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第六話 雨女
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「雨女って呼んだ奴……そんなのがいるのか」
「うん……あのクラスに晴間美空さんがいるよね? あの子なの」
「晴間……ああ、アイツか」
晴間美空、毛先を内側に軽くカールした少し長めの茶髪に黒と青のオッドアイ、血色の良いつやつやした肌にスタイルの良い体型といった特徴があり、少し気の強そうな顔をしているものの、結構男子人気は高いようであり、他の女子とも仲良く話している姿を見かけるいわゆる上位カーストに位置する女子だ。
いつもは朝陽海花と三宮陸奈という二人の女子と共に行動しているようで、三人の名字にそれぞれ晴や陽、そして太陽の英語であるsunがつく事、そしていつも三人一緒にいるイメージから、燦々トリオと呼ばれているようだ。
「でも、いつ晴間に雨女なんて……もしかして前に会った事があるのか?」
「うん……実は小学校が一緒で、その時に雨の日だけ元気になってるのを見て、あの子は雨女なんだって周りに言ってまわってたの。そしたら雨が降る度に私が降らしたんだとか私のせいだって言い始める子も出てきて、晴間さんもそう言ってきてたのもあったから当時の私はそれが嫌で仕方なくて……」
「その内に晴間にも会いたくなくなった、と」
「そう……」
雨夜は表情を暗くしていたが、隣を歩く俺を見ると少し不安げな顔をした。
「立神君は雨男って呼ばれるのはどう思う? やっぱり嫌だったりする?」
「いつまでも言われ続けるのはたしかに嫌だな。そこしか見られてない感じがするし」
「うん……」
「けど、気にしなきゃ良いんだよ。自分のアダ名なんてさ。それかそれすらも自分の強みにするとかな」
「強みに?」
雨夜が不思議そうにするのに対して俺は頷く。
「そう。雨男と雨女じゃ強みにするのは中々難しいかもしれないけど、アダ名になるって事はそれ相応の特徴があるって事だ。だから、それをうまく活用すれば、自分の強みに出来ると思う」
「……私にも出来るかな」
「出来るよ。雨夜がその気にさえなればな」
「……そっか」
雨夜は少し安心したように微笑み、俺も雨夜の様子に安心した。そして昇降口に着き、靴を履き替えた後、鞄から折り畳みの傘を取り出そうとしていたその時だった。
「ちょっと待って」
突然そんな声が聞こえ、揃って顔を向けると、そこには三人の人物が立っていた。
「……晴間さん」
そこにいたのは、雨夜が会いたくないと言っていた晴間を含めた燦々トリオだった。
「うん……あのクラスに晴間美空さんがいるよね? あの子なの」
「晴間……ああ、アイツか」
晴間美空、毛先を内側に軽くカールした少し長めの茶髪に黒と青のオッドアイ、血色の良いつやつやした肌にスタイルの良い体型といった特徴があり、少し気の強そうな顔をしているものの、結構男子人気は高いようであり、他の女子とも仲良く話している姿を見かけるいわゆる上位カーストに位置する女子だ。
いつもは朝陽海花と三宮陸奈という二人の女子と共に行動しているようで、三人の名字にそれぞれ晴や陽、そして太陽の英語であるsunがつく事、そしていつも三人一緒にいるイメージから、燦々トリオと呼ばれているようだ。
「でも、いつ晴間に雨女なんて……もしかして前に会った事があるのか?」
「うん……実は小学校が一緒で、その時に雨の日だけ元気になってるのを見て、あの子は雨女なんだって周りに言ってまわってたの。そしたら雨が降る度に私が降らしたんだとか私のせいだって言い始める子も出てきて、晴間さんもそう言ってきてたのもあったから当時の私はそれが嫌で仕方なくて……」
「その内に晴間にも会いたくなくなった、と」
「そう……」
雨夜は表情を暗くしていたが、隣を歩く俺を見ると少し不安げな顔をした。
「立神君は雨男って呼ばれるのはどう思う? やっぱり嫌だったりする?」
「いつまでも言われ続けるのはたしかに嫌だな。そこしか見られてない感じがするし」
「うん……」
「けど、気にしなきゃ良いんだよ。自分のアダ名なんてさ。それかそれすらも自分の強みにするとかな」
「強みに?」
雨夜が不思議そうにするのに対して俺は頷く。
「そう。雨男と雨女じゃ強みにするのは中々難しいかもしれないけど、アダ名になるって事はそれ相応の特徴があるって事だ。だから、それをうまく活用すれば、自分の強みに出来ると思う」
「……私にも出来るかな」
「出来るよ。雨夜がその気にさえなればな」
「……そっか」
雨夜は少し安心したように微笑み、俺も雨夜の様子に安心した。そして昇降口に着き、靴を履き替えた後、鞄から折り畳みの傘を取り出そうとしていたその時だった。
「ちょっと待って」
突然そんな声が聞こえ、揃って顔を向けると、そこには三人の人物が立っていた。
「……晴間さん」
そこにいたのは、雨夜が会いたくないと言っていた晴間を含めた燦々トリオだった。
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