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42.夜の会話
しおりを挟む父や兄にディミドラを受け入れてもらい、ディミドラの希望でリンジェーラの小屋へ泊まる事になった。
いつも泊まる時は1人なので、リンジェーラは嬉しかった。
「ベッドは一つしかないから、遠慮せず使って」
リンジェーラは、ディミドラに自分のベッドを譲る。
「私が床でもいいのよ?いきなりお願いしたんだし」
「お客様だからね。遠慮しないで。簡易ベッド用意してもらったから大丈夫よ」
「リンジーがいいならいいけど・・・ありがとう」
寝る準備をして2人はベッドに横になる。けれど、まだまだ寝る雰囲気ではなくランプの灯りはついていた。
「せっかく来たし、夜だから、おしゃべりしましょ」
夜だからお喋りか。女子トークというやつだな。リンジェーラには年が近い女の子の友達がいなかったので、話すのは嬉しかった。
「もちろん。まだまだ話し足りなかったの」
リンジェーラはディミドラと会えなかった間の話をたくさんした。ディミドラは、真剣に聞いてくれる。そして話の内容は触れ合ってしまった所で、恥ずかしくなり、止まってしまった。
「リンジーったら、口付けしたの思い出しちゃったの?赤くなってるわよ」
ディミドラは、にやにやとしながらリンジェーラを見て来る。
「なってませんッ。これはランプでそう見えるの」
「そお?それで、彼は上手だった?」
ディミドラはリンジェーラに感想を聞いてくる。
「・・・まあ、初めてだったんだけど・・・多分・・・上手かな。あんな風にされるとは思わなくて戸惑ったけど」
リンジェーラはディミドラに素直に感想を述べた。
「あんなって?」
「・・・・・・見つめられて、いっぱい口付けされたり」
「されたり?」
「・・・離れようとしたら」
「したら?」
「・・・舌で、舐められたり、・・・舌すわれたりしました」
具体的に言わされ、思い出すとかなり恥ずかしくなり、手で顔を覆った。
「リンジーは、初めてが彼でいいって本能的に思ったんでしょ?正解だったわね。関係がどうであれ、好きな人とファーストキス出来たんだから」
ディミドラは羨ましそうに見てきた。
「デラは、その・・・団長が?初めて?」
「まあ・・・ね。いきなりすぎて、かなり戸惑ったし。彼が口付けしたのは、行為中よ・・・。始まりが口付けじゃないわ」
「・・・・・・そっか。団長強引だものね。相手を尊重とか、しなさそう。欲望に忠実な獣イメージ」
「そうね。そのイメージであってるわ。初めてなのに、散々されて気が狂うかと思った。ただの変態だって思ったわ。匂いばっか気にして・・・」
ディミドラは結構ドライな感じで話して来る。聞いてるリンジェーラとしてはちょっと意外だった。
「デラは恥ずかしがらないのね」
「最初は羞恥くらいあったけど、回数こなせばなれるというか、適応する能力は高い方よ。羞恥より、悔しいとか、憤りのが強かったかも。だって、強い人が理想だったけど・・・組み敷かれたら男の方が強いのは当たり前だし。今まで、私に求婚して来た人には、戦って相手を見極めてきたから、手順飛ばされて、身体の関係が先ってのに納得してないの」
ディミドラは、団長はタイプとも言っていた。だが、強い人が好きでも、先に力尽くで、身体の関係を持ったのが嫌だったんだと理解した。
「今更勝負は無理なの?」
「一応言ったわ。自分と戦わない人は認めないって」
ディミドラは不服そうだ。
「そしたら?」
「怪我を負わせたくないってッ・・・あいつ、勝負もしてないのに自分が強いって言って勝負しないのよ。苛立っちゃうわ」
ディミドラはもし、勝負して負けたら受け入れるらしい。
「だから、何がなんでも、こっちの条件飲まないなら受け入れてあげない気なの」
ディミドラは頑固そうだ。
「んーでも、大事にされてるんじゃない?」
団長の過保護ぶりを見れば、大事されているなとは感じる。
「そうなんでしょうけど、無礼な男は性根を叩き直さないとね。最初が肝心よ。リンジーも、バレた後は頑張ってね」
何を頑張ればいいかは、いろいろ含みがありそうなため、笑って誤魔化した。
夜も更けていく中、まだまだ2人の話はつきなかったのだった。
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