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202話 同盟国会議と昼行燈
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アイヴィナーゼへの事後報告を行った2日後には、アイヴィナーゼ王国とウィッシュタニア魔法王国による首脳会談を行われ、その日の内に2国間の同盟が成立した。
対バラドリンド教国共同戦線の締結である。
ウィッシュタニアの会議室では両国の首脳陣が顔を突き合わせ、兵の招集具合や兵站などの打ち合わせを行っていた。
貴族のお歴々の顔ぶれを、見知った顔の両国の人間とソファーで顔を突き合わせながら眺めていた。
見知った顔とは、正規の騎士となったフリッツやウィッシュタニアの新勇者であるトモノリくん、そしてクラウディア王女だ。
先程からトモノリがクラウディア王女をチラチラと見てはすぐに目を離し、また目を向けるのを繰り返していた。
クラウディアも気付いていない体を装っている。
自他ともに〈アイヴィナーゼの至宝〉とか言っちゃうくらいだし、視線を向けられるのは慣れているんだろうな。
ほかにもアイヴィナーゼの近衛騎士に昇格したてのフルブライトさんも居るが、背後に控えるように立っている。
「同盟ってもっと話を詰めてからだと思ったけど、案外あっさり決まるもんなんだな」
「ここだけの話、仮にウィッシュタニアがバラドリンドに破れでもすれば、勇者の居ないアイヴィナーゼでは太刀打ち出来ん。なら高レベルの兵士を多く擁するウィッシュタニアと連携した方が勝機は高い。それに今なら財政が疲弊しているウィッシュタニアの兵站を、大穀倉地帯を有する我が国が受け持つだけで恩が売れるのは実に大きい」
フルブライトさんが顔を近づけ、俺にしか聞こえないように小声でぶっちゃける。
食料が無くては兵は維持できない。
兵の数が数千数万ともなると、1日の食事だけでも莫大なものとなり、戦争に勝つためにも兵站ははならず確保しなければならないほどに重要だ。
『戦争のプロは兵站を語り、素人は戦略を語る、なんて格言がある。金が無いなら戦時国債を発行してでもそこは疎かに出来ないだろう』とはレンさんの言葉だ。
戦記物でも敵の補給部隊を潰したり食糧庫を燃やして勝つシーンなんて数知れずだ。
けどフルブライトさん、いくら何でもここでそれを言っちゃダメだと思いますよ。
「トシオさんってアイヴィナーゼの勇者じゃなかったんですか?」
案の定、勇者のボーナススキルである〈聴覚強化〉を習得しているであろうトモノリに聞かれていた。
でも気にするところはそこかよ。
「んー、そもそも俺はどこかの国に召喚されたんじゃなくて、気が付いたらこっちの世界に来てたんよ」
「そんなことってありえるんですか?」
「稀にではございますが、〈勇者召喚〉以外にもなにかしらの拍子にこちらの世界へ来てしまわれることがあるようです。そのような者たちを、我々は〈流れ人〉と呼んでおります」
「失礼します!」
クラウディアがトモノリに説明していると、1人の兵士が会議室に入ってきた。
「閣下」
「ご苦労」
ヴィクトルが入ってきた男から差し出された紙切れを受け取り中を確認する。
老将が眉間に深いシワが刻みながらそれをエルネストに渡す。
「バラドリンドに派遣した使者からの報告ですね。停戦は受け入れられず、そればかりか降伏勧告を突き付けて来ました」
エルネストが渡された紙をグレアム陛下に回しながら皆に告げると、部屋に居た貴族たちがざわついた。
「予想通りの回答か」
「分かり切っていたことですな」
「宗教狂いにつける薬は無いのう」
グレアム陛下らアイヴィナーゼの強面3人は今日も平常運転です。
「しかし、属国であるモンテハナムにも援軍の要請を出してはおりますが、このままでは間に合うかどうか」
セドリック大臣が懸念を示す。
「モンテハナムって国はどれくらいの規模なの?」
「国土も人口もアイヴィナーゼの半分以下、経済力ならばライシーンにも劣りますな」
俺の問いにフルブライトさんが教えてくれた。
アイヴィナーゼ第二の都市とも言われるライシーン。
とはいえ、国の規模がライシーン以下とは、援軍が仮に間に合ったとしても心もとない。
「確かモンテハナムって海に面した国だったような? 交易とかで栄えてたりしないのですか?」
「海に面しているからこそですよ」
港町とか普通に交易で栄えてそうなものだが、フリッツの口ぶりからしてそうでもない様だ。
「小山ほどもある魔物が海底から突如襲ってくるのを想像してみて下さい」
「あ~……」
そうだった、クレアル湖ですら10メートル級の肉食魚が泳いでるんだ。
湖なんかとは比べ物にならない広さをもつ海ともなれば船よりもでかいモンスターが居たっておかしくない。
「足元から様々なモンスターが襲ってくる場所に好き好んでわざわざ出かけるアホは居らんわなぁ」
「仮に襲われたとしても危険に対処し易い分、陸路の方が比較的安全と言えましょう」
フリッツの言い分はもっともだ。
なら状況的に造船技術は発達してなさそうだなぁ。
「穀倉地も少なく海のせいで隣り合う国がアイヴィナーゼのみとくれば、必然的に経済が滞るってもんだ。――ものです」
語尾を言い直すフルブライトさん。
モンテハナムの経済規模の小さい理由に、トモノリが「なるほど」とつぶやく。
「しかも確認されている迷宮は1つのみ。若者は職を求めてアイヴィナーゼに流れ、親に奴隷として売る子供も珍しくないとか」
リシアと初めて会った時、リベクさんが南方の街で買い付けた奴隷も、モンテハナムから流れてきた人たちだった。
まだ数か月しか経っていないことを懐かしいと感じながら、当時街の近くだからと隊商から外れて壊れた馬車で待機していたリベクさんの迂闊っぷりを思い出す。
「ケンタウロスの集落にも声を掛けてはいるが、まだ返答をもらえてはおらん」
「ケンタウロスか、彼らはバラドリンドに領地を奪われ、今は各地へ散り散りと聞く。彼らが協力してくれれば心強いのだが」
「領地の奪還と自治を確約すれば、きっと彼らも駆けつけてくれるであろう」
会議席ではヴィクトル将軍の発言に、アイヴィナーゼの貴族たちも関心を示す。
バラドリンドの人間がケンタウロスの自治領で悪さを働き、頻発する問題行為にキレたケンタウロスがバラドリンドへ攻め込むも、逆に返り討ちに遭い領地を奪われた経緯がある。
住み慣れた土地を奪われた人々の恨み辛みは根が深い。
ケンタウロスたちが領地を奪われたのは祖父母の世代のはずなのに、普段は真面目で前向きなユニスが見せたあの苦みと恨みが混ざったような表情が未だに忘れられない。
「なんだかすごいことになってきてますけど、あの、ぼ、僕たちが戦争の手伝いなんてして大丈夫なんですか?」
トモノリが不安そうに問うてくる。
「それに、戦争っていっぱい人が死んじゃうじゃないですか。それってやっぱり良くないと思うんです……」
「ん~」
どう言えばいいものか。
「戦争が良いとは俺も思わないけど、攻めてきてるのは向こうだし、話し合おうにもさっき聞いた通り無視されてんだよ? ならもう戦うしかないんじゃない?」
「戦う前に降伏しちゃえば……」
「んなことしたら、ここで会議してる人たち全員の首は飛ぶだろうね」
「反逆の芽となりうる王侯貴族など、相手からすれば必ず始末しておきたいでしょうね。わたくしが相手の立場でもそうします」
「バラドリンド教は魔法を悪と教え忌避しております。民間人ですら粛清の対象でしょう」
トモノリの希望を潰すように、俺とクラウディアとフリッツが降伏できない理由を述べる。
「あと、戦争に加担してる時点で、自分だけが大丈夫なんてことは無いから安心しろ」
「安心できる要素がひとかけらも無ぇ」
俺の言動にフルブライトさんがげっそりとした声で呻く。
「危害を加えられるのが嫌なら、危害を加えられないようにすりゃぁ良いし」
「そんなことって出来るんですか?」
「一番簡単なのは、全部投げ捨てて逃げること。異世界の奴らを君が守ってやる義理はないからね」
「「「……はい?」」」
俺の発言に会議に参加していた多くの方たちが、マヌケな声が絞り出してこちらに視線を注いでいる。
こっちの話なんか聞いてないで会議に集中しろよと思わなくもないが、こちらの世界最大のやべぇ生物兵器である〈異世界人〉の話す内容は、彼らの注目すべき内容のようだ。
「ふふーふ、そんなに熱い眼差しを向けられると照れるじゃないか」
「違うことなく視線の温度は絶対零度でしてよ」
「異世界人ってのはこんなのばかりかよ……」
クラウディア王女とフルブライトさんがため息交じりにぼやき、トモノリが困惑からオロオロする。
みんなと仲良く心中なんて主義じゃないし、出来ることなら真っ先に逃げ出したいというのが俺の本音である。
しかし、何もせずに逃げ出すには、俺はここにいる人たちと関わりすぎた。
俺にできることなら何とかしたいと思っている。
だがトモノリくんは違う。
彼は〈勇者召喚〉によってこちらの世界に拉致された被害者であり、親しい人間関係を構築してはいないのだ。
ならば彼が命を賭してまで戦う理由なんてどこにもない。
てかフルブライトさん、言葉遣いが完全に戻ってますよ。
あとライシーンの迷宮で消えた奴と一緒くたにしないでくれる?
「はははっ、まじめなトモノリ様と同列に扱うなど、不真面目の極致たるトシオ様に失礼ですよ」
フリッツだけが冗談で返してくれた。
「そこトモノリくんに失礼って言うとこだよね? なんでわざわざそんな文法で言いやがりました?」
「おやおや、そこに気付くとはさすがはトシオ様ですね」
「そんな〝さすトシ〟は要らないからな? ……まぁトモノリくん1人でどうこうなるかはわからないけど、一緒に戦ってくれるなら俺も心強いかな」
フリッツと馬鹿な会話を繰り広げながら、トモノリを頼りにしている風に言ったり、自分は逃げないことをアピールして会話を聞いている人たちへの配慮もちゃんとしておく。
歪で付け焼刃なコミュ力しかない俺とは思えない素晴らしいフォローである。
などと内心で自画自賛していると、会議卓から〝ドン!〟とテーブルをたたく音がした。
「我々が真面目に議論をしているというのに、昼行燈の如く振舞っているだけで皆にちやほやされるのだ、勇者殿は良い御身分ですな」
「アルフォンス」
グレアム陛下が自分の息子を窘めるも、王太子殿下は悪びれた様子もなく鼻を鳴らし視線をそらした。
相変わらずサーチエネミーにヒットする程の敵意である。
俺の何が気に入らないんだか。
普段ならこういう手合いは無視に限るが、昼行燈と言う単語は嫌いじゃないので、気が向いたから乗ってやることにする。
「だろ? 昼行燈なんてただ居るだけで存在意義を醸し出す〝男の憧れる職業ナンバー1〟だもんな。ちなみに2位がヒモで3位が牢名主。王子なんて面倒すぎて確か~~58位だっけ? 昼行燈が羨ましいのは分かるけど、職業で男の価値は決まらないから卑下するな。気にしすぎると体に悪いよ?」
「……はっははは! 1位から3位には同意しかねるが、王子の面倒さに関しては違いない。俺が保証しよう!」
余り上手い返しだとは思っていなかったが、エルネストが馬鹿しながら便乗する。
「何をおっしゃいます陛下、牢名主とは獄中ですら多くの仲間を従わせるアウトローの極致と言っても過言ではない名誉職。それが終身ともなれば一生ふんぞり返って働かずに食べていけ、牢内で尽きたい職としては誰もが羨む存在ですぞ」
ウィッシュタニアの近衛騎士団長に昇進したばかりのダンクマールさんが、過言でしかない謎解説で周りから爆笑をとる。
牢屋に入れられてる時点で名誉もないし羨ましくもない。
そんな空気が気に入らないのか、アルフォンスが真っ赤な顔をさらに歪ませた。
わかる。
爆笑をとるのが自分でないと気が済まないその気持ち、大阪人である俺にはすごくわかるぞっ。
「私も家内が生きていたならヒモになりたいと、常日頃から思っておりました……」
更にはインテリヤクザもといセドリック大臣が謎のクズいカミングアウトを行うと、亡き妻を想ってか窓の外に視線を向けた。
空はまぶしいまでの夏の青。
所々に浮かぶ白との対比がとても美しい反面、セドリックさんの言葉にもの悲しさを感じてしまった。
しんみりとした空気が流れ、その寂しさからか不意にリシアの顔が脳裏に浮かぶ。
「いや、お前のカミさん生きてるだろ」
「私の叔母を勝手に殺さないで頂けますか?」
「その場のノリで妻を殺すとは、どうしようもないクズが居ったものよな」
グレアム陛下とバクストンさん、それにマクシミリアンさん迄もがそれぞれ冷静にツッコんだ。
俺の哀愁を返せと言いたい。
てかバクストンさんとセドリックさんは親戚だったんだ。
「ところで剣鬼よ、4位はひきこもりだと思うがどうか?」
「ワシはスネかじりこそ4位に違いないと思っておる」
マクシミリアンさんとヴィクトルが、頭の悪い格付けバトルを勃発させる。
主張を譲らない2人がヒートアップし始めたところでウィッシュタニアの参謀に抜擢されたクロードが「本人の活動内容が内か外かの違いこそあれ、人種としては同列です」と冷静にツッコミ、両老将を黙らせた。
それからは会議そっちのけで〝どの職業が上位に来る〟だとか、〝王は王子より上か下か〟などと、国の垣根を越えてくだらない話に花を咲かせ始めた。
偉い人が真剣に話す内容じゃないけど息抜きも必要だし、皆楽しそうなのでまぁよしとしよう。
昼行燈でも一応は役には立てたようで何よりだが、こんなくだらないことで時間を消費したのが原因で戦争の準備が間に合わなかったってのだけは勘弁してほしい。
お茶を口に運びながらそんなやり取りを眺めていると、突然壁を抜ける様に現れた何かに、全身の毛がゾワリと逆立ったのを強く感じた。
視線を向けることなく視界の端でそこに注目するが、そこには何の変哲もない壁しかない。
何も無い。
何も無いのだが、俺の複合索敵魔法〈フリズスキャールヴ〉がその何かを確実に検知している。
引っかかったのは魔念動力を空気の様に薄く展開した接触感知レーダーにだ。
自身の複合隠蔽魔法〈ロキ〉が自分でも危険すぎると、これを見破るために考えた結論が〝魔力を周囲に張り巡らせて、魔力を使って直接物体に触れるしかない〟だった。
魔法で触れるのを直接と言うのに違和感しかないが、今はそんなことを考えている場合じゃ無い。
サイズや形状からして人間の様だが、サーチエネミーだけでなく、マナ感知でわかるマナの揺らぎにも反応しないのだから、それらに対する妨害もきっちり施しているとみて間違いは無いだろう。
つまり、突然現れた何者かは、〈ロキ〉と同等かそれ以上の隠蔽と索敵妨害を同時に使用しているということだ。
一体何者なのか、何の意図があって隠蔽魔法を使ってやって来たのか気になる。
しかし、潜水艦は他国の領海内を潜水状態で航行すると、それだけで敵対行動とみなされる。
この何者か解らない侵入者は敵対行動をとっているとみなしても良いだろうか?
答えは当然YESである。
――グレイプニル!
心の中で力ある言葉を紡ぐと、侵入者目がけて捕縛の魔法紐を7本射出。
しかしその何者かは俺の魔法に素早く反応し、回避どころか存在そのものを消しやがった。
突然の俺の魔法に会議室に緊張が走る。
「なにごとだ!」
「敵だ!」
エルネストの鋭い声に短く返す。
次の瞬間、俺の影から不可視の何者かが頭を出した。
その頭部目がけてエインヘリヤル込みの右足を踏み下ろす。
それを片手で受け止める侵入者。
だがその衝撃で男の隠蔽魔法が瞬間的に剥がれるのを、この場に居たすべての者が目撃する。
その頭は黒い頭巾に覆われ、腕を覆う黒い袖の上にはこれまた黒い手甲が装着されている。
黒装束とか忍者のつもりか?!
足を受け止められた状態で相手の身体が競り上がってきた。
バランスを崩す前に小さく飛び上がり、侵入者の顔目がけて左足で空中ローキック。
それを顔の横でまたもやガードされるも、相手が壁際まで吹き飛んだ。
だが壁に激突することも無くぴたりと空中で制止し、そのまま音もなく床から全身を現した。
相手は痛がる気配もない。
ダメージ0か、エインヘリヤルでの本気蹴りを受けて平気とかクソかよ……。
警戒しながらも収納袋様からショートパルチザンを取り出し、右中段に構えを取る。
ここでグレアム陛下がいつもの〝我以外人にあらず〟な表情で口を開く。
「このようなところに姿を隠して侵入とは、礼儀の知らん賊は興が無くていかんな」
「これは失礼致した」
尊大な口調で侵入者に言葉を浴びせると、そいつは男の声で非礼を認め、隠蔽魔法を解除した。
現した姿は黒尽くめの忍び装束で全身を隠し、唯一覗く目元には、鋭い眼光だけが覗く。
体格は俺と同じくらいで日本人の標準体型。
首元の黒く長いマフラーが、風も無いのに独りでにたなびく。
そんな男が自身の顔の前で右手の人差し指と中指を立て、左腕は腰の刀に逆手で添える。
ニンジャだ……。
いや、別に隠密行動時は隠蔽魔法で姿を消していれば変装するまでも無い訳だし、普段から忍び装束で歩き回っても全然良いのか。
むしろ襲撃に当たり顔を見せないという意味では、間違いなくこの場では正しい衣装だ。
「拙者は神聖バラドリンド教国にて忍び頭を務める者。名をシャドウセイバーと申す」
男が流暢な日本語で名乗りを上げた。
対バラドリンド教国共同戦線の締結である。
ウィッシュタニアの会議室では両国の首脳陣が顔を突き合わせ、兵の招集具合や兵站などの打ち合わせを行っていた。
貴族のお歴々の顔ぶれを、見知った顔の両国の人間とソファーで顔を突き合わせながら眺めていた。
見知った顔とは、正規の騎士となったフリッツやウィッシュタニアの新勇者であるトモノリくん、そしてクラウディア王女だ。
先程からトモノリがクラウディア王女をチラチラと見てはすぐに目を離し、また目を向けるのを繰り返していた。
クラウディアも気付いていない体を装っている。
自他ともに〈アイヴィナーゼの至宝〉とか言っちゃうくらいだし、視線を向けられるのは慣れているんだろうな。
ほかにもアイヴィナーゼの近衛騎士に昇格したてのフルブライトさんも居るが、背後に控えるように立っている。
「同盟ってもっと話を詰めてからだと思ったけど、案外あっさり決まるもんなんだな」
「ここだけの話、仮にウィッシュタニアがバラドリンドに破れでもすれば、勇者の居ないアイヴィナーゼでは太刀打ち出来ん。なら高レベルの兵士を多く擁するウィッシュタニアと連携した方が勝機は高い。それに今なら財政が疲弊しているウィッシュタニアの兵站を、大穀倉地帯を有する我が国が受け持つだけで恩が売れるのは実に大きい」
フルブライトさんが顔を近づけ、俺にしか聞こえないように小声でぶっちゃける。
食料が無くては兵は維持できない。
兵の数が数千数万ともなると、1日の食事だけでも莫大なものとなり、戦争に勝つためにも兵站ははならず確保しなければならないほどに重要だ。
『戦争のプロは兵站を語り、素人は戦略を語る、なんて格言がある。金が無いなら戦時国債を発行してでもそこは疎かに出来ないだろう』とはレンさんの言葉だ。
戦記物でも敵の補給部隊を潰したり食糧庫を燃やして勝つシーンなんて数知れずだ。
けどフルブライトさん、いくら何でもここでそれを言っちゃダメだと思いますよ。
「トシオさんってアイヴィナーゼの勇者じゃなかったんですか?」
案の定、勇者のボーナススキルである〈聴覚強化〉を習得しているであろうトモノリに聞かれていた。
でも気にするところはそこかよ。
「んー、そもそも俺はどこかの国に召喚されたんじゃなくて、気が付いたらこっちの世界に来てたんよ」
「そんなことってありえるんですか?」
「稀にではございますが、〈勇者召喚〉以外にもなにかしらの拍子にこちらの世界へ来てしまわれることがあるようです。そのような者たちを、我々は〈流れ人〉と呼んでおります」
「失礼します!」
クラウディアがトモノリに説明していると、1人の兵士が会議室に入ってきた。
「閣下」
「ご苦労」
ヴィクトルが入ってきた男から差し出された紙切れを受け取り中を確認する。
老将が眉間に深いシワが刻みながらそれをエルネストに渡す。
「バラドリンドに派遣した使者からの報告ですね。停戦は受け入れられず、そればかりか降伏勧告を突き付けて来ました」
エルネストが渡された紙をグレアム陛下に回しながら皆に告げると、部屋に居た貴族たちがざわついた。
「予想通りの回答か」
「分かり切っていたことですな」
「宗教狂いにつける薬は無いのう」
グレアム陛下らアイヴィナーゼの強面3人は今日も平常運転です。
「しかし、属国であるモンテハナムにも援軍の要請を出してはおりますが、このままでは間に合うかどうか」
セドリック大臣が懸念を示す。
「モンテハナムって国はどれくらいの規模なの?」
「国土も人口もアイヴィナーゼの半分以下、経済力ならばライシーンにも劣りますな」
俺の問いにフルブライトさんが教えてくれた。
アイヴィナーゼ第二の都市とも言われるライシーン。
とはいえ、国の規模がライシーン以下とは、援軍が仮に間に合ったとしても心もとない。
「確かモンテハナムって海に面した国だったような? 交易とかで栄えてたりしないのですか?」
「海に面しているからこそですよ」
港町とか普通に交易で栄えてそうなものだが、フリッツの口ぶりからしてそうでもない様だ。
「小山ほどもある魔物が海底から突如襲ってくるのを想像してみて下さい」
「あ~……」
そうだった、クレアル湖ですら10メートル級の肉食魚が泳いでるんだ。
湖なんかとは比べ物にならない広さをもつ海ともなれば船よりもでかいモンスターが居たっておかしくない。
「足元から様々なモンスターが襲ってくる場所に好き好んでわざわざ出かけるアホは居らんわなぁ」
「仮に襲われたとしても危険に対処し易い分、陸路の方が比較的安全と言えましょう」
フリッツの言い分はもっともだ。
なら状況的に造船技術は発達してなさそうだなぁ。
「穀倉地も少なく海のせいで隣り合う国がアイヴィナーゼのみとくれば、必然的に経済が滞るってもんだ。――ものです」
語尾を言い直すフルブライトさん。
モンテハナムの経済規模の小さい理由に、トモノリが「なるほど」とつぶやく。
「しかも確認されている迷宮は1つのみ。若者は職を求めてアイヴィナーゼに流れ、親に奴隷として売る子供も珍しくないとか」
リシアと初めて会った時、リベクさんが南方の街で買い付けた奴隷も、モンテハナムから流れてきた人たちだった。
まだ数か月しか経っていないことを懐かしいと感じながら、当時街の近くだからと隊商から外れて壊れた馬車で待機していたリベクさんの迂闊っぷりを思い出す。
「ケンタウロスの集落にも声を掛けてはいるが、まだ返答をもらえてはおらん」
「ケンタウロスか、彼らはバラドリンドに領地を奪われ、今は各地へ散り散りと聞く。彼らが協力してくれれば心強いのだが」
「領地の奪還と自治を確約すれば、きっと彼らも駆けつけてくれるであろう」
会議席ではヴィクトル将軍の発言に、アイヴィナーゼの貴族たちも関心を示す。
バラドリンドの人間がケンタウロスの自治領で悪さを働き、頻発する問題行為にキレたケンタウロスがバラドリンドへ攻め込むも、逆に返り討ちに遭い領地を奪われた経緯がある。
住み慣れた土地を奪われた人々の恨み辛みは根が深い。
ケンタウロスたちが領地を奪われたのは祖父母の世代のはずなのに、普段は真面目で前向きなユニスが見せたあの苦みと恨みが混ざったような表情が未だに忘れられない。
「なんだかすごいことになってきてますけど、あの、ぼ、僕たちが戦争の手伝いなんてして大丈夫なんですか?」
トモノリが不安そうに問うてくる。
「それに、戦争っていっぱい人が死んじゃうじゃないですか。それってやっぱり良くないと思うんです……」
「ん~」
どう言えばいいものか。
「戦争が良いとは俺も思わないけど、攻めてきてるのは向こうだし、話し合おうにもさっき聞いた通り無視されてんだよ? ならもう戦うしかないんじゃない?」
「戦う前に降伏しちゃえば……」
「んなことしたら、ここで会議してる人たち全員の首は飛ぶだろうね」
「反逆の芽となりうる王侯貴族など、相手からすれば必ず始末しておきたいでしょうね。わたくしが相手の立場でもそうします」
「バラドリンド教は魔法を悪と教え忌避しております。民間人ですら粛清の対象でしょう」
トモノリの希望を潰すように、俺とクラウディアとフリッツが降伏できない理由を述べる。
「あと、戦争に加担してる時点で、自分だけが大丈夫なんてことは無いから安心しろ」
「安心できる要素がひとかけらも無ぇ」
俺の言動にフルブライトさんがげっそりとした声で呻く。
「危害を加えられるのが嫌なら、危害を加えられないようにすりゃぁ良いし」
「そんなことって出来るんですか?」
「一番簡単なのは、全部投げ捨てて逃げること。異世界の奴らを君が守ってやる義理はないからね」
「「「……はい?」」」
俺の発言に会議に参加していた多くの方たちが、マヌケな声が絞り出してこちらに視線を注いでいる。
こっちの話なんか聞いてないで会議に集中しろよと思わなくもないが、こちらの世界最大のやべぇ生物兵器である〈異世界人〉の話す内容は、彼らの注目すべき内容のようだ。
「ふふーふ、そんなに熱い眼差しを向けられると照れるじゃないか」
「違うことなく視線の温度は絶対零度でしてよ」
「異世界人ってのはこんなのばかりかよ……」
クラウディア王女とフルブライトさんがため息交じりにぼやき、トモノリが困惑からオロオロする。
みんなと仲良く心中なんて主義じゃないし、出来ることなら真っ先に逃げ出したいというのが俺の本音である。
しかし、何もせずに逃げ出すには、俺はここにいる人たちと関わりすぎた。
俺にできることなら何とかしたいと思っている。
だがトモノリくんは違う。
彼は〈勇者召喚〉によってこちらの世界に拉致された被害者であり、親しい人間関係を構築してはいないのだ。
ならば彼が命を賭してまで戦う理由なんてどこにもない。
てかフルブライトさん、言葉遣いが完全に戻ってますよ。
あとライシーンの迷宮で消えた奴と一緒くたにしないでくれる?
「はははっ、まじめなトモノリ様と同列に扱うなど、不真面目の極致たるトシオ様に失礼ですよ」
フリッツだけが冗談で返してくれた。
「そこトモノリくんに失礼って言うとこだよね? なんでわざわざそんな文法で言いやがりました?」
「おやおや、そこに気付くとはさすがはトシオ様ですね」
「そんな〝さすトシ〟は要らないからな? ……まぁトモノリくん1人でどうこうなるかはわからないけど、一緒に戦ってくれるなら俺も心強いかな」
フリッツと馬鹿な会話を繰り広げながら、トモノリを頼りにしている風に言ったり、自分は逃げないことをアピールして会話を聞いている人たちへの配慮もちゃんとしておく。
歪で付け焼刃なコミュ力しかない俺とは思えない素晴らしいフォローである。
などと内心で自画自賛していると、会議卓から〝ドン!〟とテーブルをたたく音がした。
「我々が真面目に議論をしているというのに、昼行燈の如く振舞っているだけで皆にちやほやされるのだ、勇者殿は良い御身分ですな」
「アルフォンス」
グレアム陛下が自分の息子を窘めるも、王太子殿下は悪びれた様子もなく鼻を鳴らし視線をそらした。
相変わらずサーチエネミーにヒットする程の敵意である。
俺の何が気に入らないんだか。
普段ならこういう手合いは無視に限るが、昼行燈と言う単語は嫌いじゃないので、気が向いたから乗ってやることにする。
「だろ? 昼行燈なんてただ居るだけで存在意義を醸し出す〝男の憧れる職業ナンバー1〟だもんな。ちなみに2位がヒモで3位が牢名主。王子なんて面倒すぎて確か~~58位だっけ? 昼行燈が羨ましいのは分かるけど、職業で男の価値は決まらないから卑下するな。気にしすぎると体に悪いよ?」
「……はっははは! 1位から3位には同意しかねるが、王子の面倒さに関しては違いない。俺が保証しよう!」
余り上手い返しだとは思っていなかったが、エルネストが馬鹿しながら便乗する。
「何をおっしゃいます陛下、牢名主とは獄中ですら多くの仲間を従わせるアウトローの極致と言っても過言ではない名誉職。それが終身ともなれば一生ふんぞり返って働かずに食べていけ、牢内で尽きたい職としては誰もが羨む存在ですぞ」
ウィッシュタニアの近衛騎士団長に昇進したばかりのダンクマールさんが、過言でしかない謎解説で周りから爆笑をとる。
牢屋に入れられてる時点で名誉もないし羨ましくもない。
そんな空気が気に入らないのか、アルフォンスが真っ赤な顔をさらに歪ませた。
わかる。
爆笑をとるのが自分でないと気が済まないその気持ち、大阪人である俺にはすごくわかるぞっ。
「私も家内が生きていたならヒモになりたいと、常日頃から思っておりました……」
更にはインテリヤクザもといセドリック大臣が謎のクズいカミングアウトを行うと、亡き妻を想ってか窓の外に視線を向けた。
空はまぶしいまでの夏の青。
所々に浮かぶ白との対比がとても美しい反面、セドリックさんの言葉にもの悲しさを感じてしまった。
しんみりとした空気が流れ、その寂しさからか不意にリシアの顔が脳裏に浮かぶ。
「いや、お前のカミさん生きてるだろ」
「私の叔母を勝手に殺さないで頂けますか?」
「その場のノリで妻を殺すとは、どうしようもないクズが居ったものよな」
グレアム陛下とバクストンさん、それにマクシミリアンさん迄もがそれぞれ冷静にツッコんだ。
俺の哀愁を返せと言いたい。
てかバクストンさんとセドリックさんは親戚だったんだ。
「ところで剣鬼よ、4位はひきこもりだと思うがどうか?」
「ワシはスネかじりこそ4位に違いないと思っておる」
マクシミリアンさんとヴィクトルが、頭の悪い格付けバトルを勃発させる。
主張を譲らない2人がヒートアップし始めたところでウィッシュタニアの参謀に抜擢されたクロードが「本人の活動内容が内か外かの違いこそあれ、人種としては同列です」と冷静にツッコミ、両老将を黙らせた。
それからは会議そっちのけで〝どの職業が上位に来る〟だとか、〝王は王子より上か下か〟などと、国の垣根を越えてくだらない話に花を咲かせ始めた。
偉い人が真剣に話す内容じゃないけど息抜きも必要だし、皆楽しそうなのでまぁよしとしよう。
昼行燈でも一応は役には立てたようで何よりだが、こんなくだらないことで時間を消費したのが原因で戦争の準備が間に合わなかったってのだけは勘弁してほしい。
お茶を口に運びながらそんなやり取りを眺めていると、突然壁を抜ける様に現れた何かに、全身の毛がゾワリと逆立ったのを強く感じた。
視線を向けることなく視界の端でそこに注目するが、そこには何の変哲もない壁しかない。
何も無い。
何も無いのだが、俺の複合索敵魔法〈フリズスキャールヴ〉がその何かを確実に検知している。
引っかかったのは魔念動力を空気の様に薄く展開した接触感知レーダーにだ。
自身の複合隠蔽魔法〈ロキ〉が自分でも危険すぎると、これを見破るために考えた結論が〝魔力を周囲に張り巡らせて、魔力を使って直接物体に触れるしかない〟だった。
魔法で触れるのを直接と言うのに違和感しかないが、今はそんなことを考えている場合じゃ無い。
サイズや形状からして人間の様だが、サーチエネミーだけでなく、マナ感知でわかるマナの揺らぎにも反応しないのだから、それらに対する妨害もきっちり施しているとみて間違いは無いだろう。
つまり、突然現れた何者かは、〈ロキ〉と同等かそれ以上の隠蔽と索敵妨害を同時に使用しているということだ。
一体何者なのか、何の意図があって隠蔽魔法を使ってやって来たのか気になる。
しかし、潜水艦は他国の領海内を潜水状態で航行すると、それだけで敵対行動とみなされる。
この何者か解らない侵入者は敵対行動をとっているとみなしても良いだろうか?
答えは当然YESである。
――グレイプニル!
心の中で力ある言葉を紡ぐと、侵入者目がけて捕縛の魔法紐を7本射出。
しかしその何者かは俺の魔法に素早く反応し、回避どころか存在そのものを消しやがった。
突然の俺の魔法に会議室に緊張が走る。
「なにごとだ!」
「敵だ!」
エルネストの鋭い声に短く返す。
次の瞬間、俺の影から不可視の何者かが頭を出した。
その頭部目がけてエインヘリヤル込みの右足を踏み下ろす。
それを片手で受け止める侵入者。
だがその衝撃で男の隠蔽魔法が瞬間的に剥がれるのを、この場に居たすべての者が目撃する。
その頭は黒い頭巾に覆われ、腕を覆う黒い袖の上にはこれまた黒い手甲が装着されている。
黒装束とか忍者のつもりか?!
足を受け止められた状態で相手の身体が競り上がってきた。
バランスを崩す前に小さく飛び上がり、侵入者の顔目がけて左足で空中ローキック。
それを顔の横でまたもやガードされるも、相手が壁際まで吹き飛んだ。
だが壁に激突することも無くぴたりと空中で制止し、そのまま音もなく床から全身を現した。
相手は痛がる気配もない。
ダメージ0か、エインヘリヤルでの本気蹴りを受けて平気とかクソかよ……。
警戒しながらも収納袋様からショートパルチザンを取り出し、右中段に構えを取る。
ここでグレアム陛下がいつもの〝我以外人にあらず〟な表情で口を開く。
「このようなところに姿を隠して侵入とは、礼儀の知らん賊は興が無くていかんな」
「これは失礼致した」
尊大な口調で侵入者に言葉を浴びせると、そいつは男の声で非礼を認め、隠蔽魔法を解除した。
現した姿は黒尽くめの忍び装束で全身を隠し、唯一覗く目元には、鋭い眼光だけが覗く。
体格は俺と同じくらいで日本人の標準体型。
首元の黒く長いマフラーが、風も無いのに独りでにたなびく。
そんな男が自身の顔の前で右手の人差し指と中指を立て、左腕は腰の刀に逆手で添える。
ニンジャだ……。
いや、別に隠密行動時は隠蔽魔法で姿を消していれば変装するまでも無い訳だし、普段から忍び装束で歩き回っても全然良いのか。
むしろ襲撃に当たり顔を見せないという意味では、間違いなくこの場では正しい衣装だ。
「拙者は神聖バラドリンド教国にて忍び頭を務める者。名をシャドウセイバーと申す」
男が流暢な日本語で名乗りを上げた。
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