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13.パーティー 前編
しおりを挟む会場には既に客人達が訪れ、煌びやかな、貴族世界が広がっていた。団長はドレスアップしたディミドラ様を、エスコートして現れとても満足そうだ。
ディミドラ様は、黒に近い紺色のホルターネックのマーメイドドレスを着ていて、スレンダーなので身体のラインが、とても綺麗だ。身体を鍛えてもいるからだろう、ウエストが引き締まってヒップラインが羨ましい。
胸元はシースルで覆われて透け感があり、背中が開いているが、長い髪をひとつに編み込まれており大半が隠れていた。
髪には花が散りばめられており、ドレスの装飾がシンプルなため、本人へ目がいく。
団長は腰に手を回していて、手の動きが時折怪しくみえた。
辺境伯が挨拶した後、ダンスの音楽が流れ始める。
ゾディアス様に、踊れるか聞かれ、勿論と返事をすると手を引かれてホールに出た。ダンスは意外に得意だ。ダンスを習い始めたのは遅いが、リズム感が良いため、すぐにマスターできた。
ゾディアス様は腰に手を添えて、リードしてくれる。目線が下にいくのは、見ていいとは言ったが、さすがに恥ずかしいのでまたしても注意する。
「ゾディアス様・・・見過ぎです」
やはり獣人といえど男性で、胸が好きなのだろう。リンジェーラは胸の発育がよく、普段はあまり胸元があく服は着なかったが、大きい為、ラインがでてしまうのはちゃんと理解していた。
「すまない・・・ついな。いつもは肌を見せないから、珍しくて」
先程とは違い、顔を背ける事はない。
「珍しいからと、そのように見られては・・・嫌です。他の令嬢方のを見られればよろしいわ。ダンスが終われば副長に寄ってきますからご自由にどうぞ」
「別に興味はない・・・それに君以外と踊る気はないが?」
「何を言うんですか、私は何回も同じ方と踊りませんよ。婚約者でもないのですから、常識を考えて下さい」
同じ人と何度も踊るのは、恋人や婚約者だと思わせる行為だ。それでは父が言った様に、リンジェーラの相手を見つける事はできない。
「婚約者なら」
ゾディアス様が、言いかけた言葉は最後までは聞こえず、後方からの声に気をとられた。
「ちょっとッ」
急に声を少し荒げる様な声が聞こえたからだ。
後ろを見ると、何やら団長とディミドラ様が、ダンスを終えたあと、互いに違う雰囲気で対面している。
リンジェーラは揉めそうだと判断して、ゾディアス様の手を引きダンスの輪から抜け出した。
ディミドラ様は小声で、話し始めたため周りに会話は聞こえないが、団長は何故一曲なんだと言っているのが聞こえた。
どうやら、副長と同じ考えなのか。知っていて二曲目以降を誘っているのかという会話の様だ。
リンジェーラは団長とディミドラ様の間に入り、団長を睨んだ。
「団長・・・、なんとなく話は聞こえたので、忠告致します」
「なんだ・・・」
団長も負けじと睨んでくる。
「無理やりは嫌われますよ・・・既に嫌われているのに更にね」
団長は眉間に皺をよせる。
「あら、団長はダンスがお得意なんですね~でしたら他の御令嬢達にも披露しませんと!そんなにダンスに自信があって、踊りたかっただなんて~」
リンジェーラは周りに聞こえるように声をはった。団長の次の相手にと望む令嬢達に聞こえるように言うと、あっという間に団長の周りを令嬢達が囲んだ。
それを狙って、ディミドラ様の手を引いて、テラスまで連れて行く。居合わせた副長は団長と同じように、令嬢達に囲まれているため、置き去りにするのだった。
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