四人で話せば賢者の知恵? ~固有スキル〈チャットルーム〉で繋がる異世界転移。知識と戦略を魔法に込めて、チート勇者をねじ伏せる~

藤ノ木文

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133話  託す者

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 さぁやって参りました、ライシーン第五迷宮、四十八階層!

 ――だが、今日の俺は迷宮攻略には参加しない。
 攻略はレスティー達第二班と、モーディーンさん達の班によしのんを編入した新第三班に任せ、後方から付いて行く形を取る。
 というのも、マナ感知やマナ操作によるマジッククリエイトに頼らない魔法創作など、色々と試したいからだ。
 それとよしのんをモーディーンさんの班に編入した理由は、ブリットビートル戦でやる気を見せたのを尊重してのことでもある。
 モーディーンさんならば初心者の手ほどきもお手の物だろう。
 実戦慣れしていないよしのんには、今はただひたすら実戦あるのみだ。

 寝不足だぁ? 迷宮探査があるのに睡眠時間をがっつり削るアホが悪い。

 手厳しいようだが、俺達異世界人は不本意なことにその特異性のおかげで厳しい現実を突きつけられている。
 野心や宗教に己の運命を左右されない為にも、誰にも邪魔されないだけの力が必要なのだ。
 その力を、俺は彼女やシンくんに与えなければならない。
 そう思った瞬間、俺の中でシンくんの存在の大きさに今更ながら気付かされる。

 俺よりも若く、真っ直ぐな性格の明るい少年を、こんな世界で大人達の欲望に利用されて良い訳がない。
 彼の知識やひらめきは、レンさんや大福さんに比べれば確かに些細なものだろう。
 だが彼の力になってやりたいと思う気持ちが、2人と同じくらい俺の力になってくれている。
 よしのんとは違い、遠く離れたシンくんを直接守ってはあげられない。
 だったら戦闘知識だけでも託すしかない。
 俺は俺の出来る事で、シンくんや皆の助けになろう。

「それじゃ皆、今日もよろしく頼みます!」
「任されたわ♪」
「心得ましたにゃ」
「が、がんばります!」

 レスティーとモーディーンさん、それによしのんがその気概を言葉に乗せ、ほかの皆も頷いた。
 
 今日も山積みの問題を潰す作業が始まった。
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