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88.戯れ
しおりを挟むリンジェーラは肌寒さで目が覚め、温かさを求めて、隣で寝ているゾディアス様へ擦り寄る。身体に気怠さが残るのを幸せに感じながら、隣で眠るゾディアス様の寝顔を盗み見てみた。
寝ているゾディアス様は、いつもよりもあどけない感じでずっとみていたいと思ってしまうくらいだ。
今が何時かはわからないが、家に一旦帰らなければならない。伝言は頼んだが父は心配しているだろうと思い、身体を起こそうとした。
「どこにいくんだ」
ゾディアス様が目を覚ましたようで、リンジェーラの手首を掴んで声をかけてきた。
「ッ」
リンジェーラがゾディアス様の方をふり向くと、顔にかかる長髪を気だるげにかきあげる、色気が危ないレベルの人がいて、リンジェーラは声が出なかった。
リンジェーラは何も纏っていなかったので、シーツを身体に巻き付けていたのだが、ゾディアス様にひっぱられて、また裸に剥かれた。
「やッ」
リンジェーラは明るい中、裸なのは恥ずかしすぎたので、抵抗するのだがゾディアス様はリンジェーラを抱き寄せて、曝け出されているリンジェーラの胸に顔を埋めてきた。
「幸せだ・・・」
ゾディアス様はリンジェーラの胸に顔を埋めたまま、呟いた。
「~~ッ~~」
いい男が自分の胸に顔を埋めている光景は、リンジェーラの乙女心を刺激し、悶えさせた。
「もうッなんでそんなにかっこいいんですか~」
リンジェーラは両手で顔を覆って、にやけてしまいそうになる顔を隠した。
「リンジーのだぞ。気に入ってもらえたか?」
「うぅ~ッ、だんとつのお気に入りですッ」
「そうか」
ゾディアス様はリンジェーラの胸に吸い付いて、チュッとキスマークを残した。
「あッそんな見えるところに」
「出さなければ見えないだろ」
ゾディアス様は正論をいうのだが、帰るには昨日のドレスを着ないといけないのでリンジェーラは困ってしまう。
「昨日のドレスを着て帰るから見えちゃいます」
「帰る?」
ゾディアス様は怪訝な顔をする。
「え?帰りますけど・・・父も心配しているでしょうし」
何か意外だっただろうか、リンジェーラは帰る気でいたため帰してもらえないのかと不安になった。
「・・・ああ・・・まだ結婚はしていなかったんだったな。娶った気でいた。昨日、連絡はしているから大丈夫だろう・・・まだ一緒にいたいが、急いで帰りたいのか」
ゾディアス様は照れた様に、リンジェーラの髪をすいてくる。
「今すぐ帰りたいわけじゃないですけど・・・遅くとも夕方までには帰りたいです。父には、私からも手紙で連絡をさせてください」
リンジェーラは素で間違えたゾディアス様が可愛すぎて、平静を装い返事をした。
「なら、午前中は愛しあえるな」
ゾディアス様は、恐ろしい事をさらりと言ってきた。昨日は初めてだというのに、意識を失うまでしたのに、今日もだなんて流石に厳しい。
「それは・・・ちょっと了承できません。身体が今だってきついから、昨日みたいにされたら耐えられません」
「・・・下手だったか?」
なんだか色気を垂れ流している感じで聞いてきて、このままゾディアス様のペースになってしまいそうだ。
「ッ、よすぎたんです!それより、シャワー浴びていいですか?」
リンジェーラは流れを変えようと、話を逸らす。
「ああ、もちろんいいぞ」
ゾディアス様は了承すると、何故かリンジェーラをかかえて浴室に向かおうとした。
「じっ自分で歩けます」
リンジェーラは、抱えられた事で自分が間違った選択をしてしまったと気づく。
「一緒に入ろうな」
ゾディアス様はリンジェーラを甘く見つめてきて、浴室に連れて行き結局朝からもう一度抱かれてしまうのだった。
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