えましょう、絶え間無く流れを変える川の様にその刀身も自由に姿形を変えられます。また水系の魔法を用いて穢された大地を洗い流してください』
『風間 みどりさん、あなたは風の神である私 エアルの器に選ばれました。あなたはこの風の弓と相性が良さそうです、また風と癒しの魔法を授けるので真空の風で敵を切り裂き癒しの魔法で傷ついた者を治すのです』
『雷の神 エレクの器に選ばれし者、黄田 美雷よ。お前には魔法の才能を感じ取る事が出来なかったので代わりに2つの物を用意したから受け取って欲しい。1つは雷の拳甲、そしてもう1つは稲妻の脚甲だ。拳甲は拳に雷を纏わせ敵を叩き伏せ、脚甲は短時間では有るが稲妻の様に駆け抜ける事が出来る。使い方を誤れば諸刃の剣となりかねんから気を付ける事だ』
6人にそれぞれの力の象徴たる武器や魔法等を授け終えると、ライア達は何故か王道の方に6人揃って近付いて来た。
『あなたには残念ながら神の力を収められるだけの器の大きさは無かった、その為に神の武具や魔法を授ける事が出来ない許して欲しい』
「まあ、巻き込まれて召喚されたんだ仕方ないよ。ちなみに器の大きさを持っていないのに武具を使おうとするとどうなるんだ?」
『爆散します』
「爆散!?」
『そう、爆散です。跡形も無く吹っ飛びますよ♪』
明るく軽い口調で答えるライア、それを聞いた王道の方は脂汗が流れそうになっていた。
(あぶな、いざとなったら誰かの武器を借りて助太刀しようと思っていたから知らずに使ったら即死確定だった)
そんな王道の心を読み取ったのか、ライアは別の物で王道の助ける事にした。
『王道、これからあなたに3つのスキルを授けます。スキルは器の大きさに関係無く使える物で使い方次第で彼女達の旅の支えになれるかもしれません』
そう言いながらライアは王道に近寄ると額にそっと口付けをした、その瞬間に王道の脳裏に3つの言葉が浮かんできた。
【鑑定・分解・変換のスキルが与えられました】
「これって一体どう使えば良いんだ?」
『それはこれからの彼女達との旅の中で試してください、試す時間はたっぷり有る筈なので』
ガキーン!! 物凄い金属音がするので俺とライア達が音のした方を振り向くと、なんと門音が華憐に向け闇の大鎌を振り下ろしそれを華憐が大剣で受け止めていた。
「きみ兄ちゃんは絶対に渡さない、あんたはここで退場しなさい!」
「彼は私の物よ、あんたなんかに絶対に負けないんだからぁ!?」
門音と華憐が鍔迫り合いを繰り返していると、今度はその2人の首を狙って風の刃が飛んでいた。
「うわっ!?」
「危ない!!」
何とか避けた2人だったが、その先でみどり先生が棒読みで事務的な謝罪を言い出した。
「ごめんなさい2人共、折角頂いた力をうっかり暴走させない様に練習していたのだけど手元が狂ってしまったみたいなの。許して頂戴ね」
唖然とするライア達を無視して、それから小一時間の間3人は激しい同士討ちをするのだった。
(旅に出る前からコレで本当に大丈夫か!?それと女同士で命の奪い合いを始める様なハーレム建設はテンプレ・王道とは呼べないだろ絶対)
既に同士討ちによる全滅の未来しか思い描けない王道なのだった・・・。
先程までのやり取りをまるで無かったかの様に話を変えるライアに一抹の不安を覚えた、大事な事を説明しないでこの世界に放り出されかねないからだ。だが今の所、名前が分かっているのはみどり先生と華憐だけなのでこの提案を有難く思える部分も有った。
「それじゃあ最初に俺の方から自己紹介させてくれ、俺の名前は天符玲 王道。正社員とは名ばかりの半非正規雇用の会社員だ、今日10年ぶりに秋葉原に来たらこんな事に巻き込まれてしまったがこんな場所で死ぬつもりは無いから出来る限り協力させて貰うのでよろしくな。後、呼び方だが本当は(きみみち)なんだが言い易い方で(おうどう)でも構わない。仲間内からテンプレ・王道なんて呼ばれ方をされているので慣れている」
「そういえば、あなたの年齢をまだ聞いてなかったけど一体幾つなのかしら?」
華憐が興味が有るみたいで聞いてきた。
「まあ隠す必要も無いから言うが36歳だ、こんなおっさんだが倍近く生きてるからその分だけ人生経験豊富だぞ」
「36歳か、私の倍だけどこの位ならまだ許容範囲ね」
何かウンウン頷きながら華憐はメモを取り出して書き留め始めた、俺の歳はそれ程重要だとは思えないがまあいいか。それと今の会話から察するに華憐は18歳みたいだな。
「私は先生達が起きるまでの間に自己紹介は済ませてあるから、残りの奈央達で自己紹介して頂戴ね」
華憐が促すと空に白い穴が現れた時に声を掛けていた、黒縁眼鏡のポニーテールの娘が俺の前に出てきた。
「初めまして、私は華憐さんと同じクラスの水木 奈央と言います。華憐さんと同じ剣道部に所属しています」
水木 奈央さんか、華憐と同じ剣道部って事は2人は良いライバル同士なのかもしれないな。そんな事を考えていると次にベリーショートの元気そうな娘が歩み出た。
「初めましておじさん、私の名前は黄田 美雷!華憐と同じクラスだけど部活は陸上部で短距離が得意だよ。これから色々とお願いするからヨロシクね」
手を振りながら元の場所に戻っていく、黄田 美雷さんか。明るくて元気な娘だ、俺も高校の時に運動部にでも居ればこんな娘と仲良くなれたりしたのかな?そして次は清楚という言葉が最も相応しく思える物静かな娘がゆっくりと前に出てきた。
「私、光井 薫と申します。家が代々日舞の家元をしている関係で本日も夕刻までに御稽古に戻らないといけませんのにどうしたら良いものでしょうか?」
「それならライア達の願いを叶えた後に、今度は自分達を爆発直後の時間に無傷で返して貰うのはどうだろうか?検査などで稽古には遅刻しちゃうかもしれないけど、今日中には帰宅出来るだろうから。爆発直後にまた元の世界に戻して貰う事だって出来るかなライア?」
『その程度でしたらお安い御用です』
「あら、そうですか。でしたら私の方は何の問題も御座いませんわ。良い解決法を見つけて下さって本当に有難う御座いました」
丁寧に頭を下げながら、またゆっくりと戻っていく薫。少しだけ感覚がずれているみたいだけど、気になる程では無いな。・・・・元の世界に帰れるかどうかよりも日舞の稽古の方に間に合うかどうかを気にしているのは確かにずれている。
「こうして再び会えるなんて、やはり2人は結ばれる運命だったんだね。きみ兄ちゃん」
いつの間にか俺の前に来ていたショートのおかっぱ頭の娘が急におかしな事を言い始めた、俺に華聖女学院に通える様な知り合いの娘は居ない筈なんだが・・・。
(あれ、きみ兄ちゃん?)
何だか大分昔に、誰かからそんな呼ばれ方をしていた気がした。誰だったかな?
「もしかして、昔どこかで会った事有る?俺達」
「はい♪」
顔を赤くしながら頷く娘、それを聞いていた華憐が思わず前に出てきた。
「ちょっと門音!王道と知り合いって本当なの!?」
その言葉に反応したのか、急に門音と呼ばれた娘の目に殺気が宿ると華憐を見下す様にしながら答えを返した。
「ファーストキスを捧げた位でもう押し掛け女房気取り?私だってきみ兄ちゃんとは何度もキスだってしているし、お嫁さんにして貰うって約束もしたよ」
「はあっ!?ちょっと王道!どういう事か説明しなさいよ」
「俺にも何が何だか・・・何時どこでそんな約束をしたのか教えてくれないか?」
俺の問いに少しだけ暗い表情に変わった門音だったが、すぐに気を取り直したのか白状してくれた。
「確かに15年近く前の話だから覚えていないのも無理無いかもしれない、でも私は1度も忘れた事は無かったよ。きみ兄ちゃんのお嫁さんになる為にたくさんお料理の勉強とかしてきたよ」
15年前?あの頃はまだ親父達も元気でよく休日になると近所の将棋仲間が小さな女の子を連れてきて親父と1日中縁側で指している間、俺に相手をさせていたっけ。かあ坊、かあ坊って呼ばれていたから俺もそう呼んで名前は特に聞かなかったな。・・・って、門音はもしかしてあの時のかあ坊か!?
「もしかして、かあ坊。かあ坊か!?」
「ああ、やっと思い出してくれた。あれからすぐに両親が離婚して私は母さんに連れられて母さんの実家に行き、その後母さんがパート先で知り合った人と再婚して今の黒川の性になったの」
昔の頃を思い出していると門音が口を開いた。
「改めまして、私の名前は黒川 門音。私の願いは昔からずっときみ兄ちゃんのお嫁さんになる事です。どこかのぽっと出の好きにはさせませんから、これからもよろしくねお兄ちゃん♪」
そう言いながら門音は俺の頬に軽くキスしながら元の場所に戻っていった、目の前では華憐が歯をギリギリしながら俺を睨んでいる。お嬢様らしくないから止めなさい。
(しかし、小さい頃から俺のお嫁さんになるのを夢見てきた女の子との再会だなんてコレもテンプレ・王道の代名詞じゃないか!?俺、これから一体どうなるんだ?)
こっちに来てから次々と起こるお約束な展開に戸惑っていると、最後にみどり先生が俺の前に来て頬を赤らめてモジモジしながら自己紹介を始めた。
「最後に私の自己紹介をさせて頂きますね、私の名前は風間 みどり。華聖女学院の教員を務めている彼氏無しの独身で24歳です。この華聖女学院を幼少部から過ごしてきたので男性とお付き合いした経験が有りません、年齢的にも私が1番近いので小便臭いガキ共・・・いえ、純粋無垢な雛鳥達よりも話がしやすいと思います。なので気軽に相談してきて下さい。私の方も色々と相談や悩みを聞いて頂こうと思っておりますから」
何だかかなり必死な重いアピールをされてしまった気がする、途中で物凄く口が悪くなったがそこは大人の余裕でスルーしよう。華憐・門音・みどり先生の間で火花が散り、それを見た奈央がオドオドしながら薫に助力を願い更にその隣では美雷がイケイケ!と煽っている。こんな状態で皆で仲良くやっていく自信無いぞ俺。
一通りの自己紹介を終えると、ライア達がそれぞれの器に適した者の前に立った。それを少し離れた場所から見ている俺はやはり部外者なのだと痛感させられた。
『私、光の神 ライアの力を収める器はあなたです光井 薫さん。あなたには私から光のチャクラムを与えましょう。それと光の浄化魔法も授けますので呪われた者や不死の化け物とされてしまった者を救ってあげてください』
『闇の神 ダータの器に最も相応しいのは黒川 門音、あなたです。私からは闇の大鎌を与えます、また影の刃の呪術も授けるのでその暗黒の力で敵を討ち滅ぼすのです』
『焔 華憐、あなたは炎の神 フレイの器の適正を持っています。そこで私からあなたに炎の大剣を与えます、また炎系の魔法も使える様にしますので全ての邪族を焼き払うのです』
『水の神 アクアの力を引き出せるのはあなたしか居ません、水木 奈央。私の持つこの水の双剣を与えましょう、絶え間無く流れを変える川の様にその刀身も自由に姿形を変えられます。また水系の魔法を用いて穢された大地を洗い流してください』
『風間 みどりさん、あなたは風の神である私 エアルの器に選ばれました。あなたはこの風の弓と相性が良さそうです、また風と癒しの魔法を授けるので真空の風で敵を切り裂き癒しの魔法で傷ついた者を治すのです』
『雷の神 エレクの器に選ばれし者、黄田 美雷よ。お前には魔法の才能を感じ取る事が出来なかったので代わりに2つの物を用意したから受け取って欲しい。1つは雷の拳甲、そしてもう1つは稲妻の脚甲だ。拳甲は拳に雷を纏わせ敵を叩き伏せ、脚甲は短時間では有るが稲妻の様に駆け抜ける事が出来る。使い方を誤れば諸刃の剣となりかねんから気を付ける事だ』
6人にそれぞれの力の象徴たる武器や魔法等を授け終えると、ライア達は何故か王道の方に6人揃って近付いて来た。
『あなたには残念ながら神の力を収められるだけの器の大きさは無かった、その為に神の武具や魔法を授ける事が出来ない許して欲しい』
「まあ、巻き込まれて召喚されたんだ仕方ないよ。ちなみに器の大きさを持っていないのに武具を使おうとするとどうなるんだ?」
『爆散します』
「爆散!?」
『そう、爆散です。跡形も無く吹っ飛びますよ♪』
明るく軽い口調で答えるライア、それを聞いた王道の方は脂汗が流れそうになっていた。
(あぶな、いざとなったら誰かの武器を借りて助太刀しようと思っていたから知らずに使ったら即死確定だった)
そんな王道の心を読み取ったのか、ライアは別の物で王道の助ける事にした。
『王道、これからあなたに3つのスキルを授けます。スキルは器の大きさに関係無く使える物で使い方次第で彼女達の旅の支えになれるかもしれません』
そう言いながらライアは王道に近寄ると額にそっと口付けをした、その瞬間に王道の脳裏に3つの言葉が浮かんできた。
【鑑定・分解・変換のスキルが与えられました】
「これって一体どう使えば良いんだ?」
『それはこれからの彼女達との旅の中で試してください、試す時間はたっぷり有る筈なので』
ガキーン!! 物凄い金属音がするので俺とライア達が音のした方を振り向くと、なんと門音が華憐に向け闇の大鎌を振り下ろしそれを華憐が大剣で受け止めていた。
「きみ兄ちゃんは絶対に渡さない、あんたはここで退場しなさい!」
「彼は私の物よ、あんたなんかに絶対に負けないんだからぁ!?」
門音と華憐が鍔迫り合いを繰り返していると、今度はその2人の首を狙って風の刃が飛んでいた。
「うわっ!?」
「危ない!!」
何とか避けた2人だったが、その先でみどり先生が棒読みで事務的な謝罪を言い出した。
「ごめんなさい2人共、折角頂いた力をうっかり暴走させない様に練習していたのだけど手元が狂ってしまったみたいなの。許して頂戴ね」
唖然とするライア達を無視して、それから小一時間の間3人は激しい同士討ちをするのだった。
(旅に出る前からコレで本当に大丈夫か!?それと女同士で命の奪い合いを始める様なハーレム建設はテンプレ・王道とは呼べないだろ絶対)
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