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75話 魔導書Ⅱ
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帰宅したのは丁度お昼時。
リシア、ローザ、クク、モティナが昼食の準備をしているのを、リビングの長テーブルに突っ伏しながら眺めていた。
パニックホラーはまぁ好きなジャンルだが、実際に自分が遭遇すると全然楽しめないのな。
いやまぁ当然のことだけど。
昼食の準備をセシルも手伝おうとしたのだが、リシアに「ここは私たちに任せて、貴女はフィローラちゃんと一緒に勉強してていいわよ。あ、でも手伝ってほしいときは言うからその時は頼める?」と言いきかされ、台所から体よく追い出された。
追い出された本人は「はい、わかりました……」と凍えながらも嬉しそうに返事をし、リシアに抱き着いた。
短期間で完全に母と娘の関係が構築されていて、ほほえましい反面少し寂しい。
今はフィローラと並んで本を読み、面白そうな部分を見せ合っている。
俺も本でも読もうかな。
「トシオー、ひまー」
「トシオ、昼からすることが無い。早急に何か打開策を用意してくれ」
魂抜け気味で突っ伏していると、トトとメリティエが俺の体を左右前後に揺すってくる。
「んー、そう言われても、昼間に居るはずのない俺達が表に出歩くのは避けたいところなんだよなぁ」
「トシオ様、狩りに行かせてみては如何です? お肉の補充もしておきたいですし」
二人の騒ぎを土間からリシアが提案してくれる。
「狩りか……」
二人の体は闘争を求めている。それを発散させるには良いかもだな。
「行かせるにしても、どこがいいかな?」
「エアレーの居た森などどうです? 種類も豊富ですし手頃かと」
「あそこか……、まぁ今の二人なら危険も無いし大丈夫か」
「ご主人様、トトが何かをやらかす方の危険でしたら大いにありえます」
ククの指摘が容易に想像できてしまい、俺とリシアの顔が強張る。
そしてそれをメリティエが止められるのかは未知数だ。
「ちゃんとお肉獲ってくる来るからいいでしょー?」
「トシオ、私が付いてるから大丈夫だ」
「ねー、行かせてー」
「行かせてー」
女の子が男にまとわり付いてそんなこと言うんじゃありません。
言っていいのはおふとんのなかだけにしてくだしあ。
あとガクガク揺すらないで、二人共結構力強いから首の骨が持っていかれそうになるから。
「じゃぁ昼食が終わったらライシーンの南西にある森にワープゲートで送ってあげるから大人しくしてなさい」
「やったー!」
揺すっていた俺をトトが投げ捨てると、二人でハイタッチをして喜んだ。
あの、一応旦那なので雑に扱うのやめてもらえますか死んでしまいます。
「では、私も御一緒しましょう。気分転換にはなるでしょうし」
「ユニスさんだけに任せるのは心苦しいので私も行きます」
「二人が行ってくれるなら助かるよ」
「場所も把握していますし、夕刻までには戻ってきます」
「わかった、気を付けてね」
昼食後に4人+ミネルバを送り出した。
さてと、こちらも手持無沙汰となったことだし、色々と試してみるか。
「ちょっと納屋に行ってくる」
リシア達にそう言い残し席を立つ。
納屋の中は初夏の割に室内が蒸し風呂状態だったので、こちらの夏季って日本なら7月くらいなのではと推測する。
まぁそれは良いとして、ここに来たのは必殺技的な物を編み出すためだ。
リシアが〈サモンエレメンタル〉でおぞましいと称しても過言ではないぶっ壊れ性能を発揮したのだ、俺だってアレくらいのチート技の一つや二つ欲しいんだよ!
まずは現状の手持ち火力を今一度並べてみる。
候補としてはまずアロー系。
連射が利く上に一つにまとめて打ち出せば、ブラスト系の火力をも上回る。
まとめて放つ場合は低燃費の単発火力としては非常に優れているが、連射や複数本発射できなくなるため制圧射撃には向いていない。
試しに10本一まとめにしたアイスアローの属性強化版、ブリザードアローを出現させる。
見た目が同じ氷の矢なため、どこが違うんだか判断しづらいが、足元に流れる冷気の温度が明らかに低いのが解る。
まぁこれはこれで単体魔法としては優れているし、ボルト系と命名して分類しよう。
なのでこの目の前に浮いているのはブリザードアローあらためブリザードボルトだ。
悪用方法は、アロー系の中に紛れ込ませると不意が突けるってところか。
次にウィザードの単体火力魔法で最高威力を誇るランス系。
巨大な槍の穂先の様な形状で、今のところ迷宮の壁や弱点属性以外には突き刺さるため、威力はかなり高い。
単発でもボルト系より高火力で攻撃面積も大きくMP消費も大きい。
これをマルチプルキャストで重ね撃ちしたらどうなる事やら……。
試しにやってみたところ、MPが一気に半減した。
燃費わるっ!?
でも、消費MPからして、マルチプルキャストで一度に出せるのは10発迄か。
威力は十分そうだが、この燃費では連射は避けるべきだな。
いやまぁ何も一度に全力で撃たなくても、3~5発分の重ね掛けで大体事足りるだろ。
最後は直線に魔砲を打ち出すブラスト系。
エレメンタラーのバースト系に似ているが、威力はブラスト系の方がすこぶる高い。
フレアブラストなんてまんまビームライフルみたいな攻撃だったし、ライトニングブラストなら火力+感電のおまけつきだ。
直撃すれば感電&炭化がセットなため、行動阻害にも便利である。
そしてライトニングブラストを一箇所に同時多重展開して打ち出せば、これもエグいダメージが入るのは鬼岩石の例を見ても明らかだ。
……〈荷電粒子砲〉と名付けてみよう。
おお、いきなり必殺技っぽいのが生まれたっ!
原理はたぶん違うんだろうけど。
だが問題は属性や無効持ちには相手の体表面で霧散してしまうところだ。
やはりここはレベルを上げて物理で殴るべきか。
何か手段はないかと久しぶりにリベクさんから頂いた魔道書Ⅰを取り出し、〈古代魔法語〉を習得してからページを捲る。
それらしいものは書かれていないが、〝ウィザードやエンチャンターなんてまだまだ初級魔法しか使えないからさっさとセージやハイエンチャンターに上がれとの実も蓋もないありがたいお言葉を発見した。
ウィザードで増えた魔法はランス系とブラスト系、属性は土属性のアースとウォータークリエイトから派生した水属性が追加されたが、やっていることはマジックキャスターとさほど変わってはいないのだ。
属性系統と攻撃系統を組み合わせた魔法で構成されている職。
ジョブLvを上げててスキルを習得するだけのシステムに、〝魔法ってこういうものですよ〟と幼稚園の先生にお遊戯を教わっているような感覚に陥った。
気を取り直して次に進もう。
魔導書Ⅱを取り出しページを捲っていくと、俺がやっていた魔法の出現場所の指定や任意起爆、出現中の魔法の操作などが書かれていた。
他にも最上級職であるセージとハイエンチャンターで習得可能なスキルや魔法が書かれている。
魔法の扱いに関しては既に習得している物ばかりだな……ん?
目に留まったのは一つの職業、〈マナロード〉だ。
マナロード、これが最上級職で〈到達者〉と呼ばれる者のであるセージやハイエンチャンターなどの更に上、〈踏破者〉と呼ぶべき職か。
職業解放条件はセージ、ハイエンチャンターの二つ以上をマスターとある。
今の俺がウィザードLv45、エンチャンターLv40。
まだまだ先の話だが、
ウィザードとエンチャンターのファーストとセカンドの設定位置を逆に変更した。
これでメインにつけなおしたエンチャンターがLv50になる頃にはウィザードもLv50くらいになっているとありがたいのだが。
ついでだし、今家に居るみんなのも交換しておくか。
しかし、レスティー達の職は変更不可能だった。
やはり距離や迷宮の階層次第でスキルが効果を発揮していない可能性が高い。
PTウィンドウで確認できるのもHPとMP、それにメインジョブのLvのみだしな。
あとこのジョブ解放条件、これは別の職にも同じような解放条件があったりするのかも?
今の所それに関してはなってみないと分からないので放置案件である。
こうしてみると大した情報はなかったが、最上級職の更に上とその転職条件がわかっただけでもかなりの収穫か。
更に読み解いていくと、〈魔族〉のことや、現在俺達が攻略中の〈迷宮〉と呼ばれているダンジョンや、その最深部にある〈ダンジョンコア〉についての記載をみつける。
本によると、〝魔族とは魔力を体に取り込み暴走した人間の成れの果てで、人族と比べると肉体的にも魔法の素質的にも優れている半面、性格は残忍で狂暴。見つけ次第駆除するか過ぎ去るのを待て〟とある。
駆除出来なきゃ逃げるかやり過ごすしかないのは当たり前だが、それで事態が収まるのか?
あまりに稚拙過ぎてため息が漏れるが、気を取り直して更に読み進む。
迷宮については〝迷宮とは人の成長を促すために作られた施設で、ダンジョンコアのある場所まで辿り着ける頃には一人前にはなっている〟そうだ。
どこのアスレチックパークだよ。
また、ダンジョンの心臓部である〈ダンジョンコア〉は大地から魔力を吸って迷宮を成長させのに用いた魔力炉であるため、手に入れば膨大な魔力を使いて協力なマジックアイテムが作れるとの事。
飴と鞭ってか。
内容からしたらダンジョンそのものが一つのマジックアイテムと言っても過言ではなさそうだ。
でもマジックアイテムかぁ、……神話級の武器とか作れたりするかな?
エクスカリバーとかクラウソラスとかバスターキャノンとか衛星砲とかグリプス弐とか。
「月は出ているかと聞いている!」
ふふーふ。
少しテンション上がってきてちょっとにやにやが止まらない。
よし、次は上級の書だ!
三冊目の本を取り出し開こうとしたが、微動だにしなかった。
なんだ?
全然開かないんですけど。
これは何かの条件で閲覧が可能になる類の物か?
念のためボーナススキルの〈センスマジック〉で魔道書を確認したところ、三冊目の魔道書Ⅲにのみ反応しやがった。
当たりか。
これで何かしらの条件やなんらかの仕掛けが魔法的に施されているのはわかった。
問題はその条件だなぁ。
セージやハイエンチャンターなんかにこういうのがわかるスキルがあるのかも?
今はわからないので放置せざるを得ないが、とりあえずこんなところだ。
必殺技もこれくらいにして、地道にやるか。
魔導書を収納袋様に収めると、マルチプルキャストと出現させた魔法の制御訓練を開始した。
リシア、ローザ、クク、モティナが昼食の準備をしているのを、リビングの長テーブルに突っ伏しながら眺めていた。
パニックホラーはまぁ好きなジャンルだが、実際に自分が遭遇すると全然楽しめないのな。
いやまぁ当然のことだけど。
昼食の準備をセシルも手伝おうとしたのだが、リシアに「ここは私たちに任せて、貴女はフィローラちゃんと一緒に勉強してていいわよ。あ、でも手伝ってほしいときは言うからその時は頼める?」と言いきかされ、台所から体よく追い出された。
追い出された本人は「はい、わかりました……」と凍えながらも嬉しそうに返事をし、リシアに抱き着いた。
短期間で完全に母と娘の関係が構築されていて、ほほえましい反面少し寂しい。
今はフィローラと並んで本を読み、面白そうな部分を見せ合っている。
俺も本でも読もうかな。
「トシオー、ひまー」
「トシオ、昼からすることが無い。早急に何か打開策を用意してくれ」
魂抜け気味で突っ伏していると、トトとメリティエが俺の体を左右前後に揺すってくる。
「んー、そう言われても、昼間に居るはずのない俺達が表に出歩くのは避けたいところなんだよなぁ」
「トシオ様、狩りに行かせてみては如何です? お肉の補充もしておきたいですし」
二人の騒ぎを土間からリシアが提案してくれる。
「狩りか……」
二人の体は闘争を求めている。それを発散させるには良いかもだな。
「行かせるにしても、どこがいいかな?」
「エアレーの居た森などどうです? 種類も豊富ですし手頃かと」
「あそこか……、まぁ今の二人なら危険も無いし大丈夫か」
「ご主人様、トトが何かをやらかす方の危険でしたら大いにありえます」
ククの指摘が容易に想像できてしまい、俺とリシアの顔が強張る。
そしてそれをメリティエが止められるのかは未知数だ。
「ちゃんとお肉獲ってくる来るからいいでしょー?」
「トシオ、私が付いてるから大丈夫だ」
「ねー、行かせてー」
「行かせてー」
女の子が男にまとわり付いてそんなこと言うんじゃありません。
言っていいのはおふとんのなかだけにしてくだしあ。
あとガクガク揺すらないで、二人共結構力強いから首の骨が持っていかれそうになるから。
「じゃぁ昼食が終わったらライシーンの南西にある森にワープゲートで送ってあげるから大人しくしてなさい」
「やったー!」
揺すっていた俺をトトが投げ捨てると、二人でハイタッチをして喜んだ。
あの、一応旦那なので雑に扱うのやめてもらえますか死んでしまいます。
「では、私も御一緒しましょう。気分転換にはなるでしょうし」
「ユニスさんだけに任せるのは心苦しいので私も行きます」
「二人が行ってくれるなら助かるよ」
「場所も把握していますし、夕刻までには戻ってきます」
「わかった、気を付けてね」
昼食後に4人+ミネルバを送り出した。
さてと、こちらも手持無沙汰となったことだし、色々と試してみるか。
「ちょっと納屋に行ってくる」
リシア達にそう言い残し席を立つ。
納屋の中は初夏の割に室内が蒸し風呂状態だったので、こちらの夏季って日本なら7月くらいなのではと推測する。
まぁそれは良いとして、ここに来たのは必殺技的な物を編み出すためだ。
リシアが〈サモンエレメンタル〉でおぞましいと称しても過言ではないぶっ壊れ性能を発揮したのだ、俺だってアレくらいのチート技の一つや二つ欲しいんだよ!
まずは現状の手持ち火力を今一度並べてみる。
候補としてはまずアロー系。
連射が利く上に一つにまとめて打ち出せば、ブラスト系の火力をも上回る。
まとめて放つ場合は低燃費の単発火力としては非常に優れているが、連射や複数本発射できなくなるため制圧射撃には向いていない。
試しに10本一まとめにしたアイスアローの属性強化版、ブリザードアローを出現させる。
見た目が同じ氷の矢なため、どこが違うんだか判断しづらいが、足元に流れる冷気の温度が明らかに低いのが解る。
まぁこれはこれで単体魔法としては優れているし、ボルト系と命名して分類しよう。
なのでこの目の前に浮いているのはブリザードアローあらためブリザードボルトだ。
悪用方法は、アロー系の中に紛れ込ませると不意が突けるってところか。
次にウィザードの単体火力魔法で最高威力を誇るランス系。
巨大な槍の穂先の様な形状で、今のところ迷宮の壁や弱点属性以外には突き刺さるため、威力はかなり高い。
単発でもボルト系より高火力で攻撃面積も大きくMP消費も大きい。
これをマルチプルキャストで重ね撃ちしたらどうなる事やら……。
試しにやってみたところ、MPが一気に半減した。
燃費わるっ!?
でも、消費MPからして、マルチプルキャストで一度に出せるのは10発迄か。
威力は十分そうだが、この燃費では連射は避けるべきだな。
いやまぁ何も一度に全力で撃たなくても、3~5発分の重ね掛けで大体事足りるだろ。
最後は直線に魔砲を打ち出すブラスト系。
エレメンタラーのバースト系に似ているが、威力はブラスト系の方がすこぶる高い。
フレアブラストなんてまんまビームライフルみたいな攻撃だったし、ライトニングブラストなら火力+感電のおまけつきだ。
直撃すれば感電&炭化がセットなため、行動阻害にも便利である。
そしてライトニングブラストを一箇所に同時多重展開して打ち出せば、これもエグいダメージが入るのは鬼岩石の例を見ても明らかだ。
……〈荷電粒子砲〉と名付けてみよう。
おお、いきなり必殺技っぽいのが生まれたっ!
原理はたぶん違うんだろうけど。
だが問題は属性や無効持ちには相手の体表面で霧散してしまうところだ。
やはりここはレベルを上げて物理で殴るべきか。
何か手段はないかと久しぶりにリベクさんから頂いた魔道書Ⅰを取り出し、〈古代魔法語〉を習得してからページを捲る。
それらしいものは書かれていないが、〝ウィザードやエンチャンターなんてまだまだ初級魔法しか使えないからさっさとセージやハイエンチャンターに上がれとの実も蓋もないありがたいお言葉を発見した。
ウィザードで増えた魔法はランス系とブラスト系、属性は土属性のアースとウォータークリエイトから派生した水属性が追加されたが、やっていることはマジックキャスターとさほど変わってはいないのだ。
属性系統と攻撃系統を組み合わせた魔法で構成されている職。
ジョブLvを上げててスキルを習得するだけのシステムに、〝魔法ってこういうものですよ〟と幼稚園の先生にお遊戯を教わっているような感覚に陥った。
気を取り直して次に進もう。
魔導書Ⅱを取り出しページを捲っていくと、俺がやっていた魔法の出現場所の指定や任意起爆、出現中の魔法の操作などが書かれていた。
他にも最上級職であるセージとハイエンチャンターで習得可能なスキルや魔法が書かれている。
魔法の扱いに関しては既に習得している物ばかりだな……ん?
目に留まったのは一つの職業、〈マナロード〉だ。
マナロード、これが最上級職で〈到達者〉と呼ばれる者のであるセージやハイエンチャンターなどの更に上、〈踏破者〉と呼ぶべき職か。
職業解放条件はセージ、ハイエンチャンターの二つ以上をマスターとある。
今の俺がウィザードLv45、エンチャンターLv40。
まだまだ先の話だが、
ウィザードとエンチャンターのファーストとセカンドの設定位置を逆に変更した。
これでメインにつけなおしたエンチャンターがLv50になる頃にはウィザードもLv50くらいになっているとありがたいのだが。
ついでだし、今家に居るみんなのも交換しておくか。
しかし、レスティー達の職は変更不可能だった。
やはり距離や迷宮の階層次第でスキルが効果を発揮していない可能性が高い。
PTウィンドウで確認できるのもHPとMP、それにメインジョブのLvのみだしな。
あとこのジョブ解放条件、これは別の職にも同じような解放条件があったりするのかも?
今の所それに関してはなってみないと分からないので放置案件である。
こうしてみると大した情報はなかったが、最上級職の更に上とその転職条件がわかっただけでもかなりの収穫か。
更に読み解いていくと、〈魔族〉のことや、現在俺達が攻略中の〈迷宮〉と呼ばれているダンジョンや、その最深部にある〈ダンジョンコア〉についての記載をみつける。
本によると、〝魔族とは魔力を体に取り込み暴走した人間の成れの果てで、人族と比べると肉体的にも魔法の素質的にも優れている半面、性格は残忍で狂暴。見つけ次第駆除するか過ぎ去るのを待て〟とある。
駆除出来なきゃ逃げるかやり過ごすしかないのは当たり前だが、それで事態が収まるのか?
あまりに稚拙過ぎてため息が漏れるが、気を取り直して更に読み進む。
迷宮については〝迷宮とは人の成長を促すために作られた施設で、ダンジョンコアのある場所まで辿り着ける頃には一人前にはなっている〟そうだ。
どこのアスレチックパークだよ。
また、ダンジョンの心臓部である〈ダンジョンコア〉は大地から魔力を吸って迷宮を成長させのに用いた魔力炉であるため、手に入れば膨大な魔力を使いて協力なマジックアイテムが作れるとの事。
飴と鞭ってか。
内容からしたらダンジョンそのものが一つのマジックアイテムと言っても過言ではなさそうだ。
でもマジックアイテムかぁ、……神話級の武器とか作れたりするかな?
エクスカリバーとかクラウソラスとかバスターキャノンとか衛星砲とかグリプス弐とか。
「月は出ているかと聞いている!」
ふふーふ。
少しテンション上がってきてちょっとにやにやが止まらない。
よし、次は上級の書だ!
三冊目の本を取り出し開こうとしたが、微動だにしなかった。
なんだ?
全然開かないんですけど。
これは何かの条件で閲覧が可能になる類の物か?
念のためボーナススキルの〈センスマジック〉で魔道書を確認したところ、三冊目の魔道書Ⅲにのみ反応しやがった。
当たりか。
これで何かしらの条件やなんらかの仕掛けが魔法的に施されているのはわかった。
問題はその条件だなぁ。
セージやハイエンチャンターなんかにこういうのがわかるスキルがあるのかも?
今はわからないので放置せざるを得ないが、とりあえずこんなところだ。
必殺技もこれくらいにして、地道にやるか。
魔導書を収納袋様に収めると、マルチプルキャストと出現させた魔法の制御訓練を開始した。
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