異世界に飛ばされたら守護霊として八百万の神々も何故か付いてきた。

いけお

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第56話 馬車の入手・・・改め魔改造犬車を創る。

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「さっきのラクシィの村では馬車が売ってなくて残念だったな、クロ」

「キストマデニ、アトヒトツ、マチアル、アキラメルノハ、マダハヤイ」

「ヤミやチィは人化の術を会得しているけど、クロも子犬の姿になれる術は覚えてないのかな?」

「シラナイ、マモルパパ、ソレオレニ、オシエテ」

「俺も知らないから聞いてみたんだよ、お前の今の姿を見て町の人が怖がるかもしれないから子犬の姿になれる術を見つける事が出来たら覚えようなクロ」

「ワカッタ」

クロは大人しく話を聞いてくれているが、内心はかなり残念がっていた。そんな事は尻尾の動きを見ればバレバレだ、短い期間かもしれないが一緒に寝たり遊んだりと共に過ごして来た時間は想像以上に長い。クロも俺が願いを叶えてくれようとしているのを理解しているから、出来るだけ感情を表に出さない様にしていた。

「あの護、何故馬車を町で購入するのですか?」

「クロがドッグランが小さくなったから、代わりに馬車を曳いて運動したいと言うから願いを叶えてあげようと思ってさ」

「いえ、そうでは無くて町で購入しなくてもクロ用の犬車を作れば良いのではありませんか?」

「あ・・・」

「ア・・・」

俺とクロはほぼ同時に簡単な事を忘れていた事に気が付いた、そうだクロ用の犬車を作れば良かったんだ。

「天照、犬車の神なんて居るのか!?」

「犬車に拘らなくても、乗り物の神で良いじゃないですか!?」

そうでした。

「よ~し!クロ、これからお前の為の犬車を作ってもらおうな!」

「オレウレシイ、オレイニカミサマ、マルカジリ」

それお礼になってないから!?気を取り直して、天照に乗り物の神様を呼び出してもらうとクロの身体の寸法を測ったり俺からも犬車に取り入れたい追加の装備等を聞いてきた。クロも身体を鍛える為に多少重い物を載せても構わないと言うので要塞の神も呼び出して移動中の襲撃対策もついでに検討する事となった。

「クロの負担も出来るだけ少なくしてやりたいから、犬車の軸にベアリングとか入れて回転し易くしてやってくれ」

俺とクロが交互に要望を言って改良を続ける事、ほぼ半日。ようやく一応の納得が出来る犬車が完成した。

「みんな、よく見てくれ。俺とクロの要望をほぼ全て取り入れたこの世界にも2台と存在しない犬車だ!」

(この世界だけじゃなく、元の世界にもこんな犬車は存在しません!?)

これが俺とクロを除いた他全員の感想である。まず外観は御者台部分も含めてやや縦長の広さ8畳の2階建ての馬車に一見見えるが実際は天井を少し低くした3階建てである。階段は各部屋の隅に設置して居住性を確保、雑魚寝になってしまうが今の俺たち全員で仮眠を取れるだけのスペースを作った。そして犬車の屋根はウイング状の開閉式となっていて、万が一神族に襲撃された際でも屋根を開く事ですぐに迎撃可能となっている。

「更に3階の床はOAフロアみたいな空間を作り武器置き場として活用してみた。ハンドミサイルやアサルトライフル等の銃火器に弾薬も有るから、もしもの時はこれを使用してくれ」

続いて、俺は御者台の説明を始めた。

「この御者台は防弾ガラスで覆う事で弓などの攻撃から身を守る事が可能だ、更にこのパネルを操作する事で屋根のレーダーを使用した周囲の索敵も出来る。後はトラックで見かけるルーフみたいに上の方に仮眠スペースも取り付けたから2人が交代で御者役を務める事が出来るぞ」

そこまで言ってから、俺は説明を聞いている男2人に声を掛けた。

「タケミカヅチとラメル、そんな訳でよろしく頼む」

『「確定かよ!?」』

「タケミカヅチが御者役をしている時は足を置く所に両足をそれぞれ挟む形の電極が有るから、それを使ってレーダー類を使用する為の電気を充電しておいてくれ」

『護よ、俺をどこまでも発電機代わりで使うつもりだな!?』

「ああ、そういえば2人にまだ言い忘れていた事が有るが御者台は3人が並んで座る事も可能で御者役のサポート役としてレミアに頼んでみたら快く引き受けてくれているからな」

『2人とも、クロに変な指示を出して犬車を横転させたりしないでね。それと・・・無理しないで小まめに交代する様にして頂戴』

俺からレミアに頼んだ形となっているが、実はレミアの方から俺に頼み込んできている。タケミカヅチ・ラメルと一緒に他の皆から邪魔をされない時間を過ごしたいとはレミアも自分に素直になってきているなと思った。

「それから、この犬車にはトイレは設置されていない」

「え~!?」×護以外の全員

「トイレを開閉した際の匂いや音を気にする人も居ると思ってあえて設置しなかった。その代わりに持ち運び可能の携帯トイレを全員分作ってもらった。各自で使用したい時に馬車を止めてもらって外で用を足す様にしてくれ。核シェルター並の耐久性や空気清浄機と防音壁も内臓して有るから好きな様に使って大丈夫だからね」

トイレで用を足す位で核シェルター並の耐久性とかは正直必要無いと思う、しかし護はその時に襲撃されたらいけないと考えて過剰な位に安全を求めてしまう様だ。

「とりあえずは、こんな感じかな?質問が無ければ、今日はここで泊まって明日朝一番に犬車で出発しよう」

この日はラクシィの村の近くで家(要塞?)を出して寝る事にした、そして翌日犬車を出してクロに繋いであげるとクロは大喜びで

「マモルパパ、ハヤクイコウ!ハヤクヒキタイ!!」

と急かしてきた。全員が犬車に乗り込む。御者台にはタケミカヅチ・レミア・ラメルの3人が並んで座っている。タケミカヅチとラメルは隣にレミアが座っているので緊張した面持ちだがレミアの方は無表情な様に見えるが微かに口元に笑みを浮かべていた。

「では、出発!クロ頼んだぞ」

「マカセテ、マモルパパ」

クロが犬車を曳き始めるが、音はほとんどしていない。更にサスペンションも軸の部分に加えてあるので中に居ても振動がほとんど伝わらないので快適そのものだった。

「クロはどれ位のスピードで走っているのかな?」

護は窓から外の様子を見てみる、景色が流れていく速度はまるで特急電車の様だった。

「車よりも早く移動する犬車って一体・・・」

半ば諦めてクロに全てを任せる事にした、この日クロは歩いて4日近く距離を1日で走りきりキストとの国境近くに在る町ペクチに着いてしまったのだった。



前話まで毎日最低1話更新を行ってきましたが、今後は中断している他の小説も再開させていくので2,3日おきの更新とさせて頂きます。毎回感想を送ってくださる、胼胝様には大変感謝しております。これからも面白いと思って頂ける様な話にしていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
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