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8 ココの告白
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「ココ。首、蚊に刺されたの?」
妖狐はバッと手で首筋にあるキスマークを隠し顔を赤くした。
妖怪が蚊に刺される事なんてない
しかし、そんなことを知らない風花はポケットから人間が使うポケムヒというモノを出して
「塗る?」
と貸してくれた
妖狐は渋々、人間の塗り薬を塗った。
はぁー(ため息)
風花が鈍感で良かった……
風花は今日の午後には新幹線に乗って帰る予定だ
久しぶりに会って、ゆっくり話がしたかった妖狐だが、そういう訳にもいかなかった。
とりあえず、主様は大丈夫だった事を伝えると風花は良かったね!と笑顔で喜んだ
風花……
長くのびた黒い髪を風になびかせ
太陽の様に微笑む
その瞳、唇、頬、首、身体、足すべてが愛おしく感じる
風花の隣に座っていた妖狐は立ち上がり、岩に座っている風花の前で両膝を地面につけ、風花を見上げる
目を丸くして驚いている風花の手をすくいあげ静かに告げた
「風花……俺を風花の護妖にして欲しい」
妖狐の懇願する真剣な瞳に風花は戸惑った。
そんな風花を見て、妖狐は護妖とは何か知らないであろうと思い風花に説明をしようとした時、風花は真っ直ぐ妖狐の瞳をじっと睨み口を開いた
「いや!」
妖狐は一瞬、絶望感に襲われた
風花は俺を必要としていないのか
俺がいなくても大丈夫なのか……
「昔、近くのおばあちゃんに聞いたけど護妖っていうのになったら、ココに自由が無くなるのでしょ?そんなの可哀想だよ……」
風花が少し泣きそうな顔になる
妖狐はそんな風花を見て、俺の事を想って断った事に気が付く
「だって、ココは私の大切な……」
大切な……友達?
風花が言葉に詰まると妖狐は幸せそうな満面の笑みで微笑む
「大切な?」
「ぅー……もー!帰る!」
風花は一気に赤面して立ち上がり、照れ隠しをしながら祠を去った
その後ろ姿を見送る妖狐に風花は振り返り
「またね!ココ!」
太陽のように笑い手を振る風花をみて妖狐は微笑み返す
またね……か
妖狐は風花の護妖になることを覚悟していた
なのに自分の事を想って断った風花を想い苦笑いを浮かべた
妖狐はもう風花と普通?の友達でいられないと気が付いてしまった
この命を捧げても傍にいたい
あの小さく可愛かった子供の風花には抱かなかった感情が溢れる
早くしなくては、風花に妖狐が見えなくなる日が来てしまう
それまでに、なんとしても護妖にしてもらおう
それからというもの、妖狐は人間の事を調べるようになった
知れば知るほど人間が不可解で薄命で愚かな存在と思える
しかし、妖狐の中には風花という太陽がいる
風花の事がもっと知りたい
※護妖・・・・主の傍に仕え護衛する妖怪
人間と妖怪の血の契約にて成り立つ
主である人間が命が尽きれば、妖怪も死んでしまう
妖狐はバッと手で首筋にあるキスマークを隠し顔を赤くした。
妖怪が蚊に刺される事なんてない
しかし、そんなことを知らない風花はポケットから人間が使うポケムヒというモノを出して
「塗る?」
と貸してくれた
妖狐は渋々、人間の塗り薬を塗った。
はぁー(ため息)
風花が鈍感で良かった……
風花は今日の午後には新幹線に乗って帰る予定だ
久しぶりに会って、ゆっくり話がしたかった妖狐だが、そういう訳にもいかなかった。
とりあえず、主様は大丈夫だった事を伝えると風花は良かったね!と笑顔で喜んだ
風花……
長くのびた黒い髪を風になびかせ
太陽の様に微笑む
その瞳、唇、頬、首、身体、足すべてが愛おしく感じる
風花の隣に座っていた妖狐は立ち上がり、岩に座っている風花の前で両膝を地面につけ、風花を見上げる
目を丸くして驚いている風花の手をすくいあげ静かに告げた
「風花……俺を風花の護妖にして欲しい」
妖狐の懇願する真剣な瞳に風花は戸惑った。
そんな風花を見て、妖狐は護妖とは何か知らないであろうと思い風花に説明をしようとした時、風花は真っ直ぐ妖狐の瞳をじっと睨み口を開いた
「いや!」
妖狐は一瞬、絶望感に襲われた
風花は俺を必要としていないのか
俺がいなくても大丈夫なのか……
「昔、近くのおばあちゃんに聞いたけど護妖っていうのになったら、ココに自由が無くなるのでしょ?そんなの可哀想だよ……」
風花が少し泣きそうな顔になる
妖狐はそんな風花を見て、俺の事を想って断った事に気が付く
「だって、ココは私の大切な……」
大切な……友達?
風花が言葉に詰まると妖狐は幸せそうな満面の笑みで微笑む
「大切な?」
「ぅー……もー!帰る!」
風花は一気に赤面して立ち上がり、照れ隠しをしながら祠を去った
その後ろ姿を見送る妖狐に風花は振り返り
「またね!ココ!」
太陽のように笑い手を振る風花をみて妖狐は微笑み返す
またね……か
妖狐は風花の護妖になることを覚悟していた
なのに自分の事を想って断った風花を想い苦笑いを浮かべた
妖狐はもう風花と普通?の友達でいられないと気が付いてしまった
この命を捧げても傍にいたい
あの小さく可愛かった子供の風花には抱かなかった感情が溢れる
早くしなくては、風花に妖狐が見えなくなる日が来てしまう
それまでに、なんとしても護妖にしてもらおう
それからというもの、妖狐は人間の事を調べるようになった
知れば知るほど人間が不可解で薄命で愚かな存在と思える
しかし、妖狐の中には風花という太陽がいる
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※護妖・・・・主の傍に仕え護衛する妖怪
人間と妖怪の血の契約にて成り立つ
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