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92.お願い
しおりを挟むあれから屋敷に帰り、ゾディアス様はリンジェーラを寝室に連れ込み、目が覚めたのは朝方だった。
リンジェーラは今度から薬の効果が途中できれないように気をつけようと誓う。
今日はゾディアス様が仕事に行く時に一緒に宮廷に連れて行って貰おうと思っていた。まだすぐに承認はされないが、師団長にも話しておかなくてはと思ったのだ。
ゾディアス様の目が覚めた時にその話をすると、起きた時に異性の名前は聞きたくないといわれた。別に名前ではなく役職だからいいのではないかと思ったのだが言わないでおいた。
「次から気をつけます。だから連れて行って下さいね」
可愛らしい嫉妬は、素直に受け止めてあげなければならないのだ。
「だが・・・帰りまでが暇を持て余すだろう」
「そうなんです・・・だからもう一つお願いがあって」
リンジェーラがお願いしたいこと、それは・・・。
「ディミドラを呼んでもらえないかなって、今回の事も報告したくて・・・。今回は団長の所だから簡単に会えないし。朝イチですけど連絡してもらえませんか?団長には、ゾディアス様と私は一緒に昼を食べる予定だから、ディミドラと団長もどうかって書いてください。そしたら来てくれる可能性があがると思います」
リンジェーラは確信していた。団長は私達が番とわかれば、比べてしまうはずだから、昼を一緒に食べるとなれば、自分もそうしたいと欲がでると考えていた。
「リンジーが望むならそうしよう。恐らく団長は連れてきてくれるだろう。リンジーは団長を理解しているようだな・・・少し、いや、かなり嫉妬してしまうな」
ゾディアス様はリンジェーラの唇を指でなぞってくる。
「団長は理解というか、ただわかりやすくて、扱いやすい人なだけです。それに、ゾディアス様の事もわかってますよ?今だって・・・またしたいのでしょう?でもお預けです。これで我慢してください」
リンジェーラはゾディアス様に自分から口付けて、さっと逃げ出した。我慢ができるかはリンジェーラが逃げれるかによってきまるからだ。
今回は成功したようで、ゾディアス様は悔しそうにしている。というか段々捨てられた子犬のような表情になってきていた。だが最近では、これもゾディアス様のリンジェーラを揺さぶる作戦なのがわかってきていた。
ゾディアス様はそのつもりがなくて、あの表情をしていたとしてもだ・・・。あれに絆されると、今日の予定は崩れるとわかっているため頑張って耐える。
「帰ってきたら・・・続きしましょうね」
リンジェーラはゾディアス様に微笑んだ後、支度をするため部屋から逃げるように出て行くのだった。
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