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19.友達

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 結局あの後、ゾディアス様を部屋に帰らせた。身の安全を守るための魔道具がまだある事と、侍女も実は控えていたので、何かあれば呼べと、犬笛のようなのを渡された・・・。
 狼獣人だからと、この様な物で、副長ほどの人を呼んでも良いのかと思ってしまった。


 この笛も魔法具みたいなものらしく、特定の獣人を呼ぶ魔笛らしい。人には聞こえないため何かある時は便利だと、言われ押しつけられた。
 受け取らなければ、部屋の前で見張りをすると言われたので、受け取り、首にかけて寝た。


 意外にも、眠れない事もなく、ぐっすり眠れた。リンジェーラお付きの侍女は、昨日の事を知り、かならず帰ったら父に報告するように言ってきた。
 あまり話したくはなかったが、彼とは関わり合いたくなかったので、やはり話さなくてはいけない・・・。

 
 それに、握られた手首が赤くなってしまった。それを隠す様に長い袖で手首が広がっていない、ワンピースを選んでもらい着た。

 
「まったく、うちのお嬢様に手酷いことをする人がいるなんて、信じられませんッ。帰ったら、必ず詳細まで報告をして下さいね。そして報復をしてもらいましょう」
 侍女は、リンジェーラが傷つけられた事を、怒ってくれている。


「わかってる。報いは既に受けてはいるけれど、今後関わらない様に手配してもらうわ」  


 帰る支度をしていると、部屋がノックされ、ディミドラ様が訪ねてこられた。
 侍女には部屋に誰も入れない様に言い、退室してもらう。


「昨日は助けられずに、申し訳ありません」
 リンジェーラは、ディミドラに昨日の自分の非力さを謝る。


「昨日のは仕方ないわ・・・それより他人行儀が戻っているわ」
 ディミドラは、気にしてはいないようだ。


「でも・・・また団長に・・・」
 あの連れさられ方を見たら、その先は想像できてしまう。現にディミドラは気づいていないのかもしれないが、ハイネックのワンピースを着ていても、首元に赤い痕がみえた。


「まあ・・・昨日は私が煽ってしまったみたいだから・・・いけなかったのかもしれないわ。それに、初めてじゃないし・・・貴方のせいなんかじゃないわ。だから・・・これからもリンジーとは普通に話したい」
 ディミドラは、それが言いたくてリンジェーラの部屋を訪ねて来てくれたようだ。


「・・・非力な私でよければ」
 リンジェーラは、せっかくできた友達と呼べそうな存在を失わなくてよいことを嬉しく思った。


 そして、屋敷を離れる時間まで、ディミドラと語り合った。別れ側には、これからも文通をする事と、今度はディミドラがリンジェーラの所に訪ねていくと約束をした。


 団長は馬車で帰る時に、ディミドラが見送りに来てくれたと喜んだ表情をしたが、ディミドラは団長を無視して、リンジェーラにまた会いましょと言うのだった。
 
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