2 / 3
1章 物語のあらすじは分かりやすい方がいい
第2話 回想は長くなるものだ
しおりを挟む
おどおどしながらも手際よく暗殺の任務をこなす子って可愛くないか?……ああ、その話はいいって?仕方ないな。
目が覚めると……と言う表現が適切なのかはわからないが、気がつくと俺は自分の部屋の椅子に腰掛けていた。部屋の時計を見ると時刻は20時を回ったところで、カーテンの隙間から見える外はある程度の暗さを保っている。満点の星空が俺を出迎えてくれれば、気分も良いのかもしれないが、残念ながら、俺の住むこの街は通学にも通勤にも便利なそこそこの都会だ。星空なんて見えやしない。せいぜい、月明かりがぼんやりとあたりを包んでいる程度。
「やっぱり、今回もここからか」
毎回、このボタンを使って戻されるのは俺が高校2年の冬、12月20日の20時7分ぐらい。こうも何度も戻っていると言うのに誤差なく、この日に連れてこられる。
あの時、弟に時間指定機能も付けさせればよかったなーとボタンをカチカチいじってはみるが、何も変化は起きない。どうにも、このボタンは俺が本気でヤバい!だとか次行こ!と思わない限りは何も機能しないようで、これは新手の主人公補正と割り切ってはいるが、正直、一応やり直しはできる程度のもので、あまり役には立たない。
俺が弟に殺されでもしたら、世界が終わるのか……と思うと、少しだけ物語の主人公になれたような優越感を抱けなくもないが、生憎、こちとらソロプレイだ。気の置ける仲間もいなければ、協力を仰ぐことすらできない。ん?なんだよ、24回もループしてて、ぼっち乙とでもいいたいのか?いや、俺なりに試してはみたが、結局――
コンコン、と響き渡るノックの音に思わず、肩を竦める。はっとしたように時計を見ると、秒針は20時12分を指し示していた。
「兄さん、少し良いですか?」
声の主が誰かなんて、言わなくとも分かるだろう。先程まで絶賛闇堕ちをしていた我が弟、明だ。
「……どうした?」
「少し、相談事がありまして」
切り出された言葉は何度も聞いているはずなのにやけに俺の心臓ばバクバクと音を立てる。ループしていて気づいたことだが、ここが物語のスタート地点、つまりは起承転結の起にあたるらしい。
このイベントさえ、回避出来れば世界はいつも通り平穏に過ぎていくのかと思わなくもないが、どうにも、あのポンコツボタンはこれよりも前には戻してくれない。さすが我が弟のボタンだ。ボタンさえも性根が腐ってる。……俺ほどでは無いが。
「相談ごとねえ。……恋愛相談とか言うなよ?」
「はは、すごい、やっぱり、兄さんは私のことをよく分かっているんですね」
さも、嬉しそうに笑う弟。毎回俺はフラグ回避のために釘を刺しているのだが……どうにも、この弟は刺した釘を全力で引っこ抜きにくる。
そうだな、こいつの嫌いなところは沢山あるが、こうやって、ド底辺の俺をやたらと持ち上げるところも大嫌いだ。なんなら、自分が俺に好かれていると思い込んでいるところも、嫌いだ。
「兄さん、私、好きな人が出来たんです」
来ましたよ。闇落ちフラグ確定ワード。どうすんだよ。……なあ、そこのお前、俺とちょっと世界を救わないか?ほら、画面を叩き割りでもして、こちらに干渉してくれ。俺もこうやって、そちらに干渉できてるんだ。お前だってやれば出来るはずだよ。なあ、頼むよ。ダメか。
「好きな人って、あー……同じクラスの、ええと、吹雪さんだっけ?すんごい美形って評判の」
「兄さん、吹雪さんではなく、冬樹さんですし、彼なら隣のクラスですよ」
――何もかもがあってなかった。
ほら、確か13週目ぐらいの時に陽キャの連中が廊下で屯ってやたら、美形美形言ってたんだよ。面は拝んだことすらないってか、俺は立体物には興味が無いからな、どこの誰とも知らないが、そうか、男か。ヒロイン枠ですらなかったよ。
「じゃあ、ええと、」
言葉を濁そうとする俺と相反して、弟は珍しく瞳を輝かせながら、話を続ける。
「父さんに頼まれて、イラキまで行っていたのですが……」
「ああ、そういえば、そうだったな」
――やめろ、地名を出すな、覚えられないだろう。
“イラキ”ってのは……まあ、簡単に言えばここからかなり離れた田舎町だ。ファンタジーにありがちな活気溢れる市場はあれど、正直、ネット回線が通ってるのかさえ、疑うような場所だ。
俺達の暮らす街よりも、竜人だとか、人型から離れた種族の多い印象がある。安心しろ、美少女かは知らないがエルフの村も近くにあるぞ。焼かれてなきゃな。
「そこの市場に……その、」
恥じらうな、市場のくだりも、もう説明済みなんだから、これ以上、話を長くしないでくれ。
「好みの子がいたと。お前がそんなこと言い出すなんて、熱でもあるのか?」
「ないですよ。ただ、如何せん、誰かに好意的に思っていただくことはあれど、自分からと言うのは初めてで……」
この物語が俺の冒険譚だとか、魔王討伐物語だとか、大それたものではないのはお察しだろう。全てはここから始まってしまうんだ。――無知な弟が一目惚れをしてしまった。それだけなんだよ。
“兄さん、私、どうしたら良いんでしょう?”
耳に響く弟の声は否が応でも“1周目”の結末を思い出させる。1周目の俺は弟の話に興味なんてなくて、適当に答えたんだ。
“お前の好きにしろよ”――と。
思い返せば種を巻いてしまったのは俺だったのかもしれない。俺の言葉を鵜呑みにした弟が“赤い髪の少女”を連れて帰るまでに日は掛からなかった。むしろ、日数の差さえあれど、弟は俺が何と言おうがその少女を招いてしまう。過程は違えど、物語は必ず集約するのだ。
少女はどこにでもいるような普通の子だ。腰までの赤い御髪は艶やかなように見えなくもないが、だからと言って、弟が強く惹かれる理由は見当たらない。けれども、どうして、弟は――
「……それで、連れ帰ってきたと」
「ええ、だから、これから、彼女と暮らすんです」
赤い血は少女の髪によく馴染み、怯えきった少女は俺と弟を交互に見ては、ガタガタと身を震わせた。弟の笑みと相反するようにこびり付いた赤い染みは弟がしでかしたことを口よりも明確に物語る。
そういえば、何周目かの時に“この子の兄貴はどうした!?”と訊ねたら、物凄い剣幕で弟に問い詰められたな。……て、今はそんな話は良いか。1周目の回想を続けよう。
酷く嬉しそうな弟をみて、あの時の俺はこう思ったんだ。思ってしまったんだ。
――やっと、弟が俺より劣った。
ずっと、ずっと、ずっとずっと苦痛だった。いつでも他人は俺と弟を比べて、弟は凄いのに、弟は天才なのに、弟は、弟は!
小さい頃から、弟は何もしなくても100点が当たり前だった。何もしなくても誰からも好かれて、何もしなくても、何でもできた。
一方の俺はどうだ。同じ顔、同じ声、同じ親から産まれたはずなのに何もできない。人並みのことすら、できやしない。無我夢中で、食らいついて、漸く弟よりも劣る程度の学力。運動だって、ビリから数えた方が早いし、何をするにも失敗ばかりだ。
けれども、俺の家族は変わらぬように俺にも弟にも分け隔てなく愛情とやらを注いで、弟も、こんな出来損ないで何一つできやしない俺を“兄”だからと慕って!
だから、やっと、弟に勝てたと思ったんだ。だって、俺は誰も殺したことなんてない。血の匂いもこの時、初めて知ったし、怯えきった人間だって初めて見た。
――嬉しかったんだ。弟が自分よりも劣る様を見て、嬉しくて、嬉しくて。
だから、俺は放置した。狂っていく弟が少女を殺して、吸血鬼として起き上がらせたことも、何もかもを。
意外なことに弟は途中までは上手くやってたんだ。少女を洗脳して、偽りの学園生活を送って。……ああ、そうだ。その時、こんな俺にも友達はできたし、弟のことを差し引いても楽しい学園生活とやらを送れていた。
――だが、やはり、そう上手くはいかない。
気づけば、1人、また1人と殺されていって、最後に残ったのは弟と俺だった。
「なんで俺だけ生かした?」
「だって、私たち、家族じゃないですか」
話の通じない相手を初めてみたのもこの時だったと思う。
「なんででしょうね、なぜ、レイは私のことを好きになってくれなかったのか」
「そりゃ、人殺しを好きになるやつなんて、早々いないだろうよ」
「私、何を間違えてしまったんでしょう」
「さあな」
格好つけたい癖に足はガタガタと震えたし、横にころがっている俺を助けた友達の亡骸に泣いてる暇すらなかった。
「俺、帰るわ」
「どこへ?」
「家だよ家、自宅」
この時の俺がなんですんなり見逃されたのか、わからない。家に帰った俺はどうして良いか、何もわからなくて、ただ何かないのかと、荒らすように家中、目的もなく何かを探していた。
「あ、……」
押し入れの奥深く。もう使わないであろうガラクタばかりの箱にそれはあった。弟にノリで強請ったものの、使うことなく、放置していたボタン。確か、作らせてすぐに押して、何も起きなかったから、捨てたんだ。けれど、この時の俺はどうしようもなくて、縋るようにそれを押した。“皆”を助けてくれと願いながら――
「兄さん、私の相談、少しは真剣に聞いてくれても良いんですよ」
こうして、俺のループ物語は始まった。気が向いたら、1周目の過程や、他の週の回想もしていこう。
「とは言ってもなあ、俺に恋愛相談って……ああ、アレだ。親父にでも相談してみたらどうだ?」
「嫌ですよ、あんな色ボケジジイ」
「お前、相変わらず親父にキツいな!?」
さて、今回は何日後にこいつは赤髪の少女を連れてくるのだろうか?
目が覚めると……と言う表現が適切なのかはわからないが、気がつくと俺は自分の部屋の椅子に腰掛けていた。部屋の時計を見ると時刻は20時を回ったところで、カーテンの隙間から見える外はある程度の暗さを保っている。満点の星空が俺を出迎えてくれれば、気分も良いのかもしれないが、残念ながら、俺の住むこの街は通学にも通勤にも便利なそこそこの都会だ。星空なんて見えやしない。せいぜい、月明かりがぼんやりとあたりを包んでいる程度。
「やっぱり、今回もここからか」
毎回、このボタンを使って戻されるのは俺が高校2年の冬、12月20日の20時7分ぐらい。こうも何度も戻っていると言うのに誤差なく、この日に連れてこられる。
あの時、弟に時間指定機能も付けさせればよかったなーとボタンをカチカチいじってはみるが、何も変化は起きない。どうにも、このボタンは俺が本気でヤバい!だとか次行こ!と思わない限りは何も機能しないようで、これは新手の主人公補正と割り切ってはいるが、正直、一応やり直しはできる程度のもので、あまり役には立たない。
俺が弟に殺されでもしたら、世界が終わるのか……と思うと、少しだけ物語の主人公になれたような優越感を抱けなくもないが、生憎、こちとらソロプレイだ。気の置ける仲間もいなければ、協力を仰ぐことすらできない。ん?なんだよ、24回もループしてて、ぼっち乙とでもいいたいのか?いや、俺なりに試してはみたが、結局――
コンコン、と響き渡るノックの音に思わず、肩を竦める。はっとしたように時計を見ると、秒針は20時12分を指し示していた。
「兄さん、少し良いですか?」
声の主が誰かなんて、言わなくとも分かるだろう。先程まで絶賛闇堕ちをしていた我が弟、明だ。
「……どうした?」
「少し、相談事がありまして」
切り出された言葉は何度も聞いているはずなのにやけに俺の心臓ばバクバクと音を立てる。ループしていて気づいたことだが、ここが物語のスタート地点、つまりは起承転結の起にあたるらしい。
このイベントさえ、回避出来れば世界はいつも通り平穏に過ぎていくのかと思わなくもないが、どうにも、あのポンコツボタンはこれよりも前には戻してくれない。さすが我が弟のボタンだ。ボタンさえも性根が腐ってる。……俺ほどでは無いが。
「相談ごとねえ。……恋愛相談とか言うなよ?」
「はは、すごい、やっぱり、兄さんは私のことをよく分かっているんですね」
さも、嬉しそうに笑う弟。毎回俺はフラグ回避のために釘を刺しているのだが……どうにも、この弟は刺した釘を全力で引っこ抜きにくる。
そうだな、こいつの嫌いなところは沢山あるが、こうやって、ド底辺の俺をやたらと持ち上げるところも大嫌いだ。なんなら、自分が俺に好かれていると思い込んでいるところも、嫌いだ。
「兄さん、私、好きな人が出来たんです」
来ましたよ。闇落ちフラグ確定ワード。どうすんだよ。……なあ、そこのお前、俺とちょっと世界を救わないか?ほら、画面を叩き割りでもして、こちらに干渉してくれ。俺もこうやって、そちらに干渉できてるんだ。お前だってやれば出来るはずだよ。なあ、頼むよ。ダメか。
「好きな人って、あー……同じクラスの、ええと、吹雪さんだっけ?すんごい美形って評判の」
「兄さん、吹雪さんではなく、冬樹さんですし、彼なら隣のクラスですよ」
――何もかもがあってなかった。
ほら、確か13週目ぐらいの時に陽キャの連中が廊下で屯ってやたら、美形美形言ってたんだよ。面は拝んだことすらないってか、俺は立体物には興味が無いからな、どこの誰とも知らないが、そうか、男か。ヒロイン枠ですらなかったよ。
「じゃあ、ええと、」
言葉を濁そうとする俺と相反して、弟は珍しく瞳を輝かせながら、話を続ける。
「父さんに頼まれて、イラキまで行っていたのですが……」
「ああ、そういえば、そうだったな」
――やめろ、地名を出すな、覚えられないだろう。
“イラキ”ってのは……まあ、簡単に言えばここからかなり離れた田舎町だ。ファンタジーにありがちな活気溢れる市場はあれど、正直、ネット回線が通ってるのかさえ、疑うような場所だ。
俺達の暮らす街よりも、竜人だとか、人型から離れた種族の多い印象がある。安心しろ、美少女かは知らないがエルフの村も近くにあるぞ。焼かれてなきゃな。
「そこの市場に……その、」
恥じらうな、市場のくだりも、もう説明済みなんだから、これ以上、話を長くしないでくれ。
「好みの子がいたと。お前がそんなこと言い出すなんて、熱でもあるのか?」
「ないですよ。ただ、如何せん、誰かに好意的に思っていただくことはあれど、自分からと言うのは初めてで……」
この物語が俺の冒険譚だとか、魔王討伐物語だとか、大それたものではないのはお察しだろう。全てはここから始まってしまうんだ。――無知な弟が一目惚れをしてしまった。それだけなんだよ。
“兄さん、私、どうしたら良いんでしょう?”
耳に響く弟の声は否が応でも“1周目”の結末を思い出させる。1周目の俺は弟の話に興味なんてなくて、適当に答えたんだ。
“お前の好きにしろよ”――と。
思い返せば種を巻いてしまったのは俺だったのかもしれない。俺の言葉を鵜呑みにした弟が“赤い髪の少女”を連れて帰るまでに日は掛からなかった。むしろ、日数の差さえあれど、弟は俺が何と言おうがその少女を招いてしまう。過程は違えど、物語は必ず集約するのだ。
少女はどこにでもいるような普通の子だ。腰までの赤い御髪は艶やかなように見えなくもないが、だからと言って、弟が強く惹かれる理由は見当たらない。けれども、どうして、弟は――
「……それで、連れ帰ってきたと」
「ええ、だから、これから、彼女と暮らすんです」
赤い血は少女の髪によく馴染み、怯えきった少女は俺と弟を交互に見ては、ガタガタと身を震わせた。弟の笑みと相反するようにこびり付いた赤い染みは弟がしでかしたことを口よりも明確に物語る。
そういえば、何周目かの時に“この子の兄貴はどうした!?”と訊ねたら、物凄い剣幕で弟に問い詰められたな。……て、今はそんな話は良いか。1周目の回想を続けよう。
酷く嬉しそうな弟をみて、あの時の俺はこう思ったんだ。思ってしまったんだ。
――やっと、弟が俺より劣った。
ずっと、ずっと、ずっとずっと苦痛だった。いつでも他人は俺と弟を比べて、弟は凄いのに、弟は天才なのに、弟は、弟は!
小さい頃から、弟は何もしなくても100点が当たり前だった。何もしなくても誰からも好かれて、何もしなくても、何でもできた。
一方の俺はどうだ。同じ顔、同じ声、同じ親から産まれたはずなのに何もできない。人並みのことすら、できやしない。無我夢中で、食らいついて、漸く弟よりも劣る程度の学力。運動だって、ビリから数えた方が早いし、何をするにも失敗ばかりだ。
けれども、俺の家族は変わらぬように俺にも弟にも分け隔てなく愛情とやらを注いで、弟も、こんな出来損ないで何一つできやしない俺を“兄”だからと慕って!
だから、やっと、弟に勝てたと思ったんだ。だって、俺は誰も殺したことなんてない。血の匂いもこの時、初めて知ったし、怯えきった人間だって初めて見た。
――嬉しかったんだ。弟が自分よりも劣る様を見て、嬉しくて、嬉しくて。
だから、俺は放置した。狂っていく弟が少女を殺して、吸血鬼として起き上がらせたことも、何もかもを。
意外なことに弟は途中までは上手くやってたんだ。少女を洗脳して、偽りの学園生活を送って。……ああ、そうだ。その時、こんな俺にも友達はできたし、弟のことを差し引いても楽しい学園生活とやらを送れていた。
――だが、やはり、そう上手くはいかない。
気づけば、1人、また1人と殺されていって、最後に残ったのは弟と俺だった。
「なんで俺だけ生かした?」
「だって、私たち、家族じゃないですか」
話の通じない相手を初めてみたのもこの時だったと思う。
「なんででしょうね、なぜ、レイは私のことを好きになってくれなかったのか」
「そりゃ、人殺しを好きになるやつなんて、早々いないだろうよ」
「私、何を間違えてしまったんでしょう」
「さあな」
格好つけたい癖に足はガタガタと震えたし、横にころがっている俺を助けた友達の亡骸に泣いてる暇すらなかった。
「俺、帰るわ」
「どこへ?」
「家だよ家、自宅」
この時の俺がなんですんなり見逃されたのか、わからない。家に帰った俺はどうして良いか、何もわからなくて、ただ何かないのかと、荒らすように家中、目的もなく何かを探していた。
「あ、……」
押し入れの奥深く。もう使わないであろうガラクタばかりの箱にそれはあった。弟にノリで強請ったものの、使うことなく、放置していたボタン。確か、作らせてすぐに押して、何も起きなかったから、捨てたんだ。けれど、この時の俺はどうしようもなくて、縋るようにそれを押した。“皆”を助けてくれと願いながら――
「兄さん、私の相談、少しは真剣に聞いてくれても良いんですよ」
こうして、俺のループ物語は始まった。気が向いたら、1周目の過程や、他の週の回想もしていこう。
「とは言ってもなあ、俺に恋愛相談って……ああ、アレだ。親父にでも相談してみたらどうだ?」
「嫌ですよ、あんな色ボケジジイ」
「お前、相変わらず親父にキツいな!?」
さて、今回は何日後にこいつは赤髪の少女を連れてくるのだろうか?
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる