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14話 テンプレートなイベント
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モリーさんの店を出た後も、気ままに道なりにプラプラと歩く。
人の比率こそ多いが、大体6割くらいはヒューマンとは違う種族なため、モン娘ケモナー人外スキーな俺はホクホクになれた。
でもあれな、ラミアとかハーピーとかアラクネとかミノタウロスとか半人半山羊とかは居ないのな。
もうそこだけが残念で少ししょぼくれるが、目の前をケンタウロスの女が小走りで駆け、ケモ耳の母子が歩いているのを目にしただけで、沈んだ気分が高揚する。
ケモ耳少女は普通にほほえましいが、そのお母さんの方に目が行ってしまうあたり度し難い。
でも治安は良さそうだな……あ、リザードマンだ。
トカゲ人間は身長2メートルを超えており、人よりも明らかに大きな図体をしていた。
肩に担ぐ普通サイズの槍が、彼(?)には短槍サイズとなっている。
でかいなぁ。
あまりガン見しているとさっきのモーディーンさんみたく声を掛けられかねないので、できるだけ目を逸らし、視界に収めた状態で凝視する。
焦点が合っていないので細部まで詳しくわからないが、それでも楽しく堪能できた。
てかリザードマンはこの世界じゃモンスター枠じゃないのね。
あ、でもレンさんの恋人も鬼人だし、案外他にもモンスターのはずが人族に部類されるのもいたりかも。
コボルトとかスキュラとか。
あ、そういう意味ではハーピーやミノタウロスもか。
なんにしろ夢が広がりんぐな出会いに期待せざるを得ないな。
「……けて……!」
妄想を膨らませながら散策を続けていると、丁度人通りが少ない場所に差し掛かったところで、緑色のローブを着た女が脇道から飛び出してきた。
ぶつかりそうになったのを受け止め、そのまま勢いを逃すように体の位置を入れ替え180度回転して停止する。
女はフードを目深にかぶり、前髪の金髪から覗くのは整った鼻と口元だけだ。
着ているローブの生地が夏に着るには分厚すぎるくらいの厚みではあったが、その上からでも彼女の豊満な胸が浮かぶ程だ。
もしかしてリシアよりもでかい…だと…!?
いやいやそうじゃない。
煩悩をすぐさま滅却する。
「大丈夫?」
「追われています……、助けてください……!」
「兄ちゃん、その女を渡しな」
かすれる声で助けを求められてすぐ、背後から数人の足音と男の声。
振り向くと、やさぐれ冒険者風の小汚い男が3人立っていた。
男達の腰には片手剣が下げられている。
うっわぁ、ベタなチンピラだなぁ……。
だが俺の心臓が早鐘となって脈打つ。
緊張で全身が強張り、膝に力が入っていないのが自分でも分かる。
こちらの竦みを見抜いたのか、男達の顔には嘲りの笑みが浮かんでいる。
これだからビビリは……。
「痛い目見る前に大人しく渡した方が身のためだぜ?」
高圧的に脅して来るが、手にした短槍に見て一瞬怯んだのも見逃していない。
〈ブレイブハート〉!
無詠唱からのスキルの発動に恐怖心と緊張がスッと消え失せ、立ち向かう気力が奮い立つ。
これで少しは冷静でいられる。
次に男達へと〈鑑定〉を発動させると、シーフLv27、Lv26、Lv24と、レベルが俺よりも明らかに高い。
しかも名前の横には【盗賊】の称号が付いていやがった。
つい先程、治安が良さそうだなんて思ったマヌケな自分をぶん殴りたくなる。
手荒な真似が慣れていそうな人間相手に、刃傷沙汰は避けたい。
どうにかしなければと思案しながら、女性をその背に隠す。
兎に角、まずは一発かまさなければ余計に付け上がられてしまう。
「……いい年した男が複数で女の子を追い回す……あまり感心しないなぁ」
「なんだと……ぉ?」
目を座らせ、不敵な笑みを浮かべ、短槍で肩を叩き強者ぶって言い放つ。
こちらの突然の豹変に、凄もうとした男がたじろいだ。
「なんだとじゃない。大の男が3人で女の子を追い回すって、自分のやってることを振り返ってみ? お前らの父ちゃん母ちゃんに仕事はなにをしてるのか尋ねられ『仲間一緒に街中で女の子を追い回す簡単な仕事です!』って堂々と言うの? 神様に向かって『私は清く正しく一生懸命に徒党を組んで女の子をさらって生きてます!』とか言っちゃうの?」
「うっ…」
「ぐっ…」
「……っ」
必殺良心に訴える攻撃に、男たちの顔に苦みが走る。
心のHPには効果抜群だったようだ。
殺るなら今だ。
不意打ちで一気に2人もっていければ勝機はある。
こちらは短槍、間合いでも分はある。
それでも向こうは3人で、自分よりも高レベル。
行くなら行けよと思うが、返り討ちに合うリスクを考えると行くことに躊躇してしまう。
しかも相手は人間だ。
殺す気でやらないと勝てる見込みなんてない。
しかし人間を手にかけることには抵抗がある。
早くしないと、ここで手をこまねいていては先に動かれてしまう。
行く踏ん切りもつかず妙案も浮かばない……ならどちらもドブに捨てるしかない。
両方捨てるならどうするか?
そんなの決まっている、逃げるのだ。
なので逃げるための手を打とう。
名付けて『あなたの後ろにおまわりさん』作戦です! ぱんつぁーふぉー!
使い古された手だが、それしか思い浮かばないのだからしょうがない。
こんな異世界にお巡りさんなんていないだろうから、代わりにこう叫ぶ。
「だ、旦那――!!」
若干声が裏返ったが、男達の後ろに向かって大声で叫び、女性を連れて走り出す!
しかし、男達の背後、すこし離れたところには鎧を着こんだ大男が、大通り沿いを歩いているのが目に入る。
目に入ってしまったのだ。
背に大剣を背負い、髭面強面の厳つい大柄のおじさんだ。
リザードマン並みのでかさだが、それでもただ歩いているだけの通行人。
俺の声に気が付いた大男がこちらに顔を向けると、チンピラ達も丁度振り返り大男を視認する。
なんでいかにも周りから『旦那』とか『大将』とか呼ばれてそうな人が、そう都合良くそこに居るんだよ!?
このまま逃げるとあの人に迷惑が及びかねないから、逆に逃げられなくなって都合が悪いぞ!?
完全に逃げるタイミングを失った。
だがここで予期せぬ事態が起きる。
髭面の大男がこちらに向かって来た。
チンピラ達は慌てて逃げ出した。
背後にかくまった女性が居なくなっていた。
大男が更にずんずんと近付いて来た。
女どこ行ったー!?
そして、最終的には無関係な俺と大男だけがこの場に残った。
なんでやねん……。
ありきたりな、それこそ関西人にとってはテンプレートなツッコミを心の中で絞り出される。
パニックからその言葉しか出なかった。
「ボウズ、ワシを呼んだか?」
向こうからすれば軽い問いかけなのだろうが、目の前に立つ大男の威圧感が凄まじく、ブレイブハートをもってしても膝が震える。
これは一発ぶん殴られるくらいの覚悟は必要そうだ。
一発で済めばいいし、仮に一発だったとしても死なない程度でお願いしたい。
「あ、いや、はい、すみません。変な人達に絡まれていたので無我夢中で叫んだら偶然あなたが居ました。刃傷沙汰になるかもしれなかったいのに巻き込みかけて申し訳ありませんでした!」
大量の汗を流しながら、見ず知らずのおじさんに必死に謝る24歳の夏。
この汗が夏の暑さだけでないことは、俺が一番わかっている。
俺、異世界に来たんだよね?
剣と魔法のファンタジーだよね?
何でこんなに必死に謝ってるの?
普通ここは異世界モノの主人公みたく、颯爽と現れ華麗に悪漢どもを鎮圧し、助けた女の子に惚れられる流れじゃないの?
アニメだったら動画サイトのコメントに『イキリ四郎』とか『テンプレ乙』とか書かれちゃってるところだよね?
やだ、かっこ悪い……。
さっきモーディーンさんにパントマイムを披露した時以上に恥ずか死ぬ……。
だけど現実は俺に生きろと言っている。
なので極力礼儀正しく、巻き込みそうになったおじさんに先程までの事情を説明した。
「ガッハハハハハ! そいつは難儀だったなボウズ! まぁチンピラ如きに後れをとるワシではない、また何かあったら頼ってくれて構わんぞ。それに、ライシーンの冒険者ならば、困っている者に手を差し伸べん奴など居はせんさ!」
俺の内心とは裏腹に、おじさんは豪快に笑い飛ばすと俺の背中をバシンと叩く。
「ぐほっ!?」
めちゃくちゃ痛い!
てかHP減ってるんですけど!?
殴られはしなかったが結局ダメージを受ける結果にむせび泣きたくなる。
「おっとすまんすまん、どうも加減が出来んタチでな」
「い、いえ、大丈夫です」
「……ボウズ、貴様の行いは素晴らしいモノだ。そこは胸を張れ。だがな、そういうのは実力を伴わんと被害が増すだけだぞ」
「はい、以後気を付けます……」
見ず知らずのおじさんに説教されるとぅえんてぃーふぉー・ざ・さまー。
おじさんの言葉には優しさが伴ってるので、少しばかりうるっときてしまった。
「うむ。お主も冒険者の端くれならば、己の身くらい己で守れんとな。ワシはこれから用があるから失礼する。ではまたな」
「ありがとうございました」
大男が手を振りながら去っていき、角を曲がって姿が見えなくなる。
……あ、しまった、おじさんの名前を確認し損ねた。
あと女の方もだ。
本日最大級のしくじりに気分が落ち込む。
別に女の方はどうでもいいけど。
……もう帰ろう。
そして早く強くなろう。
元来た道へと引き返しながら、今度会ったらちゃんとお礼を言わなければと、お天道様にそう誓った。
人の比率こそ多いが、大体6割くらいはヒューマンとは違う種族なため、モン娘ケモナー人外スキーな俺はホクホクになれた。
でもあれな、ラミアとかハーピーとかアラクネとかミノタウロスとか半人半山羊とかは居ないのな。
もうそこだけが残念で少ししょぼくれるが、目の前をケンタウロスの女が小走りで駆け、ケモ耳の母子が歩いているのを目にしただけで、沈んだ気分が高揚する。
ケモ耳少女は普通にほほえましいが、そのお母さんの方に目が行ってしまうあたり度し難い。
でも治安は良さそうだな……あ、リザードマンだ。
トカゲ人間は身長2メートルを超えており、人よりも明らかに大きな図体をしていた。
肩に担ぐ普通サイズの槍が、彼(?)には短槍サイズとなっている。
でかいなぁ。
あまりガン見しているとさっきのモーディーンさんみたく声を掛けられかねないので、できるだけ目を逸らし、視界に収めた状態で凝視する。
焦点が合っていないので細部まで詳しくわからないが、それでも楽しく堪能できた。
てかリザードマンはこの世界じゃモンスター枠じゃないのね。
あ、でもレンさんの恋人も鬼人だし、案外他にもモンスターのはずが人族に部類されるのもいたりかも。
コボルトとかスキュラとか。
あ、そういう意味ではハーピーやミノタウロスもか。
なんにしろ夢が広がりんぐな出会いに期待せざるを得ないな。
「……けて……!」
妄想を膨らませながら散策を続けていると、丁度人通りが少ない場所に差し掛かったところで、緑色のローブを着た女が脇道から飛び出してきた。
ぶつかりそうになったのを受け止め、そのまま勢いを逃すように体の位置を入れ替え180度回転して停止する。
女はフードを目深にかぶり、前髪の金髪から覗くのは整った鼻と口元だけだ。
着ているローブの生地が夏に着るには分厚すぎるくらいの厚みではあったが、その上からでも彼女の豊満な胸が浮かぶ程だ。
もしかしてリシアよりもでかい…だと…!?
いやいやそうじゃない。
煩悩をすぐさま滅却する。
「大丈夫?」
「追われています……、助けてください……!」
「兄ちゃん、その女を渡しな」
かすれる声で助けを求められてすぐ、背後から数人の足音と男の声。
振り向くと、やさぐれ冒険者風の小汚い男が3人立っていた。
男達の腰には片手剣が下げられている。
うっわぁ、ベタなチンピラだなぁ……。
だが俺の心臓が早鐘となって脈打つ。
緊張で全身が強張り、膝に力が入っていないのが自分でも分かる。
こちらの竦みを見抜いたのか、男達の顔には嘲りの笑みが浮かんでいる。
これだからビビリは……。
「痛い目見る前に大人しく渡した方が身のためだぜ?」
高圧的に脅して来るが、手にした短槍に見て一瞬怯んだのも見逃していない。
〈ブレイブハート〉!
無詠唱からのスキルの発動に恐怖心と緊張がスッと消え失せ、立ち向かう気力が奮い立つ。
これで少しは冷静でいられる。
次に男達へと〈鑑定〉を発動させると、シーフLv27、Lv26、Lv24と、レベルが俺よりも明らかに高い。
しかも名前の横には【盗賊】の称号が付いていやがった。
つい先程、治安が良さそうだなんて思ったマヌケな自分をぶん殴りたくなる。
手荒な真似が慣れていそうな人間相手に、刃傷沙汰は避けたい。
どうにかしなければと思案しながら、女性をその背に隠す。
兎に角、まずは一発かまさなければ余計に付け上がられてしまう。
「……いい年した男が複数で女の子を追い回す……あまり感心しないなぁ」
「なんだと……ぉ?」
目を座らせ、不敵な笑みを浮かべ、短槍で肩を叩き強者ぶって言い放つ。
こちらの突然の豹変に、凄もうとした男がたじろいだ。
「なんだとじゃない。大の男が3人で女の子を追い回すって、自分のやってることを振り返ってみ? お前らの父ちゃん母ちゃんに仕事はなにをしてるのか尋ねられ『仲間一緒に街中で女の子を追い回す簡単な仕事です!』って堂々と言うの? 神様に向かって『私は清く正しく一生懸命に徒党を組んで女の子をさらって生きてます!』とか言っちゃうの?」
「うっ…」
「ぐっ…」
「……っ」
必殺良心に訴える攻撃に、男たちの顔に苦みが走る。
心のHPには効果抜群だったようだ。
殺るなら今だ。
不意打ちで一気に2人もっていければ勝機はある。
こちらは短槍、間合いでも分はある。
それでも向こうは3人で、自分よりも高レベル。
行くなら行けよと思うが、返り討ちに合うリスクを考えると行くことに躊躇してしまう。
しかも相手は人間だ。
殺す気でやらないと勝てる見込みなんてない。
しかし人間を手にかけることには抵抗がある。
早くしないと、ここで手をこまねいていては先に動かれてしまう。
行く踏ん切りもつかず妙案も浮かばない……ならどちらもドブに捨てるしかない。
両方捨てるならどうするか?
そんなの決まっている、逃げるのだ。
なので逃げるための手を打とう。
名付けて『あなたの後ろにおまわりさん』作戦です! ぱんつぁーふぉー!
使い古された手だが、それしか思い浮かばないのだからしょうがない。
こんな異世界にお巡りさんなんていないだろうから、代わりにこう叫ぶ。
「だ、旦那――!!」
若干声が裏返ったが、男達の後ろに向かって大声で叫び、女性を連れて走り出す!
しかし、男達の背後、すこし離れたところには鎧を着こんだ大男が、大通り沿いを歩いているのが目に入る。
目に入ってしまったのだ。
背に大剣を背負い、髭面強面の厳つい大柄のおじさんだ。
リザードマン並みのでかさだが、それでもただ歩いているだけの通行人。
俺の声に気が付いた大男がこちらに顔を向けると、チンピラ達も丁度振り返り大男を視認する。
なんでいかにも周りから『旦那』とか『大将』とか呼ばれてそうな人が、そう都合良くそこに居るんだよ!?
このまま逃げるとあの人に迷惑が及びかねないから、逆に逃げられなくなって都合が悪いぞ!?
完全に逃げるタイミングを失った。
だがここで予期せぬ事態が起きる。
髭面の大男がこちらに向かって来た。
チンピラ達は慌てて逃げ出した。
背後にかくまった女性が居なくなっていた。
大男が更にずんずんと近付いて来た。
女どこ行ったー!?
そして、最終的には無関係な俺と大男だけがこの場に残った。
なんでやねん……。
ありきたりな、それこそ関西人にとってはテンプレートなツッコミを心の中で絞り出される。
パニックからその言葉しか出なかった。
「ボウズ、ワシを呼んだか?」
向こうからすれば軽い問いかけなのだろうが、目の前に立つ大男の威圧感が凄まじく、ブレイブハートをもってしても膝が震える。
これは一発ぶん殴られるくらいの覚悟は必要そうだ。
一発で済めばいいし、仮に一発だったとしても死なない程度でお願いしたい。
「あ、いや、はい、すみません。変な人達に絡まれていたので無我夢中で叫んだら偶然あなたが居ました。刃傷沙汰になるかもしれなかったいのに巻き込みかけて申し訳ありませんでした!」
大量の汗を流しながら、見ず知らずのおじさんに必死に謝る24歳の夏。
この汗が夏の暑さだけでないことは、俺が一番わかっている。
俺、異世界に来たんだよね?
剣と魔法のファンタジーだよね?
何でこんなに必死に謝ってるの?
普通ここは異世界モノの主人公みたく、颯爽と現れ華麗に悪漢どもを鎮圧し、助けた女の子に惚れられる流れじゃないの?
アニメだったら動画サイトのコメントに『イキリ四郎』とか『テンプレ乙』とか書かれちゃってるところだよね?
やだ、かっこ悪い……。
さっきモーディーンさんにパントマイムを披露した時以上に恥ずか死ぬ……。
だけど現実は俺に生きろと言っている。
なので極力礼儀正しく、巻き込みそうになったおじさんに先程までの事情を説明した。
「ガッハハハハハ! そいつは難儀だったなボウズ! まぁチンピラ如きに後れをとるワシではない、また何かあったら頼ってくれて構わんぞ。それに、ライシーンの冒険者ならば、困っている者に手を差し伸べん奴など居はせんさ!」
俺の内心とは裏腹に、おじさんは豪快に笑い飛ばすと俺の背中をバシンと叩く。
「ぐほっ!?」
めちゃくちゃ痛い!
てかHP減ってるんですけど!?
殴られはしなかったが結局ダメージを受ける結果にむせび泣きたくなる。
「おっとすまんすまん、どうも加減が出来んタチでな」
「い、いえ、大丈夫です」
「……ボウズ、貴様の行いは素晴らしいモノだ。そこは胸を張れ。だがな、そういうのは実力を伴わんと被害が増すだけだぞ」
「はい、以後気を付けます……」
見ず知らずのおじさんに説教されるとぅえんてぃーふぉー・ざ・さまー。
おじさんの言葉には優しさが伴ってるので、少しばかりうるっときてしまった。
「うむ。お主も冒険者の端くれならば、己の身くらい己で守れんとな。ワシはこれから用があるから失礼する。ではまたな」
「ありがとうございました」
大男が手を振りながら去っていき、角を曲がって姿が見えなくなる。
……あ、しまった、おじさんの名前を確認し損ねた。
あと女の方もだ。
本日最大級のしくじりに気分が落ち込む。
別に女の方はどうでもいいけど。
……もう帰ろう。
そして早く強くなろう。
元来た道へと引き返しながら、今度会ったらちゃんとお礼を言わなければと、お天道様にそう誓った。
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