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238話 消せない炎
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「一体何がどうなってやがる!」
俺はワープゲート経由でリンドヴルムのコックピットに戻ると、ぼやき気味に中に居るミネルバに尋ねた。
コックピットの中は相変わらず後ろ方向へのGと縦や横への揺れで酷いありさまだ。
前回の経験を元に内部をG対策に魔力で満たし、機体の操作権をミネルバからもらう。
「分からない……。それよりもアレ……」
「はぁ!? なんでヴァルガラックがまだ居るんだ!?」
ミネルバに促されるまま視線を地表に向けると、撃破したはずのヴァルガラックが森の中の地面にめり込んだ姿で確認した。
地面を抉った跡が続き、長い距離を引きずって停止したのが見て取れた。
奴を仕留めた時、必殺の攻撃で全損させた確かな手応えがあった。
なのにあれが五体満足――特に胴体が無傷となると、考えられるのは〝手応えは勘違いでした〟か〝俺のクラウ・ソラスを耐えきった〟か、もしくは〝超再生力で死んでませんでした〟くらいなものだ。
逃げたにしたって間和えられるのはワープゲートだけど、ワープゲートならその予兆くらいは複合索敵魔法が何かしらの予兆を捉えるはずだ。
それが無いってことは、やっぱり死んでませんってか?
ただ気になるのは、バラドリンドの勇者たちをを倒したあの荒野に居たことだ。
それにアーヴィンとカリオペの鬱陶しいやりとりや、それを羨むユーベルトをまた見る羽目になったのも説明がつかない。
時間が巻き戻りでもしない限り。
「……まさか、本当に時間が巻き戻ったとか言わないよな?」
俺の突拍子もないつぶやきに、ミネルバが目を見開いてこちらへ振り返る。
そんな馬鹿なと一笑に付したいところだが、身近にルージュという時を止めるチートスキル持ちが居るおかげでその可能性が否定できない。
それを察してかミネルバも反論せず、「ん~……」と小さく唸りながら頭を左右に振る。
「仮に時間が巻き戻ってたとして、その条件はなんだ? 時間はどれくらい戻るんだ? そもそも時間を巻き戻せる奴をどうやって倒す?」
奴の攻略方法を模索するも、即座に出てくれない答えに焦り、〝なぜ?〟の言葉だけで頭の中が埋め尽くされる。
まるで泥沼に沈められてぐちゃぐちゃにかき回されているみたいに思考が前に進まない。
「発動条件は死ぬこと……? 時間はここにリシアが居なかったのと巻き戻る前の戦闘時間を逆算して10分くらい……。巻き戻る前の記憶があるのは……それも能力の効果……?」
「天才かよ」
思考がまとまらない俺に代わり、ミネルバが冷静に状況を分析してくれた。
俺が使える魔法のほぼすべてを使いこなし、今もこうして助言をくれる頭の良さ。
最近では彼女のことを自分の上位互換なのではと思い始めている俺ガイル。
「けど自分で言っててあれだけど、なんだよ死に戻りって。巻き戻った記憶が相手にも残るのは致命的だとしても、ルージュの時間停止より卑怯過ぎだろ」
「巻き戻る時間は10分じゃなくて、決まった時間に戻る可能性もある……。〝セーブポイントの場所と時間まで〟とか……?」
「それ異世界モノのアニメで観たわ。敵にしたらものすごく面倒くさい奴な。あと巻き戻ったせいで影剣さんたちのところに飛ばされたけど、影剣さんたちは巻き戻る前の記憶は持ってないみたいだった」
「記憶の持ち越しが〝アレの死の原因になっていた〟とか、〝アレが死んだときに近くに居た〟とか……?」
「あぁ、それならあの時あの場所に居た俺たちだけが巻き戻る前の記憶を持っていたのにも説明がつくな。けど死ぬときに近くに居たって条件だった場合、遠距離で仕留めたら記憶を保持してるアイツだけにアドバンテージを与えることになるのは困りものだな」
「倒すなら近距離一択……はぁ……」
基本的に遠距離戦しか出来ないミネルバが特大のため息を吐く。
近距離に居なくても記憶が保持できることを願いたいが、そんな都合の良い願望には縋れない。
「それか……私たちは敵の現実改変攻撃を受けている……!」
「げんじつかいへんこうげき?」
「確保・収容・保護……」
「……あぁ、SCPの現実改変能力か」
「ちー……」
元の世界の一部オカルト界隈で流行っている創作ネタがミネルバの口から飛び出した。
現実改変とは読んで字のごとく、現実に干渉し望むままに事象を捻じ曲げ改変する特殊能力のことである。
従魔が主人の記憶を持っているのはつい先日聞いたが、そんなマニアックなオカルト知識まで保有されても困惑しかない。
「どっちにしろ今のうちになんとかしたいところだけど、どうしたもんかなぁ」
殺すだけなら何とでもできるが、死に戻りや現実改変能力なんて攻略の糸口が全然思いつかない。
手足をもいで放置するとか殺しまくって精神的に追い込むことも考えたが、トライ&エラーで逆にこっちが追い込まれるオチが容易に想像できてしまう。
「何が面倒くさいって、そんなチート持ちが俺よりも魔力もMP量も上だってことに尽きるな」
攻略の糸口が見つからないため、折角の攻撃チャンスに何もできないのが実に口惜しい。
「そのまま一生寝ててくれてたら良いのに……」
ミネルバが心底陰鬱な口調で愚痴ったところで沈黙していたヴァルガラックが動き始めた。
上空から静観していると、立ち上がったヴァルガラックがゆっくりとこちらを見上げた。
「お前も、俺をバカにしてんだろ? 宗教狂い共に簡単に国を追い出されたあげくあっけなく殺された俺を!」
「なんか勝手にキレだした」
「そうやって舐めプしてるのも、いつでも俺を殺れると思っているからだろ? けどな、お前の強さの秘密を知ったからにはもう負けはしない!」」
1人で盛り上がり謎の恨み節を一方的に吐く高梨に面食らう。
急に吹っ切れたな、頭おかしい案件か?
「なんだよ、まだ黙るのか? なら誰も俺を無視出来ないってことをわからせてやるよ!」
そう言い切る高梨が大型ライフルの先端をこちらに向けると、その銃口からオレンジの光度が増していく。
加速度的に膨れ上がる魔力の圧力が異常過ぎて、真夏だというのに特大の悪寒が走る。
「あれってまさか——」
「魔法の圧縮……!」
元々魔法1発あたりの威力では奴に分があった。
俺がそれを打ち破れたのは、瞬間的にMPを大量に消費し同じ魔法を多重発動させ圧縮して撃っていたからだ。
威力もMPの容量でも上を行く高梨に同じことをやられては、俺の優位性が完全に失われる。
「食らいやがれ、クリムゾンッッッエクスゥゥゥバスタァァァァァァ!!!」
轟音と共に直視した者の視力を焼けそうなほどの光量で放たれた超特大の熱線魔法の超高熱波に、リンドヴルムが呑み込まれた。
輻射熱が周囲の森林が発火させ、天まで届く火柱はその烈光でバラドリンド教国全土どころかこの大陸中で目撃されていることだろう。
「出来た! タヌァ、俺にも魔法の多重発動と圧縮ができ——」
「舐めプはどっちだ」
嬉しそうに叫ぶ高梨が言い終わる前に白い巨神が奴の背後に現れると、その燃え盛る背中へ短砲身の銃口を突っ込み金属柱をぶっ放した。
手元で〝ゴウン!〟と重い金属音を響かせたヴァルガラックが金属柱の先端に乗って飛んでいく。
派手な飛び方をしてはいるが、短砲身では加速魔法の密度が足りず、本来の威力には程遠くい。
2キロほど飛んだところで金属柱から解放されたヴァルガラックが地面に落ちて水切り石の如くバウンドした。
あらかじめ付与していた帰還魔法で帰って来た金属柱を、収納袋様の口を開けて迎え入れる。
「魔族との約定が無ければフルパワーで打ち込めたものを」
「決戦前に縛りを入れてくるなら今だけでも手を貸してくれれば良いのに……」
俺のボヤキにミネルバがもっともな意見を口にするが、魔族は魔族で人属領での人間同士の争いにはノータッチが義務付けられてる。
それを破れば魔族同士で制裁がなされると魔族の知り合いが話していたので、こればかりはどうしようもない。
「タヌァ、真っ暗でなにも見えない、どうなってる! これも奴の攻撃なのか! でもなんで、俺の魔法は直撃したんだろ?! 血が偏ってるってなんだよ、こんな時にな訳の分からないこと言わないでくれ!」
エコーのかかった大音量でパニックを起こす高梨が、まるで誰かと会話するようなセリフを垂れ流しながら、やみくもに魔法を乱射した。
奴の大火力魔法はワープゲートを前面に開き出口を背面に設定ことで、奴の特大ビームはそのまま直進したように見せかけた。
間をおいてもう1つゲートを開き、攻撃に飲み込まれたと油断した奴の背後から強襲をかけただけの単純な時間差トリックだ。
奴の視界が閉ざされたのは、言葉の内容からしておそらく急激なGがかかったことで後ろに血が偏り視界がブラックアウトしたのだろうと推測する。
「他にも誰か乗ってる……?」
「タヌァってのはそいつの名か?」
不審がるミネルバの疑問と高梨が不用意に発した謎の固有名詞を結びつけながら、俺はやみくもに暴れるヴァルガラックへフルオートで銃弾を浴びせる。
高速回転する弾はヴァルガラックの装甲をわずかに削るだけで、その削れた部分も一瞬で修復くされていく。
「貫通強化付与して貫通しないとか硬すぎだろ!」
「防御力と修復速度が上がってる……。魔法の使い方が上手くなった……?」
「それもタヌァってヤツの入れ知恵かもな」
「まさか……」
俺たちの会話にまたも不意に湧いて出た地母神の精神体。
「知ってるんですかレイティシアさん?」
「………」
女神は意味深につぶやきをこぼしたきり、こちらの問いに答えず真顔で押し黙る。
突然の出現にもう驚きはしないが、思わせぶりに出て来て黙るのは本当にやめてほしい。
てか神様が思い当たる存在ってなんだよ、絶対ヤバイ奴だろ。
思考の世界に耽る地母神にタヌァについて聞き出そうとしたところで、やみくもに周囲を攻撃していた高梨が暴れるのを止めこちらへ向き直る。
どうやら視界が戻ったようだ。
「くっそう、目が見えないからって好き放題しやがって!」
「目が見えないってのを勝手に教えたのはお前だけどな」
「ぐっ。い、いいかお前、撃って良いのは撃たれる覚悟のある奴だけだ!」
「ん、どうした急に? てかそれ有名なアニメでも使われたセリフだよな? なんで今言い出した? あ、もしかしてカッコイイセリフだから使いたくなったとか? あとそのセリフ、戦争を仕掛けてきた側のお前が言って良いセリフじゃないからな?」
「黙れっ!」
小馬鹿にした口調からの冷淡なツッコミを入れてやると、キレ気味に叫ぶ高梨がビームを5斉射しながら突っ込んで来る。
それを超低空を滑るように左右へ躱して後退をかける。
ビームが微妙に曲がってくるのが実に小賢しい。
「お前よく無神経とか空気読めないとか言われるタイプ?」
「黙れ黙れ!」
「え、なに図星? もしかしてこの世界に来るまでDTだっただろ?」
「黙れ黙れ黙れ!」
高梨のキレ散らかし具合がさらに増す。
最後のは俺にも当てはまるためダメージが返って来た。
「まじめな話、この戦争でアイヴィナーゼとウィッシュタニアにどれだけの犠牲者が出たと思ってんねん。あと撃たれる覚悟があるなら撃たれたら死ね。そして二度と生き返るな」
「お、お、俺の死に戻りが既にバレているだとぉ!?」
「本当に死に戻りしてたのかよ」
「なっ、騙したのか!?」
「騙す気なんて無かったわ。てか今のは吊られる方が間抜けすぎだろ」
これであの謎現象が判明したが、実はブラフでミネルバの言った〝現実改変能力でした〟ってオチだったら対処できないから真実であってほしい。
突進するヴァルガラックのフレアランスでの刺突を体の捌きと蹴りであしらい、側転を駆使して距離をとる。
そこへヴァルガラックの額の銃口から灼熱矢がマシンガンのように飛んできたのを、自機の周囲に浮かぶ多重魔法盾で防ぐ。
ヴァルガラックの額に銃口が付いてるためさすがに警戒はしていたが、ブリージンガメンを受け持つミネルバのMPも無限ではないためバルカンで魔法盾が枚砕かれるのが地味に痛い。
「自分は死んでも生き返れるのに相手には撃たれる覚悟が~とか、控えめに言ってただのクズかな?」
「そう言うお前こっそ、バラドリンドの奴らを焚きつけて俺を陥れた罪、断じて許さん! そうだ、それにお前が攻撃した砦にだって民間人は居たんだぞ!」
痛いところを突いてきやがる。
何千人っと詰めていた砦を俺は3つも消し飛ばした。
人殺し、大量殺人を無かったことにはできないし否定もしない。
そもそも戦争中に侵攻の拠点となっていた砦を潰さなければ、アイヴィナーゼやウィッシュタニア側にもっと多くの民間人に被害が出ていたのだから俺の攻撃には正当性がある。
なので痛いと言ってもやましさではなく大量殺人に対する忌避感や罪悪感だ。
「戦争中の軍事施設に居る奴に民間人もクソもあるか。それを言うならそもそもがそんなタイミングで軍事施設に民間人を入れてる方が問題だし、もっと言えば戦争なんて起こすな。会戦に踏み切った自分たちの行いを棚上げして逆切れとか頭膿んでんのか」
「それは屁理屈だ!」
「自分らのやったことを棚上げにしてるお前に言われてもなぁ!」
無数に飛び交うビームと実弾の応酬。
さらに距離を詰めてくるヴァルガラックへ、機体を反転させ一気に間合いを詰める。
「あわっ!?」
逃げ一辺倒からの急激な切り替えしに、変化についていけず間合いを狂わされたヴァルガラックの動きが乱れたその腹部に足の底をめり込ませた。
「オオオッッ!」
機体自体が軽いことから思ったほどの手ごたえはなかったものの、くの字に吹っ飛ぶヴァルガラックへ追い打ちの金属柱が顔面に入り首からもげる。
蹴りに被弾の勢いが加わったヴァルガラックが大きな音と共に地面を弾むように転がった。
首は胴体ほど強固ではないようだ。
「よくもぉ!」
首無しロボが転がる慣性を飛行魔法でビタっと止めてビームを応射してきた。
ブリージンガメンを貫通したビームに弾体加速器が溶断される。
たまらず上空へ飛翔するも、ヴァルガラックもフレアブラストを連射しながら追ってくる。
「速っ!?」
「お返しだ!」
こちらの最高速を上回る速さでヴァルガラックに追い付かれ、速度の乗った飛び蹴りを背中に受けた。
幸い進行方向への攻撃だったため大したダメージではなかったものの、機動性でも圧倒された事実の方が問題だ。
乗ってる人間の差ってか!
「荷電粒子砲!」
蹴られた衝撃を利用して距離をとった俺は、振り向きざまにライトニングブラストを束ね圧縮した雷撃砲を放つ。
「させるか!」
高梨のヴァルガラックがフレアブラストを応射。
かなりの魔力を込めて放った雷撃は、瞬間的に放たれたフレアブラストにより相殺された。
完全に魔法の圧縮をモノにしてやがる……。
「あの程度の力に俺はあたふたしていたのか」
「っ……」
自身の優位性に確信を持った高梨が、フレアブラストやフレアアローを撃ちまくる。
当たってなる者かとこちらも推進剤である魔力を噴かせるクリアグリーンの翼をキビキビと動かし照準を絞らせない。
「悪あがきを!」
「あがくに決まってるだろ!」
ののしりながら牽制のライトニングブラストを返しておく。
「時間逆行に火力UP、無尽蔵なMPに物を言わせた連打と超回復。色々と盛り過ぎ……」
「控えめに言ってクソクソのクソ」
勇者高梨は本当に厄介過ぎた。
「せめて不死とかなら復活したそばから殺しまくって精神的に追い込むとか、肉片にまで分割して個別に瓶詰めで封印するとか出来たのに」
「殺し続けるのは
仮に今すぐ殺したとしても10分前ならあいつはこの街のどこかだし、下手したらギリギリさっき殺した猿藤まで生き返ったりするんじゃないか?
足元に広がるバラドリンドの聖都では、街からの脱出を試み城門へ向かう人混みでごった返していた。
俺の索敵魔法は今も魔法無効化の結界に阻まれているため、あの人込みから奴だけを見つけるのは不可能だ。
しかも生き返った高梨が死ぬ前の経験から次はどんな行動をするのか全く読めないのが最悪である。
それを考えると死に戻り地点は奴の居場所が確実な〝ヴァルガラックと対面しているこの時間に戻れるようにしなければ〟か。
……なんにしろ首都近郊で戦闘は流れ弾なんかが街に落ちたらさすがに不味いな。
中距離での付かず離れずの射撃戦。
バラドリンド教国の首都から奴を引きはがそうと試みるも、ビームやバルカンが撃ち込まれ思うように離れられない。
「殺ることすら大変なのに殺るタイミングの方がもっとシビアとか無理ゲーか? しかもそれを相手の心が折れるまで続けなきゃとか、考えただけでぐんにょりだわ」
「私たちの記憶も今回はたまたま残ってただけで、その内残らなくなるかも……。何度も殺し続けるのは危険……」
「う”……」
ミネルバの指摘の通り、能力の改善や変更もあり得なくは無い。
考え過ぎて余計にこちらから仕掛け辛くなる。
「死に戻りそのものを阻止するか、殺さずに封じる手段を考えた方が楽かも……」
「確かに」
ミネルバからの逆転の発想に感心させられる。
「となると、問題は死に戻り能力の出所か。まぁ影剣さんもあいつのチート能力は火力UPだって言ってたし、十中八九アーティファクト級の魔道具か。それを破壊出来ればワンチャン」
「破壊した結果が時間の逆行……?」
「あー、さっきの時間逆行もクラウ・ソラスを魔道具にぶち当てたのが原因でしたってか。……なら奪うしかないな」
「ちー……」
ミネルバが小さく鳴いて頷いた。
となるとあいつの魔導装甲を引きはがして丸裸にするのが手っ取り早そうだ。
だったら——
「逃げてばかりじゃ勝てないぞぉ!」
目的が決まったところにオレンジ色のビームでブリージンガメンが刈り取られ、魔法盾の空いた隙間を妙な角度で湾曲して飛んで来たビームバルカンが脚や肩に被弾。
幸い被害は軽微だがバルカンでもこの威力ともなると、胴体に連続して被弾するのは面白くない未来しかない。
「ほら、ほら、また当たった!」
「装甲を少し削ったくらいでいちいちはしゃぐな」
てかバルカンまで曲げてくんなよ。
お返しの荷電粒子砲は装甲を深くえぐるも貫通には至らず、ヴァルガラックの装甲はすぐに修復されてしまった。
威力重視で連射の効かない魔法で装甲が抜けないこの決定力の無さは、攻撃魔法としては致命的だ。
そんな魔法でも使わないと一気に押し切られかねないため、MPが3割を切ってしまう。
MP不足から削られた被弾カ所の修復もできない。
ジリ貧だ。
いや、ジリ貧どころか完全に追い込まれてる。
ただこれだけ打ち合ってみて分かったこともある。
出力で上回り推力を背中の一点に搭載したヴァルガラックに最高速や加速性能で劣る反面、メイン推進器である6枚のウイングスラスターを自在に動かせるリンドヴルムの方が小回りが利くため回避性能ではこちらが勝っていた。
「バカスカ打ちやがって、あの無尽蔵なMPはどっから出てきてやがる!」
18メートルの巨体を飛ばすだけで大半のMPが持っていかれ、回復したMPもすぐに消費されるためこちらの燃料は常にカツカツ状態。
リンドヴルムは開発当初の想定通り、巨大外骨格魔法は防御性能だけの欠陥魔法以外の何物でもなかった。
2人で運用しても回避と防御で手一杯なの辛い。
リンドヴルムで戦闘継続とかアホ過ぎないか?
開発した時点でわかってたから封印したんだけど。
てか修復できないなら機体を小型化して小さくなった分余った魔力を損傷個所に充てれば良いんじゃね?
思い立ったらなんとやら、機体を一回り縮小させ、破損個所を修復。
18メートルの全長が15メートルまでサイズダウンした途端空気抵抗も減り、今までが鈍重だったと感じるほどに機体が軽く感じた。
なんかエビの脱皮みたいでモヤる。
ついでに威力は高いが見切りが可能なフレアブラストは避け、連射してくるフレアアローは避け辛いためブリージンガメンで受けることを意識した立ち回りを意識する。
すると機体の小型化と相まって、あれほど鬱陶しかった高梨の攻撃が避け易くなったと実感する。
ここにきてなんかハマったな。
問題はこれ以上機体を小さくすると装甲厚的にバルカンでも貫通しかねないところだけど。
「避けるのだけは一人前じゃないか!」
「死に戻り出来るお前と違ってこっちはまぐれ当たり一発でアウトだからな」
力では圧倒しているにるのに攻撃を封殺されているのがよほど悔しいのかムキになって手数を増やす高梨に、俺は攻撃をあしらいつつマイクミュートでボソッとつぶやく。
そういうお前は被弾しくってるくせによくそんな強がれるな。
被弾しても一瞬で破損部位を修復する辺り、奴にしてみれば俺の攻撃は無いのと同義なんだろうけど。
だったら、油断しきったタイミングでデカいのをぶちかまして魔法装甲の中から引きずり出してやる。
収納袋様から蓄魔力器を取り出し大技を放つ機を窺っていると、避けたビームが3発湾曲し、バラドリンドの首都へ吸い込まれるように落ちた。
着弾地点が大きく穿たれ、熱線で溶けた地面はさながら活火山の火口のようなドロドロのマグマへと変貌する。
そこで多くの命が消えたことなど想像に難くないく、一気に血の気が引き動悸が激しくなる。
バラドリンド神の使いと名乗り、勇者たちを国から追放する作戦を行った時点で〝侵略戦争を仕掛けたのはバラドリンド教国なのだから、この作戦でバラドリンド人に犠牲が出てもしかたがない〟と黙認したのはこの俺だ。
なのにいざ事が起きてみたらどうだ、〝全てのバラドリンド人が戦争に加担した訳ではないのに〟〝民間人を巻き込んで良い訳がない〟〝もっと離れて戦っていれば〟と正論が頭を埋め尽くし、後悔で押しつぶされそうになる。
激しい動悸とこみ上げる嘔吐感で感情がぐちゃぐちゃになる。
「お父様、あいつの死に戻りを利用すれば今のを無かったことに出来る……」
「そうか、今すぐあいつを殺せば——」
そこまで口にしたところで、下からじっと見詰めてくるミネルバの視線に気づく。
全く感情の籠らないその瞳は、まるで俺がどう動くのかを観察しているような様子が窺えた。
どうやら死に戻りを利用する案は助け船などではなく、俺の甘さを試すもののようだ。
優先順位を見誤るな、ってことか……。
この戦争に首を突っ込んだ理由は大切な人たちを守るためで、バラドリンド人を救うためじゃない。
俺に両方を救えるだけの力なんて無いのに敵国の人間にまで情を出してどうする。
家族を守るためなら非常に徹しろ。
——けど、問題はこの戦いが終わったあとだ。
もしここで何もしなければ、俺は一生今日のことを悔いて生きていくことにもなる。
かと言って、あいつの死に戻りを利用するのはリスクが高すぎる。
見殺しにも出来ず、かといって巻き戻りも危険でうかつに狙えない。
そんなどっち付かずな俺が出した結論は——
「……巻き戻りは利用しない。けど、これ以上は殺らせない」
やれるだけのことはやる、それでだめなら仕方がないと諦めもつく。
それが利己的で小心者の俺が出来る最大の努力だ。
それでもミネルバの不審者を見るような目付きはまだ変わらない。
「命懸けで守る気……?」
「いや、さすがに命まで懸けないから〝出来る範囲で〟って意味ね?」
「そう……。もし関係ない人のことまで全部背負い込もうとしたら見捨てるから……」
「お、おう……」
俺の出した結論に、ドライな口調でくぎを刺すミネルバ。
命に代えても守ってみせると強く言えない辺りがクソださい。
こんな状況で関係のない人間まで守ろうとか、さすがに怒るわな普通……。
「お、お、俺のせいじゃない、避けたあいつが悪いんだ! それにあの国の奴らが死んだのだって、あんなヤツの言う事に騙されて必死に頑張った俺を裏切ったあいつらの自業自得じゃないか、そうだろタヌァ?!」
「勝手なことを……!」
「そうだ、そうだよ、スイも、シェリーも、ケイトも、アイザも、みんなが俺を裏切ったのも全部全部全部あいつのせいじゃないか! お前さえ居なければ!」
こちらが責任を感じる一方で、逆に自身の犯した罪を他人に擦り付けようとしている高梨の性根の腐り具合には殺意がわく。
確かにバラドリンド人を焚きつけたのは俺のせいだ。
けど、そうなった根本的な理由がどこにあるか忘れたのか?
そもそもこいつのやらかしなのになんで俺だけが責任を感じなきゃならないんだ。
てかやらかしの張本人にだけは言われたくない。
「……もう良ぇわ。お前のやらかしが俺のせいだって言うなら、俺はお前の人生を終了させることでその贖罪を果たしたことにしてやる」
「な、なんだよ、あいつらはお前の敵だろ? なにそんなにムキになって——なるほどそう言うことか、だったらぁ〈ブレイズファントム〉!」
高梨が上ずった叫びから集約した魔力を8つに分けると、全身炎で構築されたヴァルガラックを出現した。
煌々と赤く燃える全長18メートルの炎の魔人が8体。
周囲の空気が熱気で揺れる。
「すごい魔力……」
「ここに来て全方位攻撃か!?」
アニメでも観たことのあるおかげでアレが遠隔操作魔法だと瞬時に理解でき、この後は四方八方を炎の魔人に囲まれ嬲られるところまで視えてしまう。
「あれはもう防御魔法じゃどうにもならない……」
ミネルバが俺の予想を肯定するかのように、簡易な魔法盾の集合体でしかないブリージンガメンが意味をなさないことを告げられる。
自在に動く超超超熱源が同時に8体。
「あんな超高熱の物体、1発でも食らえば即アウトだぞ」
「ちー……」
ミネルバの小さな鳴き声に、悲愴感しか漂ってこない。
「行けファントム、塵も残さずヤツを焼き尽くせ!」
絶叫に近い高梨の命令を完遂すべく、絶望の魔神たちが行動を開始した。
俺はワープゲート経由でリンドヴルムのコックピットに戻ると、ぼやき気味に中に居るミネルバに尋ねた。
コックピットの中は相変わらず後ろ方向へのGと縦や横への揺れで酷いありさまだ。
前回の経験を元に内部をG対策に魔力で満たし、機体の操作権をミネルバからもらう。
「分からない……。それよりもアレ……」
「はぁ!? なんでヴァルガラックがまだ居るんだ!?」
ミネルバに促されるまま視線を地表に向けると、撃破したはずのヴァルガラックが森の中の地面にめり込んだ姿で確認した。
地面を抉った跡が続き、長い距離を引きずって停止したのが見て取れた。
奴を仕留めた時、必殺の攻撃で全損させた確かな手応えがあった。
なのにあれが五体満足――特に胴体が無傷となると、考えられるのは〝手応えは勘違いでした〟か〝俺のクラウ・ソラスを耐えきった〟か、もしくは〝超再生力で死んでませんでした〟くらいなものだ。
逃げたにしたって間和えられるのはワープゲートだけど、ワープゲートならその予兆くらいは複合索敵魔法が何かしらの予兆を捉えるはずだ。
それが無いってことは、やっぱり死んでませんってか?
ただ気になるのは、バラドリンドの勇者たちをを倒したあの荒野に居たことだ。
それにアーヴィンとカリオペの鬱陶しいやりとりや、それを羨むユーベルトをまた見る羽目になったのも説明がつかない。
時間が巻き戻りでもしない限り。
「……まさか、本当に時間が巻き戻ったとか言わないよな?」
俺の突拍子もないつぶやきに、ミネルバが目を見開いてこちらへ振り返る。
そんな馬鹿なと一笑に付したいところだが、身近にルージュという時を止めるチートスキル持ちが居るおかげでその可能性が否定できない。
それを察してかミネルバも反論せず、「ん~……」と小さく唸りながら頭を左右に振る。
「仮に時間が巻き戻ってたとして、その条件はなんだ? 時間はどれくらい戻るんだ? そもそも時間を巻き戻せる奴をどうやって倒す?」
奴の攻略方法を模索するも、即座に出てくれない答えに焦り、〝なぜ?〟の言葉だけで頭の中が埋め尽くされる。
まるで泥沼に沈められてぐちゃぐちゃにかき回されているみたいに思考が前に進まない。
「発動条件は死ぬこと……? 時間はここにリシアが居なかったのと巻き戻る前の戦闘時間を逆算して10分くらい……。巻き戻る前の記憶があるのは……それも能力の効果……?」
「天才かよ」
思考がまとまらない俺に代わり、ミネルバが冷静に状況を分析してくれた。
俺が使える魔法のほぼすべてを使いこなし、今もこうして助言をくれる頭の良さ。
最近では彼女のことを自分の上位互換なのではと思い始めている俺ガイル。
「けど自分で言っててあれだけど、なんだよ死に戻りって。巻き戻った記憶が相手にも残るのは致命的だとしても、ルージュの時間停止より卑怯過ぎだろ」
「巻き戻る時間は10分じゃなくて、決まった時間に戻る可能性もある……。〝セーブポイントの場所と時間まで〟とか……?」
「それ異世界モノのアニメで観たわ。敵にしたらものすごく面倒くさい奴な。あと巻き戻ったせいで影剣さんたちのところに飛ばされたけど、影剣さんたちは巻き戻る前の記憶は持ってないみたいだった」
「記憶の持ち越しが〝アレの死の原因になっていた〟とか、〝アレが死んだときに近くに居た〟とか……?」
「あぁ、それならあの時あの場所に居た俺たちだけが巻き戻る前の記憶を持っていたのにも説明がつくな。けど死ぬときに近くに居たって条件だった場合、遠距離で仕留めたら記憶を保持してるアイツだけにアドバンテージを与えることになるのは困りものだな」
「倒すなら近距離一択……はぁ……」
基本的に遠距離戦しか出来ないミネルバが特大のため息を吐く。
近距離に居なくても記憶が保持できることを願いたいが、そんな都合の良い願望には縋れない。
「それか……私たちは敵の現実改変攻撃を受けている……!」
「げんじつかいへんこうげき?」
「確保・収容・保護……」
「……あぁ、SCPの現実改変能力か」
「ちー……」
元の世界の一部オカルト界隈で流行っている創作ネタがミネルバの口から飛び出した。
現実改変とは読んで字のごとく、現実に干渉し望むままに事象を捻じ曲げ改変する特殊能力のことである。
従魔が主人の記憶を持っているのはつい先日聞いたが、そんなマニアックなオカルト知識まで保有されても困惑しかない。
「どっちにしろ今のうちになんとかしたいところだけど、どうしたもんかなぁ」
殺すだけなら何とでもできるが、死に戻りや現実改変能力なんて攻略の糸口が全然思いつかない。
手足をもいで放置するとか殺しまくって精神的に追い込むことも考えたが、トライ&エラーで逆にこっちが追い込まれるオチが容易に想像できてしまう。
「何が面倒くさいって、そんなチート持ちが俺よりも魔力もMP量も上だってことに尽きるな」
攻略の糸口が見つからないため、折角の攻撃チャンスに何もできないのが実に口惜しい。
「そのまま一生寝ててくれてたら良いのに……」
ミネルバが心底陰鬱な口調で愚痴ったところで沈黙していたヴァルガラックが動き始めた。
上空から静観していると、立ち上がったヴァルガラックがゆっくりとこちらを見上げた。
「お前も、俺をバカにしてんだろ? 宗教狂い共に簡単に国を追い出されたあげくあっけなく殺された俺を!」
「なんか勝手にキレだした」
「そうやって舐めプしてるのも、いつでも俺を殺れると思っているからだろ? けどな、お前の強さの秘密を知ったからにはもう負けはしない!」」
1人で盛り上がり謎の恨み節を一方的に吐く高梨に面食らう。
急に吹っ切れたな、頭おかしい案件か?
「なんだよ、まだ黙るのか? なら誰も俺を無視出来ないってことをわからせてやるよ!」
そう言い切る高梨が大型ライフルの先端をこちらに向けると、その銃口からオレンジの光度が増していく。
加速度的に膨れ上がる魔力の圧力が異常過ぎて、真夏だというのに特大の悪寒が走る。
「あれってまさか——」
「魔法の圧縮……!」
元々魔法1発あたりの威力では奴に分があった。
俺がそれを打ち破れたのは、瞬間的にMPを大量に消費し同じ魔法を多重発動させ圧縮して撃っていたからだ。
威力もMPの容量でも上を行く高梨に同じことをやられては、俺の優位性が完全に失われる。
「食らいやがれ、クリムゾンッッッエクスゥゥゥバスタァァァァァァ!!!」
轟音と共に直視した者の視力を焼けそうなほどの光量で放たれた超特大の熱線魔法の超高熱波に、リンドヴルムが呑み込まれた。
輻射熱が周囲の森林が発火させ、天まで届く火柱はその烈光でバラドリンド教国全土どころかこの大陸中で目撃されていることだろう。
「出来た! タヌァ、俺にも魔法の多重発動と圧縮ができ——」
「舐めプはどっちだ」
嬉しそうに叫ぶ高梨が言い終わる前に白い巨神が奴の背後に現れると、その燃え盛る背中へ短砲身の銃口を突っ込み金属柱をぶっ放した。
手元で〝ゴウン!〟と重い金属音を響かせたヴァルガラックが金属柱の先端に乗って飛んでいく。
派手な飛び方をしてはいるが、短砲身では加速魔法の密度が足りず、本来の威力には程遠くい。
2キロほど飛んだところで金属柱から解放されたヴァルガラックが地面に落ちて水切り石の如くバウンドした。
あらかじめ付与していた帰還魔法で帰って来た金属柱を、収納袋様の口を開けて迎え入れる。
「魔族との約定が無ければフルパワーで打ち込めたものを」
「決戦前に縛りを入れてくるなら今だけでも手を貸してくれれば良いのに……」
俺のボヤキにミネルバがもっともな意見を口にするが、魔族は魔族で人属領での人間同士の争いにはノータッチが義務付けられてる。
それを破れば魔族同士で制裁がなされると魔族の知り合いが話していたので、こればかりはどうしようもない。
「タヌァ、真っ暗でなにも見えない、どうなってる! これも奴の攻撃なのか! でもなんで、俺の魔法は直撃したんだろ?! 血が偏ってるってなんだよ、こんな時にな訳の分からないこと言わないでくれ!」
エコーのかかった大音量でパニックを起こす高梨が、まるで誰かと会話するようなセリフを垂れ流しながら、やみくもに魔法を乱射した。
奴の大火力魔法はワープゲートを前面に開き出口を背面に設定ことで、奴の特大ビームはそのまま直進したように見せかけた。
間をおいてもう1つゲートを開き、攻撃に飲み込まれたと油断した奴の背後から強襲をかけただけの単純な時間差トリックだ。
奴の視界が閉ざされたのは、言葉の内容からしておそらく急激なGがかかったことで後ろに血が偏り視界がブラックアウトしたのだろうと推測する。
「他にも誰か乗ってる……?」
「タヌァってのはそいつの名か?」
不審がるミネルバの疑問と高梨が不用意に発した謎の固有名詞を結びつけながら、俺はやみくもに暴れるヴァルガラックへフルオートで銃弾を浴びせる。
高速回転する弾はヴァルガラックの装甲をわずかに削るだけで、その削れた部分も一瞬で修復くされていく。
「貫通強化付与して貫通しないとか硬すぎだろ!」
「防御力と修復速度が上がってる……。魔法の使い方が上手くなった……?」
「それもタヌァってヤツの入れ知恵かもな」
「まさか……」
俺たちの会話にまたも不意に湧いて出た地母神の精神体。
「知ってるんですかレイティシアさん?」
「………」
女神は意味深につぶやきをこぼしたきり、こちらの問いに答えず真顔で押し黙る。
突然の出現にもう驚きはしないが、思わせぶりに出て来て黙るのは本当にやめてほしい。
てか神様が思い当たる存在ってなんだよ、絶対ヤバイ奴だろ。
思考の世界に耽る地母神にタヌァについて聞き出そうとしたところで、やみくもに周囲を攻撃していた高梨が暴れるのを止めこちらへ向き直る。
どうやら視界が戻ったようだ。
「くっそう、目が見えないからって好き放題しやがって!」
「目が見えないってのを勝手に教えたのはお前だけどな」
「ぐっ。い、いいかお前、撃って良いのは撃たれる覚悟のある奴だけだ!」
「ん、どうした急に? てかそれ有名なアニメでも使われたセリフだよな? なんで今言い出した? あ、もしかしてカッコイイセリフだから使いたくなったとか? あとそのセリフ、戦争を仕掛けてきた側のお前が言って良いセリフじゃないからな?」
「黙れっ!」
小馬鹿にした口調からの冷淡なツッコミを入れてやると、キレ気味に叫ぶ高梨がビームを5斉射しながら突っ込んで来る。
それを超低空を滑るように左右へ躱して後退をかける。
ビームが微妙に曲がってくるのが実に小賢しい。
「お前よく無神経とか空気読めないとか言われるタイプ?」
「黙れ黙れ!」
「え、なに図星? もしかしてこの世界に来るまでDTだっただろ?」
「黙れ黙れ黙れ!」
高梨のキレ散らかし具合がさらに増す。
最後のは俺にも当てはまるためダメージが返って来た。
「まじめな話、この戦争でアイヴィナーゼとウィッシュタニアにどれだけの犠牲者が出たと思ってんねん。あと撃たれる覚悟があるなら撃たれたら死ね。そして二度と生き返るな」
「お、お、俺の死に戻りが既にバレているだとぉ!?」
「本当に死に戻りしてたのかよ」
「なっ、騙したのか!?」
「騙す気なんて無かったわ。てか今のは吊られる方が間抜けすぎだろ」
これであの謎現象が判明したが、実はブラフでミネルバの言った〝現実改変能力でした〟ってオチだったら対処できないから真実であってほしい。
突進するヴァルガラックのフレアランスでの刺突を体の捌きと蹴りであしらい、側転を駆使して距離をとる。
そこへヴァルガラックの額の銃口から灼熱矢がマシンガンのように飛んできたのを、自機の周囲に浮かぶ多重魔法盾で防ぐ。
ヴァルガラックの額に銃口が付いてるためさすがに警戒はしていたが、ブリージンガメンを受け持つミネルバのMPも無限ではないためバルカンで魔法盾が枚砕かれるのが地味に痛い。
「自分は死んでも生き返れるのに相手には撃たれる覚悟が~とか、控えめに言ってただのクズかな?」
「そう言うお前こっそ、バラドリンドの奴らを焚きつけて俺を陥れた罪、断じて許さん! そうだ、それにお前が攻撃した砦にだって民間人は居たんだぞ!」
痛いところを突いてきやがる。
何千人っと詰めていた砦を俺は3つも消し飛ばした。
人殺し、大量殺人を無かったことにはできないし否定もしない。
そもそも戦争中に侵攻の拠点となっていた砦を潰さなければ、アイヴィナーゼやウィッシュタニア側にもっと多くの民間人に被害が出ていたのだから俺の攻撃には正当性がある。
なので痛いと言ってもやましさではなく大量殺人に対する忌避感や罪悪感だ。
「戦争中の軍事施設に居る奴に民間人もクソもあるか。それを言うならそもそもがそんなタイミングで軍事施設に民間人を入れてる方が問題だし、もっと言えば戦争なんて起こすな。会戦に踏み切った自分たちの行いを棚上げして逆切れとか頭膿んでんのか」
「それは屁理屈だ!」
「自分らのやったことを棚上げにしてるお前に言われてもなぁ!」
無数に飛び交うビームと実弾の応酬。
さらに距離を詰めてくるヴァルガラックへ、機体を反転させ一気に間合いを詰める。
「あわっ!?」
逃げ一辺倒からの急激な切り替えしに、変化についていけず間合いを狂わされたヴァルガラックの動きが乱れたその腹部に足の底をめり込ませた。
「オオオッッ!」
機体自体が軽いことから思ったほどの手ごたえはなかったものの、くの字に吹っ飛ぶヴァルガラックへ追い打ちの金属柱が顔面に入り首からもげる。
蹴りに被弾の勢いが加わったヴァルガラックが大きな音と共に地面を弾むように転がった。
首は胴体ほど強固ではないようだ。
「よくもぉ!」
首無しロボが転がる慣性を飛行魔法でビタっと止めてビームを応射してきた。
ブリージンガメンを貫通したビームに弾体加速器が溶断される。
たまらず上空へ飛翔するも、ヴァルガラックもフレアブラストを連射しながら追ってくる。
「速っ!?」
「お返しだ!」
こちらの最高速を上回る速さでヴァルガラックに追い付かれ、速度の乗った飛び蹴りを背中に受けた。
幸い進行方向への攻撃だったため大したダメージではなかったものの、機動性でも圧倒された事実の方が問題だ。
乗ってる人間の差ってか!
「荷電粒子砲!」
蹴られた衝撃を利用して距離をとった俺は、振り向きざまにライトニングブラストを束ね圧縮した雷撃砲を放つ。
「させるか!」
高梨のヴァルガラックがフレアブラストを応射。
かなりの魔力を込めて放った雷撃は、瞬間的に放たれたフレアブラストにより相殺された。
完全に魔法の圧縮をモノにしてやがる……。
「あの程度の力に俺はあたふたしていたのか」
「っ……」
自身の優位性に確信を持った高梨が、フレアブラストやフレアアローを撃ちまくる。
当たってなる者かとこちらも推進剤である魔力を噴かせるクリアグリーンの翼をキビキビと動かし照準を絞らせない。
「悪あがきを!」
「あがくに決まってるだろ!」
ののしりながら牽制のライトニングブラストを返しておく。
「時間逆行に火力UP、無尽蔵なMPに物を言わせた連打と超回復。色々と盛り過ぎ……」
「控えめに言ってクソクソのクソ」
勇者高梨は本当に厄介過ぎた。
「せめて不死とかなら復活したそばから殺しまくって精神的に追い込むとか、肉片にまで分割して個別に瓶詰めで封印するとか出来たのに」
「殺し続けるのは
仮に今すぐ殺したとしても10分前ならあいつはこの街のどこかだし、下手したらギリギリさっき殺した猿藤まで生き返ったりするんじゃないか?
足元に広がるバラドリンドの聖都では、街からの脱出を試み城門へ向かう人混みでごった返していた。
俺の索敵魔法は今も魔法無効化の結界に阻まれているため、あの人込みから奴だけを見つけるのは不可能だ。
しかも生き返った高梨が死ぬ前の経験から次はどんな行動をするのか全く読めないのが最悪である。
それを考えると死に戻り地点は奴の居場所が確実な〝ヴァルガラックと対面しているこの時間に戻れるようにしなければ〟か。
……なんにしろ首都近郊で戦闘は流れ弾なんかが街に落ちたらさすがに不味いな。
中距離での付かず離れずの射撃戦。
バラドリンド教国の首都から奴を引きはがそうと試みるも、ビームやバルカンが撃ち込まれ思うように離れられない。
「殺ることすら大変なのに殺るタイミングの方がもっとシビアとか無理ゲーか? しかもそれを相手の心が折れるまで続けなきゃとか、考えただけでぐんにょりだわ」
「私たちの記憶も今回はたまたま残ってただけで、その内残らなくなるかも……。何度も殺し続けるのは危険……」
「う”……」
ミネルバの指摘の通り、能力の改善や変更もあり得なくは無い。
考え過ぎて余計にこちらから仕掛け辛くなる。
「死に戻りそのものを阻止するか、殺さずに封じる手段を考えた方が楽かも……」
「確かに」
ミネルバからの逆転の発想に感心させられる。
「となると、問題は死に戻り能力の出所か。まぁ影剣さんもあいつのチート能力は火力UPだって言ってたし、十中八九アーティファクト級の魔道具か。それを破壊出来ればワンチャン」
「破壊した結果が時間の逆行……?」
「あー、さっきの時間逆行もクラウ・ソラスを魔道具にぶち当てたのが原因でしたってか。……なら奪うしかないな」
「ちー……」
ミネルバが小さく鳴いて頷いた。
となるとあいつの魔導装甲を引きはがして丸裸にするのが手っ取り早そうだ。
だったら——
「逃げてばかりじゃ勝てないぞぉ!」
目的が決まったところにオレンジ色のビームでブリージンガメンが刈り取られ、魔法盾の空いた隙間を妙な角度で湾曲して飛んで来たビームバルカンが脚や肩に被弾。
幸い被害は軽微だがバルカンでもこの威力ともなると、胴体に連続して被弾するのは面白くない未来しかない。
「ほら、ほら、また当たった!」
「装甲を少し削ったくらいでいちいちはしゃぐな」
てかバルカンまで曲げてくんなよ。
お返しの荷電粒子砲は装甲を深くえぐるも貫通には至らず、ヴァルガラックの装甲はすぐに修復されてしまった。
威力重視で連射の効かない魔法で装甲が抜けないこの決定力の無さは、攻撃魔法としては致命的だ。
そんな魔法でも使わないと一気に押し切られかねないため、MPが3割を切ってしまう。
MP不足から削られた被弾カ所の修復もできない。
ジリ貧だ。
いや、ジリ貧どころか完全に追い込まれてる。
ただこれだけ打ち合ってみて分かったこともある。
出力で上回り推力を背中の一点に搭載したヴァルガラックに最高速や加速性能で劣る反面、メイン推進器である6枚のウイングスラスターを自在に動かせるリンドヴルムの方が小回りが利くため回避性能ではこちらが勝っていた。
「バカスカ打ちやがって、あの無尽蔵なMPはどっから出てきてやがる!」
18メートルの巨体を飛ばすだけで大半のMPが持っていかれ、回復したMPもすぐに消費されるためこちらの燃料は常にカツカツ状態。
リンドヴルムは開発当初の想定通り、巨大外骨格魔法は防御性能だけの欠陥魔法以外の何物でもなかった。
2人で運用しても回避と防御で手一杯なの辛い。
リンドヴルムで戦闘継続とかアホ過ぎないか?
開発した時点でわかってたから封印したんだけど。
てか修復できないなら機体を小型化して小さくなった分余った魔力を損傷個所に充てれば良いんじゃね?
思い立ったらなんとやら、機体を一回り縮小させ、破損個所を修復。
18メートルの全長が15メートルまでサイズダウンした途端空気抵抗も減り、今までが鈍重だったと感じるほどに機体が軽く感じた。
なんかエビの脱皮みたいでモヤる。
ついでに威力は高いが見切りが可能なフレアブラストは避け、連射してくるフレアアローは避け辛いためブリージンガメンで受けることを意識した立ち回りを意識する。
すると機体の小型化と相まって、あれほど鬱陶しかった高梨の攻撃が避け易くなったと実感する。
ここにきてなんかハマったな。
問題はこれ以上機体を小さくすると装甲厚的にバルカンでも貫通しかねないところだけど。
「避けるのだけは一人前じゃないか!」
「死に戻り出来るお前と違ってこっちはまぐれ当たり一発でアウトだからな」
力では圧倒しているにるのに攻撃を封殺されているのがよほど悔しいのかムキになって手数を増やす高梨に、俺は攻撃をあしらいつつマイクミュートでボソッとつぶやく。
そういうお前は被弾しくってるくせによくそんな強がれるな。
被弾しても一瞬で破損部位を修復する辺り、奴にしてみれば俺の攻撃は無いのと同義なんだろうけど。
だったら、油断しきったタイミングでデカいのをぶちかまして魔法装甲の中から引きずり出してやる。
収納袋様から蓄魔力器を取り出し大技を放つ機を窺っていると、避けたビームが3発湾曲し、バラドリンドの首都へ吸い込まれるように落ちた。
着弾地点が大きく穿たれ、熱線で溶けた地面はさながら活火山の火口のようなドロドロのマグマへと変貌する。
そこで多くの命が消えたことなど想像に難くないく、一気に血の気が引き動悸が激しくなる。
バラドリンド神の使いと名乗り、勇者たちを国から追放する作戦を行った時点で〝侵略戦争を仕掛けたのはバラドリンド教国なのだから、この作戦でバラドリンド人に犠牲が出てもしかたがない〟と黙認したのはこの俺だ。
なのにいざ事が起きてみたらどうだ、〝全てのバラドリンド人が戦争に加担した訳ではないのに〟〝民間人を巻き込んで良い訳がない〟〝もっと離れて戦っていれば〟と正論が頭を埋め尽くし、後悔で押しつぶされそうになる。
激しい動悸とこみ上げる嘔吐感で感情がぐちゃぐちゃになる。
「お父様、あいつの死に戻りを利用すれば今のを無かったことに出来る……」
「そうか、今すぐあいつを殺せば——」
そこまで口にしたところで、下からじっと見詰めてくるミネルバの視線に気づく。
全く感情の籠らないその瞳は、まるで俺がどう動くのかを観察しているような様子が窺えた。
どうやら死に戻りを利用する案は助け船などではなく、俺の甘さを試すもののようだ。
優先順位を見誤るな、ってことか……。
この戦争に首を突っ込んだ理由は大切な人たちを守るためで、バラドリンド人を救うためじゃない。
俺に両方を救えるだけの力なんて無いのに敵国の人間にまで情を出してどうする。
家族を守るためなら非常に徹しろ。
——けど、問題はこの戦いが終わったあとだ。
もしここで何もしなければ、俺は一生今日のことを悔いて生きていくことにもなる。
かと言って、あいつの死に戻りを利用するのはリスクが高すぎる。
見殺しにも出来ず、かといって巻き戻りも危険でうかつに狙えない。
そんなどっち付かずな俺が出した結論は——
「……巻き戻りは利用しない。けど、これ以上は殺らせない」
やれるだけのことはやる、それでだめなら仕方がないと諦めもつく。
それが利己的で小心者の俺が出来る最大の努力だ。
それでもミネルバの不審者を見るような目付きはまだ変わらない。
「命懸けで守る気……?」
「いや、さすがに命まで懸けないから〝出来る範囲で〟って意味ね?」
「そう……。もし関係ない人のことまで全部背負い込もうとしたら見捨てるから……」
「お、おう……」
俺の出した結論に、ドライな口調でくぎを刺すミネルバ。
命に代えても守ってみせると強く言えない辺りがクソださい。
こんな状況で関係のない人間まで守ろうとか、さすがに怒るわな普通……。
「お、お、俺のせいじゃない、避けたあいつが悪いんだ! それにあの国の奴らが死んだのだって、あんなヤツの言う事に騙されて必死に頑張った俺を裏切ったあいつらの自業自得じゃないか、そうだろタヌァ?!」
「勝手なことを……!」
「そうだ、そうだよ、スイも、シェリーも、ケイトも、アイザも、みんなが俺を裏切ったのも全部全部全部あいつのせいじゃないか! お前さえ居なければ!」
こちらが責任を感じる一方で、逆に自身の犯した罪を他人に擦り付けようとしている高梨の性根の腐り具合には殺意がわく。
確かにバラドリンド人を焚きつけたのは俺のせいだ。
けど、そうなった根本的な理由がどこにあるか忘れたのか?
そもそもこいつのやらかしなのになんで俺だけが責任を感じなきゃならないんだ。
てかやらかしの張本人にだけは言われたくない。
「……もう良ぇわ。お前のやらかしが俺のせいだって言うなら、俺はお前の人生を終了させることでその贖罪を果たしたことにしてやる」
「な、なんだよ、あいつらはお前の敵だろ? なにそんなにムキになって——なるほどそう言うことか、だったらぁ〈ブレイズファントム〉!」
高梨が上ずった叫びから集約した魔力を8つに分けると、全身炎で構築されたヴァルガラックを出現した。
煌々と赤く燃える全長18メートルの炎の魔人が8体。
周囲の空気が熱気で揺れる。
「すごい魔力……」
「ここに来て全方位攻撃か!?」
アニメでも観たことのあるおかげでアレが遠隔操作魔法だと瞬時に理解でき、この後は四方八方を炎の魔人に囲まれ嬲られるところまで視えてしまう。
「あれはもう防御魔法じゃどうにもならない……」
ミネルバが俺の予想を肯定するかのように、簡易な魔法盾の集合体でしかないブリージンガメンが意味をなさないことを告げられる。
自在に動く超超超熱源が同時に8体。
「あんな超高熱の物体、1発でも食らえば即アウトだぞ」
「ちー……」
ミネルバの小さな鳴き声に、悲愴感しか漂ってこない。
「行けファントム、塵も残さずヤツを焼き尽くせ!」
絶叫に近い高梨の命令を完遂すべく、絶望の魔神たちが行動を開始した。
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