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76話 各国の食文化事情
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実験と検証と妄想を人通しし尽くし、チャットルームにINすることにした。
ピロン
《トシオがチャットルームにINしました》
『こんー』
『おう』
『こんやで』
『こんばんはです』
変な時間帯にも関わらず、偶然にも全員が接続していた。
なので、昨日までに知りえた事、特に〈鑑定Lv3〉を欺くマジックアイテムや魔法やスキルの存在と、迷宮でのサンドワームのヤバさを三人に伝えると、シンくんからの報告で驚きの出来事を知らされた。
『僕の居る国で勇者が召喚されて、今度会いに行くことになりました。というか今向かってる最中ですけど』
『ほぅ』
『は?』
『ホンマかいな……』
『レーナさん―、以前言ったと思いますが、僕の恋人の伯爵夫人なんですけど、お城で勇者召喚の祝いとお披露目会の催しにレーナさんや国中の偉い人達が呼ばれて、僕もレーナさんの付き添いで行くことになったんですよ』
そう言ってシンくんに聞かされたのは、勇者と共に魔族領に攻め込むため〝国の精鋭が勇者を連れて迷宮でパワーレベリングしてから魔族との戦争に送り出す〟と言う、国として至極真っ当な戦略を推し進めるといったものだった。
『勇者に金と美女を与えての超高待遇でもてなして懐柔。最後は〝長年魔族に苦しめられているからどうか救ってください〟と懇願するんじゃないかってのがレーナさんの予想です』
『当然だな』
『最近の勇者は100ゴールド投げつけられて〝勇者よ、魔王を討ち滅ぼし世界を平和に導くのじゃ!〟とちゃうんやな』
レーナさんとやらの意見に同意するレンさんとステレオタイプな勇者象を挙げる大福さん。
昔のゲームの勇者はそんな感じだったらしい。
けどまぁゲームじゃあるまいし、そりゃそうだわな。
ウィザードの今の俺程度ですら、先制ライトニングブラストを横に薙ぎ払ってやれば軍隊だって滅ぼせる気がしてきたし、そんな一人旅団みたいな戦力を持ち、尚且つ魔族への切り札とも言える勇者を〝Lv1の状態で暗殺者みたく一人送り出す〟なんてアホの極みみたいなこと、健全な思考をもった人間なら普通はしないだろ。
俺の認識は置いといて話を戻すと、その精鋭の中にシンくんを含んだレーナさんのPTも加えられたとか。
『そうなると下手な称号は付けられんな』
『どうしてですか?』
『そりゃ俺達みたいに鑑定Lv3持ちなら相手の称号までわかっちゃうからね。特に神官戦士とか魔道士はアウト』
『セカンドジョブを追加してるのがもろでわかるからな』
『あー、なるほど、確かにそうですね』
『他にも無詠唱や同時発動、クールタイム減少も厳しいな』
『PT中にでもそいつが獲得してくれたらええんやけどな』
『俺が低レベルの時はスキルを付け替えて試行錯誤していたし、無いものとして扱ったほうが良いかもね』
習得したと思って使っていたら咄嗟の時にその感覚で魔法が使えなくなり、取り返しの付かないことになりかねない。
『他にもはシンくんのPTメンバーにもフォローしてもらえればええんやけどな』
『シンくんが異世界人であると伝えてるならフォローしてもらえるんだけどね』
『その辺はまだ誰にも言ってませんね。皆さんはPTの人とかにそのことは言ってます?』
『俺もまだ誰にも告げてはいない』
『ワシは嫁5人にだけは教えたわ』
自分の正体を教えた勢と教えていない勢が関東と関西で真っ二つに別れたのが面白いなぁ。
『俺は……、行動が勇者っぽいと言われてほぼバレたから、開き直ってPT全員に教えることにした』
『『『行動が勇者っぽい?』』』
3人の声が見事にかぶったので、注意喚起の意味でもフィローラやレスティーに言われた勇者の特徴を教えて差し上げた。
『〈黒髪黒瞳〉〈世間知らず〉〈女の子をいっぱいはべらせている〉〈近接職なのに魔法が使える〉〈無詠唱で魔法を使ってる〉〈カードを迷いなく買っている〉』
ピロートークでみんなに聞いた話では、〈よくわからないセリフ回しをする〉とか〈今までになかった発明を持ち込む〉等々の特徴も聞かされた。
『確かに言われてみるとその傾向は有るかもしれんな』
『せやな、レンさんは普通のモンスターもPTに居るからええけど、ワシん所も女5人の6人PTやから気ぃ付けなアカンな……』
『僕もです…』
嫁さん9人の俺は、もう山奥に引きこもった方が良いレベルだな……。
しかもモリーさん親子も家で同居してるので、彼女達も嫁もしくは恋人だと思われてる可能性が無きにしも非ずだ。
『しかも日頃から本を読んでる程度の人間には即バレレベル。農耕技術に建築技術まで、過去の勇者がこの世界に持ち込み普及させたそうだし、その辺の技術を普通に口にしてたらまぁ特定に繋がると思う』
他にはソースやマヨネーズ、醤油なんかの調味料などの製造知識も勇者が持ち込んでいるので、料理のメニューが現代日本張りの種類で、ファンタジー世界なのにごはん食べてると〝アレ、俺日本に居るのかな?〟って錯覚に陥る時があるもん。ちなみに一昨日は親子丼が出て来た
『そうなんですよね。僕もガラスや鋼の製造法を教えて知識チートをしようと思ってたのに、全部存在するんだから、何のために勉強したのか分からなくて嫌になっちゃいますよ』
『待て、今何と言った?』
シンくんのぼやきにレンさんが待ったをかける。
『え、知識チートしようとしたのに全部あるってやつですか?』
『シンではない、ねこさんの方だ』
『俺? ……過去の勇者が持ち込んだ?』
『その前だ、醤油があると言ったのか?』
『ん? あるよ? 一昨日なんて親子丼とか普通に出て来たし、食文化的には現代日本に極めて近いから、食事中は時々〝アレ、ここ日本だっけ?〟って錯覚するもん』
『醤油に丼物とかえぇなぁ。ワシんとこパスタとかリゾットが出てきて、まんまイタリアやで』
『僕のところはシチューとか焼肉とか、普通に中世ファンタジーな感じですよ?』
どうやら皆の居る国では食文化が違うようだ。
まぁその土地その土地で生産される食物も違うだろうしそんなものか。
『あ、でもなんか変わった餃子が出てきましたよ、中身がチーズとお肉とポテトが入ってました』
『それはピエロギだ……』
シンくんの説明に即答するレンさん。
だがその声は重く、無理やり絞り出すような声である。
『ち、ちなみにレンさんのところはどうだったの?』
『……っ……』
話を膨らませようと振ってみたが、小さな呻きがだけが聞こえる。
『どないしたんや?』
『アニキ?』
『……ネットに転がる噂に極めて忠実なイギリスだった……。油でベトベトしたフィッシュ&チップスを出された時は、新参のよそ者に対する嫌がらせを疑った程だ。妙に甘ったるい野菜スティックには目を瞑るが、マーマイトのスープとウナギのゼリー寄せが出てきた時には殺人も辞さない覚悟をしそうになった……』
『『『うわぁ……』』』
怨念渦巻くおどろおどろしい声に呪いをトップングして吐き出され、俺達3人が口を揃えて呻いた。
実際のイギリスにも〝ちゃんとした料理を提供するお店はある〟とイギリスの方の名誉のために言ってはおくが、それがネットの噂通りの〝日本人から見てゲテモノ料理〟を出されては話が別だ。
そんな人の前で能天気に親子丼とかほざいてたのか、そいつはすまんかった。
そしてマーマイト、噂には聞くがそれ程のものなの……?
『それ以来食事は決まった店で当たり障りのないモノを頼むか、厨房を借りて自分で自炊するようにしている。まぁ酒の種類が豊富で独特な風味が美味いのだけが唯一の救いだがな』
そのレンさんからは、以前大味な料理しか出来ないと聞いたことがある。
レンさんの食事は余程の事が無い限り改善されることは無いであろう。
『ま、まぁ料理の話しはえぇとして、仲間にまで素性を明かすとか、ねこさんは思い切ったことをすんなぁ』
『ワープゲートを使うためにも言ってしまった方が何かと都合が良かったからね。人柄的に信用できる人達だし』
人柄に問題が無いとは言っていない。
繰り返す、人柄に問題が無いとは言っていない。
なんて話していると、シンくんから大きなあくびが聞こえてきたので、チャットを終えることにした。
「トシオー?」
「うおっ!?」
いつの間にやら俺の横に来ていたトトが、下から顔を覗き込んできた。
装備を全て外し、紐パンのみの姿である。
心臓に悪いからせめて足音を立ててほしい。
トトがここに居るという事はもう夕方か。
はやいなぁ。
「おかえりトト」
「ただいま。また友達とお話ししてたー?」
「今終わったところだけどね。それで、トトは楽しかった?」
「うん、あんなー、久々の狩りで楽しかったー!」
「ん? 狩りならいつも行ってるでしょ?」
「んー、いつものはなんかなー、あまり戦えないからなー、でもさっきまでのはいっぱい戦えたから面白かったー」
抱きつきながらそう答えるトト。
口調が小さな子供なのもくっそ可愛い。
「最近のトトはすっかり甘えん坊さんだね」
「えー、そんなことないよー?」
「始めて会った時はあんなに嫌われてたのになぁ」
「だって、あの時はお姉ちゃんが盗られちゃうと思ったんだもん……」
あの時の事を思い出したのか、少し悲しげにむくれたので、手で頬に触れ唇を奪う。
今となってはククからトトを奪ってしまった感が少しあるが、その分ククにも愛情を注いでいるつもりなので許してほしい。
「ん……トシオぉ……」
唇を奪われ蕩けきった顔をこちらに向けると、トトは甘えるように六つある小さな胸の膨らみを押し付けてくる。
例え小さくても複乳とか、俺の理性を飛ばすには十分すぎる破壊力だ。
ホント可愛いなぁ。
彼女を撫でる俺の手つきも淫らな動きとなり、トトの敏感な部分を刺激し発情を促す。
トトが俺から身を放すと、自ら腰の紐を外し、お尻をこちらに向けて突き出した。
「いつもの、やって欲しい……」
恥じらいながらの愛らしい求めに応じ、ぷりぷりもふもふのお尻を後ろから抱き寄せ密着させる。
「いつもの元気なトトも好きだけど、エッチなトトも大好きだよ」
「んあっ、あても、トシオが、好き。お姉ちゃんと、同じくらい、トシオ、好きっ!」
荒げる呼吸と嬌声を納屋に響かせ、愛獣がストレートな言葉もぶつけてきた。
何処までいってもお姉ちゃんっ子なトトに苦笑いが漏れるが、その素直な想いがたまらなく嬉しかった。
ピロン
《トシオがチャットルームにINしました》
『こんー』
『おう』
『こんやで』
『こんばんはです』
変な時間帯にも関わらず、偶然にも全員が接続していた。
なので、昨日までに知りえた事、特に〈鑑定Lv3〉を欺くマジックアイテムや魔法やスキルの存在と、迷宮でのサンドワームのヤバさを三人に伝えると、シンくんからの報告で驚きの出来事を知らされた。
『僕の居る国で勇者が召喚されて、今度会いに行くことになりました。というか今向かってる最中ですけど』
『ほぅ』
『は?』
『ホンマかいな……』
『レーナさん―、以前言ったと思いますが、僕の恋人の伯爵夫人なんですけど、お城で勇者召喚の祝いとお披露目会の催しにレーナさんや国中の偉い人達が呼ばれて、僕もレーナさんの付き添いで行くことになったんですよ』
そう言ってシンくんに聞かされたのは、勇者と共に魔族領に攻め込むため〝国の精鋭が勇者を連れて迷宮でパワーレベリングしてから魔族との戦争に送り出す〟と言う、国として至極真っ当な戦略を推し進めるといったものだった。
『勇者に金と美女を与えての超高待遇でもてなして懐柔。最後は〝長年魔族に苦しめられているからどうか救ってください〟と懇願するんじゃないかってのがレーナさんの予想です』
『当然だな』
『最近の勇者は100ゴールド投げつけられて〝勇者よ、魔王を討ち滅ぼし世界を平和に導くのじゃ!〟とちゃうんやな』
レーナさんとやらの意見に同意するレンさんとステレオタイプな勇者象を挙げる大福さん。
昔のゲームの勇者はそんな感じだったらしい。
けどまぁゲームじゃあるまいし、そりゃそうだわな。
ウィザードの今の俺程度ですら、先制ライトニングブラストを横に薙ぎ払ってやれば軍隊だって滅ぼせる気がしてきたし、そんな一人旅団みたいな戦力を持ち、尚且つ魔族への切り札とも言える勇者を〝Lv1の状態で暗殺者みたく一人送り出す〟なんてアホの極みみたいなこと、健全な思考をもった人間なら普通はしないだろ。
俺の認識は置いといて話を戻すと、その精鋭の中にシンくんを含んだレーナさんのPTも加えられたとか。
『そうなると下手な称号は付けられんな』
『どうしてですか?』
『そりゃ俺達みたいに鑑定Lv3持ちなら相手の称号までわかっちゃうからね。特に神官戦士とか魔道士はアウト』
『セカンドジョブを追加してるのがもろでわかるからな』
『あー、なるほど、確かにそうですね』
『他にも無詠唱や同時発動、クールタイム減少も厳しいな』
『PT中にでもそいつが獲得してくれたらええんやけどな』
『俺が低レベルの時はスキルを付け替えて試行錯誤していたし、無いものとして扱ったほうが良いかもね』
習得したと思って使っていたら咄嗟の時にその感覚で魔法が使えなくなり、取り返しの付かないことになりかねない。
『他にもはシンくんのPTメンバーにもフォローしてもらえればええんやけどな』
『シンくんが異世界人であると伝えてるならフォローしてもらえるんだけどね』
『その辺はまだ誰にも言ってませんね。皆さんはPTの人とかにそのことは言ってます?』
『俺もまだ誰にも告げてはいない』
『ワシは嫁5人にだけは教えたわ』
自分の正体を教えた勢と教えていない勢が関東と関西で真っ二つに別れたのが面白いなぁ。
『俺は……、行動が勇者っぽいと言われてほぼバレたから、開き直ってPT全員に教えることにした』
『『『行動が勇者っぽい?』』』
3人の声が見事にかぶったので、注意喚起の意味でもフィローラやレスティーに言われた勇者の特徴を教えて差し上げた。
『〈黒髪黒瞳〉〈世間知らず〉〈女の子をいっぱいはべらせている〉〈近接職なのに魔法が使える〉〈無詠唱で魔法を使ってる〉〈カードを迷いなく買っている〉』
ピロートークでみんなに聞いた話では、〈よくわからないセリフ回しをする〉とか〈今までになかった発明を持ち込む〉等々の特徴も聞かされた。
『確かに言われてみるとその傾向は有るかもしれんな』
『せやな、レンさんは普通のモンスターもPTに居るからええけど、ワシん所も女5人の6人PTやから気ぃ付けなアカンな……』
『僕もです…』
嫁さん9人の俺は、もう山奥に引きこもった方が良いレベルだな……。
しかもモリーさん親子も家で同居してるので、彼女達も嫁もしくは恋人だと思われてる可能性が無きにしも非ずだ。
『しかも日頃から本を読んでる程度の人間には即バレレベル。農耕技術に建築技術まで、過去の勇者がこの世界に持ち込み普及させたそうだし、その辺の技術を普通に口にしてたらまぁ特定に繋がると思う』
他にはソースやマヨネーズ、醤油なんかの調味料などの製造知識も勇者が持ち込んでいるので、料理のメニューが現代日本張りの種類で、ファンタジー世界なのにごはん食べてると〝アレ、俺日本に居るのかな?〟って錯覚に陥る時があるもん。ちなみに一昨日は親子丼が出て来た
『そうなんですよね。僕もガラスや鋼の製造法を教えて知識チートをしようと思ってたのに、全部存在するんだから、何のために勉強したのか分からなくて嫌になっちゃいますよ』
『待て、今何と言った?』
シンくんのぼやきにレンさんが待ったをかける。
『え、知識チートしようとしたのに全部あるってやつですか?』
『シンではない、ねこさんの方だ』
『俺? ……過去の勇者が持ち込んだ?』
『その前だ、醤油があると言ったのか?』
『ん? あるよ? 一昨日なんて親子丼とか普通に出て来たし、食文化的には現代日本に極めて近いから、食事中は時々〝アレ、ここ日本だっけ?〟って錯覚するもん』
『醤油に丼物とかえぇなぁ。ワシんとこパスタとかリゾットが出てきて、まんまイタリアやで』
『僕のところはシチューとか焼肉とか、普通に中世ファンタジーな感じですよ?』
どうやら皆の居る国では食文化が違うようだ。
まぁその土地その土地で生産される食物も違うだろうしそんなものか。
『あ、でもなんか変わった餃子が出てきましたよ、中身がチーズとお肉とポテトが入ってました』
『それはピエロギだ……』
シンくんの説明に即答するレンさん。
だがその声は重く、無理やり絞り出すような声である。
『ち、ちなみにレンさんのところはどうだったの?』
『……っ……』
話を膨らませようと振ってみたが、小さな呻きがだけが聞こえる。
『どないしたんや?』
『アニキ?』
『……ネットに転がる噂に極めて忠実なイギリスだった……。油でベトベトしたフィッシュ&チップスを出された時は、新参のよそ者に対する嫌がらせを疑った程だ。妙に甘ったるい野菜スティックには目を瞑るが、マーマイトのスープとウナギのゼリー寄せが出てきた時には殺人も辞さない覚悟をしそうになった……』
『『『うわぁ……』』』
怨念渦巻くおどろおどろしい声に呪いをトップングして吐き出され、俺達3人が口を揃えて呻いた。
実際のイギリスにも〝ちゃんとした料理を提供するお店はある〟とイギリスの方の名誉のために言ってはおくが、それがネットの噂通りの〝日本人から見てゲテモノ料理〟を出されては話が別だ。
そんな人の前で能天気に親子丼とかほざいてたのか、そいつはすまんかった。
そしてマーマイト、噂には聞くがそれ程のものなの……?
『それ以来食事は決まった店で当たり障りのないモノを頼むか、厨房を借りて自分で自炊するようにしている。まぁ酒の種類が豊富で独特な風味が美味いのだけが唯一の救いだがな』
そのレンさんからは、以前大味な料理しか出来ないと聞いたことがある。
レンさんの食事は余程の事が無い限り改善されることは無いであろう。
『ま、まぁ料理の話しはえぇとして、仲間にまで素性を明かすとか、ねこさんは思い切ったことをすんなぁ』
『ワープゲートを使うためにも言ってしまった方が何かと都合が良かったからね。人柄的に信用できる人達だし』
人柄に問題が無いとは言っていない。
繰り返す、人柄に問題が無いとは言っていない。
なんて話していると、シンくんから大きなあくびが聞こえてきたので、チャットを終えることにした。
「トシオー?」
「うおっ!?」
いつの間にやら俺の横に来ていたトトが、下から顔を覗き込んできた。
装備を全て外し、紐パンのみの姿である。
心臓に悪いからせめて足音を立ててほしい。
トトがここに居るという事はもう夕方か。
はやいなぁ。
「おかえりトト」
「ただいま。また友達とお話ししてたー?」
「今終わったところだけどね。それで、トトは楽しかった?」
「うん、あんなー、久々の狩りで楽しかったー!」
「ん? 狩りならいつも行ってるでしょ?」
「んー、いつものはなんかなー、あまり戦えないからなー、でもさっきまでのはいっぱい戦えたから面白かったー」
抱きつきながらそう答えるトト。
口調が小さな子供なのもくっそ可愛い。
「最近のトトはすっかり甘えん坊さんだね」
「えー、そんなことないよー?」
「始めて会った時はあんなに嫌われてたのになぁ」
「だって、あの時はお姉ちゃんが盗られちゃうと思ったんだもん……」
あの時の事を思い出したのか、少し悲しげにむくれたので、手で頬に触れ唇を奪う。
今となってはククからトトを奪ってしまった感が少しあるが、その分ククにも愛情を注いでいるつもりなので許してほしい。
「ん……トシオぉ……」
唇を奪われ蕩けきった顔をこちらに向けると、トトは甘えるように六つある小さな胸の膨らみを押し付けてくる。
例え小さくても複乳とか、俺の理性を飛ばすには十分すぎる破壊力だ。
ホント可愛いなぁ。
彼女を撫でる俺の手つきも淫らな動きとなり、トトの敏感な部分を刺激し発情を促す。
トトが俺から身を放すと、自ら腰の紐を外し、お尻をこちらに向けて突き出した。
「いつもの、やって欲しい……」
恥じらいながらの愛らしい求めに応じ、ぷりぷりもふもふのお尻を後ろから抱き寄せ密着させる。
「いつもの元気なトトも好きだけど、エッチなトトも大好きだよ」
「んあっ、あても、トシオが、好き。お姉ちゃんと、同じくらい、トシオ、好きっ!」
荒げる呼吸と嬌声を納屋に響かせ、愛獣がストレートな言葉もぶつけてきた。
何処までいってもお姉ちゃんっ子なトトに苦笑いが漏れるが、その素直な想いがたまらなく嬉しかった。
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