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マイナンバーカードの申請をして1週間がたった。
全く何も連絡がない。
相変わらず毎日仕事に追われて、遅い昼ご飯を食べようとカップラーメンをもって休憩スペースに行くと猫背の男が視界に入った
水田がひとりで弁当を食べている。
もう15時なのだが……
人のことを言えないが、こんな時間に昼ご飯とか、カスタマーも大変だな。
給湯室でカップラーメンにお湯を入れて休憩スペースにもどり水田の横の席に遠慮がちに腰をかけた。
「おつかれさま」
「あ……お疲れ様です」
「今、昼ですが」
水田の手元には手作り弁当があった。
奥さんが作ってるれているのか
こんなモサ男が結婚できて、俺は出来ない
何が違うんだろうなー
そんなことをボンヤリと考えながら、カップラーメンのフタを開けてかき混ぜた
「あ、そういえば、マイナンバーカードの連絡まだ届かないんですよ」
「それはそうですね」
「え?」
もくもくと食べて視線を合わせない水田は当たり前といった雰囲気だ
「郵送で連絡があるまで1ヶ月ぐらいかかります」
「そんなに!?」
「役所も忙しいんですよ。しかも本人確認がされないと受け取れない特定郵便の可能性もあります」
「俺、平日仕事遅いから、絶対受け取れないヤツだな」
「不在通知が入るでしょうね」
「そ、そうか。そんな1ヶ月とか、忘れそうだな……」
ラーメンを食べながらなかば諦めモードになっていた
「……1ヶ月後位に尋ねてあげますよ」
「おお!ありがたい!」
この時、こんな約束をしておいて正解だった。
毎日の仕事に追われて、俺は本当にこの郵便物の存在を見事に忘れていたのだ
1ヶ月後、水田からのチャット連絡にキョトンとした
『マイナンバーカード受け取れましたか?』
はて?マイナ?そんなシステム組み込まれていたか?
新しいプロジェクトか?
マイナンバーカード……
「あ……」
俺が間抜けな声を出すと隣の大中さんが睨んできた
最近どうも機嫌が悪い。
「なんですか戸川さん、また報告忘れている案件でもありましたか」
「いや、先日の会議報告はたまたま忘れてただけだから」
きっと本社のやつに俺のかわりにイヤミでも言われたのだろうが、触れないでおこう
それよりも、マイナンバーカードの郵便物だ
最近は真っ暗ななかフラフラになって家に帰り、ポストの中身を掴み、部屋に転がして内容なんで全く確認してなかった
まずいな……
一人暮らしの俺の部屋は控えめにいって、ゴミ部屋とかしている
『まだです。探してみます』
『探してみますとは?』
『不在通知が届いてないかを。見つからなかったら諦めます』
ハァ……と遠くに座っている水田のため息が聞こえてきた
これは、間違いなく俺が送ったチャットに対してのため息だろう
軽く5メートルは離れているのに聞こえるなんてよっぽどだ
水田の周りで一緒に働いている社員達は水田がどんな厄介な案件を抱えて悩んでいるのかとビクついているのがわかった
実際は俺のせいだ。すまん。
『探すの手伝いましょうか』
少し間が空いてから届いたメッセージの内容が少し意外な内容だった
水田になんの得もないのに、そう言ってくれることが素直に嬉しかったのだ
『ありがたい。よろしくお願いします』
俺は一瞬の嬉しさについよろしくしてしまった
この日仕事が終わって水田が俺の部屋に来ることになった
「なんか申し訳ないな」
「いえ」
「夜ごはんどこかで食べて行くか?」
「時間が勿体ないので」
た、たしかにもう21時だしな……
奥さんにはちゃんと連絡入れたのかな
「じゃあ、コンビニで何か買いましょう。俺がおごりますので」
「お構いなく」
そういう水田をおしきってコンビニで弁当などを買って俺の部屋に向かった
部屋の扉をあける前に俺は水田に念押しをした
「さっきも言いましたが……散らかってますからね」
「はい」
ガチャリと扉を開けて、散乱している靴をよけて入口に溜まっている荷物をよけて部屋の電気をつける
入口から奥の部屋まで足のふみ場だけが点々とある状態だ
水田は入口で固まっていた
「あ、いまスペースをあけるのでちょっと待ってくださいね」
「……想像以上ですね」
「はは、まぁ」
何とか部屋に水田が座れるスペースをあけて、テーブルの隅にコンビニ弁当を置いた
「どうぞ」
「……お邪魔します」
まるでアスレチックをしているようにバランスを取りながら点々とある足の踏み場を頼りに奥に進み、座れるスペースにたどり着いた
とにかく散らかっているゴミ部屋たが、一区画だけ異質な位キレイな所がある
パソコンにウルトラワイドモニター、キーボードの上には埃よけのマットにマイクにヘッドフォン、スピーカーも一流メーカーだ
そしてゲーミングチェアの存在感がスゴイ
「さすがエンジニアといった所ですかね」
「最近は休みの日にちょっと立ち上げるだけになってますけどねー」
俺はベットの上に腰をかけて取り出した弁当を食べはじめた
「とりあえず腹ごしらえから」
「……はぁ」
水田はちょっと困惑気味に弁当を取り出し食べだした
「多分、その辺にあると思うんですよ、不在通知かな」
「預かり期間が過ぎてない事を祈りましょう」
ひととおりおなかを満たした俺と水田は周りを見回しそれっぽい郵送物を探す
いつの間には、水田はごみ袋をみつけテキパキと片付けながらごみを集めている
「なんか本当申し訳ない」
「いえ、この方が効率がいいので。捨てていいかどうかわからないものはここに集めておきます」
黙々と仕分けと片付けをしている水田の手際が良く見惚れていると、一つの紙を手に取り水田が止まった
「これですね、不在通知」
確かに特定郵便物と書いてあり、まだ3日期限があった
「よかった」
「明日仕事終わりに取りに行って下さい」
「東郵便局か、仕方ない夜間受け取りに行くか」
「その郵便物の中身を確認して役所に取りに行く日程を連絡ですよ」
「お、おう」
目的の不在通知を見つけても水田が俺の部屋を片付ける手は止まる気配はなかった
なんだかんだと23時になるころには部屋の半分が片付いている状態だ
「水田さん、その、もう遅いですし」
「え?ああ、すみません。帰りますね」
「いえ、ありがとうございました」
ごみ袋3つが部屋の隅に積み重なっている
「では、お疲れさまでした。失礼します」
「はい、また明日」
「また……」
またの後に何か言いかけたが水田は視線を反らして部屋を帰っていった
全く何も連絡がない。
相変わらず毎日仕事に追われて、遅い昼ご飯を食べようとカップラーメンをもって休憩スペースに行くと猫背の男が視界に入った
水田がひとりで弁当を食べている。
もう15時なのだが……
人のことを言えないが、こんな時間に昼ご飯とか、カスタマーも大変だな。
給湯室でカップラーメンにお湯を入れて休憩スペースにもどり水田の横の席に遠慮がちに腰をかけた。
「おつかれさま」
「あ……お疲れ様です」
「今、昼ですが」
水田の手元には手作り弁当があった。
奥さんが作ってるれているのか
こんなモサ男が結婚できて、俺は出来ない
何が違うんだろうなー
そんなことをボンヤリと考えながら、カップラーメンのフタを開けてかき混ぜた
「あ、そういえば、マイナンバーカードの連絡まだ届かないんですよ」
「それはそうですね」
「え?」
もくもくと食べて視線を合わせない水田は当たり前といった雰囲気だ
「郵送で連絡があるまで1ヶ月ぐらいかかります」
「そんなに!?」
「役所も忙しいんですよ。しかも本人確認がされないと受け取れない特定郵便の可能性もあります」
「俺、平日仕事遅いから、絶対受け取れないヤツだな」
「不在通知が入るでしょうね」
「そ、そうか。そんな1ヶ月とか、忘れそうだな……」
ラーメンを食べながらなかば諦めモードになっていた
「……1ヶ月後位に尋ねてあげますよ」
「おお!ありがたい!」
この時、こんな約束をしておいて正解だった。
毎日の仕事に追われて、俺は本当にこの郵便物の存在を見事に忘れていたのだ
1ヶ月後、水田からのチャット連絡にキョトンとした
『マイナンバーカード受け取れましたか?』
はて?マイナ?そんなシステム組み込まれていたか?
新しいプロジェクトか?
マイナンバーカード……
「あ……」
俺が間抜けな声を出すと隣の大中さんが睨んできた
最近どうも機嫌が悪い。
「なんですか戸川さん、また報告忘れている案件でもありましたか」
「いや、先日の会議報告はたまたま忘れてただけだから」
きっと本社のやつに俺のかわりにイヤミでも言われたのだろうが、触れないでおこう
それよりも、マイナンバーカードの郵便物だ
最近は真っ暗ななかフラフラになって家に帰り、ポストの中身を掴み、部屋に転がして内容なんで全く確認してなかった
まずいな……
一人暮らしの俺の部屋は控えめにいって、ゴミ部屋とかしている
『まだです。探してみます』
『探してみますとは?』
『不在通知が届いてないかを。見つからなかったら諦めます』
ハァ……と遠くに座っている水田のため息が聞こえてきた
これは、間違いなく俺が送ったチャットに対してのため息だろう
軽く5メートルは離れているのに聞こえるなんてよっぽどだ
水田の周りで一緒に働いている社員達は水田がどんな厄介な案件を抱えて悩んでいるのかとビクついているのがわかった
実際は俺のせいだ。すまん。
『探すの手伝いましょうか』
少し間が空いてから届いたメッセージの内容が少し意外な内容だった
水田になんの得もないのに、そう言ってくれることが素直に嬉しかったのだ
『ありがたい。よろしくお願いします』
俺は一瞬の嬉しさについよろしくしてしまった
この日仕事が終わって水田が俺の部屋に来ることになった
「なんか申し訳ないな」
「いえ」
「夜ごはんどこかで食べて行くか?」
「時間が勿体ないので」
た、たしかにもう21時だしな……
奥さんにはちゃんと連絡入れたのかな
「じゃあ、コンビニで何か買いましょう。俺がおごりますので」
「お構いなく」
そういう水田をおしきってコンビニで弁当などを買って俺の部屋に向かった
部屋の扉をあける前に俺は水田に念押しをした
「さっきも言いましたが……散らかってますからね」
「はい」
ガチャリと扉を開けて、散乱している靴をよけて入口に溜まっている荷物をよけて部屋の電気をつける
入口から奥の部屋まで足のふみ場だけが点々とある状態だ
水田は入口で固まっていた
「あ、いまスペースをあけるのでちょっと待ってくださいね」
「……想像以上ですね」
「はは、まぁ」
何とか部屋に水田が座れるスペースをあけて、テーブルの隅にコンビニ弁当を置いた
「どうぞ」
「……お邪魔します」
まるでアスレチックをしているようにバランスを取りながら点々とある足の踏み場を頼りに奥に進み、座れるスペースにたどり着いた
とにかく散らかっているゴミ部屋たが、一区画だけ異質な位キレイな所がある
パソコンにウルトラワイドモニター、キーボードの上には埃よけのマットにマイクにヘッドフォン、スピーカーも一流メーカーだ
そしてゲーミングチェアの存在感がスゴイ
「さすがエンジニアといった所ですかね」
「最近は休みの日にちょっと立ち上げるだけになってますけどねー」
俺はベットの上に腰をかけて取り出した弁当を食べはじめた
「とりあえず腹ごしらえから」
「……はぁ」
水田はちょっと困惑気味に弁当を取り出し食べだした
「多分、その辺にあると思うんですよ、不在通知かな」
「預かり期間が過ぎてない事を祈りましょう」
ひととおりおなかを満たした俺と水田は周りを見回しそれっぽい郵送物を探す
いつの間には、水田はごみ袋をみつけテキパキと片付けながらごみを集めている
「なんか本当申し訳ない」
「いえ、この方が効率がいいので。捨てていいかどうかわからないものはここに集めておきます」
黙々と仕分けと片付けをしている水田の手際が良く見惚れていると、一つの紙を手に取り水田が止まった
「これですね、不在通知」
確かに特定郵便物と書いてあり、まだ3日期限があった
「よかった」
「明日仕事終わりに取りに行って下さい」
「東郵便局か、仕方ない夜間受け取りに行くか」
「その郵便物の中身を確認して役所に取りに行く日程を連絡ですよ」
「お、おう」
目的の不在通知を見つけても水田が俺の部屋を片付ける手は止まる気配はなかった
なんだかんだと23時になるころには部屋の半分が片付いている状態だ
「水田さん、その、もう遅いですし」
「え?ああ、すみません。帰りますね」
「いえ、ありがとうございました」
ごみ袋3つが部屋の隅に積み重なっている
「では、お疲れさまでした。失礼します」
「はい、また明日」
「また……」
またの後に何か言いかけたが水田は視線を反らして部屋を帰っていった
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