女子小学五年生に告白された高校一年生の俺

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友達以上彼女未満

12話 悪意

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月曜日の朝。

昨日の優里ちゃんとの、
事を思い出すと、
たまらなくはずかしいが、
家を出た。

「おはよう・・・」

「おはようございます・・・」

無言のまま、時は過ぎる・・・。

「うれしかったです・・・」

優里ちゃんが話してくれた。

「僕もだよ」

会話はほとんどなく、
でも、暖かい気持ちで、
学園に着いた。

「優里ちゃん、またね?」

「はい、お兄さん」

暖かい気持ちのまま、登校する。

昼休み。

涼と中庭にて話をする。

「昨日は惜しかったな?」

「悔しいけど、
アピールは出来たし、及第点かな」

「そうだな。
得点の原動力になっていたからな」

「また試合があれば見に行くよ」

「嬉しいな。
君達の応援は力になったからね」

「そう言ってくれると、
こっちも嬉しいな」

「僕も君達の事を応援するよ」

「それは、まあ、その、ありがとう」

「もう、デレデレだね?」

「うるせーよ」

笑いあって、昼休みは終わった。

「やっぱりこれを見ないと力がでないわね!」

「そうですね!会長!」

もう・・・知らん・・・。

放課後。

三人組のクラスメートが、
話しかけてきた。

あんまり素行のよろしくない奴らで、
特に話した事はなかった。

ニヤニヤとした顔で、

「お前さー。
小学生と付き合ってるってマジ?」

ギクッとした。

「ファミレスで仲良くデートしてたらしいじゃん?」

「俺が見ちゃったんだよねー」

「どうなんだよ?」

三人は次々に話かけてきた。

クラスメートも、
こちらに注目していた。

嘘をつけばいい。
仲の良い友達だって。

しかし、それは出来ない。

自分の気持ちに、
嘘はつきたくなかった。

「ああ、付き合ってるよ」

三人は笑いだし、

「お前!ロリコンかよ!」

「ロリコン!ロリコン!」

囃し立てる三人。

「君達の頭の中は小学生以下かい?」

涼が加勢してくれた。

「なんだと!」

「優人は悩んでいた。
でも彼女の真っ直ぐな気持ちを、
真剣に考えて答えをだしたんだ」

「涼・・・」

素直に嬉しかった・・・。

「だから、どうしたってんだ!
結局は小学生に、
手を出した気持ち悪いやつじゃないか!?」

「女子達はどう思う?」

シーンとしていた空気の中、
涼はクラスの女子達に問いかけた。

「あっ!あたし見たことあるかも?
朝練の時に、
犬飼君がおんぶしてた子!?」

運動部の一人の女子が聞いてくる。

涼が、
「そうだよ。
体調不良の彼女を助けてあげたんだ」
と答える。

「そっかー!
それは好きになっちゃうよね!」

「なるなる!同級生の男子なんか子供にしか見えなかったもんねー!」

「助けてくれた・・・。
優しいお兄さん!
たまんない、
シチュエーションだよね!」

女子達は、
きゃーきゃー話ながら聞いてきた。

「犬飼君!どんな風に、
付き合うことになったの!?」

俺は、
事情を説明した。

「その女の子!頑張ったわね!」

「うんうん!
私も登校中にすれ違う先輩に、
ドキドキしたなぁ!」

「わかる!わかる!」

女子達は、
完全にこちらの味方だった。

「だけど!こいつは手をだした、
変態野郎じゃねぇかよ!」

「なに、言ってんのよ?」

「彼女の気持ちに、
応えてあげただけじゃん」

「そうそう。真剣に考えて彼女に、
自分の気持ちを、
伝えてあげたんでしょ」

「何がいけないのよ」

「本当、同級生の男の子なんて、
子供が多いわよね」

「そうそう!」

「うるさいし、ちゃんと掃除とかしないしさー」

「涼君と犬飼君は、
ちゃんとやってくれるよねー」

「そうそう!
真面目で優しいしさ!」

「あんた達、ひがんでるだけでしょ」

「だよねー!」

「だって、女子達でないわーって、
話す奴らだもんねー!」

「だっさー!」

きゃははははは!

女子全員が三人組に、
強烈な攻撃をしかける。

いたたまれなくなった彼らは、

「俺の母さんは、
PTAの会長なんだからな!
お前らの事、問題にしてやる!」

「本当にダサいわねー」

「本当、本当」

「だから彼女出来ないのよ」

女子達は容赦ない・・・。
可哀想になってきた・・・。

「覚えてろよ!」

逃げていった。

「頑張ってね!私達は応援するよ!」

「優しくしてあげてね!」

「そうそう!」

「ありがとうね皆、涼もありがとう」

俺は泣きそうになっていた・・・。

「気にするなよ。言ったろ?
応援するって」

涼が笑ってくれた。

俺は本当に人に恵まれている。
改めて実感した。

そして、そのまま帰宅する。

夕食中に、今日の出来事を話し、
いつか保護者として、
呼ばれるかもしれないと話した。

両親は、
「まかせなさい!」
と、言ってくれた。

凜は、
「私も行く!」
と、言ったが断った。

「なんでよー!」

「どうしてもだ。
後、優里ちゃんには、
絶対に伝えるなよ?」

「なんでよ?」

「悲しませたくない。
自分のせいで俺に迷惑をかけた、
と思われたくないからな」

「わかった!絶対に言わないよ!」

「ありがとう」

夕食を終えた俺は、
真矢さんに電話をかけた。

数回のコールの後、

「あら、優人くん、どうしたの?」

「すいません。実はですね・・・」

今日の事情を説明した。

「そう・・・。大変だったわね」

「いえ、御迷惑をおかけして、
申し訳ありません」

「気にする事はないわ」

「優里ちゃんには、
伝えないでいただけますか?」

「ありがとう、優人君」

「いえ、ではお願いします」

そして、通話を終えた。

今日は大変な一日だった。

優里ちゃんにいつも通り、
メッセージを送る。

心身ともに、疲れはてた俺は、
すぐに眠りについた・・・。
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