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39.番仲間
しおりを挟むリンジェーラが思惑していると、あたりが騒がしくなった。
リンジェーラの視界にピンク色が飛び込んでくる。
「いたいた!やっとみつけたわ!」
「デラ?」
現れたのは、辺境伯令嬢。団長の番のディミドラがいた。
「ふふ、久しぶりねリンジー!会いたくて来ちゃったわ」
ディミドラは、リンジェーラに満面の笑みで、ハグしてくる。文通でさらに親しくなり、口調は砕けた。
「俺に会いにきたのか」
団長がすぐにそばにきて、すかさずディミドラに声をかける。皆んなが見ているからか、リンジェーラとディミドラを引き剥がそうとはしなかった。
「違います・・・」
ディミドラは抱きついたまま団長に返事をした。
「それより、どうしてここに?」
リンジェーラはディミドラに聞いた。
「驚かせたくて、来る事は知らせずにきたのだけれど、屋敷に行ったらリンジーはいないっていうから、ここを教えてもらって来たの。ちょうど騎士団の演習が見れるっていわれたから、リンジーを彼に探してもらおうと思って。頼むまでもなく見つけられてよかったわ。頼み事したら、何を要求されるかわからないし」
ディミドラはとてもいい笑顔だ。リンジェーラが驚いた顔をしていたので、悪戯が成功したように無邪気な笑みをしている。
「こっちに来たら案内してくれるって言ってたでしょ?仕事がおわってたら一緒にお出かけしましょ。出来れば、リンジーのお屋敷に泊めて欲しいわ」
ディミドラのお願いはリンジェーラとしても、願ったり叶ったりだった。番同士の相談ができそうだ。
「だめだ・・・」
団長が、横槍を入れて来る。
「貴方の許可はいらないのよ。求めてもいないわ」
ディミドラは相変わらず団長に冷たい言い方だ。
「・・・・・・ッ」
団長はディミドラからの返事に、辛そうな表情をした。
「・・・夜は貴方に会いたくないわ。会うなら昼間。数日は滞在するから、2人きりじゃなければ会ってあげる。でも私の予定が優先よ」
ディミドラは、団長の表情に心動かされたのか、譲歩した案を提案した。2人きりじゃなければというのは、リンジェーラがいる前提の言葉なのだろうなと思った。
「・・・わかった。必ずだぞ」
団長はしぶしぶ了解する。ディミドラが譲歩してくれたのだから団長が我が儘は言えない。
そうなれば、会っても貰えなくなるだろう・・・。
「貴方が約束を守るなら、私だって守るわ」
ディミドラは機嫌がいいみたいで、団長ににっこりと笑った。
「なら、いきましょうか。仕事は丁度終わりましたから」
リンジェーラはゾディアス様の様子を確認して、問題なさそうだと判断し、今日はディミドラと屋敷に帰る事にするのだった。
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