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49.2人の時間
しおりを挟む姉達と別れ、庭のガゼボにお茶の準備をしてもらったので、久々にゆっくり2人で話をする事にした。
「シルフィ・・・身体は、もう大丈夫か?」
キール様は、身体を気遣ってくれる。あの次の日には来てくれていたみたいだったが、姉に追い出されたのだと話してくれた。
「大丈夫です。起きたら、足に力が入らなかったくらいで、次の日はなんともありませんでした。ずっとお姉さまが追い返していてすみません」
「大丈夫だ。君の婚約者だからな・・・追い返されても毎日行くよ。次の日には普通に過ごせるだろうと母が言われていたが、シルフィは母の時より若いからな、この目で顔を見るまで心配だった」
キール様はシルフィの頬を撫でる。
「ご心配おかけしました。あの・・・キール様のお母様もご経験があったのですか?」
聞いてはいけないかもしれないと思ったが、気になり聞いてしまう。
「ああ・・・、母もあの魔物と遭遇し、父に介抱してもらったと聞いた」
「そうなのですね・・・お二人はそれが縁なのですか?」
「母の兄、私の叔父でもあり、騎士団のジルベルト=フォード公爵と父はライバルだったんだ。剣術と魔法でお互いトップにいる2人だ。初めはライバルの妹くらいにしか思っていなかったようだが、母は父が好きだったようで、頑張ったと言っていたな・・・。だがライバルと妹が婚約して、父はシスコンでもあったから、激怒したようだ。それまでは母にはある程度緩和した態度だったようなのだが・・・態度が冷たくなったと聞いた。そんな時に遭遇した魔物だったようだ。父が母への好意はあったみたいだが、自覚はしていなかったらしい・・・父は鈍いからな。母の前では、今は溺愛という言葉が似合うくらいだがな・・・」
キール様は苦笑いされる。
たしかに、公爵家でみた2人は、そんな感じだったなと思う。シルフィが恥ずかしくなるくらいには・・・。
「それで、よくいる魔物なのですか?」
「いや、魔法しか効かないタイプで、現れるのは稀だ。花畑があれば必ず根絶やしにしなければ、生命力が強いから、また被害が出る。まさか、あの場所で群生しているとは思わなかった。母が仕方ないとはいえ、一帯を焼き切ったからな・・・残念がっていた」
「そうですね。せっかく教えて頂いた場所でしたのに、残念です」
あの景色を思い出し、少し寂しい気持ちになった。
「今度は教えて貰った場所ではなく、2人の場所を見つけに行こう」
キール様は、座っていた椅子から、身を乗り出してシルフィに軽く口付けた。
「それで・・・致し方なかったとはいえ、俺とした行為は嫌ではなかったか?」
「えっ!?」
キール様は、いきなりあの日の行為について聞いてくるのだった。
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