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第1話 テンプレ 王道の始まり
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『テンプレ、今日もハーレム物のラノベでも読んでいるのか?』
「読んでいて悪いか?それと、俺の苗字はテンプレじゃなくて天符玲(あまふれ)だ!」
『テンプレ・王道を名前に持つ奴なんてお前だけしか居ないってw そういえば、再来週土曜のネトゲのイベントには参加するのか?』
「悪い、その日は10年ぶりに秋葉原に行こうと思っているんだ」
『そうか、もしも早く帰ってこれたのなら参加してくれよ。彼女の居ない寂しさをレイドボスにぶつけて発散するんだからな』
プツン、ツー、ツー、ツー。オタク仲間との電話での会話を終えると軽くため息を吐いた。
「まったく、天符玲 王道(あまふれ きみみち)なんて名前を付けた親にいい加減文句を言ってやりたくなるよ」
苗字がテンプレと読める点や下の名前も王道だった所為でオタク仲間達からは【テンプレ・王道】とからかわれていた。何となく悔しい気持ちを晴らす為に読みかけになっていたラノベに手を伸ばして再び読み始める王道、ジャンルは異世界ハーレム物だ。
(俺も異世界で色んな女性に好かれるハーレム生活をしてみたいな、きっと毎日が楽しいに違いない!妄想はこれ位にしておいて秋葉原に行ったら、まずはハーレム物の同人誌やラノベを買い漁っておかないとな)
結局明け方近くまでラノベを読み続けて仕事に遅刻しそうになった王道であった。
2週間後、王道は期待に胸を膨らませて秋葉原まで来たが10年の間にすっかり変わってしまった街並みに呆然として立ち尽くしてしまう。
「えっ、あの店やあそこの店はいつの間に閉店しちゃったの!?まるで浦島太郎状態じゃないか俺!」
大勢の人が行き交う交差点の真ん中で思わず立ち止まった時、後ろを歩いていた女子高生が王道とぶつかった。
「急に立ち止まらないでください。通行の邪魔です!」
「ちょっと華憐さん、その言い方は失礼ですよ。ウチの生徒がご迷惑を掛けてしまい申し訳御座いません」
「いえ、急に立ち止まってしまった俺の方も悪いですから」
「そうよ、あなたが原因なのだから謝るのはそっちよ」
やけに気位の高い娘だな、そう思いながら制服をよく見るとその姿に見覚えが有った。
(この独特の利休鼠色の制服は、明治の頃から続いているっていうお嬢様学校の華聖女学院じゃなかったか?前にTVで特集されていた記憶が有る)
「何、人の制服をじろじろ見て。気持ち悪いのだけど」
「それはすまなかった、ところでその制服って前にTVで見た華聖女学院の物だと思ったのだけど」
「はい、そうです。本日は課外授業の一環として幾つかのグループに分かれて都内を巡っております。あ、申し遅れました。わたくし、この5人の生徒達の引率をしています教師の風間 みどりと言います」
「あ、これはご丁寧にどうも。俺は天符玲 王道と言います。10年ぶりに秋葉原に来て街並みが変わっていたのに驚いて立ち止まってしまいすいませんでした」
そんな会話をしていると、いつの間にか歩行者用の信号が赤に変わっていて交差点内には王道に教師のみどりと華憐と呼ばれた女子高生達7人しか残されていなかった。
「しまった!信号がいつの間にか赤になってる、急いで渡りましょう」
『・・・・・ミツケタ』
足早に反対側に渡ろうとする王道達の耳にどこからか声が聞こえてきた。
「ちょっと、急いで渡ろうとしている時に変な声を出さないでくれませんか?」
「いや、俺じゃないよ。そう言う君の方じゃないのか!?」
「2人共、足元を見なさい!!」
みどりさんの叫びにも似た大きな声で王道と華憐は自分達の足元にどす黒い魔方陣の様な物が現れているのに気が付いた、慌てて魔方陣の外に出ようとするも脚が縫い合わされたかの様に動こうとしない。
「何だコレ、どうなっているんだ!?」
「悪戯にしては性質が悪すぎるわ、ふざけるのは止めて早く動ける様になさい!」
何度も脱出を試みるも失敗に終わる、そうこうしている間に魔方陣は徐々に紅く光り出して何かをカウントしている様にも見えた。すると今度は王道達の頭上でも変化が起きる。
「みどり先生!上、上を見て下さい!!」
黒縁眼鏡を掛けたポニーテールの娘が頭上を指差しているので見ると、王道の頭上に光り輝きながら白く渦巻く穴が新たに現れていた。そしてみどり先生を始めとする華聖女学院の生徒達が次々と白い穴に吸い込まれていった。
「きゃあ!誰か、誰か助けて!!」
華憐と呼ばれていた娘は最後まで懸命に抵抗をしているが、吸い込まれるのも時間の問題となっていた。また、足元の魔方陣の紅い光の輝きも増しており状況を飲み込めないまま王道は華憐の手を掴んでいた。
「お願い、その手を絶対に離さないで!」
「そ、そう言っても・・・・俺の力もそんなに長く保たないよ」
その時、王道の靴が脱げてしまい王道と華憐の2人はそのまま白い穴に吸い込まれてしまった。
「うわあああああああ!!」
「きゃああああ!?」
2人が吸い込まれると白い穴は閉じて何事も無かったかの様に青空が戻り、次の瞬間魔方陣は爆発を起こし交差点に大きな穴を作ったのだった。
その日の夕方のニュースは秋葉原で突如起きた爆発事故の情報で溢れかえっていた。
『本日、東京秋葉原の交差点で原因不明の爆発事故が発生し近くに居た会社員の男性と課外授業で訪れていた高校生と引率の教師が巻き込まれた模様です。現場に残されていた学生証や免許証等から巻き込まれたのは会社員の天符玲 王道さんと華聖女学院の生徒の焔 華憐さん・水木 奈央さん・黄田 美雷さん・光井 薫さん・黒川 門音さんと引率していた教師の風間 みどりさんの合わせて7名で現在も安否の確認が取れておりません』
『また、複数の目撃者から爆発の直前に大きな魔方陣の様な物が現れたとの意味不明な証言も有り精神に不調を来たすガス等によるテロの可能性も視野に入れて慎重に捜査を進めていると警察関係者からの取材で明らかとなっております』
その夜、動画投稿サイトに1本の動画がアップされる。交差点に立っていた7人の足元に魔法陣が現れ、更に空に出現した白い穴に吸い込まれた直後に爆発するまでの様子が映されていた。動画の再生数は一時数百万を超えたが動画職人による、よく作られた捏造だとコメントされた事をキッカケにこの動画を見る者は激減した。そして数日も過ぎると人気タレントと女優の密会報道の方に人々の興味は移り、行方が分からなくなった7人を心配する者は肉親や親しい友人達を残すのみとなっていたのだった。
「・・・・・・・んっ!?」
王道の意識が戻ると、周囲は闇に包まれ何も見えない状態となっていた。
「ここは一体どこだ?」
迂闊に動くと危ないと判断し、しゃがむ様にして手で辺りを探ると不意に右手に柔らかい感触がした。
「何だこれ?」
それは何か幾つかの布の様な物でその上から覆っているみたいだった、すると王道の隣から声が聞こえた。
「・・・ここはどこ?それと何、この変な感触は?」
どうやら王道は気付かずに一緒に吸い込まれた華憐の胸を制服の上から触っていたみたいだ。
「きゃああああ!!どこに触っているのよ、このスケベ変態痴漢!?」
華憐は起き上がり王道に平手打ちをしようとするが、何も見えない為その手は空を切りそのままバランスを崩した。
「きゃあ!」
「うわっ!?」
華憐にそのまま押し倒される形で王道は後頭部を強かに打つ、鈍い痛みが走るのと同時に唇にも何か柔らかい感触がすると今度は華憐とキスをしていた。
「あなたって人は・・・覚悟は出来ているのでしょうね?」
「今回のは君が倒れ込んできたのが原因だろうが、俺だって好きで君とキスした訳じゃない!?」
王道は思わず言ってしまった事を後悔した、すぐ傍で華憐の泣き声をあげ始めたからだ。
「どうして、私のファーストキスがこんな男に・・・」
どう謝るべきか悩んでいると急に周囲が明るくなった、王道は華憐を抱き寄せる様にして庇おうとした。
「えっ、なっ!?」
動揺して離れようとする華憐の頭を軽く押さえ込む形で周囲を伺うと少し離れた所で、みどり先生や他の生徒達が横になって倒れていた。見た感じ全員無事みたいだ。
『何とか間に合ったみたいですね、この様な形でこちらの世界に招き入れてしまった事をお詫びします。神の器を持つ乙女達よ』
声がした方を振り向くと、そこには6人の全身を白いローブに覆われた者が立っていた。顔も隠されていたので性別も分からない。
「お前らは一体誰だ!何で俺達を誘拐した!?」
『これは失礼』
6人の中の1人がヴェールを外すと、長い金髪で水色の瞳を持った絶世の美女の顔が現れた。
『我々はあなた方の世界でいう異世界を収める者、6柱神とも呼ばれております。この度、神の器の命を狙う邪神の魔の手から救う為に少々強引な手段では有りましたが召喚させて頂きました・・・ってあれ!?』
美女は王道の顔をまじまじと見ながら、予想だにしていなかった言葉を口にした。
『あなたは何でここに居るのですか?』
どうやら俺はテンプレ王道の代名詞の1つである異世界召喚に巻き込まれてしまったようだ・・・。
「読んでいて悪いか?それと、俺の苗字はテンプレじゃなくて天符玲(あまふれ)だ!」
『テンプレ・王道を名前に持つ奴なんてお前だけしか居ないってw そういえば、再来週土曜のネトゲのイベントには参加するのか?』
「悪い、その日は10年ぶりに秋葉原に行こうと思っているんだ」
『そうか、もしも早く帰ってこれたのなら参加してくれよ。彼女の居ない寂しさをレイドボスにぶつけて発散するんだからな』
プツン、ツー、ツー、ツー。オタク仲間との電話での会話を終えると軽くため息を吐いた。
「まったく、天符玲 王道(あまふれ きみみち)なんて名前を付けた親にいい加減文句を言ってやりたくなるよ」
苗字がテンプレと読める点や下の名前も王道だった所為でオタク仲間達からは【テンプレ・王道】とからかわれていた。何となく悔しい気持ちを晴らす為に読みかけになっていたラノベに手を伸ばして再び読み始める王道、ジャンルは異世界ハーレム物だ。
(俺も異世界で色んな女性に好かれるハーレム生活をしてみたいな、きっと毎日が楽しいに違いない!妄想はこれ位にしておいて秋葉原に行ったら、まずはハーレム物の同人誌やラノベを買い漁っておかないとな)
結局明け方近くまでラノベを読み続けて仕事に遅刻しそうになった王道であった。
2週間後、王道は期待に胸を膨らませて秋葉原まで来たが10年の間にすっかり変わってしまった街並みに呆然として立ち尽くしてしまう。
「えっ、あの店やあそこの店はいつの間に閉店しちゃったの!?まるで浦島太郎状態じゃないか俺!」
大勢の人が行き交う交差点の真ん中で思わず立ち止まった時、後ろを歩いていた女子高生が王道とぶつかった。
「急に立ち止まらないでください。通行の邪魔です!」
「ちょっと華憐さん、その言い方は失礼ですよ。ウチの生徒がご迷惑を掛けてしまい申し訳御座いません」
「いえ、急に立ち止まってしまった俺の方も悪いですから」
「そうよ、あなたが原因なのだから謝るのはそっちよ」
やけに気位の高い娘だな、そう思いながら制服をよく見るとその姿に見覚えが有った。
(この独特の利休鼠色の制服は、明治の頃から続いているっていうお嬢様学校の華聖女学院じゃなかったか?前にTVで特集されていた記憶が有る)
「何、人の制服をじろじろ見て。気持ち悪いのだけど」
「それはすまなかった、ところでその制服って前にTVで見た華聖女学院の物だと思ったのだけど」
「はい、そうです。本日は課外授業の一環として幾つかのグループに分かれて都内を巡っております。あ、申し遅れました。わたくし、この5人の生徒達の引率をしています教師の風間 みどりと言います」
「あ、これはご丁寧にどうも。俺は天符玲 王道と言います。10年ぶりに秋葉原に来て街並みが変わっていたのに驚いて立ち止まってしまいすいませんでした」
そんな会話をしていると、いつの間にか歩行者用の信号が赤に変わっていて交差点内には王道に教師のみどりと華憐と呼ばれた女子高生達7人しか残されていなかった。
「しまった!信号がいつの間にか赤になってる、急いで渡りましょう」
『・・・・・ミツケタ』
足早に反対側に渡ろうとする王道達の耳にどこからか声が聞こえてきた。
「ちょっと、急いで渡ろうとしている時に変な声を出さないでくれませんか?」
「いや、俺じゃないよ。そう言う君の方じゃないのか!?」
「2人共、足元を見なさい!!」
みどりさんの叫びにも似た大きな声で王道と華憐は自分達の足元にどす黒い魔方陣の様な物が現れているのに気が付いた、慌てて魔方陣の外に出ようとするも脚が縫い合わされたかの様に動こうとしない。
「何だコレ、どうなっているんだ!?」
「悪戯にしては性質が悪すぎるわ、ふざけるのは止めて早く動ける様になさい!」
何度も脱出を試みるも失敗に終わる、そうこうしている間に魔方陣は徐々に紅く光り出して何かをカウントしている様にも見えた。すると今度は王道達の頭上でも変化が起きる。
「みどり先生!上、上を見て下さい!!」
黒縁眼鏡を掛けたポニーテールの娘が頭上を指差しているので見ると、王道の頭上に光り輝きながら白く渦巻く穴が新たに現れていた。そしてみどり先生を始めとする華聖女学院の生徒達が次々と白い穴に吸い込まれていった。
「きゃあ!誰か、誰か助けて!!」
華憐と呼ばれていた娘は最後まで懸命に抵抗をしているが、吸い込まれるのも時間の問題となっていた。また、足元の魔方陣の紅い光の輝きも増しており状況を飲み込めないまま王道は華憐の手を掴んでいた。
「お願い、その手を絶対に離さないで!」
「そ、そう言っても・・・・俺の力もそんなに長く保たないよ」
その時、王道の靴が脱げてしまい王道と華憐の2人はそのまま白い穴に吸い込まれてしまった。
「うわあああああああ!!」
「きゃああああ!?」
2人が吸い込まれると白い穴は閉じて何事も無かったかの様に青空が戻り、次の瞬間魔方陣は爆発を起こし交差点に大きな穴を作ったのだった。
その日の夕方のニュースは秋葉原で突如起きた爆発事故の情報で溢れかえっていた。
『本日、東京秋葉原の交差点で原因不明の爆発事故が発生し近くに居た会社員の男性と課外授業で訪れていた高校生と引率の教師が巻き込まれた模様です。現場に残されていた学生証や免許証等から巻き込まれたのは会社員の天符玲 王道さんと華聖女学院の生徒の焔 華憐さん・水木 奈央さん・黄田 美雷さん・光井 薫さん・黒川 門音さんと引率していた教師の風間 みどりさんの合わせて7名で現在も安否の確認が取れておりません』
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迂闊に動くと危ないと判断し、しゃがむ様にして手で辺りを探ると不意に右手に柔らかい感触がした。
「何だこれ?」
それは何か幾つかの布の様な物でその上から覆っているみたいだった、すると王道の隣から声が聞こえた。
「・・・ここはどこ?それと何、この変な感触は?」
どうやら王道は気付かずに一緒に吸い込まれた華憐の胸を制服の上から触っていたみたいだ。
「きゃああああ!!どこに触っているのよ、このスケベ変態痴漢!?」
華憐は起き上がり王道に平手打ちをしようとするが、何も見えない為その手は空を切りそのままバランスを崩した。
「きゃあ!」
「うわっ!?」
華憐にそのまま押し倒される形で王道は後頭部を強かに打つ、鈍い痛みが走るのと同時に唇にも何か柔らかい感触がすると今度は華憐とキスをしていた。
「あなたって人は・・・覚悟は出来ているのでしょうね?」
「今回のは君が倒れ込んできたのが原因だろうが、俺だって好きで君とキスした訳じゃない!?」
王道は思わず言ってしまった事を後悔した、すぐ傍で華憐の泣き声をあげ始めたからだ。
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「えっ、なっ!?」
動揺して離れようとする華憐の頭を軽く押さえ込む形で周囲を伺うと少し離れた所で、みどり先生や他の生徒達が横になって倒れていた。見た感じ全員無事みたいだ。
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『これは失礼』
6人の中の1人がヴェールを外すと、長い金髪で水色の瞳を持った絶世の美女の顔が現れた。
『我々はあなた方の世界でいう異世界を収める者、6柱神とも呼ばれております。この度、神の器の命を狙う邪神の魔の手から救う為に少々強引な手段では有りましたが召喚させて頂きました・・・ってあれ!?』
美女は王道の顔をまじまじと見ながら、予想だにしていなかった言葉を口にした。
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