12 / 114
11.辺境伯領
しおりを挟む父にも了承を貰い、辺境伯領に団長と、副長、侍女を連れ4人でやってきた。もちろん馬車は別々だ。
朝方に出発し夕前には到着した。夜会に参加し、一泊して昼に帰る予定だ。
副長と団長は、一泊のため始めから夜会の服を着ている。リンジェーラは、長旅のため夜会のドレスや着替えは侍女が持ってきており、辺境伯領で着替える予定だ。普段とも違い、いつもより令嬢として着飾っていた。
辺境伯の屋敷へ到着し、迎えには辺境伯がわざわざ出迎えをしてくれた。団長とは友好的な様で握手して肩を叩かれている。辺境伯は豪快なようで、辺境地なだけあり、身体付きも獣人達に負けないくらい屈強だ。
辺境伯の後ろには、ピンクの髪にアクアマリンの瞳のスレンダーで美人な令嬢がいた。この令嬢がディミドラ様だろう・・・。
辺境伯に言われて、渋々といった形で団長の前に来られた。やはり団長をよくは思えない様で、団長が機嫌取りをする様に話しかけられるが、ほぼ話されない。
団長は少ししょげて、虎耳があったら垂れていそうだと思った。しかし、ディミドラ様の対応は、いきなり襲ってきた人に臆する事はなく接しており、引きこもる自分とは違うなと尊敬する。
ついつい、ディミドラ様を尊敬の眼差しで見すぎていたみたいで目があった。目が合うと、互いに目をパチパチして見つめ合った。
団長は気に食わなかったのか間に入り、視界を遮る。
「いくら女性同士でも、俺以外がディミドラと見つめ合うは許可できない」
きっと、後ろのディミドラ様は呆れているだろ・・・ため息が聞こえた。
「ご紹介もして頂けないのですか?」
ディミドラ様が言われ、団長はまともな会話が出来ると思ったのか、直ぐに間から退き紹介し始めた。
「ディミドラ嬢、こちらはベルタス伯爵家のリンジェーラ嬢だ」
「初めまして、リンジェーラと申します。本日はゾディアス副長のパートナーとしてお誘いを受けまして、参加させて頂きます」
「ようこそ、私はディミドラよ。王都と違って堅苦しくしなくてもいいわ。楽しんでいって頂戴」
ディミドラ様は気さくに話してくれる。辺境伯は、普通の貴族と違い、地位はあるが社交はあまり気にしない様だ。
「ディミドラ、紹介はこれでいいな。パーティーまでまだ時間はあるから一緒に」
「では、私もパーティーの為に着替えたり、準備がありますから、失礼します。時間になったら、またお会いしましょう」
ディミドラ様は、団長のセリフに被せる様に言い、去って行かれた。
またしても団長は、いつもと違い威厳がない・・・。あしらわれている団長を見るのは、本人には悪いが爽快な気分だ。女性を尊重せず襲うような獣には丁度良い薬だろう。
ゾディアス様を見ると、複雑そうな顔をされていた。
それから、今日泊まる部屋にそれぞれ案内されて、時間になったら迎えに来るとゾディアス様は言われ別れるのだった。
2
お気に入りに追加
934
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
【R18】愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる
奏音 美都
恋愛
シャルール公国のプリンセス、アンジェリーナの公務の際に出会い、恋に落ちたソノワール公爵であったルノー。
両親を船の沈没事故で失い、突如女王として戴冠することになった間も、彼女を支え続けた。
それから幾つもの困難を乗り越え、ルノーはアンジェリーナと婚姻を結び、単なる女王の夫、王配ではなく、自らも執政に取り組む国王として戴冠した。
夫婦となって初めて迎えるアンジェリーナの誕生日。ルノーは彼女を喜ばせようと、画策する。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる