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67.酒場
しおりを挟む酒場に入ると、リンジェーラと仲がよい3人の冒険者メンバーが揃っていた。
「こんばんは」
「あっ、リンジー。いらっしゃーい。待ってたよー」
既に飲み始めており、挨拶も軽い。リンジーにいち早く気づいたのは、女性冒険者で1番護衛をお願いしているメイベルだった。
「ん?・・・ああ、リンジーと・・・お兄さん。こんばんは」
メイベルの隣には、彼女のパートナーであり、彼女の兄のアーロと、メイベルの事が好きだけど、メイベルが鈍くてなかなか仲が進展しない哀れなバルが並んで座っている。
「今日は奢りってことで、先に注文させてもらってまーす」
貴族相手でも、メイベルは萎縮せずリンジェーラ達とは気軽な間柄だ。
「メイベル、今日はリンジーだけじゃないんだから・・・」
アーロは兄らしく礼儀は弁えているため、いつもメイベルを嗜めている。
「構わないよ。こういう場では普通に話されるほうが良い」
兄はよくわかっている。ここは貴族社会ではないのだから、ここの仕様に合わせるべきだ。
「兄が言いっていうなら、いいのよ。気にしないでねアーロ。勿論バルもね」
バルは頷き、アーロも畏まりながらも了承する。
酒場に来てみたかったのは、純粋に雰囲気を感じたかったのと料理が目的だ。酒場の料理は冒険者に向けたものが多く、お酒やつまみの種類も多く揃えられていた。
護衛をしてもらう人達が話をしていて、興味がわき、いつか来てみたいと思っていたのだ。
「メイベルは何を飲んでいるの?」
「んー?エールだよ。香りと深みがいいの。私はこれが1番好き。リンジーも飲んでみる~?」
メイベルはリンジェーラにエールを勧めてくる。
「だめだ・・・」
だが、兄はリンジェーラの手に渡る前に阻止してきた。
「もう、お酒だって飲める歳なんだから、ちょっと味見くらい、いいじゃないですか」
リンジェーラは兄に抗議する。
「エールはアルコール度数が高い。初心者のお前には、カクテルくらいの低いものからにしなさい」
兄は相変わらず過保護だが、飲むなとは言わないところがリンジェーラには甘いと思う。
兄に言われて仕方なくカクテルを適当に頼んで飲んでみる。甘いのからさっぱりな味のものがあるが、リンジェーラは甘いのがおいしいと思った。
見ていた兄は、甘いのが好きなら、苦味のあるエールやビールは無理だと言ってきたので、兄が飲んでいたエールを奪って一口飲んでやった。
だが、兄のいう通りで、苦くてお酒初心者の自分には無理な味で顔を顰めてしまうのだった。
今日はカクテルと料理を堪能する事にし、みんなで楽しく過ごした。
食事中に絡まれる事はなかったが、給仕をするお姉さん達から男性陣はアプローチをされていた。
さりげなくボディタッチをしていて、リンジェーラとしては勉強になったが、兄やアーロは、妹の前でやめてくれと、かわしてしていた。
兄達が断り、バルが標的に変わると、給仕の際にさりげなく胸をチラ見せをしてきた。だが、メイベルとの間に入られたため、胸が邪魔だと悪態をついて追い払っていた。
皆んな容姿がいいためか、絡まれなれているようで、あしらい方も躊躇は一切ないのだった。
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