詞詩集

鳥丸唯史(とりまるただし)

文字の大きさ
上 下
49 / 54

容赦

しおりを挟む
あなたは過去から暗がりをくぐってさ
まっすぐ歩いてきたトラウマなのか
寸分たがわぬ姿でえくぼをつくる
瞳だけは濁ってた

わたしは反芻する 胎児のポーズで
あれは悪夢か幻覚か

わたしは幸せか 安らいでいるか
監視をするため にじり寄るつもりか
勇気を出して 「元気?」と言った
お互いに微笑んでさ
「わたしは元気さ」

目覚まし時計が鳴る前に目覚めた
呆然しながら失望していた
鈍痛覚えるほどの遠い空だった
カーテンが揺らめいてた

運命の出会いに感謝するたびに
薄っぺらい思い出ばかり

わたしは毅然と前を向いたか
点数つけたら きっと赤点なんだろう
あなたはささやく 意味不明な羅列で
それでも背を伸ばして
わたしは生きてゆく

冷酷な悪魔に わたしはなれるだろう
誰が屍になろうと

前髪を切って あなたを見つめる
こわくないよ 正体が何でも
ひとりじゃないよ さみしくないよ
お互いに微笑んでさ
「わたしは元気さ」
しおりを挟む

処理中です...