詞詩集

鳥丸唯史(とりまるただし)

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ドルフィンガール

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癒しを求めるのは もうやめにしてよ
わたしだってずっと泳いでいるの

海がからいのはあんたのような弱虫がいるせいでしょ
わたしだって休みたいわ
波音に抱かれたいわ

いつまで泣きべそをかいているの?
気を引いているの? わたしのことを
もう大嫌い! そんな顔に水をかけちゃうわ
ドルフィンガール

カモメも言っているわ のん気なものね
クジラもイラついて潮を吹かせている

親離れできない子どもじゃないわ
もっとたくましくなってよ
もしわたしが強引な波に奪われたらどうするの

恰好のいいセリフ言えないの?
キスひとつで泡になる
人魚姫もあきれ顔よ 水をかけちゃうわ
ドルフィンガール

わたしの理想的な男とかけ離れているから
バタ足くらいまともにしてよ
大波は待ってくれない

わたしとつり合った泳ぎ方
全然できずに また泣き出す
ああ何だかもう 仕方ないから
癒してあげるわ ドルフィンガール

もうキスひとつで泡になる
人魚姫もあきれ顔よ 水をかけちゃうわ
ドルフィンガール
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