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80.パーティードレス
しおりを挟む準備は順調にすすみ、パーティーの日になる。
リンジェーラのドレスは、ゾディアス様の瞳の色で、黄金色の生地にスモークグレーのフリルが、オーバースカートのように重ねられているプリンセスラインのドレスだ。ゾディアス様を思わせる仕上がりになりリンジェーラ的には満足だった。
今回のドレスは、胸元はあまり出したくないと言ったら、ゾディアス様には残念がられたので、仕方なく少し妥協し、ホルターネックにした。
胸元は見えにくいように希望したのだが、衣装合わせの時に生地がシースルーでだいぶ透けていたので、ゾディアス様には抗議してちゃんと透けている部分には、刺繍を施すように依頼して、見えにくいようにした。
ドレスの端にも、エレガントにみえるように、刺繍がされていて動くと光って綺麗だった。
だが背中は結構開いているので、髪型で隠そうと提案したが、駄目だと言われアップを懇願された・・・。仕方ないのでサイドの髪を前に流すように残して、巻いてもらう事にした。
ゾディアス様は背後は任せろと凛々しく答えていたが、リンジェーラは呆れて何も言えなかったが、呆れた視線はちゃんと送っておいた。
そんなゾディアス様とは、今回会場の入り口で待ち合わせをしている。
リンジェーラの乗った馬車が到着してドアが外から開けられ、待っていたゾディアス様が手をさしだしてくれた。
「お手をどうぞ」
ゾディアス様の手にリンジェーラは手を重ねる。
ゾディアス様はいつもの騎士服とは違い、黒い装いで装飾にはリンジェーラのアメジストの瞳の色を身につけており、髪型もいつもより、しっかりとセットされていて、かっこいいなと見惚れてしまった。
「リンジェーラ・・・とても綺麗だ。俺の色を身につけてくれて嬉しいよ」
ゾディアス様はリンジェーラに甘い声で囁いてきて、リンジェーラも素直に照れてしまった。
「リンジー」
ディミドラも居たようで、声をかけられる。リンジェーラはディミドラに気づかず、ゾディアス様しか視界に入っていなかったのを恥ずかしく思った。
「ふふッ、気づいてなかったって顔ね」
ディミドラはリンジェーラに近づき小声で話しかけてきて、婚約おめでとうとも言ってくれた。
「近すぎだ」
だが、すぐに団長がディミドラをリンジェーラから引き剥がしてきて、2人は言い合いを始めてしまう。2人の仲も進展したのかと思ったが、2人は相変わらずのようだ・・・。
てっきりディミドラが帰ってきたし、お互いの色を身につけているから進展したとばかり思っていた。
今日のディミドラは前回のパーティーの時のように体型に似合うスレンダーラインの明るめの赤いドレスで、足元の生地が金魚のひれのように揺れていて優雅だった。
袖は片方だけのタイプで、パコダスリーブの肘から下の生地はレースになっており、ひらりと流動的で目を引く。もう片方には袖の二の腕部分に刺繍が施されている黒い手袋をはめていて、団長の色一色だった。
所々にシルバーの刺繍が光り、装飾もシルバーで統一してあったため赤いドレスでも妖艶な感じにならないようにカバーできていた。
団長の好みであろうスタイルがわかるドレスだが、ディミドラらしく髪を編み込み、銀と黒のリボン飾りで前に流した髪を一部まとめているのが、まだ16歳なのだと知らせているようだった。
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