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24.宣言
しおりを挟む「貴様らは、いったい此処で何をしている」
ゾディアス様が、かなり怒った表情で、ジェイクの顔面を掴み持ち上げた。威圧が尋常ではないくらい、空気がピリピリする。
顔面を掴まれているため、話す事が出来ないのは明白だが・・・ゾディアス様はまだ問いかける。
「ここを何処だと思っている・・・、騎士であるはずのお前達がこのような場所で、そのような行為をするとは・・・お前達には幻滅した」
ゾディアス様は、掴んでいた彼を投げつけた。
「宮廷での行為は禁じていたはずだ・・・団長へも報告する。彼女への非礼な行為もだ」
ゾディアス様はリンジェーラの肌けた胸元に視線を向け、近づいてきた。
「すまない・・・またせた。大丈夫か」
この前と同じセリフをゾディアス様は言われる。リンジェーラは肌けた胸元を隠しながら、頷いた。
「副長・・・いつもそいつを庇いますが、なんでですか。誰のものでもない女にアプローチして何が悪いんですか」
投げられたジェイクだったが、やはり獣人のため頑丈なのか、しぐに起き上がり、ゾディアス様に言い返してくる。
「彼女の同意なく肌を晒す事がアプローチだというのか・・・」
ゾディアス様は静かに低く威圧のある声で話す。
「それは・・・そいつが素直じゃないから、少し強引に迫っただけで」
彼はゾディアス様に指摘されて、歯切れ悪く答える。
「彼女はいつも素直だったはずだ・・・。嫌がっていたのも本心で、お前が自分の都合の良いように変換しているだけだ。これから、もう彼女に近づく事は禁止する」
ゾディアス様はジェイクへ、はっきりといい放つ。
「ッ、副長には、そんな権限はないはずです。別にそいつは誰のでもないから、アプローチはしても問題はないでしょう。やり方が悪かったならこれからは改めますッ」
この状態になっても、ジェイクは今後も絡んでこようとしているのが、リンジェーラには理解出来なかった。
あれだけ散々罵倒していて、それがアプローチだったと言われても納得できないし、改めて貰っても、やり過ぎた後ではもう手遅れだ・・・。
「・・・権限ならある。・・・副長としてでなく、上位種の獣人としての命令だ・・・。彼女に魔笛を渡しているのは、彼女が私の手つきだからだ」
ゾディアス様は、いつものようにリンジェーラの頭を撫で、耳元で話を合わせろと囁いた。
「なッ、そんな素振りなんて・・・」
ジェイクはゾディアス様の発言を聞き、黙り込んだ。
「いつも騒ぎに鉢合わせる理由はそういうことだ。わかるな・・・。彼女が私の手つきだという以上、彼女自身がお前を選ぶかしないかぎり希望はないが、当然アプローチは許可できない」
ゾディアス様は、再度リンジェーラの耳元で、こう宣言することで、君は守られるから許せと言った。
身の安全が確保できるならばと、思ったが、あのように宣言してもゾディアス様には、メリットがあるのだろうかと思惑するのだった。
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