雨男と雨女

九戸政景

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第八話 雨中の絆

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 雨の下を傘を差しながら歩いていた時、雨夜は恐る恐る話しかけてきた。



「あ、あの……」
「どうした?」
「さっき、雷が鳴ったり雨が強くなったりしたのって……やっぱり偶然?」
「偶然というか、さっきも言ったように天の神様が怒ったからだよ」
「神様……立神君は神様を信じてるの?」


 不思議そうにする雨夜に対して頷く。


「その方が楽しそうだからな。神様なんていないって思うよりも神様がいるって考えてた方が色々想像も膨らむからさ」
「な、なるほど……」


 納得顔で雨夜が頷く中、雨は少しずつ弱くなっていき、小雨程度にまでおさまった。


「雨、弱くなったな」
「あ、ほんとだ。雨が降ってくれた方が助かるけど、大雨は流石に帰るのも大変だったからよかった」
「そうだろうな」


 日光アレルギーを持つ雨夜にとっては症状が出ない曇りや雨の方がやはり助かるが、それでも大雨は人並みに困るようだった。


「そういえば、もう大丈夫そうか? さっき、だいぶ震えてたけど」
「うん、大丈夫。ありがとう、立神君。すごくカッコよかったよ」
「どういたしまして。まあこれで晴間から見た俺の印象は最悪になっただろうし、晴間がクラスの連中にこの件を言って廻ったらクラス内でも評判は悪くなるだろうな」
「私のせいでごめんね……」
「別に雨夜のせいじゃないって。それに、クラスメート達とは必要以上に関わろうとは思ってないし、これで雨夜の方にもっと関われそうだからちょうど良いよ」


 その言葉を聞いて雨夜は少し哀しそうな顔をする。


「立神君はクラスのみんなが嫌いなの?」
「あまり興味がないだけだよ。昔から必要最低限の関わりしか持ってこなかったし、それでも十分に生きてこられた。それに、別のクラスだけど仲の良い幼馴染みもいるから特に困らないしな」
「幼馴染み……どんな人なの?」
「ノリは明るくて成績も優秀な奴だよ。まあソイツも程々に周りと関わるタイプなんだけどな」
「そうなんだね。幼馴染みがいるってなんだか羨ましいなぁ」


 ようやく雨夜の表情も和らぎだし、それを見た俺も安心し始めた。


「さて、雨夜との保健室登校の件についてだけど、それを相談するために連絡先を交換しないか?」
「連絡先……うん、良いよ。でも、なんだか嬉しいな」
「嬉しいって?」
「同年代の子だと立神君が初めてだから。お母さん達や秋保先生とは交換してるけど、その初めてが立神君で嬉しいの」
「……そっか。それじゃあちょっと傘を差したままでやりづらいけど、交換しとくか」
「うん!」


 嬉しそうに雨夜が答えた後、俺達は連絡先の交換をした。そして雨が降り続ける中、俺達はお互いの家族の話や俺の幼馴染みの話をしながら雨夜の家に向けて歩いていった。
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