異世界に飛ばされたら守護霊として八百万の神々も何故か付いてきた。

いけお

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第72話 最高(?)の武器のお披露目、今回の犠牲者は?

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待つ事数日、ようやくマルトさんの遺した設計図を元にした武器が完成した。式典を兼ねてお披露目する事が決まっていたので防具愛好会の方々も新しく生まれ変わった防具の姿に興味津々だ。

「ちょっと流石にコレは恥ずかしいよ」

珍しく護は嫌がっていた、式典の目玉として中央のステージで登場する事になったからだ。

「いいじゃないですか、マルトさんの本当の遺作となった訳ですから皆に見せてあげるべきです」

「私達も防具を装着した状態で居ますし、護1人だけじゃないですよ」

「護よ、マルトがどれだけ偉大な者だったのか世に広めるのもお前の大切な役目だ」

天照・トリー・オッサンが口々に言うが、何気にこの格好は着ている本人が1番恥ずかしいんだぞ!徐々にイライラしてきた護だったが、ふと良からぬ事を思い付いてどのタイミングで実行するか天照達に気付かれない様に考え始めた・・・。

トリーの歓迎式典と合わせてマルトさんの追悼会も同時に行われた、最初にマルトさんの冥福を祈る黙祷をその場に居る全員で捧げる。愛好会の皆さんとは葬送の宴をしたが、トリーファンクラブの皆さんは参加していなかったので会員達も黙祷をしたいと言うフローラさんの申し出を断ろうとする者は居なかった。黙祷の後は辛気臭い空気を振り払うかの様に愛好会のみんなが率先して場を盛り上げる。護達の自己紹介にもツッコミを入れたりして、皆を笑顔に変えてくれた。



式典も終盤となり、いよいよ1番の目玉マルトとフローラの合作となる武装鎧のお披露目の時を迎えた。

「これからマルトの遺した設計図を元に私が作った武器を組み込んだ正真正銘マルトの最後にして最高傑作の武装鎧のお披露目を行うがその前に一言だけ言わせて欲しい、皆も知っての通り護やトリー先生方はこの後スパウダと戦う事になる。我々が一緒では足手まといかもしれないが、後方の支援や精霊を用いた隣国との連携で協力出来ると思う。またスパウダの国境を越えるまで可能な限り負担を軽減出来る様にしたいので、皆で協力してスパウダとの戦いに勝利してもらおうじゃないか!!」

フローラの紹介と同時に中央のステージのカーテンの幕が開き、武装鎧を着込んだ護と防具を着込んだ天照達が皆の前に姿を現した。護の両肩には白いキャノン砲の様な筒が1つずつ付いており、自分の意思で自由に撃ち出す角度を調整出来る様になっていた。

ファンクラブや愛好会の皆が拍手喝采を始めて、天照達の気が緩んだほんの瞬間を護は見逃さなかった。即座にステージ上に説得(お仕置き)部屋を出すとステージの外で見ている人達に説明し始めた。

「このマルトさんの武装鎧を使って俺がどんな事をしようと思っているのか、実際にここで見せようと思います」

その言葉を聞いた天照達は顔面蒼白となりステージから脱兎の如く逃げ出す、しかし護は余裕の表情を浮かべながら

「逃がすか、折角だからお前らの痴態をみんなに見てもらえ」

そう言いながら両肩のキャノン砲から10本の手を放出する、手はあっという間に伸びると天照・トリー・ヤミ・チィ・ヒカリ・エマの6人だけで無く更になんとクロー・クロニ・クロミの3匹(人?)まで捕まえた。

「この腕はこんな使い方も出来ます」

残る1本で説得部屋の扉を器用に開けると、嫌がる天照達を引き摺りながら護は部屋の中に入りそれから翌日の昼まで破廉恥極まりないショーをファンクラブと愛好会の前で披露したのだった。

(あれと同じ事をスパウダの連中が喰らうの!?何だか戦いが始まる前から可哀想に思えてきた)

ファンクラブ会員・愛好会の同士達は皆同じ考えを抱いていたが、少しだけ気付かずにいた点が有った。それはこの部屋に連れ込まれるのは女性神族であって男性神族が入る事は無いからだ。そして男性神族に対して護がこの手をどの様に使うかまで考えなかったのはある意味正解だったかもしれない。最初にその様子を見た天照達は普段からは想像も出来ない護の残酷さに顔を背けてしまう程だった。



「フローラさん、どうも有難うございました。これで今後のスパウダとの戦いで俺も皆と同じだけ戦える様になれました」

(同じどころかそれ以上だ)

他の皆の心の声は護には届いていなかったが実際の所、護が得た力は確かに強力な物だった。自由自在に伸ばせる10本の手、しかもそれは気を変質させた物だからダメージを受ける心配も無い。1番凄い所は護が今後も気の総量を増やしただけ手の力も強くなり、女性神族が逃げ出せる可能性を0に等しくしてしまう事だった。お披露目の時点でヤミ・チィ・ヒカリの龍3人を軽々と捕まえているのだから既に逃げるのは絶望的かもしれないが・・・。

「私の方こそ、良い経験を積ませて頂きました。今後も精進してマルトの様な偉人と同等の職人を目指していきます」

フローラと握手すると護はリュームを出発して、スパウダとの国境を目指そうとした。だがその護の目の前にあったのは、ランベリーの正規軍数万が護達に対して敬礼している異様な光景だった。そして正規軍の列の中央をペガサスに跨りながら悠然と近づいてくるエルフの女性が護の前まで来ると馬から下馬して跪いた。

「初めまして、わたくしがランベリーを統べる妖精王のカリナと申します。この国を代表する偉大な作家トリー先生を娶られた護様のお噂はキスト入国以前より聞き及んでいました」

何だかトリーを妻にしただけなのに、英雄みたいな扱いをされて護は正直気まずかった。しかもトリーの書いていたのが官能小説なのだから尚更だ。カリナに立ち上がってもらおうと護が歩み寄ろうとした時、遠くから聞き覚えの有る声がした。

「護様~!!」

見ると何とそれは魔獣のガルムに乗った魔王クトアだった。クトアは一直線に護の前まで来るとそのまま護に抱き付きながら唇を重ね合わせる。

「護様の望み通り、キストの全軍をスパウダとの国境に集結させ終わりました。護様が攻め始めると同時にキスト全軍も直ちに侵攻を開始出来ます。待ちきれなくなってしまったので後事を側近に委ねてここまで来ちゃいました♪」

てへっ♪ っと舌を出しながらおどけるクトア。それを見て驚いているのは妖精王カリナやランベリーの正規軍だけで無く天照達も同様だった。

「母上!」

「お義母様!?」

ラメルとレミアはまさかクトアがこんな行動に出るとは予想もしていなかったのか、開いた口が塞がらない。

「あ、あのクトア殿?護様とは一体どの様なご関係で?」

カリナがようやくショックから立ち直り、恐る恐る聞いてみる。

「ああ、これは失礼したカリナ殿。護様にはスパウダの1件が終わった後に妻として娶って頂く約束を交わしているのだ」

クトアの一言は瞬く間に精霊を通じてランベリー国内に広がる、歴代で最も優れた為政者としての呼び名も高い魔王クトアを人族の男が妻に迎えようとしているのだ。しかも敬愛して止まぬ官能小説家トリーを既に娶っている。

(神守 護、恐るべし)

スパウダよりも警戒すべきなのはこの男の方ではないのか?ランベリー国民の多くがその後の護の行動を注意深く見守ろうと決意するのだった。
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