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30.家族会議

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 夜会での出来事は、そうそうに姉達の耳にも入り、家族会議になった。珍しく父も揃ってだ。


「シルフィール・・・夜会での出来事は聞いた。お前の幼馴染のカイルの事も然り、殿下の事も噂になっている。詳しくお前の口から聞こう・・・」
 
 父は怒ってはいないが、振り回されたようで、疲れ切っている様に話を切り出した。


「夜会には、今回キール様がパートナーとしと参加して下さいました・・・カイルは、断っていたのにも関わらず会場でも話しかけてきて・・・追いかけられてしまったので、指輪を使いました」


「キール様がいたのに追いかけられたのッ!?」
 アメリアお姉様がつっかかってくる勢いで反応した。


「えっと、いろんな方々に囲まれてしまっていて、ひきはがされてしまって・・・キール様が守ってくれていなかったわけではありません。不意をつかれただけで」


「でも・・・フィーが危険な目に合うのを防げなかった訳でしょう」
 姉達は顔を見合わせている。


「そうかもしれませんが、はぐれた後も、見つけ出してくれましたし、彼と決着がつけられたのもキール様のおかげだと思います。カイルに怯まずに言いたいを言えたのは、キール様が側にいてくれたからですから・・・」

またしても姉達は顔を見合わせている。


「キール様がカイルに何か言ったんじゃないの?」
 マライヤお姉様が聞いてくる。


「言ってもくれましたが、私にも言わせてくれました」
 シルフィは自慢げに返事をする。


「・・・守ってくれるだけじゃなく、シルフィ自身できちんと見切りをつけさせてくれる・・・いいんじゃない?」

「守るだけが男じゃないわよね、戦わせてくれる男ってのも、この子には必要だったのよ」


「ん?」
 シルフィは姉達が何のことをいうのか意味がわからなかった。


「私達の意見は賛成とするでいいわね」
 リズリーお姉様がそういうと、アメリアお姉様、マライヤお姉様は頷かれた。


「お父様、キール様は合格ですわ。求婚を許可します」
 リズリーお姉様が言われた言葉で、シルフィは言葉失った。


「そうか・・・お前たちが認めると言うのが第一条件だからな。後は彼次第だな」
 父も賛成のようだ。姉達が許可した・・・キール様の求婚を姉達は受ける気になったという事だ。キール様の今までの行動が姉達に試されていたものだったということに、シルフィは絶望した。


 あとは、彼次第だと父は言った・・・キール様が、どの姉を求めるのか・・・何も考えたくなかった。
 

 只々、姉達に今度は本当に裏切られたと思い、シルフィは席を立った。無言で部屋を後にし、逃げる様に自室に戻り鍵をかけベッドにダイブした。


 最初からわかっていたはずだった。キール様は姉達の誰かに求婚をしに来ていたのを・・・。それを自分がキール様を好きだからと姉に相手をするのを、代わってもらっていただけなのに・・・。

 姉達は私に彼を振り向かせるための時間はくれたが、結局は彼を求婚者として認めてしまった。
 シルフィに対しての返事としては、もう時間は終いだと・・・。


 キール様がどの姉を好いていたのか、知りたかったが・・・今はもう知りたくもなくなっていた。
 キール様はシルフィといる時は姉達の話はしなかった。シルフィだけを相手してくれていたと感じるが、目的は違う。


 シルフィがどんなに頑張ろうと、キール様の心を変えることはできないのだと・・・。次にキール様が来た時にはきっと、求婚を了承することを話されるだろう。もう、キール様には会いたくないと思ってしまった。
 姉達の誰かが、キール様の隣に立って、見つめられている姿が浮かぶ。


 姉達がやってきて、ドアをノックし何か言っていたが、耳を塞いで、聞こうとはしなかった。それだけ、姉達の声をききたくなかったのだ。
 
 姉が去って、シルフィは泣き疲れて眠ってしまうのだった。

 
 
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