獣人の番!?匂いだけで求められたくない!〜薬師(調香師)の逃亡〜【本編完結】

ドール

文字の大きさ
上 下
81 / 115

80.パーティードレス

しおりを挟む




 準備は順調にすすみ、パーティーの日になる。


 リンジェーラのドレスは、ゾディアス様の瞳の色で、黄金色の生地にスモークグレーのフリルが、オーバースカートのように重ねられているプリンセスラインのドレスだ。ゾディアス様を思わせる仕上がりになりリンジェーラ的には満足だった。


 今回のドレスは、胸元はあまり出したくないと言ったら、ゾディアス様には残念がられたので、仕方なく少し妥協し、ホルターネックにした。


 胸元は見えにくいように希望したのだが、衣装合わせの時に生地がシースルーでだいぶ透けていたので、ゾディアス様には抗議してちゃんと透けている部分には、刺繍を施すように依頼して、見えにくいようにした。

 ドレスの端にも、エレガントにみえるように、刺繍がされていて動くと光って綺麗だった。


 だが背中は結構開いているので、髪型で隠そうと提案したが、駄目だと言われアップを懇願された・・・。仕方ないのでサイドの髪を前に流すように残して、巻いてもらう事にした。

 ゾディアス様は背後は任せろと凛々しく答えていたが、リンジェーラは呆れて何も言えなかったが、呆れた視線はちゃんと送っておいた。

 
 そんなゾディアス様とは、今回会場の入り口で待ち合わせをしている。
 リンジェーラの乗った馬車が到着してドアが外から開けられ、待っていたゾディアス様が手をさしだしてくれた。


「お手をどうぞ」
 ゾディアス様の手にリンジェーラは手を重ねる。


 ゾディアス様はいつもの騎士服とは違い、黒い装いで装飾にはリンジェーラのアメジストの瞳の色を身につけており、髪型もいつもより、しっかりとセットされていて、かっこいいなと見惚れてしまった。


「リンジェーラ・・・とても綺麗だ。俺の色を身につけてくれて嬉しいよ」
 ゾディアス様はリンジェーラに甘い声で囁いてきて、リンジェーラも素直に照れてしまった。


「リンジー」
 ディミドラも居たようで、声をかけられる。リンジェーラはディミドラに気づかず、ゾディアス様しか視界に入っていなかったのを恥ずかしく思った。


「ふふッ、気づいてなかったって顔ね」
 ディミドラはリンジェーラに近づき小声で話しかけてきて、婚約おめでとうとも言ってくれた。


「近すぎだ」
 だが、すぐに団長がディミドラをリンジェーラから引き剥がしてきて、2人は言い合いを始めてしまう。2人の仲も進展したのかと思ったが、2人は相変わらずのようだ・・・。


 てっきりディミドラが帰ってきたし、お互いの色を身につけているから進展したとばかり思っていた。
 今日のディミドラは前回のパーティーの時のように体型に似合うスレンダーラインの明るめの赤いドレスで、足元の生地が金魚のひれのように揺れていて優雅だった。


 袖は片方だけのタイプで、パコダスリーブの肘から下の生地はレースになっており、ひらりと流動的で目を引く。もう片方には袖の二の腕部分に刺繍が施されている黒い手袋をはめていて、団長の色一色だった。


 所々にシルバーの刺繍が光り、装飾もシルバーで統一してあったため赤いドレスでも妖艶な感じにならないようにカバーできていた。


 団長の好みであろうスタイルがわかるドレスだが、ディミドラらしく髪を編み込み、銀と黒のリボン飾りで前に流した髪を一部まとめているのが、まだ16歳なのだと知らせているようだった。



 








しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。 そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。 お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。 挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに… 意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。 よろしくお願いしますm(__)m

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

【完結】虐げられて自己肯定感を失った令嬢は、周囲からの愛を受け取れない

春風由実
恋愛
事情があって伯爵家で長く虐げられてきたオリヴィアは、公爵家に嫁ぐも、同じく虐げられる日々が続くものだと信じていた。 願わくば、公爵家では邪魔にならず、ひっそりと生かして貰えたら。 そんなオリヴィアの小さな願いを、夫となった公爵レオンは容赦なく打ち砕く。 ※完結まで毎日1話更新します。最終話は2/15の投稿です。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。

真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。 狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。 私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。 なんとか生きてる。 でも、この世界で、私は最低辺の弱者。

王宮に薬を届けに行ったなら

佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。 カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。 この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。 慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。 弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。 「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」 驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。 「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」

処理中です...