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21.師団長
しおりを挟む団長はリンジェーラからの仕返しに気づかず、師団長に責めらながら、席に座った。
「パーティーの事といい・・・、呼び出しの場所といい・・・、何を考えている。リンジーを危険に晒す気なら、協力などさせないし、今後関わらせもしないぞ・・・わかっているのか」
師団長はリンジェーラのために、団長へ文句をいってくれる。
「ゾディアスにも言われてるから、もう言うな・・・。悪かったのは認める。だが、番の事になると、どうしても彼女の事しか考えられなくなるんだ」
団長はため息をつかれる。ゾディアス様も団長へ言ってくれていたのかと、嬉しく感じた。
「だが・・・お前も過保護だな。この娘に気でもあるのか?魔法具を与えたり、構ったりして」
いきなり団長はへんな事を言う。
「馬鹿を言え・・・。30歳も離れているんだぞ。それに親友の娘をそういう目では見ん。実の娘でなくてもな」
実は師団長、父とは学友で親友だった。とても若く見える見た目は46歳には見えない。ぱっと見30代くらいだ・・・。だから、最初はリンジェーラも同い年と聞いて驚いたものだ。
「30なんて別に問題ないだろう。お前の見た目は46には見えんのだしな」
団長は師団長の容姿の事を言う。
「人族で、この歳の差は問題だ・・・。それに、歳だけではなく、私はそういう目では見てはいないと言っている。親友の娘は私にとっても娘のようなものだ」
実際、師団長が言うように、そんな感じで接してくれている。
「結婚の前に娘とは・・・お前は未だ自分の相手を見つけようとは思わないのか」
団長は師団長に、リンジェーラも聞けないような事をさらりと聞いてしまう。
「私は結婚には向かないよ・・・。うちの家は弟が継いでいるから、五月蝿くも言われない」
師団長は侯爵家の嫡男だったが、結婚して家を継ぐ気はなく、弟に侯爵家を任せて、自分の仕事に専念していた。もともと魔導師になった時から、魔導を極める事に勤しんでいた。
シルバーブロンドの長髪や顔立ちは、女性の様にも見える美人で声を出さず、ドレスを着たら間違われるほどだろう。
師団長は基本柔らかい口調で話すし、物腰柔らかいため、優しく見つめられたら、女性は勘違いしてしまう。
モテる容姿だったが、師団長は決して誰も、相手にしようとしなかったと聞いた事があり、周りも諦めた様だったと、父は言っていた。
「まあ、お前がそう考えているならば、せいぜい間違えがないようにしろよ。一度は間違えているんだからな」
団長は含みを持った言い方をする。なんの話だろうか・・・。
「父に似て薬師の才能もあれば、もうあいつの娘にしか見えんからな・・・お前の心配は無用だ。私のことは良いから、さっさと本題に入れ、次はどんな面倒事を持ち込む気だ?」
師団長は、仕返しには団長に、嫌味な言い方をするのだった。
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