4 / 10
結婚契約
しおりを挟む
「あなたと私なら都合のいい結婚ができるんじゃない?」
クラリスから提案され、ハリーは慌てた。
「いや、ちょっと待ってくれ」
ハリー自身も考えなかったわけではないが、思いついた側から却下した案だ。それを彼女から出されるとは思ってもみなかった。
「私もあなたも結婚したい。お互いに事情を知っている。学生時代に友人として付き合えたんだから、性格が合わないということもないでしょう?」
「まあ、それはそうだが」
「あとは……魔術師は魔力の相性だったかしら?」
テーブル越しに手を取られて、ハリーは思わず固まる。白くて細いクラリスの指がハリーの手の甲をするりと撫でていった。
「特別良いわけでもないけれど、反発が起こるほど悪くもないわね。あなたはどう思う?」
「魔力の相性についてなら悪くないと思うが、結婚については待ってくれないか」
「どうして?」
「いや、どうしてって。……君は俺のことが好きだったりする、のか……?」
恐る恐る尋ねると、クラリスはあっさりと首を振った。わかっていたことだったが、それでもハリーは内心で肩を落とす。
「恋愛って意味なら違うけれど、友人としては好ましく思っているわ」
あのね、とクラリスは人差し指を立てる。こんな仕草は学生時代と変わらない。
「結婚って日常生活なのよ。ふわふわキラキラしたものだけでできているわけじゃないわ。そこに必要な情って、恋情ではなく友情でも構わないと思うの。信頼できる相手で、何かあっても話し合いで解決できそうな相手と考えると、あなたはこれ以上ない同居人だと思う」
「同居人ね……」
それにはハリーも賛成だけれど……。
「一年二年でまた離婚になるなら、俺にとっては意味がない」
「私にとってもそうよ。できるだけ長く続けたいわ」
「……それはもう同居じゃなくて結婚だろう?」
「ええ。だから、最初から結婚しましょうって言っているわ」
クラリスはきっぱりと言う。
彼女はやけになっているのではないか。
結婚なんて思い付きで決めていいことではない。自分だけの話ならともかく、クラリスの話なのだ。
ハリーは意を決して、口を開く。
「俺は、学生時代、君に憧れを抱いていたよ。婚約者がいるって聞いてすぐにあきらめたけれどね。高嶺の花が今になって目の前に落ちてきて、手を出さないでいられる自信がない。君と俺の『都合がいい』は等価ではないよ」
クラリスはハリーの告白に驚いていた。
「君は俺に抱かれるのは平気なのか?」
「………………」
クラリスはしばし絶句した。
これできっとこの話は終わりになる。
ハリーはそう思って、彼女の返事を待っていたのだが、考え込んだ彼女が出した結論はこうだった。
「あなたなら平気だと思う。生理的嫌悪感もないし……。一緒に暮らせると思えるほど信頼しているなら、他の人に見せないところまで見せることもできると思うわ」
「なっ……君は俺とできるって言うのか? 俺に恋愛感情はないのに?」
「誤解しないで! 誰とでもってわけじゃないわ」
クラリスは真っ赤になって否定する。
「あなたとだって積極的にしたいわけじゃない。あなたがしたいなら応えられると思うっていうだけ」
「俺が特別ってわけではないんだな……」
「そうね……そうなるわね……私の特別はもう……」
クラリスははっとした顔で、
「ごめんなさい。私、失礼なことを言っているわ」
「いや、いいよ」
今の彼女に対して恋愛感情があるわけではないけれど、二度目の失恋をした気分だった。
彼女を助けたい。自分なら助けられる。彼女からも請われている。
――そういう正の感情と同時に意趣返ししたい衝動も手伝って、ハリーはこう答えていた。
「わかった。結婚しよう」
それからは早かった。
数日のうちに婚姻届を用意し、仕事を調整してハリーはクラリスの実家を訪問した。
彼女の兄ウォルト・アンダーソン子爵の立ち合いのもと、婚姻届に署名する。
子爵にはおおむね本当のことを話してある。
学生時代の友人だったこと。魔術契約士であること。特許を持っていること。貴族としては底辺だが、国家資格を得た際に騎士爵に叙されていることなどから、なんとか理解してもらった。
――貴族相手にあっては、社会的立場はものを言う。
「クラリスが納得しているなら、犯罪の懸念があるならともかく、もう大人だから私がとやかく言うことでもない」
ウォルトはあきらめ半分といった様子でそう言った。四十前後の柔和な顔つきの紳士だ。
アンダーソン子爵名義で送った断りの手紙に、今だにラッセルから返事はないらしい。長引きそうだとウォルトも感じたそうで、その点からもハリーとの再婚は受け入れられた。
ハリーの離婚歴も取りざたされた。
「一度目は相手が私の秘書と駆け落ちしまして、二度目も相手から別に好きな人ができたからと離婚を切り出され……という具合です」
「君は女性に逃げられるようには見えないが」
そう言ったウォルトは、ハリーの不貞などを予想していたのだろう。
女性受けが悪くない容姿だと自覚してはいる。だから離婚の原因が相手にあると話すと驚かれるのだ。
ハリーは茶化すように肩をすくめてみせた。
「家庭に向かないんですよ」
「私の好きな人はもう手が届かないところにいるから、私は逃げたりしないわ」
「期待しているよ」
クラリスの言にハリーが笑うと、ウォルトは微妙な顔をした。
「二人がそれでいいなら、私が言うことはないがなぁ」
婚姻届のあと、ハリーは魔術契約書を取り出した。
指輪を二つ、その上に乗せる。
「これは?」
クラリスには説明済みで、首を傾げたのはウォルトだけだ。
「私が王都で名を上げたきっかけが、この結婚契約です」
「結婚契約? 初めて聞くなぁ」
一度目の離婚のあとに考案した魔術契約で、ハリーの持つ特許はこの契約に使う魔道具だ。
「この指輪は魔道具です。結婚を続けられないと思ったとき、相手が持つ指輪の石の色が変わって知らせます」
ハリーは契約書の条文を指さす。
「どちらかの魔道具の色が変わったときには速やかに話し合いを持つ。話し合いのあとも気持ちが変わらない場合は離婚する。――期間や罰則は夫婦ごとに変えますが、これが結婚契約です」
仲人や互いの実家など、第三者にも伝わるようにする場合もある。
罰則は、金銭よりも、声が出なくなったり四肢に異常が現れたりといった身体に関わるものが主流だ。契約を履行するか破棄すれば元に戻る。魔術契約は古代魔術の呪いの流れを汲むため、不穏な面がある。だからこそ国家資格がないと就けない職だった。
「これは一番標準的な契約です。話し合いの期間は三か月、罰則は声が出なくなる。――ご希望があれば今ここで書き直しますのでおっしゃってください」
ウォルトはクラリスに目を向けた。
「妹が了承しているなら、私から付け足すことはない」
「それでは」
ハリーは自ら署名し、ソファの隣に座るクラリスにペンと書類を渡す。
クラリスは『クラリス・フォーグラフ』と署名した。家名を書くときに一瞬彼女の手が止まったことに気づき、やはり彼女の方がより負担が大きい結婚だったとハリーは改めて思った。
「これでいいかしら」
「ああ、ありがとう」
ハリーは二人の署名がそろった書類を目の前に置く。
自分の魔術契約を行うのは久しぶりだ。前回の離婚時に、結婚契約を解除して以来になる。
書類の下部に魔術陣を描いた。
「木蓮の白、樅の葉が刺す藍。古の潮流を辿り、魔術契約士ハリー・フォーグラフが宣言する。この札に名前を記せし両名、契約をなす。大地よ、大海よ、大気よ。見届けよ」
呪文を唱えると魔術陣が光る。
息を飲んだのはウォルトだろう。
光は一瞬で消えた。魔術陣の黒だったインクは藍色に変わっている。魔術契約が成功した証だった。
ハリーは自分用の指輪を自ら嵌め、クラリスに一方を渡した。
ハリーが持つのは赤い石、クラリスの方は藍色の石がついている。相手の気持ちが変わったときは石が白くなる。常時起動の魔術陣は小さくて済むため、日常の邪魔にならない程度の大きさだ。
「まあ」
クラリスは小さく声を上げて、くすりと笑う。
「たぶん、そういうところね」
「え?」
聞き返すハリーにクラリスは左手を差し出した。薬指には華奢な白金の指輪が嵌っている。前夫エルトン・レインとの結婚指輪だ。
さすがのハリーも理解する。
「なるほど」
どの指か少し迷った末、ハリーは彼女の薬指に二つ目の指輪を嵌めたのだ。
クラリスから提案され、ハリーは慌てた。
「いや、ちょっと待ってくれ」
ハリー自身も考えなかったわけではないが、思いついた側から却下した案だ。それを彼女から出されるとは思ってもみなかった。
「私もあなたも結婚したい。お互いに事情を知っている。学生時代に友人として付き合えたんだから、性格が合わないということもないでしょう?」
「まあ、それはそうだが」
「あとは……魔術師は魔力の相性だったかしら?」
テーブル越しに手を取られて、ハリーは思わず固まる。白くて細いクラリスの指がハリーの手の甲をするりと撫でていった。
「特別良いわけでもないけれど、反発が起こるほど悪くもないわね。あなたはどう思う?」
「魔力の相性についてなら悪くないと思うが、結婚については待ってくれないか」
「どうして?」
「いや、どうしてって。……君は俺のことが好きだったりする、のか……?」
恐る恐る尋ねると、クラリスはあっさりと首を振った。わかっていたことだったが、それでもハリーは内心で肩を落とす。
「恋愛って意味なら違うけれど、友人としては好ましく思っているわ」
あのね、とクラリスは人差し指を立てる。こんな仕草は学生時代と変わらない。
「結婚って日常生活なのよ。ふわふわキラキラしたものだけでできているわけじゃないわ。そこに必要な情って、恋情ではなく友情でも構わないと思うの。信頼できる相手で、何かあっても話し合いで解決できそうな相手と考えると、あなたはこれ以上ない同居人だと思う」
「同居人ね……」
それにはハリーも賛成だけれど……。
「一年二年でまた離婚になるなら、俺にとっては意味がない」
「私にとってもそうよ。できるだけ長く続けたいわ」
「……それはもう同居じゃなくて結婚だろう?」
「ええ。だから、最初から結婚しましょうって言っているわ」
クラリスはきっぱりと言う。
彼女はやけになっているのではないか。
結婚なんて思い付きで決めていいことではない。自分だけの話ならともかく、クラリスの話なのだ。
ハリーは意を決して、口を開く。
「俺は、学生時代、君に憧れを抱いていたよ。婚約者がいるって聞いてすぐにあきらめたけれどね。高嶺の花が今になって目の前に落ちてきて、手を出さないでいられる自信がない。君と俺の『都合がいい』は等価ではないよ」
クラリスはハリーの告白に驚いていた。
「君は俺に抱かれるのは平気なのか?」
「………………」
クラリスはしばし絶句した。
これできっとこの話は終わりになる。
ハリーはそう思って、彼女の返事を待っていたのだが、考え込んだ彼女が出した結論はこうだった。
「あなたなら平気だと思う。生理的嫌悪感もないし……。一緒に暮らせると思えるほど信頼しているなら、他の人に見せないところまで見せることもできると思うわ」
「なっ……君は俺とできるって言うのか? 俺に恋愛感情はないのに?」
「誤解しないで! 誰とでもってわけじゃないわ」
クラリスは真っ赤になって否定する。
「あなたとだって積極的にしたいわけじゃない。あなたがしたいなら応えられると思うっていうだけ」
「俺が特別ってわけではないんだな……」
「そうね……そうなるわね……私の特別はもう……」
クラリスははっとした顔で、
「ごめんなさい。私、失礼なことを言っているわ」
「いや、いいよ」
今の彼女に対して恋愛感情があるわけではないけれど、二度目の失恋をした気分だった。
彼女を助けたい。自分なら助けられる。彼女からも請われている。
――そういう正の感情と同時に意趣返ししたい衝動も手伝って、ハリーはこう答えていた。
「わかった。結婚しよう」
それからは早かった。
数日のうちに婚姻届を用意し、仕事を調整してハリーはクラリスの実家を訪問した。
彼女の兄ウォルト・アンダーソン子爵の立ち合いのもと、婚姻届に署名する。
子爵にはおおむね本当のことを話してある。
学生時代の友人だったこと。魔術契約士であること。特許を持っていること。貴族としては底辺だが、国家資格を得た際に騎士爵に叙されていることなどから、なんとか理解してもらった。
――貴族相手にあっては、社会的立場はものを言う。
「クラリスが納得しているなら、犯罪の懸念があるならともかく、もう大人だから私がとやかく言うことでもない」
ウォルトはあきらめ半分といった様子でそう言った。四十前後の柔和な顔つきの紳士だ。
アンダーソン子爵名義で送った断りの手紙に、今だにラッセルから返事はないらしい。長引きそうだとウォルトも感じたそうで、その点からもハリーとの再婚は受け入れられた。
ハリーの離婚歴も取りざたされた。
「一度目は相手が私の秘書と駆け落ちしまして、二度目も相手から別に好きな人ができたからと離婚を切り出され……という具合です」
「君は女性に逃げられるようには見えないが」
そう言ったウォルトは、ハリーの不貞などを予想していたのだろう。
女性受けが悪くない容姿だと自覚してはいる。だから離婚の原因が相手にあると話すと驚かれるのだ。
ハリーは茶化すように肩をすくめてみせた。
「家庭に向かないんですよ」
「私の好きな人はもう手が届かないところにいるから、私は逃げたりしないわ」
「期待しているよ」
クラリスの言にハリーが笑うと、ウォルトは微妙な顔をした。
「二人がそれでいいなら、私が言うことはないがなぁ」
婚姻届のあと、ハリーは魔術契約書を取り出した。
指輪を二つ、その上に乗せる。
「これは?」
クラリスには説明済みで、首を傾げたのはウォルトだけだ。
「私が王都で名を上げたきっかけが、この結婚契約です」
「結婚契約? 初めて聞くなぁ」
一度目の離婚のあとに考案した魔術契約で、ハリーの持つ特許はこの契約に使う魔道具だ。
「この指輪は魔道具です。結婚を続けられないと思ったとき、相手が持つ指輪の石の色が変わって知らせます」
ハリーは契約書の条文を指さす。
「どちらかの魔道具の色が変わったときには速やかに話し合いを持つ。話し合いのあとも気持ちが変わらない場合は離婚する。――期間や罰則は夫婦ごとに変えますが、これが結婚契約です」
仲人や互いの実家など、第三者にも伝わるようにする場合もある。
罰則は、金銭よりも、声が出なくなったり四肢に異常が現れたりといった身体に関わるものが主流だ。契約を履行するか破棄すれば元に戻る。魔術契約は古代魔術の呪いの流れを汲むため、不穏な面がある。だからこそ国家資格がないと就けない職だった。
「これは一番標準的な契約です。話し合いの期間は三か月、罰則は声が出なくなる。――ご希望があれば今ここで書き直しますのでおっしゃってください」
ウォルトはクラリスに目を向けた。
「妹が了承しているなら、私から付け足すことはない」
「それでは」
ハリーは自ら署名し、ソファの隣に座るクラリスにペンと書類を渡す。
クラリスは『クラリス・フォーグラフ』と署名した。家名を書くときに一瞬彼女の手が止まったことに気づき、やはり彼女の方がより負担が大きい結婚だったとハリーは改めて思った。
「これでいいかしら」
「ああ、ありがとう」
ハリーは二人の署名がそろった書類を目の前に置く。
自分の魔術契約を行うのは久しぶりだ。前回の離婚時に、結婚契約を解除して以来になる。
書類の下部に魔術陣を描いた。
「木蓮の白、樅の葉が刺す藍。古の潮流を辿り、魔術契約士ハリー・フォーグラフが宣言する。この札に名前を記せし両名、契約をなす。大地よ、大海よ、大気よ。見届けよ」
呪文を唱えると魔術陣が光る。
息を飲んだのはウォルトだろう。
光は一瞬で消えた。魔術陣の黒だったインクは藍色に変わっている。魔術契約が成功した証だった。
ハリーは自分用の指輪を自ら嵌め、クラリスに一方を渡した。
ハリーが持つのは赤い石、クラリスの方は藍色の石がついている。相手の気持ちが変わったときは石が白くなる。常時起動の魔術陣は小さくて済むため、日常の邪魔にならない程度の大きさだ。
「まあ」
クラリスは小さく声を上げて、くすりと笑う。
「たぶん、そういうところね」
「え?」
聞き返すハリーにクラリスは左手を差し出した。薬指には華奢な白金の指輪が嵌っている。前夫エルトン・レインとの結婚指輪だ。
さすがのハリーも理解する。
「なるほど」
どの指か少し迷った末、ハリーは彼女の薬指に二つ目の指輪を嵌めたのだ。
42
お気に入りに追加
128
あなたにおすすめの小説
婚姻契約には愛情は含まれていません。 旦那様には愛人がいるのですから十分でしょう?
すもも
恋愛
伯爵令嬢エーファの最も嫌いなものは善人……そう思っていた。
人を救う事に生き甲斐を感じていた両親が、陥った罠によって借金まみれとなった我が家。
これでは領民が冬を越せない!!
善良で善人で、人に尽くすのが好きな両親は何の迷いもなくこう言った。
『エーファ、君の結婚が決まったんだよ!! 君が嫁ぐなら、お金をくれるそうだ!! 領民のために尽くすのは領主として当然の事。 多くの命が救えるなんて最高の幸福だろう。 それに公爵家に嫁げばお前も幸福になるに違いない。 これは全員が幸福になれる機会なんだ、当然嫁いでくれるよな?』
と……。
そして、夫となる男の屋敷にいたのは……三人の愛人だった。

純白の牢獄
ゆる
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

傷心令嬢と氷の魔術師のスパイス食堂
ゆちば
恋愛
【スパイスオタク令嬢×傲慢魔術師×歪んだ純愛】
王国の男爵令嬢フィーナは、薬師業の傍ら、大好きなスパイス料理の研究をしているスパイスオタク。
ところが、戦地に遠征中の婚約者の帰りをひたすら待つ彼女を家族は疎み、勝手に縁談を結ぼうとしていた。
そのことを知ったフィーナは家出を計画し、トドメに「婚約者は死んだのよ!」という暴言を吐く義妹をビンタ!!
そして実家を飛び出し、婚約者がいるらしい帝国を目指すが、道中の森で迷ってしまう。
そこで出会ったのは、行き倒れの魔術師の青年だった。
青年を救うため、偶然見つけた民家に彼を運び込み、フィーナは自慢のスパイス料理を振る舞う。
料理を食べた青年魔術師は元気を取り戻し、フィーナにある提案をする。
「君にスパイス料理の店を持たせてあげようってコトさ。光栄だろ?」
アッシュと名乗る彼は、店を構えれば結婚資金を稼ぎながら、行方知れずの婚約者の情報を集めることができるはずだと言う。
甘い言葉に釣られたフィーナは、魔術師アッシュと共に深夜限定営業の【スパイス食堂】をオープンさせることに。
じんわりと奥深いスパイス料理、婚約者の行方、そして不遜で傲慢で嫌味でイケメンなアッシュの秘密とは――?
★全63話完結済み
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
呪いを受けて醜くなっても、婚約者は変わらず愛してくれました
しろねこ。
恋愛
婚約者が倒れた。
そんな連絡を受け、ティタンは急いで彼女の元へと向かう。
そこで見たのはあれほどまでに美しかった彼女の変わり果てた姿だ。
全身包帯で覆われ、顔も見えない。
所々見える皮膚は赤や黒といった色をしている。
「なぜこのようなことに…」
愛する人のこのような姿にティタンはただただ悲しむばかりだ。
同名キャラで複数の話を書いています。
作品により立場や地位、性格が多少変わっていますので、アナザーワールド的に読んで頂ければありがたいです。
この作品は少し古く、設定がまだ凝り固まって無い頃のものです。
皆ちょっと性格違いますが、これもこれでいいかなと載せてみます。
短めの話なのですが、重めな愛です。
お楽しみいただければと思います。
小説家になろうさん、カクヨムさんでもアップしてます!


嫌われ王妃の一生 ~ 将来の王を導こうとしたが、王太子優秀すぎません? 〜
悠月 星花
恋愛
嫌われ王妃の一生 ~ 後妻として王妃になりましたが、王太子を亡き者にして処刑になるのはごめんです。将来の王を導こうと決心しましたが、王太子優秀すぎませんか? 〜
嫁いだ先の小国の王妃となった私リリアーナ。
陛下と夫を呼ぶが、私には見向きもせず、「処刑せよ」と無慈悲な王の声。
無視をされ続けた心は、逆らう気力もなく項垂れ、首が飛んでいく。
夢を見ていたのか、自身の部屋で姉に起こされ目を覚ます。
怖い夢をみたと姉に甘えてはいたが、現実には先の小国へ嫁ぐことは決まっており……
竜神に愛された令嬢は華麗に微笑む。〜嫌われ令嬢? いいえ、嫌われているのはお父さまのほうでしてよ。〜
石河 翠
恋愛
侯爵令嬢のジェニファーは、ある日父親から侯爵家当主代理として罪を償えと脅される。
それというのも、竜神からの預かりものである宝石に手をつけてしまったからだというのだ。
ジェニファーは、彼女の出産の際に母親が命を落としたことで、実の父親からひどく憎まれていた。
執事のロデリックを含め、家人勢揃いで出かけることに。
やがて彼女は別れの言葉を告げるとためらいなく竜穴に身を投げるが、実は彼女にはある秘密があって……。
虐げられたか弱い令嬢と思いきや、メンタル最強のヒロインと、彼女のためなら人間の真似事もやぶさかではないヒロインに激甘なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:4950419)をお借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる