四人で話せば賢者の知恵? ~固有スキル〈チャットルーム〉で繋がる異世界転移。知識と戦略を魔法に込めて、チート勇者をねじ伏せる~

藤ノ木文

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番外10話 慟哭の誓いその3

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・ウィッシュタニア兵舎:1階食堂

 そこそこの広さを誇る三階建ての兵舎の中では、老兵を中心に完全武装の男たちでひしめいていた。

 ようやくこの時が訪れた。
 娘と孫を直接手にかけた盗賊団を壊滅させたあの日から、待ちに待ったこの日がついに訪れたのだ。
 長かった。
 復讐を誓ったあの日から3年、首都に戻ったワシの元には、様々な噂を耳にした。
 ある者はモンスターの襲来を予期しながらも、国に出兵を拒まれ故郷の村を失った。
 ある者は幼い娘を国王に嬲られ殺された。
 ある者は王太子に気晴らしで兄を殺された。
 ある者は第二王子に婚約者を無理やり犯され、その女性はショックから立ち直れなず自害した。
 それらの噂を聞き及んだワシは、この憎しみを自分1人で処理して良いモノでは無いと強く意識した。
 それからのワシは慎重に慎重を重ね、復讐の同志を集めていった。
 そして今、同志達と共にこの国のうみ共に対し、復讐の機会を得たのである。

「皆、今日までよく堪えてくれた。だがそれもこれまでだ。今日こそ、今こそ、執念を、恨みを、怒りを、憎しみを、理不尽を、奴らに叩きつけ報いを受けさせる時ぞ!」
「失った命のために!」
「疲弊した国のために!」
「子供たちの未来のために!」
「「「愚劣なる支配者を、我らの剣が討ち果たす!」」」
 
 ウィッシュタニアの者であれば誰もが知る復讐譚の1シーンになぞらえ、皆の恨みと憎しみと悲しみを呼び覚まし、決意を鼓舞し、その場にいた復讐者たちが剣を頭上に掲げる。
 力強く握られた剣を手に頷き合うと、待機していた部屋を出た。

 いわおの如き老兵の背を旗印に、復讐心に燃える男達が付き従う。


――――――――――――――

 番外「慟哭の誓い」はこれで終了です。
 195話はもう少しお待ちください。
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