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226話 反撃の兆し
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~ウィッシュタニア魔法王国パーファシー領ゼフェリア~
「いやぁぁぁぁぁ、あなた、あなたぁぁぁぁ!」
どこの街にもあるありふれた民家の1室。
妻を守るために僧兵の前に立ちはだかった男が鈍器で殴り倒され女が絶叫を上げた。
夫の代わりに女の視界に割り込んできた完全武装の男たちが、女の髪を掴んでその顔を確認する。
「おい、こいつを見てみろよ」
「ほぅ、異教徒の癖になかなかの上物ではないか」
「それに男を誘う淫猥な魔女の身体をしておるぞ」
「魔女はいかん、さっそく俺の聖なるこん棒で浄化してやらねばな!」
「貴様の粗末なモノで出来るのか?」
「早打ち野郎がなにおう!」
女を床に投げ捨てると、周りの男たちが下卑た言い合いをしながら我先にとズボンを下す。
「いや、あなた助けて……!」
妻が悲痛な声で助けを求めるも、倒れた夫はピクリとも動かず床の血だまりが広がっていく。
半裸となって近付く男たちを前に女が絶望したまさにその時、倒れた夫を純白の光が包み込んだ。
「なんだこの光は、回復魔法か!?」
「誰だ異教徒なんぞに回復魔法をかけ――光の矢!?」
「囲まれているぞ!?」
「異端の魔術師の――ぐはっ!?」
周囲に出現した無数の光が男たちの全身を貫き絶命させた。
「早くこちらへ!」
突如女の目の前の空間が裂け、若い騎士が手を伸ばす。
「貴方は? あ、でも夫が……」
目まぐるしく変わる状況に女の思考が停止し慌てる事すら出来ずにいた。
「彼は自分が運びます! 貴女も着いて来てください!」
「はい――?」
騎士が倒れた男を担ぐと、女の手を引きワープゲートの先に連れ出した。
これが戦争か……。
〝例え敵側でも民間人には被害を出したくない〟なんて言ったばかりに、守られなければならない人たちに被害が出ている。
どう考えても俺のせいだ。
自分の考えの甘さに対する自己嫌悪と非情非道な行為を平然とやってくる相手への憎悪や怒りで気が狂いそうになる。
やらかしの挽回から直接現地へ行きたい衝動に駆られるも、現場にはワープゲートを直通することができるのが俺しか居ないので動くに動けない。
フリッツの言う通り、後悔先に立たずとは正にこのことだ。
こんなことなら開戦時にバラドリンド教の首都を攻撃しておけばよかった。
戦地は酷いありさまで、出現した敵のワープポータルからはとめどもなく兵士たちが押し寄せ、手あたり次第に民家を放火。
炎から免れた家屋も押し入った僧兵どもが浄化だなんだと住民たちを虐殺する。
それには俺も黙ってはいられず、索敵魔法を用いた遠距離から攻撃魔法で応戦した。
索敵魔法から余計な機能を外して状況を把握することだけに最適化したことで脳への負担こそ軽減されたものの、遠隔での複数個所への攻撃魔法とワープゲートで最初の頃と変わらない負荷を受けていた。
それでも救える命があるなら救助活動をやめる訳にはいかなかった。
敵のワープゲートから新たに侵入してきた僧兵を阻む攻撃もしかけてはいるが、こちらは多重に発動され防御魔法の守りが厚く、進軍速度こそ落ちるものの前進を止められなかった。
『陛下、連隊の編成が完了した。いつでも行けるぞ!』
『よし、連合軍第八連隊、ウィッシュタニア魔法王国パーファシー領ゼフェリアへ向け進軍を開始せよ!』
マクシミリアン将軍の念話による報告にグレアム陛下が進軍を指令。
城の外から数百数千単位の軍靴が地響きのように聞こえてきた。
これでひとまず休憩が取れる。
「ゼフェリアへの援護攻撃を終了する」
「ご苦労、次の襲撃まで休んでくれ」
「そうさせてもらう」
エルネストのねぎらいに「ふぅ」と息を漏らしながらイスに座ると、自宅と繋がるワープゲートからローザが冷たいレモネードを届けてくれた。
ほかにも魔法の補助や負荷の分散にイルミナさんたち魔法の使い手も来てくれており、大本営は俺の周囲だけ花が咲いたようだった。
愛する妻たちの顔が拝めるだけで、頭痛なんかに負けてられるかという気概が湧いてくる。
皆控えめに言って女神。
いや、猫だな。
俺の中で〝猫>>>超えられない壁>>>女神〟な図式が当然の如く成立させていると、新たに傍受した念話が休むことを許してはくれなかった。
「アイヴィナーゼ王国ベルトルース伯爵領モンストンより援軍要請です!」
またも敵兵出現の報告がアイヴィナーゼ・ウィッシュタニア連合大本営に届き、地図のセシトレーン砦の近くに14個目の×印がつけられる。
イスから立ち上がりワープゲートを一旦セシトレーンに開き、そこから索敵魔法を伸ばしてモンストンの状況を脳裏に浮かべる。
次にモンストンの比較的安全そうな場所にワープゲートを開くと、先ほどと同じように敵兵に対し攻撃魔法で迎撃を開始した。
にしてもこれはマジでヤベェな。
地図上に書かれたバツ印を見た限り、アイヴィナーゼの首都へは大きな街を4つ、ウィッシュタニアに至っては3つ跨いだ先まで来ていた。
敵の勇者たちが戦闘に姿を見せたって報告は届いていないことから、全力で全方位から両国の首都を目指していることが見て取れる。
この侵攻速度は異常に過ぎる。
何を使ったらこんなに早く移動できるんだ?
装甲車両魔法を使えば俺でもできなくはないけど……。
だがバラドリンドは魔法禁止国家。
魔法でないならとんでもなく速い竜車のような魔物を使っているとかでもない限り説明がつかない。
それが何百キロって距離を何時間もずっと走りっぱなしとか、どんな体力してんだよ。
実は魔法でしたってオチじゃないだろうな?
遠距離迎撃をしつつ、バラドリンド側の勇者の動きを考査していると、今度は俺に向けての念話が飛んでくる。
『トシオさん、トモノリです。これ以上はワープゲートを維持できません!』
『何とかならないんですかイチノセさん?!』
念話の相手は広場に開いたワープゲートの維持を任せてたトモノリくんとよしのんだ。
ちっとは自分で考えろと言いたくなるが、ついこの間まで普通の高校生をしていた子らにんな高い期待をするのがそもそも間違えてるので文句を飲み込む。
それに比べたら率先して戦地に向かったルージュは優秀なのかもしれない。
そのルージュだが、一度目の出撃から返り血を浴びながらも嬉々「兵隊って言ってもてんで大したことないじゃん! あんなの余裕っしょ!」と、嬉々として実戦の感触を述べていた。
殺人鬼じゃないんだから手足に肉片つけて笑いながら言うなと。
でもまぁ裏切るそぶりが無いだけ全然ましか。
『イチノセさん聞いてます?!』
『誰かに頼むからもう少し待て!』
「フィローラ、セシル、聞いての通りじゃ。トシオのことは我とミネルバで事が足りておる。おぬしらはちとヨシノの手伝いをしてきやれ」
「はい、お師匠!」
念話を聞いていたフィローラが元気な返事でセシルと連れて行く。
「……じゃがこのまま場当たり的な対応では、被害がますます増えるばかりではないのかえ?」
「わかってます。でも今は――」
「陛下、アルフォンス殿下より〈対話鏡〉を用いての通信です!」
俺たちの会話中、首脳部の方から予想外の名前が聞こえてきた。
自国を裏切り〈勇者召喚の部屋〉や軍事施設の破壊に手を貸したであろうアイヴィナーゼの第一王子の名が。
変態シスコン王子が今更なんの用だ?
「繋げ」
グレアム陛下の不機嫌な声での短い命令に兵が金縁の豪華な姿鏡を持って来ると、白い壁をバックに似合わない法衣姿のアルフォンス王子が映し出された。
顔は自信に満ち、自分の優位性を信じて疑わないといった様子である。
こいつに裏切られたアイヴィナーゼ側の貴族のおっさんたちが、アルフォンスを呪い殺さんとばかりに睨みつける。
バラドリンド教に改心しましたってか?
『お久しぶりです父上――いや、アイヴィナーゼ王グレアム・アイヴィナーゼ』
おっさんたちの殺意など気にも介さず、ニヤリと嫌らしい笑みを浮かべるアルフォンスが一瞬だがこちらに視線を向けた。
あの鏡、俺まで映してるのかよ。
「誰かと思えば蛆虫にも劣るクズではないか、まだ生きていたのか?」
「お久しぶりも何も出ていかれてさほどの時も経っておりませんが? さてはもう我々が恋しくなりましたかな?」
挑発的な態度のアルフォンスが、グレアム陛下とセドリック大臣に嫌味たっぷりの言葉で殴りつけられ顔を引きつらせた。
なぜこうも感情を顔に出す奴が多いのか……。
てかヤクザ面のおっさんを恋しがる奴なんかこの世に居てたまるか。
『そ、そんなことを言っても良いのかな? 国中では火の手が上がり、領民は次々と息絶える今の現状を止める術を持つこの私に向かって」
「どうせ〝降伏しろ〟〝こちらの勇者の首を差し出せ〟と言うつもりであろう? ほかにウィットに富んだ要求でもあるなら聞いてやらんでもないが、無いなら時間の無駄だ。つまらん話につき合わせた罪で今すぐ舌を噛んで自害しろ。そうすればこの戦争が終わった後には線香の1本でもくれてやる」
「ッッ!」
グレアム陛下の辛辣な物言いとどこまでも見下した表情に、アルフォンスがまたも言葉を詰まらせた。
現状の鬱憤をぶつけてることが容易に想像できる。
『――父上はどうやら状況も分析できんほどもうろくした様だな。だが私の交渉相手は別に貴方である必要はない。そうであろう、そこに揃いたる者たちよ』
アルフォンスがそういうと、今度はその場にいた貴族のおっさんたちに呼びかける。
『今ここで王を捕らえ降伏を宣言し、バラドリンド教への入信を誓うのであれば、私が貴殿らの身の安全を教皇猊下に口利きしてやってやろう』
アルフォンスが言い終わるなりものすごいドヤ顔を晒す。
事の成り行きの不穏さに、俺が拠点を置くライシーンの領主でローザの叔父でもあるビレーデンさんがほかの貴族を見回しおろおろする。
だが、場当たり的な対応しかできていない後手後手の対応に寝返る者が出てもおかしくない状況にもかかわらず、以外にも貴族のおっさんたちは1人としてアルフォンスに呼応しなかった。
それどころか額に青筋を浮き上がらせ、顔を真っ赤にしながらも沈黙を貫く人まで居るほどだ。
その様子にアルフォンスのドヤ顔が焦りの色に変化し目が右往左往。
泳ぐ視線は最終的に俺に止まる。
『そ、その異世界より来た黄色いサルを見よ、このような室内にも関わらず既に血まみれのやせっぽっちのチビに貴公らは未来を託せるのか!』
それでも沈黙を保つ貴族たちに、言うに事欠き俺をダシに不安を煽り始めた。
チビって俺の背が低いんじゃなくて、軒並み180を超えてるこの世界の男の背が高いだけだからな?
肉付きだって戦闘訓練や筋トレもしてるからそれなりに良くなってるし。
「ここに居る人たちはどこかのクソ野郎と違って裏切ったりしないってさ。あとお前が言う黄色いチビザルだけど、昨晩お前が大好きなクラウディアを娶ったそうだ。そんなわけで安心して肥溜めに頭から突っ込んで死んでいいぞ」
『ゲテモノを好む貴様がクラウディアを娶っただとっ!?』
「ゲテモノ好きってなんやねん、うちの嫁は全員美人やっちゅうねん」
まぁぽっちゃり体系のローザや魔乳なイルミナさん、筋肉質なモリーさんなんかはちょっとノーマルでないことは認めるけど。
獣娘?
ハーピー?
ケンタウロス?
大好物です。
「てかよくよく考えるとこんなのでも義理の兄になるのか最悪だな。秒で死んで親類縁者から外れてくれ、割とマジで」
『……ははぁん、クラウディアのことは私の心を乱すデマカセだな。下劣な言葉で動揺を誘うなど、矮小で卑しいサルらしいふるまいだ。だがたとえ言葉の上でもクラウディアを汚すなど万死に値するぞ!』
「卑しくて矮小な点ではアルフォンス義兄さんには敵いませんよ~」
アルフォンスに手をヒラヒラさせて小馬鹿にしてやると、茹でダコのように顔を赤くした。
ボロが出まくりですよアルフォンス義兄さん。
「全くだ。民を裏切り国を裏切り他国をも裏切り、そんな貴様がなんの義理もない我々のために戦っている男へ矮小だのなんだのとどの口がほざく」
「先ほどから黙って聞いていれば、裏切り者の癖にずいぶん態度が大きいではないか? 〝万死に値する〟のは貴様の方だ、裏切り者の金髪の小僧!」
「このものが血で汚れておるのは民を守るために行動した者の証である! これ見よがしにバラドリンド教の法衣なんぞ着ている貴様などと、比べることすらおこがましい!」
「その通りだ! 何ならワシ自ら貴様の首をはねてやる、どこにいるか知らんがガタガタ震えて待っていろ!」
グレアム陛下を見習い嫌味たっぷりで返してやると、そのグレアム陛下だけでなく今日初めて顔を合わせた貴族たちからも援護射撃を頂いた。
その言葉に今まで自分のやってきたことが独りよがりなものではないと言われているようで、不覚にも熱いものがこみ上げてくる。
けど〝金髪の小僧〟はアカン、それある意味負けフラグや……。
『ふん、私自ら態々出張ってやったものを、それほど死にたいなら一族郎党ほど部が良い。冥界の陰からこの時の選択が間違いであったと後悔するんだな!』
言い捨てるとアルフォンスの姿が姿鏡から消えた。
「戻ったでござる――が、なにかあったでござるか?」
「変なのが湧いたから追い払っただけ」
アルフォンスと入れ替わりでワープゲートの向こう側から影剣さんが現れるなり空気を察して問うてきたが、説明するのも面倒だし必要性も無いので適当に流しておく。
影剣さんの背後では、生い茂った木々の葉が風でざわつく。
「敵軍の所在を掴んだでござる」
「マジで、場所は?」
「バラドリンド教国の最東、ガルブレス連合国との国境に隣接する砦にござる。あそこの遠くに見えるのがそれでござるな」
ワープゲートの向こう側、影剣さんの指さす先の木々の隙間から遠くの方に大きな建造物が確認できた。
場所の確認のためにワープゲートに入り〈マップ〉で地球儀っぽい球体の玉を呼び出すと、大きく突き出た半島の大陸側に逆三角の矢印が浮かぶ。
「砦ってことは軍事拠点か」
「いかにも」
「兵を集めたのが魔法封じの〈神器〉が無い場所なんて、好都合じゃないか」
神器は首都から動いていないって話だし、それなら砦もろとも大魔法で全滅出来る。
今までのうっ憤を晴らす機会が早々にやってきたことに、澱んだ想いが歓喜に沸く。
「それなのでござるが、バラドリンド教の軍事拠点はどこも魔法封じの結界が張られているでござる。規模を見るために砦の外から索敵魔法を走らせたでござるが、首都にある神器ほどの広さではないにせよ、砦を覆うほどの広域でござった」
「おっふ」
何処までも魔法への防備が徹底されていることにうんざりする。
「……何にしろ兵を封じないと被害が止まらない。まずはそこを何とかするしかないな」
「出来るのか?」
ワープゲートの向こう側から俺たちの会話を聞いていたグレアム陛下が問うてくる。
「ワープゲートの特性を利用すればとりあえず兵は中に閉じ込められると思いますし、たぶんやってやれないことはないかと」
「そうであるか。……ならばトシオよ、異世界人であるお前に頼むのは間違っていると承知した上で改めて頼む。我々を、そして2つの国に住む多くの民を救ってくれ。この通りだ」
「俺からも頼む」
「やるだけはやってみます」
ついでに自分たちが信頼しきってる魔法封じの結界が、いかに脆弱なものかを教えてやる。
深く頭を下げるグレアム陛下とエルネストに、軽い口調で請け負った。
自分でも信じられないほどのバラドリンド教国への殺意を隠して。
「いやぁぁぁぁぁ、あなた、あなたぁぁぁぁ!」
どこの街にもあるありふれた民家の1室。
妻を守るために僧兵の前に立ちはだかった男が鈍器で殴り倒され女が絶叫を上げた。
夫の代わりに女の視界に割り込んできた完全武装の男たちが、女の髪を掴んでその顔を確認する。
「おい、こいつを見てみろよ」
「ほぅ、異教徒の癖になかなかの上物ではないか」
「それに男を誘う淫猥な魔女の身体をしておるぞ」
「魔女はいかん、さっそく俺の聖なるこん棒で浄化してやらねばな!」
「貴様の粗末なモノで出来るのか?」
「早打ち野郎がなにおう!」
女を床に投げ捨てると、周りの男たちが下卑た言い合いをしながら我先にとズボンを下す。
「いや、あなた助けて……!」
妻が悲痛な声で助けを求めるも、倒れた夫はピクリとも動かず床の血だまりが広がっていく。
半裸となって近付く男たちを前に女が絶望したまさにその時、倒れた夫を純白の光が包み込んだ。
「なんだこの光は、回復魔法か!?」
「誰だ異教徒なんぞに回復魔法をかけ――光の矢!?」
「囲まれているぞ!?」
「異端の魔術師の――ぐはっ!?」
周囲に出現した無数の光が男たちの全身を貫き絶命させた。
「早くこちらへ!」
突如女の目の前の空間が裂け、若い騎士が手を伸ばす。
「貴方は? あ、でも夫が……」
目まぐるしく変わる状況に女の思考が停止し慌てる事すら出来ずにいた。
「彼は自分が運びます! 貴女も着いて来てください!」
「はい――?」
騎士が倒れた男を担ぐと、女の手を引きワープゲートの先に連れ出した。
これが戦争か……。
〝例え敵側でも民間人には被害を出したくない〟なんて言ったばかりに、守られなければならない人たちに被害が出ている。
どう考えても俺のせいだ。
自分の考えの甘さに対する自己嫌悪と非情非道な行為を平然とやってくる相手への憎悪や怒りで気が狂いそうになる。
やらかしの挽回から直接現地へ行きたい衝動に駆られるも、現場にはワープゲートを直通することができるのが俺しか居ないので動くに動けない。
フリッツの言う通り、後悔先に立たずとは正にこのことだ。
こんなことなら開戦時にバラドリンド教の首都を攻撃しておけばよかった。
戦地は酷いありさまで、出現した敵のワープポータルからはとめどもなく兵士たちが押し寄せ、手あたり次第に民家を放火。
炎から免れた家屋も押し入った僧兵どもが浄化だなんだと住民たちを虐殺する。
それには俺も黙ってはいられず、索敵魔法を用いた遠距離から攻撃魔法で応戦した。
索敵魔法から余計な機能を外して状況を把握することだけに最適化したことで脳への負担こそ軽減されたものの、遠隔での複数個所への攻撃魔法とワープゲートで最初の頃と変わらない負荷を受けていた。
それでも救える命があるなら救助活動をやめる訳にはいかなかった。
敵のワープゲートから新たに侵入してきた僧兵を阻む攻撃もしかけてはいるが、こちらは多重に発動され防御魔法の守りが厚く、進軍速度こそ落ちるものの前進を止められなかった。
『陛下、連隊の編成が完了した。いつでも行けるぞ!』
『よし、連合軍第八連隊、ウィッシュタニア魔法王国パーファシー領ゼフェリアへ向け進軍を開始せよ!』
マクシミリアン将軍の念話による報告にグレアム陛下が進軍を指令。
城の外から数百数千単位の軍靴が地響きのように聞こえてきた。
これでひとまず休憩が取れる。
「ゼフェリアへの援護攻撃を終了する」
「ご苦労、次の襲撃まで休んでくれ」
「そうさせてもらう」
エルネストのねぎらいに「ふぅ」と息を漏らしながらイスに座ると、自宅と繋がるワープゲートからローザが冷たいレモネードを届けてくれた。
ほかにも魔法の補助や負荷の分散にイルミナさんたち魔法の使い手も来てくれており、大本営は俺の周囲だけ花が咲いたようだった。
愛する妻たちの顔が拝めるだけで、頭痛なんかに負けてられるかという気概が湧いてくる。
皆控えめに言って女神。
いや、猫だな。
俺の中で〝猫>>>超えられない壁>>>女神〟な図式が当然の如く成立させていると、新たに傍受した念話が休むことを許してはくれなかった。
「アイヴィナーゼ王国ベルトルース伯爵領モンストンより援軍要請です!」
またも敵兵出現の報告がアイヴィナーゼ・ウィッシュタニア連合大本営に届き、地図のセシトレーン砦の近くに14個目の×印がつけられる。
イスから立ち上がりワープゲートを一旦セシトレーンに開き、そこから索敵魔法を伸ばしてモンストンの状況を脳裏に浮かべる。
次にモンストンの比較的安全そうな場所にワープゲートを開くと、先ほどと同じように敵兵に対し攻撃魔法で迎撃を開始した。
にしてもこれはマジでヤベェな。
地図上に書かれたバツ印を見た限り、アイヴィナーゼの首都へは大きな街を4つ、ウィッシュタニアに至っては3つ跨いだ先まで来ていた。
敵の勇者たちが戦闘に姿を見せたって報告は届いていないことから、全力で全方位から両国の首都を目指していることが見て取れる。
この侵攻速度は異常に過ぎる。
何を使ったらこんなに早く移動できるんだ?
装甲車両魔法を使えば俺でもできなくはないけど……。
だがバラドリンドは魔法禁止国家。
魔法でないならとんでもなく速い竜車のような魔物を使っているとかでもない限り説明がつかない。
それが何百キロって距離を何時間もずっと走りっぱなしとか、どんな体力してんだよ。
実は魔法でしたってオチじゃないだろうな?
遠距離迎撃をしつつ、バラドリンド側の勇者の動きを考査していると、今度は俺に向けての念話が飛んでくる。
『トシオさん、トモノリです。これ以上はワープゲートを維持できません!』
『何とかならないんですかイチノセさん?!』
念話の相手は広場に開いたワープゲートの維持を任せてたトモノリくんとよしのんだ。
ちっとは自分で考えろと言いたくなるが、ついこの間まで普通の高校生をしていた子らにんな高い期待をするのがそもそも間違えてるので文句を飲み込む。
それに比べたら率先して戦地に向かったルージュは優秀なのかもしれない。
そのルージュだが、一度目の出撃から返り血を浴びながらも嬉々「兵隊って言ってもてんで大したことないじゃん! あんなの余裕っしょ!」と、嬉々として実戦の感触を述べていた。
殺人鬼じゃないんだから手足に肉片つけて笑いながら言うなと。
でもまぁ裏切るそぶりが無いだけ全然ましか。
『イチノセさん聞いてます?!』
『誰かに頼むからもう少し待て!』
「フィローラ、セシル、聞いての通りじゃ。トシオのことは我とミネルバで事が足りておる。おぬしらはちとヨシノの手伝いをしてきやれ」
「はい、お師匠!」
念話を聞いていたフィローラが元気な返事でセシルと連れて行く。
「……じゃがこのまま場当たり的な対応では、被害がますます増えるばかりではないのかえ?」
「わかってます。でも今は――」
「陛下、アルフォンス殿下より〈対話鏡〉を用いての通信です!」
俺たちの会話中、首脳部の方から予想外の名前が聞こえてきた。
自国を裏切り〈勇者召喚の部屋〉や軍事施設の破壊に手を貸したであろうアイヴィナーゼの第一王子の名が。
変態シスコン王子が今更なんの用だ?
「繋げ」
グレアム陛下の不機嫌な声での短い命令に兵が金縁の豪華な姿鏡を持って来ると、白い壁をバックに似合わない法衣姿のアルフォンス王子が映し出された。
顔は自信に満ち、自分の優位性を信じて疑わないといった様子である。
こいつに裏切られたアイヴィナーゼ側の貴族のおっさんたちが、アルフォンスを呪い殺さんとばかりに睨みつける。
バラドリンド教に改心しましたってか?
『お久しぶりです父上――いや、アイヴィナーゼ王グレアム・アイヴィナーゼ』
おっさんたちの殺意など気にも介さず、ニヤリと嫌らしい笑みを浮かべるアルフォンスが一瞬だがこちらに視線を向けた。
あの鏡、俺まで映してるのかよ。
「誰かと思えば蛆虫にも劣るクズではないか、まだ生きていたのか?」
「お久しぶりも何も出ていかれてさほどの時も経っておりませんが? さてはもう我々が恋しくなりましたかな?」
挑発的な態度のアルフォンスが、グレアム陛下とセドリック大臣に嫌味たっぷりの言葉で殴りつけられ顔を引きつらせた。
なぜこうも感情を顔に出す奴が多いのか……。
てかヤクザ面のおっさんを恋しがる奴なんかこの世に居てたまるか。
『そ、そんなことを言っても良いのかな? 国中では火の手が上がり、領民は次々と息絶える今の現状を止める術を持つこの私に向かって」
「どうせ〝降伏しろ〟〝こちらの勇者の首を差し出せ〟と言うつもりであろう? ほかにウィットに富んだ要求でもあるなら聞いてやらんでもないが、無いなら時間の無駄だ。つまらん話につき合わせた罪で今すぐ舌を噛んで自害しろ。そうすればこの戦争が終わった後には線香の1本でもくれてやる」
「ッッ!」
グレアム陛下の辛辣な物言いとどこまでも見下した表情に、アルフォンスがまたも言葉を詰まらせた。
現状の鬱憤をぶつけてることが容易に想像できる。
『――父上はどうやら状況も分析できんほどもうろくした様だな。だが私の交渉相手は別に貴方である必要はない。そうであろう、そこに揃いたる者たちよ』
アルフォンスがそういうと、今度はその場にいた貴族のおっさんたちに呼びかける。
『今ここで王を捕らえ降伏を宣言し、バラドリンド教への入信を誓うのであれば、私が貴殿らの身の安全を教皇猊下に口利きしてやってやろう』
アルフォンスが言い終わるなりものすごいドヤ顔を晒す。
事の成り行きの不穏さに、俺が拠点を置くライシーンの領主でローザの叔父でもあるビレーデンさんがほかの貴族を見回しおろおろする。
だが、場当たり的な対応しかできていない後手後手の対応に寝返る者が出てもおかしくない状況にもかかわらず、以外にも貴族のおっさんたちは1人としてアルフォンスに呼応しなかった。
それどころか額に青筋を浮き上がらせ、顔を真っ赤にしながらも沈黙を貫く人まで居るほどだ。
その様子にアルフォンスのドヤ顔が焦りの色に変化し目が右往左往。
泳ぐ視線は最終的に俺に止まる。
『そ、その異世界より来た黄色いサルを見よ、このような室内にも関わらず既に血まみれのやせっぽっちのチビに貴公らは未来を託せるのか!』
それでも沈黙を保つ貴族たちに、言うに事欠き俺をダシに不安を煽り始めた。
チビって俺の背が低いんじゃなくて、軒並み180を超えてるこの世界の男の背が高いだけだからな?
肉付きだって戦闘訓練や筋トレもしてるからそれなりに良くなってるし。
「ここに居る人たちはどこかのクソ野郎と違って裏切ったりしないってさ。あとお前が言う黄色いチビザルだけど、昨晩お前が大好きなクラウディアを娶ったそうだ。そんなわけで安心して肥溜めに頭から突っ込んで死んでいいぞ」
『ゲテモノを好む貴様がクラウディアを娶っただとっ!?』
「ゲテモノ好きってなんやねん、うちの嫁は全員美人やっちゅうねん」
まぁぽっちゃり体系のローザや魔乳なイルミナさん、筋肉質なモリーさんなんかはちょっとノーマルでないことは認めるけど。
獣娘?
ハーピー?
ケンタウロス?
大好物です。
「てかよくよく考えるとこんなのでも義理の兄になるのか最悪だな。秒で死んで親類縁者から外れてくれ、割とマジで」
『……ははぁん、クラウディアのことは私の心を乱すデマカセだな。下劣な言葉で動揺を誘うなど、矮小で卑しいサルらしいふるまいだ。だがたとえ言葉の上でもクラウディアを汚すなど万死に値するぞ!』
「卑しくて矮小な点ではアルフォンス義兄さんには敵いませんよ~」
アルフォンスに手をヒラヒラさせて小馬鹿にしてやると、茹でダコのように顔を赤くした。
ボロが出まくりですよアルフォンス義兄さん。
「全くだ。民を裏切り国を裏切り他国をも裏切り、そんな貴様がなんの義理もない我々のために戦っている男へ矮小だのなんだのとどの口がほざく」
「先ほどから黙って聞いていれば、裏切り者の癖にずいぶん態度が大きいではないか? 〝万死に値する〟のは貴様の方だ、裏切り者の金髪の小僧!」
「このものが血で汚れておるのは民を守るために行動した者の証である! これ見よがしにバラドリンド教の法衣なんぞ着ている貴様などと、比べることすらおこがましい!」
「その通りだ! 何ならワシ自ら貴様の首をはねてやる、どこにいるか知らんがガタガタ震えて待っていろ!」
グレアム陛下を見習い嫌味たっぷりで返してやると、そのグレアム陛下だけでなく今日初めて顔を合わせた貴族たちからも援護射撃を頂いた。
その言葉に今まで自分のやってきたことが独りよがりなものではないと言われているようで、不覚にも熱いものがこみ上げてくる。
けど〝金髪の小僧〟はアカン、それある意味負けフラグや……。
『ふん、私自ら態々出張ってやったものを、それほど死にたいなら一族郎党ほど部が良い。冥界の陰からこの時の選択が間違いであったと後悔するんだな!』
言い捨てるとアルフォンスの姿が姿鏡から消えた。
「戻ったでござる――が、なにかあったでござるか?」
「変なのが湧いたから追い払っただけ」
アルフォンスと入れ替わりでワープゲートの向こう側から影剣さんが現れるなり空気を察して問うてきたが、説明するのも面倒だし必要性も無いので適当に流しておく。
影剣さんの背後では、生い茂った木々の葉が風でざわつく。
「敵軍の所在を掴んだでござる」
「マジで、場所は?」
「バラドリンド教国の最東、ガルブレス連合国との国境に隣接する砦にござる。あそこの遠くに見えるのがそれでござるな」
ワープゲートの向こう側、影剣さんの指さす先の木々の隙間から遠くの方に大きな建造物が確認できた。
場所の確認のためにワープゲートに入り〈マップ〉で地球儀っぽい球体の玉を呼び出すと、大きく突き出た半島の大陸側に逆三角の矢印が浮かぶ。
「砦ってことは軍事拠点か」
「いかにも」
「兵を集めたのが魔法封じの〈神器〉が無い場所なんて、好都合じゃないか」
神器は首都から動いていないって話だし、それなら砦もろとも大魔法で全滅出来る。
今までのうっ憤を晴らす機会が早々にやってきたことに、澱んだ想いが歓喜に沸く。
「それなのでござるが、バラドリンド教の軍事拠点はどこも魔法封じの結界が張られているでござる。規模を見るために砦の外から索敵魔法を走らせたでござるが、首都にある神器ほどの広さではないにせよ、砦を覆うほどの広域でござった」
「おっふ」
何処までも魔法への防備が徹底されていることにうんざりする。
「……何にしろ兵を封じないと被害が止まらない。まずはそこを何とかするしかないな」
「出来るのか?」
ワープゲートの向こう側から俺たちの会話を聞いていたグレアム陛下が問うてくる。
「ワープゲートの特性を利用すればとりあえず兵は中に閉じ込められると思いますし、たぶんやってやれないことはないかと」
「そうであるか。……ならばトシオよ、異世界人であるお前に頼むのは間違っていると承知した上で改めて頼む。我々を、そして2つの国に住む多くの民を救ってくれ。この通りだ」
「俺からも頼む」
「やるだけはやってみます」
ついでに自分たちが信頼しきってる魔法封じの結界が、いかに脆弱なものかを教えてやる。
深く頭を下げるグレアム陛下とエルネストに、軽い口調で請け負った。
自分でも信じられないほどのバラドリンド教国への殺意を隠して。
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