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11.辺境伯領

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 父にも了承を貰い、辺境伯領に団長と、副長、侍女を連れ4人でやってきた。もちろん馬車は別々だ。
 朝方に出発し夕前には到着した。夜会に参加し、一泊して昼に帰る予定だ。


 副長と団長は、一泊のため始めから夜会の服を着ている。リンジェーラは、長旅のため夜会のドレスや着替えは侍女が持ってきており、辺境伯領で着替える予定だ。普段とも違い、いつもより令嬢として着飾っていた。


 辺境伯の屋敷へ到着し、迎えには辺境伯がわざわざ出迎えをしてくれた。団長とは友好的な様で握手して肩を叩かれている。辺境伯は豪快なようで、辺境地なだけあり、身体付きも獣人達に負けないくらい屈強だ。

 
 辺境伯の後ろには、ピンクの髪にアクアマリンの瞳のスレンダーで美人な令嬢がいた。この令嬢がディミドラ様だろう・・・。
 
 辺境伯に言われて、渋々といった形で団長の前に来られた。やはり団長をよくは思えない様で、団長が機嫌取りをする様に話しかけられるが、ほぼ話されない。


 団長は少ししょげて、虎耳があったら垂れていそうだと思った。しかし、ディミドラ様の対応は、いきなり襲ってきた人に臆する事はなく接しており、引きこもる自分とは違うなと尊敬する。

 ついつい、ディミドラ様を尊敬の眼差しで見すぎていたみたいで目があった。目が合うと、互いに目をパチパチして見つめ合った。
 団長は気に食わなかったのか間に入り、視界を遮る。


「いくら女性同士でも、俺以外がディミドラと見つめ合うは許可できない」
 きっと、後ろのディミドラ様は呆れているだろ・・・ため息が聞こえた。


「ご紹介もして頂けないのですか?」
 ディミドラ様が言われ、団長はまともな会話が出来ると思ったのか、直ぐに間から退き紹介し始めた。


「ディミドラ嬢、こちらはベルタス伯爵家のリンジェーラ嬢だ」


「初めまして、リンジェーラと申します。本日はゾディアス副長のパートナーとしてお誘いを受けまして、参加させて頂きます」


「ようこそ、私はディミドラよ。王都と違って堅苦しくしなくてもいいわ。楽しんでいって頂戴」
 ディミドラ様は気さくに話してくれる。辺境伯は、普通の貴族と違い、地位はあるが社交はあまり気にしない様だ。


「ディミドラ、紹介はこれでいいな。パーティーまでまだ時間はあるから一緒に」
「では、私もパーティーの為に着替えたり、準備がありますから、失礼します。時間になったら、またお会いしましょう」
 ディミドラ様は、団長のセリフに被せる様に言い、去って行かれた。


 またしても団長は、いつもと違い威厳がない・・・。あしらわれている団長を見るのは、本人には悪いが爽快な気分だ。女性を尊重せず襲うような獣には丁度良い薬だろう。
 ゾディアス様を見ると、複雑そうな顔をされていた。


 それから、今日泊まる部屋にそれぞれ案内されて、時間になったら迎えに来るとゾディアス様は言われ別れるのだった。
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